Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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第10節 対FC東京 1-2 (得点:吉村) @味の素スタジアム
 水曜日のナビスコカップで1.7軍ぐらいの甲府を相手にしても勝ちきれず、おまけに終了間際に監督のフェルフォーセンが退席処分になってしまった名古屋。試合は観ていないのでなんとも言えないが、ひとつ言えるとすれば、
「杉本よ、PKを取ってもらえず泣くより前に決定機を決められるFWになれ」
ということか。

 そんなわけでフェルフォーセンがベンチ入りできないこのFC東京戦、名古屋はスタメンから藤田を外し前を玉田と杉本の2枚にした4-4-2、そしてボランチには吉村に代えてナビスコカップで得点を決めた山口Kがリーグ戦初先発を果たした。猫の目のように入れ替わるメンバーがフェルフォーセンをはじめとしたスタッフ達の苦悩を表していると言っても過言ではないだろうが、俺の中では藤田のベンチスタートがどうにも腑に落ちない。確かにここ数試合はチーム状態もあって目立った活躍は出来ていないが、低迷する名古屋の浮上は藤田なしには有り得ない。かつてのでしゃばりなチェアマンの時のようにベストメンバーを出さなくても目くじら立てて怒られることがなくなったナビスコカップは(藤田が決して若くないことを考えても)休養に当てるとして、続くリーグ戦のこの試合でも休ませるということは怪我かコンディションでも悪いのだろうか。

           杉本
      玉田
 本田             中村

       金    山口

阿部   増川   古賀   大森

         楢崎

 東京もガーロ体制になってから決してチーム状態は良くはない、というか軸が定まっておらず、この試合でもササを外して負傷から復帰したリチェーリ――なんとなく彼に対するサポーターの温かい目線がかつての名古屋サポのアイドル・エリベウトンに対するそれを彷彿とさせる――をベンチに入りさせ、前線には赤嶺と川口、トップ下に名古屋キラー・ルーカスというフォーメーション。外国人が一人しかいない、しかもサブにFWがいない(登録上は藤田)名古屋にとってはなんとも贅沢な選択だ。使わないならササ名古屋に貸してくれないかな。移籍した途端狂ったように点取り始めるのも決してない話ではないと思うけど。
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 とまあそんなことより試合。味スタに到着すると既に選手はピッチに散っており、アッパーに席を探している間にキックオフ。最初の5分ぐらいは両チームともいきなりカウンターの討ち合い。アッパーに陣取ったイチ観客としてはゴール前からゴール前へとなかなかエキサイティングだ。そして名古屋に決定的なチャンスが訪れる。カウンターから左サイドの本田に渡りやや追い込まれながらも折り返したクロスボールにニアサイドで玉田がダイビングヘッド、シュートは土肥の指先をかすめポストを直撃した。W杯の最終メンバー選考のため味スタを訪れていたというジーコの前で玉田も気合が入っている様子だ。

 その後試合が落ち着くと今度は両チームとも示し合わせたかのようにこう着状態に入る。名古屋も中盤まではボールを運ぶがそこから先へはなかなかパスを送ることが出来ない。東京らしくない3バックの頃ならともかく、ジャーンと茂庭を中心とした4バック+今野、宮沢、梶山で作る守備ブロックを破ることは、創意工夫(イマジネーション)どころか選手間の意思疎通や動き出しに乏しいといった基本的な部分すら出来ていないここのところの名古屋ではなかなか難しい。
 そしてやや強引な攻撃を繰り返していた名古屋に徐々にバックパスや横パスが増え始めたなと思っていた矢先、詰まった左サイドで阿部からボールを受けた杉本が徳永にプレッシャーを掛けられ誰もいない後方へバックパス、そのボールを拾った東京がスピードに乗ったカウンターから一気にゴール前まで持ち込むと、右サイドに流れた川口がタメて中央に走り込んで来たルーカスの頭にクロスをピタリと合わせて先制点を許してしまった。
 さらにそのほとぼりも冷めやらぬ間に今度は左サイドからの鈴木のクロスをまたしても後ろから走り込んだルーカスが頭で決めてあっという間に0-2と点差を広げられる。このシーンでは、中村がボールを取れそうだと判断したのか宮沢を追ってかなり内側(というよりピッチの真ん中よりむしろ左寄り)にまで絞って来たのだが、流れで梶山に行ったプレッシャーを上手くいなされ転倒(この瞬間の梶山はジダンに見えた)、ルーカス経由で左サイドの中村の空けたスペースへ展開されてしまった。そこに後ろから走り込んだのが鈴木で、大森が対応に行く前にクロスを上げられてしまった。

 二年前の味スタで圧倒的にゲームを支配し2-0とリードしながら、ルーカスがポジションを一列下げた途端に誰もルーカスを捕まえきれなくなり一気に3点を奪われ引っ繰り返された嫌な記憶が蘇ってきた。名古屋キラー・ルーカスの大復活祭だ。そして声を掛け合うでもなくいつものように無言で下を向き落胆する名古屋の選手達。それとは対照的に最高潮の盛り上がりを見せるスタジアム。点を取れないこと以上に自信を失っている今の名古屋ではこの雰囲気に流されて3点目・4点目と畳み掛けられても全くおかしくはない。しかもこの状況を修正すべく指示を与えるはずの監督もベンチには不在だ。スタンド(アッパー)からFC東京ファンの友達と暢気に観戦するイチファンの俺ですらこの先待ち受ける展開に軽く背筋が寒くなったほどだ。
 しかし名古屋はたまらずベンチから飛び出してきたドワイト(コーチ)の指示でシステムを変更することでこの苦境を切り抜けることに成功する。DFラインで大森が中央に入り右に古賀、左に増川という3バックに変更。3-5-2のような形だ。フェルフォーセンから指揮を託されたドワイトはひょっとしたらネルシーニョばりにゲームの中でチームの問題点を見極めそれに対応した策を打ち出す眼に長けているのかもしれない。

          杉本
      玉田

 本田             中村
     阿部     山口
          金

   増川   大森   古賀

         楢崎

 システムを変更したことは名古屋にとってルーカスを含む東京の前線のプレーヤー達を抑えるだけでなく、攻撃面でも若干のプラス効果をもたらした。相変らず東京の守備ブロックを崩して敵陣内深くまで侵入することは難しいし、玉際の競り合いでも東京の選手達に負けることが多いものの、中盤の人数を一人増やしたことで名古屋は少しづつボールを動かすことが出来るようになってきた。
 30分過ぎには左サイドからのセットプレーで大外から隙を突いて中村が素早く飛び出して――その一瞬のタイミングを逃さずGKとDFラインの裏に正確なボールを送った本田も光った――シュートがポストを直撃(判定はオフサイド)したり、35分過ぎには右の中村からのクロスに東京のGK土肥がカブったボールを玉田が拾ってキックフェイント一発でキーパーを寝かせてシュート、これは密集の東京DFに当たったが、そのこぼれ球を再び拾うと横に流して後方から走り込んだ山口Kがシュートを放つなど、いくつかの見せ場も作った。こういった得点の匂いがする所になぜか詰めているのが山口Kという男の持ち味のひとつだが、その狙い済ましたシュートは土肥のビッグセーブ(自作自演)によって阻まれてしまった。そしてここから得たCK。キッカーは絶好調の本田・・・かと思いきや、負傷した金正友がピッチから出ている隙になぜかキッカーが本田から杉本にチェンジしてしまった。単純に長身の金正友がピッチから出ていたから同じく長身の本田が代わりに中(ボックス)に入っただけなのか、それともこの二日間の甲府でのミニキャンプで練ってきた秘策が杉本のコーナーキックなのか。単純に本田を中に入れたいだけなら左サイドからのCKだし中村が蹴れば良い、ということはやはり秘策に違いないなどと妄想しながら楽しみにして待っていると、杉本の右足から放たれたボールは力なくフワフワと舞い上がり何の変化もないままファーサイドのやや後方にいた中村の後ろへと落下してきた。なんとか足先で触った中村だったが、これが良い落としとなり、これを拾った東京がスピードに乗ったカウンターを繰り出す。名古屋は後ろに残っていた山口Kが必死でドリブル突破を図るノリカルこと鈴木に喰らいついて遅らせ、その間に上がっていたDFが必死で戻りなんとか事なきを得た。

 あれ(杉本のCK)は一体何だったんだろう?と思っている間に、名古屋は残り5分ぐらいになるとリードしているチームのように無理に攻めることもせず前半は0-2のまま終了。
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 後半開始に当たってこのフォーメーションでは使い道のなくなった阿部に代えて吉村を投入。アンカーとしての仕事を金正友から吉村へ移行し金正友を一列前に上げた。ただひとつ心配なのは疲れからか雑なプレーも目立ち明らかにコンディションを落としている金正友だ。

          杉本
      玉田

 本田             中村
     金       山口
         吉村

   増川   大森   古賀

         楢崎

 後半開始とともにスイッチが入るのはここのところの名古屋の定番だが、この試合でもその現象は健在で、なおかつ金正友が攻撃に絡む仕事が出来るようになったことで名古屋は東京を押し込んでいくつかのチャンスを作ることに成功した。開始5分と経たないうちに玉田が惜しいシュートと二本放つなど、それは追撃の一点を予感させものだったが、中村が無理なカットインから相手選手のプレッシャーを受け苦しい体勢でセンタリング上げて楽々と東京のDFに跳ね返されたあたりから名古屋の勢いは徐々に減速されていった。中村としてみればそのひとつ前のプレーで左足でファーサイドの古賀の頭目掛けて良いクロスを送り、古賀が相手DFに競り勝って落としたボールをゴール正面で玉田がシュート(→当たり損ね)という惜しいシーンがあっただけにその感触が残っていたのだろうが、まだ前線には古賀や増川といった長身のプレーヤーが残っていた状況、中村の後ろを名古屋の選手がクロスオーバーして走り込んでいた状況、そしてなによりチームがリズム良く攻めていた状況を考えれば、あそこで無理をする必要はなかったし後ろを走っていた味方をシンプルに使うべきだったと、結果論ではなく俺は感じていた。

 その後名古屋の選手達の動きの量が時間とともに減退していき、試合は名古屋が攻めてボールを失っては東京がカウンターを繰り出す展開が永遠と繰り返されていく。動きの少ない選手間での足元パスは堅固な守備ブロックからボールを奪ってカウンターを狙う東京にとって格好の餌食となっていた。そして動きだけでなくパスそのものの質にも著しい低下が見られる名古屋の選手達は、目の前にいる相手プレーヤーにボールをぶつけたり、パスがそのまま相手選手に向けて真っ直ぐ飛んで行ったりしている。DFラインの増川からのパスが直接相手の中盤の選手の足元に収まるのを見た時には俺も思わず閉口してしまった。

 そんな名古屋にとっての救いは攻撃では絶好調の本田と守備では試合勘の戻ってきた楢﨑の存在だった。本田は前線で対面の徳永と五分の競り合いを演じながらも、玉田が徹底マークを受ける中チームで唯一前線で何かが起こる期待を抱かせるに足るキレのあるプレーを見せ、楢﨑は――チーム全体として見れば東京の攻めに迷いが見られてイマイチ噛み合わなかったシーンに助けられた面はあったが――シュートまで持ち込まれたシーンでもタイミングの良い飛び出しと落ち着いた対応でことごとくストップしていた。
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 名古屋は中村に代え片山投入。片山を左アウトサイドへ入れ本田を右へ移動する。ふと考えれば左サイドで繰り広げられる片山と徳永のマッチアップは国見高校の同窓対決ということになるが、そんなことはどうでもよく、これで徳永とのガチンコから外れた本田はさらに奔放なプレーを披露するようになった。俺は東京で狙うなら宮沢と鈴木が組む左サイド(名古屋でいう右サイド)だと思って試合を観ていたが中村はポジショニング(ボールのもらい方)が悪く――最初から最前線の右サイドに張っていることが多かった――ここを突き切れずにいた。もしドワイトがそれを意図して右に本田を持って来たのなら恐れ入るが、まあ単純に中村の足が止まっていたことが交代の理由だろう。

 だがそれでも俺はずっと一人の男の登場を待ち続けていた。最初の段階ではボールは持たせてもらえる。選手と選手の間の距離やポジショニング、動き出しが悪くパスをつなげないなら、その間でボールを受けて確実に動かせる中継地点を作れば良い。本来であれば山口Kにもう少し高い位置でもそうした仕事をして欲しいと思うしそれだけの能力を持っているとも思うが、より高い位置でこの役割を完璧にこなせるのは藤田俊哉しかいない。東京がなぜか前線で躊躇していたり、楢﨑が好セーブを連発している間に・・・決定的な3点目を失う前になんとか藤田を投入して欲しい。

 残り5分。ついに藤田投入。正直言って遅すぎるがこの際そんなことは言っていられない。さらに古賀がパワープレー要員として前線へ。片山が持つボールに対しファーサイドで古賀が手を振り上げてボールを呼んでいる。こんなに積極的な古賀を見たのはいつ以来だろうか。そしてズルズルと下がり始める東京のディフェンスに対し、二列目から持ち上がってきた吉村が目の覚めるようなのミドルシュート。吉村のミドルシュートが枠に飛ぶのは殆ど見たことがないから、正直なところ吉村が中へ切り返して左足でシュート体勢に入ったときは「待て!」と思ったのが実際のとことだが、その左足から放たれたシュートは往年の米倉誠かと思うくらいの素晴らしい弾道で東京ゴールの左隅に突き刺さった。敵味方を問わず競技場全体をシンとさせるほどのシュート。

 しかしその後名古屋は全く攻め切れず試合終了。

 願わくば、吉村のミドルシュートが次節以降に繋がるものであって欲しい。
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by tknr0326g8 | 2006-04-29 23:59 | Game Review
第9節 対川崎 0-2 (得点:なし) @スカパー
 思えば一年前ジュニーニョを欠いた川崎に「J1の力」を見せ付けていた頃が名古屋にとっては最後に夢を見ていられた時期で、シーズン終盤に二度目の対戦を迎える頃にはこの川崎との力関係がすっかり入れ替わってしまっていた。川崎はそこからさらに積み上げて新シーズンを迎え開幕以来好調を持続しており、対する名古屋は新しい方向性が未だ完成には程遠いということで試合前から劣勢は予想されてはいたのだが、結論から言えば正直ここまで力の差を見せ付けられるとは思っていなかったというのがこの試合を見終わった今の素直な感想。

 金正友が出場停止から戻ってきたと思ったら最近調子を上げていた本田が負傷による欠場を余儀なくされてしまった名古屋は、阿部が本田のポジションに入り、さらに出場停止の有村の代役として渡邉が今シーズン初出場を果たした。渡邉については、本田欠場という事態を考えても前で使った方が生きると俺は思っているが他にSBを任せられる人材がいないというのなら仕方ない。大森を左SBに持ってくるという手もあると思うのだが、フェルフォーセンの中では左サイドには左利きを置いておきたいという思いがあるのだろうか。

        玉田

 阿部    藤田    中村

     金     吉村

渡邉   増川  古賀   角田

        楢﨑

 試合開始とともに吉村あたりがかなり前までつっかけて行きアグレッシブな試合の入り方をするかと思われた名古屋だったが、数分と経たないうちにスーッと波が引くに全体が下がってしまった。それは時として川崎の3~4人のアタッカーに対して自陣に9人でブロックを形成するようなかなり守備に重心を置いた戦い方で、これでソリッドな守備からボールを奪ってカウンターへとつなげられていればまだいいのだが、実際にはチーム全体が完全に受身に回っている感じで川崎に主導権を握られてしまった。
 「まずしっかり守る」というのが監督からの指示であること、全体が引いて守備に人数を割きスペースを埋めていること、そして同じ戦い方で浦和を完封したことでチームには妙な余裕や安心感のようなものが生まれてしまっているのだろうか、名古屋は最前線(玉田)からアクションを起こすことはほとんどないし、その結果やすやすと自陣へボールを運ばれてクサビのボールからの展開を許したり、ロングボールでDFラインの裏を狙われてバタついたりとやられたい放題。ゲームは前半途中にしてハーフコートの様相を呈してきた。

 ごく稀にボールを持って相手陣内に入ることを許される名古屋の攻撃はと言えば、最初から伸びきったゴムのようにポジショニングが悪い中盤で相変らずのパスミスオンパレード。加えてこのチームの代名詞であるサイドからの攻撃も、川崎が普段の3バックから4バック気味に変更してサイドのスペースを封鎖してきたことで封じられてしまった。右サイドに張り付き気味の中村はスペースを失って沈黙し、左サイドの阿部もプレーに焦りの色が感じられ全く基点になれていない。こういう試合展開では角田、渡邊という攻撃的な両SBも全く意味を成さない。大森よりも身体能力に優れる角田は右サイドでそのスピードを活かして何度か積極的にタテへの仕掛けを試みるがこれは半分ヤケの自爆行為に等しく、結果論だがこうなるとよりボールを持てて正確なフィードを武器にゲームを構成できる大森の方がこのゲームには向いているように感じた。同様に前半は左SBの渡邊が攻撃に参加してその良さを発揮するような場面が全くなかった左サイドについても、渡邊と阿部のポジションを入れ替えて阿部を後ろに持ってきた方がチームとしては機能したのではないだろうか。守備に目を瞑れば阿部には後方からビルドアップできるだけの技術と正確で強いキックがある。
 そしてこの試合意図的にかどうかは分からないが、金正友が後ろ気味に構え、どちらかと言えば吉村が前で攻撃に絡むようひたすら動き回っていた印象があるが、藤田のようにスペースを移動しながらボールを受ける(そして動かす)のではなく、もっぱら相手を混乱させたりマークを引き付けて味方にスペースを空けることに腐心したかのようにボールに触れずに動き回る吉村は、良く言えば献身的だが、悪く言えばボール(を受けること)から逃げているようにも見え――何もしないよりはもちろんマシだし、使われることよりも前のスペースへの飛び出しに秀でる吉村の特徴を考えれば、それを活かせないチームに問題があると言う話なるが――そんな吉村の動きがボランチとしてこの試合での名古屋に何かプラスもたらしていたとはとても言い難かった。ただでさえ中盤でボールを持てる本田がいない状況を考えれば、俺としてはボールを動かすことに長ける山口Kの早期起用を願って止まない。

 そんな名古屋が0-0の同点のまま持ち堪えられたのは15分が限界だった。
 セットプレーのクリアから川崎が半ば苦し紛れにDFラインの裏へ蹴ってきたボールに対して、DFラインがコントロールに失敗し川崎のボランチ・中村に抜け出されシュートを放たれる。これはポストを直撃して難を逃れたがその跳ね返りを走り込んで来た谷口にプッシュされてしまった。クリアボールに対する中盤及びDFの緩慢な押し上げ、古賀、増川を中心としたDFラインの中途半端なラインコントロール、足を止めて経過を見てしまい自分より後ろから走り込む谷口を行かせてしまった角田、全てにおいてひどい集中力の切れっぷりだ。そしてなにより単純な(緩やかな)フィードボールに対してラインコントロールを失敗してギャップを作り、二列目からの飛び出しで失点するという新潟戦と全く同じ失点パターンに対して何の改善も反省もないところに俺は愕然としてしまった。

 その後30分過ぎに川崎がペースを落として引き気味になったことで名古屋が多少ボールをキープできる時間帯が来たが、ゴールに迫るようなチャンスらしいチャンスを作れないまま川崎の一方的なペースで前半は終了した。ただ前節の新潟戦で顕著であるように今シーズンの名古屋は前半をセーブ気味に入って後半からペースアップすることも多々あるので、その部分に一抹の期待はある。

 後半開始にあたってフェルフォーセンは角田に代えて大森を投入。前節も書いたように、この早いタイミングで(しかもリードされている状況で)DFラインの選手をそのまま入れ替えるのは少し微妙な気が俺はするが、上でも書いたように判断としてはまあ妥当だろう。そしてハーフタイムを挟んで名古屋は予想通りアグレッシブさ10%増しで臨んできた。個々のプレーヤーのポジショニング的にも中村が右から中央、左へとかなり自由にプレーするようになっており、フェルフォーセンの試合後のコメントを読むとどうやら中村を前にすることでFWの枚数を増やしたようだ。

 しかし個々のプレーヤーが攻撃(前)に対する意識を少し高めたとは言え、攻撃力が売りの川崎に腰が引けている様子は明らかで、後ろ足に重心の乗っかったポジショニングバランスの悪さはそのままパスミスやボールに対する反応の遅れに反映されてしまっている。そして開始後しばらくして訪れた良い時間帯もそうしたパスミスからあっけなく失ってしまった。
 例え実力差があっても必ず双方のチームに良い時間帯(流れ)が訪れるのがサッカーというスポーツだが、名古屋がなかば自滅のような形で引き寄せかけた流れを失うと、あとは現在のチーム力の差そのままに再び川崎のワンサイドになって行った。名古屋はいとも簡単にボールを失い、川崎はいとも簡単にボールをつなげる。とても同じJ1のチームとは思えないぐらいのレベルの差。名古屋はゾーンで守ってはいるが、誰も何もつかまえておらず川崎の攻撃は必ず名古屋ゴール前まで到達していた。その光景はあたかも川崎がボールを奪ってからパスをつなげてシュートで終わるまでの練習を繰り返し見せられているようだった。もっとも名古屋があのていたらくでは、川崎にとって名古屋の選手達は所々障害のなる所に置いてあるコーンに過ぎず、実戦経験にプラスになるような対人練習と成りえたかは定かではないが。
 そしてそんな流れを象徴するようにあきれるぐらい甘いプレッシャーで川崎にパスを回されるとバイタルエリアからマルクスに余裕を持ってスルーパスを出されDFラインの裏へ抜け出した我那覇に追加点を奪われてしまった。

 試合開始前、密かに俺の中では左サイドがポイントになるのではないかと思っていた。川崎の右アウトサイドはあの森勇介だ。最近はどうなのか知らないが(そう言えば去年サテライトの名古屋戦でプレーしていた)、カードコレクターとしての輝かしい過去を持つ森は――移籍と解雇を繰り返し数々のチームを渡り歩いてなお現在もJ1でプレーしているということはそれだけ能力が高いということでもあるのだろうが――川崎と言うチームにとっての唯一のウィークポイントに成り得るのではないかと俺は踏んでいた。対峙するのが調子の上がってきた本田ということもあったし、そして森と言えばヴェルディ時代のデビュー戦が確か名古屋戦で、ピクシーにチンチンにされていた印象が俺の中には強く残っている。しかしいざ試合が始まってみれば本田は欠場し、代役の阿部が森にチンチンにされ右サイド(名古屋にとっての左サイド)から再三チャンスを作られていた。そもそも森が阿部を全く怖がっておらず、攻撃でも守備でも自信を持って1対1を仕掛けて来ている。調子に乗せては一番いけないタイプを名古屋(阿部)は調子に乗せてしまった。
 そしてそんな左サイドでは今シーズン初出場の渡邊が65分で早くも足を攣ってしまった。解説の川本治が「情けない」と思わずつぶやいていたが、今シーズンの初先発初出場ということを差し引いてもプロの試合でこれははいただけない。スピードとテクニックを兼ね備えたドリブルで勝負できる名古屋には少ないタイプのこのアウトサイドプレーヤーは、平野→森山、中谷→福田に続く渡邊→豊田といったホットラインで名古屋伝統の左サイドを担う人材として俺の中では期待が高いが、昨シーズンも中谷とのポジション争いの最中に怪我による離脱を余儀なくされるなど、このままでは「ガラスのレフティ2世」を襲名しかなねい。

 仕方なくフェルフォーセンは渡邊を諦め杉本を投入。結果的に攻撃的な選手交代となったが、フェルフォーセンが代えたかったのはむしろ阿部の方だっただろう。そしてこの杉本に80分過ぎ奇跡的にチャンスが巡ってきたが、ゴール前フリーの杉本はシュートを決めることが出来ず、名古屋は今シーズン5度目の完封を喫することになった。名古屋ファンとしてはその場所にいたのが杉本で佐藤寿人ではなかったことを悔やむ他ない。

 これ以上ないほど力の差を見せ付けられての完敗。そして実力差と同時に、これまでの試合では名古屋も良い時間帯はサイドからの攻撃を一試合の中で何度か仕掛けることが出来たが、相手チームに研究されてくるとそれすらも出来なくなってきた。名古屋がチームの攻撃のコンセプトであるサイド攻撃というとっかかりを作ってそれを礎に更なるバリエーションを増やして進化する前に相手チームが進化してしまっているという現実。名古屋にとってこの先は決して楽な道のりではないだろうが、幸いにもあと3試合でW杯の中断期間に入ることだし何とか乗り切って欲しいと思う。
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by tknr0326g8 | 2006-04-22 23:59 | Game Review
第8節 対新潟 1-2 (得点:本田) @スカパー
 気が付けば名古屋にとって「勝てない(相性の悪い)チーム」として定着しつつある新潟。今年からTVで解説の仕事などをしている新潟の前監督(反町)が名古屋の試合を担当した時にはその(新潟にとっての)相性の良さの礎となったいくつかの対応策を披露していたが、そんな監督が代わりその上理由は不明だが外国人FWが二人とも欠けている今の新潟は名古屋にとって相性の悪さを克服する絶好のチャンスと言える。

 名古屋は発熱により前節の京都戦と水曜日に行われたナビスコカップを欠場していた玉田が復帰し、攻撃面においてはようやく役者が出揃った感がある。そして彼等(玉田、藤田、中村、本田の4人)を組み合わせると、現時点で必然的に行き着く先はこの日の4-2-3-1のようなフォーメーションにならざるを得ない。

        玉田

本田     藤田     中村

     吉村   須藤

有村  増川   古賀  角田

        川島

 装いも新たに新布陣で試合に臨む名古屋は、試合開始とともにピッチ中央に納まった藤田を中心にボールを回していこうというとするが中盤で全くボールが落ち着かない。
 その原因を考えると、まずひとつ大きな要素としてあるのが金正友の不在(出場停止)だ。金正友の代役としてフェルフォーセンの寵愛を受ける二年目の須藤は浦和戦や京都戦でも多々見受けられたようにパスにミスが多く結果としてチームのリズムを失わせてしまっている。今シーズン初出場となった第3節の鹿島戦で、一人少ない状況下にあっても中盤から果敢な飛び出しを見せ、ルーキーイヤーの昨年から比べたら遥かに落ち着いてプレー出来るようになった須藤だが、チームの主力として定位置を掴むにはさらに超えるべき壁が立ちはだかっていると言えるだろう。そしてそんな高卒二年目の須藤とコンビを組む吉村もそれをフォローするどころか、ボールに触れない(触らない)、引き出さない、顔を出さないというボランチとして赤点もののパフォーマンスに終始してしまっている。ダブルボランチがこれではいくら前にタレントを並べたとしてもリズムを掴めないのは道理だ。結局は藤田や本田が下がってきてボールを受けることになるのだが、個々のプレーヤーが守備で課せられたゾーンに根でも生やしたかのようにマイボールになっても動き出さない(切り換えの鈍い)名古屋の中にあっては、藤田や本田のそうしたプレーはそのまま前の人数が減って玉田が孤立することへと跳ね返ってくる。そしてチームの攻撃はどんどん停滞していった。
 ただチームの攻撃が停滞したのはそんなボランチだけに責任があるわけではなく、サイドに貼り付いてボールを待っているだけの場面が多いサイドハーフ、マイボールの時でも後ろで「ライン」を作りボールホルダーに対するサポートの動きすら見せないDFといった具合に、ピッチ上のほとんどの選手達からプレーに自主性が失われ、ただ言われた(守備の)役割を担うだけになってしまっていることが大きい。前節の京都戦でもDFラインの前でボールを受けた藤田が後ろで滞っているCBの二人に対してどちらかが自分の横にポジションを上げてサポートに入れと指示していたシーンがあったが、その言葉は彼らの耳に全く届いていなかったようだ。

 そんな名古屋で唯一と言ってよい希望はミッドウィークのナビスコカップで今シーズンの公式戦初ゴールを記録している本田だった。大腿の負傷を負いながらも確実に調子が上がってきているこのレフティーの正確で鋭いキックから名古屋は幾つか惜しいシーンを作り出した。古賀、増川を筆頭に長身のプレーヤーが多く本来セットプレーに利があるはずの名古屋だが、今シーズンは中村、本田といったプレースキッカーの精度も悪くなかなか得点の予感がしない試合が続いていた。しかしこの試合ではバーに当たった角田のヘディングシュートなど得点まであと一歩といったシーンもあり、本田がこの調子を持続(向上)させていけば近い将来にはセットプレーからの得点も生まれるに違いないという希望を見出すことが出来た。

 一方新潟は、去年まで仙台にいたシウビーニョが中盤の軸となりそこを中心にパスをつなぎながらも名古屋DFラインの裏へシンプルにボールを入れて、そこに純和風な2トップが果敢に走り込む攻撃が目立つ。そしてこの若い2トップは若さゆえの特権か前節甲府に4-0と完勝した勢いをそのまま持ち越し、名古屋がDFラインでボールを持てば前から激しいプレッシャーを掛けてくる。かつて浜名高時代には名古屋も獲得に動き練習にも参加していた矢野にここまで追い込まれることになろうとは古賀も当時想像していなかったに違いない。
 そしてそんな勢いに気圧されたのか次第にDFラインでもミスを重ねるようになった名古屋は、25分過ぎに海本兄から放り込まれたなんでもない山なりのフィードに対してラインコントロールを失敗し、古賀と増川が作り出したギャップに二列目から鈴木慎吾に走り込まれて先制ゴールを奪われてしまった。マイボールの時にはなかなかラインを崩さないのに、守備に回るとなぜかロングボール一発で簡単にギャップを作ってしまう、なんとも不思議なDFライン。

 結局名古屋はその後もポジショニングのバランスが悪い中盤ではパスミスを連発し最終ラインもバタバタと落ち着かないまま前半を終えた。戦術理解であったり、個々のプレーヤーのサッカー選手としての資質の問題でももちろんあるのだが、メンタル面での課題を強く感じた前半だった。

 後半開始にあたり、増川out 深津in。怪我でもあったのだろうか。確かに前半はDFラインからのビルドアップに難があったのは事実だが、深刻な得点力不足に悩む現在、1点ビハインドの試合展開でDF同士(しかもCB)の交代に交代枠の1/3を使うのは少しもったいない気がしないでもない。そして豊田が故障で戦列を離れている今、前線でターゲットと成り得る増川のFW起用というサプライズ(オプション)もこれでなくなってしまった。果たして後半名古屋は得点を奪うことが出来るのか。

 しかしそんな俺の心配をよそに後半開始から名古屋のプレーヤー達は突然目を覚ましたかのようにアグレッシブなプレーを披露し始めた。ハーフタイムにフェルフォーセンからキツくハッパを掛けられたのか、それともこれが当初からのゲームプランだったのかは不明だが、名古屋は前からプレッシャーを掛けて高い位置でのボール奪取に成功し、チャンスではボックス内に詰めている人数も確実に増えてきた。
 そして両サイドを中心に新潟を押し込むと、前半全くと言っていいほどボールに絡まなかった吉村もボールに絡む回数が増えボールを散らし始めた。その様は決して(その名の通りハンドルを切るかのごとく)ゲームをコントロールしているといったエレガントな趣ではなく、ロボットが流れ作業の中で製品(ボール)をベルトコンベアーに乗せて機械的に次の担当者に受け渡しているようにも見えるのだが、相手ペナルティエリアに近いところまでかなり高く押し上げていた吉村は、相手ゴールラインを底辺として描かれた逆三角形のナナメの辺の部分をなぞるように右から左へと行き交うボールの中で確実な中継地点たり得ていた。そしてその流れから名古屋の同点ゴールが生まれた。
 右サイド深い位置から中村が吉村にボールを戻し、これを吉村がワンタッチで左サイドの(前方で新潟のDFラインと並ぶようにポジションを取っていた)本田に流すと、新潟のDFがこれをクリアミス。こぼれてきたボールを本田が得意の左足でハーフボレー気味にキレイに逆サイドのサイドネットに蹴り込んだ。決して易しくはないシュートだったが本田の好調振りが伺えるキレイなシュートだった。

 と、いい流れで攻め込んでいる時間に得点を奪い追いついたことで、本来であれば流れは完全に名古屋に傾いてもいいはずなのだが、そうならないのが今の名古屋の特にメンタル面の弱さでもある。同点になり安心したのか、名古屋はその同点ゴールの直後から再びペースを落としてしまった。有り得ないというより、先制点を奪った後突如として失速した前節・京都戦の教訓が全く活かされていない。それどころか、まさかそれで集中まで切れたわけではないだろうが、その後名古屋の攻めからは丁寧さが徐々に失われていった。その後も右サイドの中村がいい形でボールを受けてチャンスになりそうなシーンがあっただけにもったいない試合展開だった。

 これに活気を与えるためかフェルフォーセンは、病み上がりで試合に馴染んでいない玉田に代え杉本を投入するが効果はなく時間は刻々と進んでいく。
 そして試合終了間近となった時間帯で名古屋は致命的な失点を喰らうことになる。セットプレーの流れから中途半端なクリアを拾われ再度ゴール前に放り込まれたボールをファーサイドで海本兄に頭で合わされてまれてしまった。中途半端なクリアは集中力の問題でもあるが、名古屋は二次攻撃に対する準備もほとんど出来ていなかった。浦和戦の時に解説の反町が指摘していた時はなんとも名古屋らしい穴だなと思っていたが未だにこれは未解決のままだった。

 ほとんど試合を決める1点を奪われ苦肉の策として古賀を前線に上げる策に出た名古屋だが、言われたことすら出来ない(そこから自分で考えて発展させられない)選手達に練習でも試したことが(おそらく)ないオプションを遂行するだけの力があろうはずもなく、その後試合は無風のまま1-2で終了した。

 選手達の頭にあるのはおそらく常にゾーンと守備のイメージ。誰かがボールを持ってもフリーランニングはおろかサポートやボールを引き出す(顔を出す)動きすらない。ただ自分のゾーンを守って空けないようにしていることにある意味安住しそして縛られてしまっている。そこにあるのは決して良い意味での忠実さや責任感といったものではなく、自分の仕事はここまでと決め言われたことだけやりましたという後ろ向きな発想だ。これは個々のプレーヤーが持つべき戦術的な柔軟性(の欠如)もさることながら、やはり名古屋というチーム特有のメンタリティが関わっているような気がしてならない。まあかつてズデンコなどが指摘していたように、チームが勝ち始めるとそれが今度は異常なまでの上昇カーブを描くということもあるので、今はそれに期待するしかない。
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by tknr0326g8 | 2006-04-15 23:59 | Game Review
第7節 対京都 1-1 (得点:中村) @BS
 二週間前、大分に0-3というスコアで敗れた後のインタビューでフェルフォーセンが語った不満は大きくまとめれば二つ、「攻撃のテンポ」と「アグレッシブさ」(の欠如)だった。メンバーを落として臨んだナビスコカップの甲府戦や、現時点でのチーム状態ひとつ取ってもちょっと比較対象にならない前節の浦和戦はひとまず置いておいて、この京都戦は大分戦での課題がどれくらい修正されているかを試すのにもってこいの場と言える。

 藤田俊哉がスタメンに帰って来たものの体調不良のエース玉田を欠く名古屋は、4年目の平林を1トップに据え前節と同じ4-5-1(4-3-3)の布陣でこの試合に臨む。御用新聞の中スポを含む大方の人間が杉本の先発起用を予想していた中で、非公開練習を経てフェルフォーセンが平林を選択したのはちょっとしたサプライズだった。平林は地元(愛知県)出身にしてJrユースからの生え抜き、そしてそんな下部組織時代から常に「名古屋の10番」を背負ってきたというプロフィールがローマの「プリンチペ」トッティを連想させ、また世に言う「田島チルドレン」(笑)として臨んだU-17ワールドユース(@トリニダード・トバコ)にそんな平林とともに出場していた成岡翔(現磐田)がいつしか「プリンス」と呼ばれるようになっていたのに対抗して、俺が勝手に「名古屋のプリンス」と呼んでいるプレーヤーだが、怪我の豊田はともかく実績のある杉本をベンチに差し置いてまで起用するフェルフォーセンの意図はどこにあるのだろうか。そしてそれは深刻な得点力不足(ここ5試合で得点は僅かに1・・・しかもPK)に悩む名古屋にとって起死回生の策となり得るのだろうか。試合前にスタメンを確認した段階では正直言って俺の期待は薄かった。

       平林
 本田          中村
    金     藤田
       吉村
有村  増川  古賀  大森

       川島

 試合は玉田不在だとか慣れないシステムだとかいう以前の問題で、名古屋が試合開始から自滅のような感じで大きなピンチを何度も招く。京都は完全なリアクションスタイルからシンプルに(早いタイミングで)前線の外国人2トップを使ってくるというとても分かりやすいサッカーなのだが、前節J1復帰後初勝利を挙げて勢いに乗っているのか、最初からエンジン全開な感じで前から前からプレッシャーを掛けて来て、これに名古屋の(最終ラインを中心とした)選手達が慌ててしまい危ない位置でボールを奪われてシュートまで持ち込まれる展開が続出する。

 しかしそんな京都の攻勢をGK川島の好セーブなどもありなんとか凌いでいると名古屋も徐々にペースを掴んできた。そしてその中にあっては1トップの平林もその特徴を活かして溌剌としたプレーを見せている。平林はトリッキーなテクニックに目が行きがちだが、実は動きの量が多く幅広く動きながらボールを受けるのが特徴のプレーヤーで、チームが中盤でボールを動かしている時には自らもこまめにポジションを変えながらタイミングよく顔を出してボールを引き出し、そこでボールを失わずにキープしてまたボールを動かしていくことで名古屋の攻撃にリズムをもたらしている。これがもし豊田や杉本が先発だったとしたら、ロングボールで豊田の頭を狙ったりDFラインの裏を狙って杉本を走らせるだけの展開に陥っていたかもしれない。

 さらに普段の名古屋であれば1トップが一度ボールを受けに下がって来ると、仮にその後上手くサイドにボールを展開出来たとしても、大事な時にボックスの中には誰もいない(人が足りない)状態になってしまうのがお約束なのだが、この試合ではサイドの中村・本田、中央の藤田・金正友といった選手達がチャンスと見れば常にボックス内へと飛び込んで来る積極性を見せている。代表的なシーンは前半10分にボックス内の混戦から平林がシュートを放ったシーンで、大森と藤田の右サイドでのパス交換からボックスの中及びその近辺で吉村、藤田、中村、本田、金正友、平林が次々とボールに触れて最終的なシュートに結び付いていた。このシーンは極端にしても名古屋はサイドからのボールに対して常に二人以上の選手がボックス内に詰めている状態で、左の本田からのクロスボールを藤田がドンピシャのヘッドで合わせたシーン(京都のGK平井が横っ飛びで弾く)や大森のクロスに中央で金正友が合わせたシーンなどはこれまでの名古屋に見られなかったシーンだった。

 積極性という意味では前節までとは打って変わって前線からの守備も目についた。前節の浦和戦に限らず、今シーズンの名古屋は比較的低い位置から守備を始めるのが常で、FWのラインがセンターサークルのあたりで一度止まって相手が入ってくるのを待ち構えることがほとんどだった。しかしこの試合ではトップの位置に入った平林がしばしば身体を投げ出すような勢いで前線へのロングボールを狙う京都の最終ラインに対してチェックに行き確実にパスコースを限定することで、中盤やDFラインも追随するように押し上げて「前」を意識したディフェンスを実践することが出来ていた。もちろんここでは中盤で声を張り上げながら指揮を執り全体の統制とバランスに腐心していた藤田俊哉の存在も忘れてはならない。

 開始早々の数分間を除いては名古屋の一方的なペースと言っても過言ではなかった前半、しかし名古屋は肝心の得点を奪うことが出来ず0-0のままハーフタイムへ突入する。何が足りなかったかと言われれば絶対的なストライカーの存在という答えももちろんあるが、それでも後半に向けて得点への感触は確かに残した前半だった。

 後半開始に伴い、前半唯一足りなかった「得点」を奪いに行くためフェルフォーセンはさっそく手を打ってきた。左SBの有村に代えて中盤に須藤を投入し、DFラインは大森をリベロに据えた3バックを採用した。フェルフォーセンがオランダ人であるという先入観込みで考えると、どことなくそれはファンハール時代にヨーロッパとトヨタカップを制したアヤックスの3-4-3↓を連想してしまうが、

        クライファート
         (カヌー)
オフェルマルス           フィニディ
         リトマネン
  ダービッツ         セードロフ
         ライカールト

  ボハルデ   ブリント  ライツィハー

       フェン・デル・サール

本来はボランチに当たる中盤の両サイド(ダービッツとセードロフのところ=名古屋でいう金正友と須藤のところ)が、マッチアップ上相手の両SHに引っ張られるような形で3バックのサイドのスペースまで押し込まれてDFラインに入ることがしばしばあった実際の機能面を考えると、それはズデンコ時代に一度だけ試みて失敗に終わった3-3-3-1に近かった。

         平林

 本田     藤田    中村
           
 正友     吉村    須藤

   増川   大森   古賀

         川島

ただズデンコ時代と明らかに違う点は、ズデンコが守備面(人の配置によって相手の攻撃のスペースを消すこと)を意図していたのに対し、フェルフォーセンは最終ラインの枚数を一枚削って前に人数を増やすことを意図していた点だった。

 ともあれ3-4-3にしろ3-3-3-1にしろ(見て分かる通り)ピッチ全体に均等に人を分散させることが出来るシステムであり、逆に言えばこれらは攻守両面において1対1での強さのベースがないと成り立たないシステムだという点に変わりはない。おそらく前半を見たフェルフォーセンは京都の外国人2トップを除けば名古屋のプレーヤーが1対1で京都のプレーヤーに負けることはないと感じたのだろう。単にDFの枚数を減らして攻撃的にというだけでなく、そういった事象を踏まえた上でゴリ押しで点を奪ってしまおうというフェルフォーセンの強気な意図も感じられるシステム変更だった。

 そしてそんなフェルフォーセンの意図通り名古屋は後半開始5分で先制点を奪うことに成功する。前半から左サイドで何度も好機を演出していた本田が再びサイドを破りゴールキーパーの出られない位置に絶妙なクロスボールを送ると、京都ゴール前には二人の紅いユニフォームを着たアタッカーが待ち構えており、ファーサイドにいた中村がDFに挟まれながらもこのボールをコントロールしシュートを押し込んだ。中村は福岡戦あたりから少しづつ「前」(ボックス)への意識が高まってきており、この試合では前半から何度も(特に左サイドからのボールに対して)前線のスペースに飛び込んでいたのだが、その動きがやっと実ったゴールだった。俺は常々中村にはこうした動きが足りないと指摘し続けてきたわけだが、この得点シーンでも顕著だったように相手DFに寄せられてもバランスを崩さない身体の強さを持つ中村なら、今後もこのような動きを続けていくことでゴールを量産することも可能だと思う。

 しかし先制点を奪われたことで吹っ切れたのか京都が重い腰を上げるかのように積極的な攻撃を見せ始めると名古屋の急造システムは途端にその脆さを見せ始める。実は後半開始から京都は名古屋が最終ラインを4→3に変更したことに伴ってそのサイドのスペースに2トップが流れてそこにロングボールを入れる傾向を顕著にしていたが、失点後はそこにニ列目のSHが絡んで来るシーンが増え始めた。そして上でも書いたようにこのシステムの命綱でもある1対1で、京都の左SH美尾の突破に対してマッチアップする須藤が全く付いていけない。そして再三右サイド(京都にとっての左サイド)を突破されると、一度は完全に崩されたゴールをオフサイドに助けられたが、カウンターからクロスボールに対してファーサイドでパウリーニョをフリーにしてしまい同点ゴールを許してしまう。

 たまらずフェルフォーセンは後半25分に金正友に代えて角田を投入。角田を右に回して美尾への対応に当たらせ、須藤を左サイドへと移した。シーズン前には「オランダのスタイルは自分に合う」という希望的観測を語っていた角田もこの古巣・京都との第7節が今シーズン初出場だ。京都サポからのブーイングらしきものを浴びながら登場した角田は、これまで試合に出られなかったこととブーイングを浴びたことへのうっ憤を晴らすかのごとく美尾を抑え込み、さらには果敢な攻め上がりで京都に傾きかけていた流れを再び名古屋へと呼び戻した。

 その後名古屋は疲れの見える平林に代えて後半の切り札・杉本を投入。この辺の時間帯になると両チームとも中盤が空き始めていたこともあり、名古屋も自陣でボールを奪ったら手間をかけずにタテ(DFライン裏へ)のボールを使って杉本のスピードを活かそうという戦術に切り替えていた。そして名古屋はカウンターから何度かいい形を作るもののボールを奪う位置が深くなったこともあって、長い距離を走ってゴール前に辿り着く頃には詰めて来る選手もヘロヘロで、中村や吉村らが放った決定的なシュートはいずれも枠を逸れて行った。

 そして試合は1-1のままタイムアップを迎える。
 相手チームの力量を考えても勝たなくてはいけない試合だったが、収穫があるとすれば藤田の復帰した中盤には攻撃面でも守備面でも確固たる核が出来たことと、そして平林、角田という今シーズン初出場を果たした選手たちがこの機会にアピールしようと積極的なプレーを披露したことが挙げられる。その結果チームは大分戦で課題を残した「攻撃のテンポ」と「(攻守両面での)アグレッシブさ」の両面において大きな前進を見せた。まだまだ改善すべき課題や現時点ではいかんともしがたい戦力面での問題もあるが、この試合での感触を忘れずに得点と勝ち点3を積み重ねていって欲しい。
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by tknr0326g8 | 2006-04-08 23:54 | Game Review
第6節 対浦和 0-0 (得点:なし) @スカパー
 かつてはともに「Jのお荷物」と呼ばれていた浦和が、いつの間にやらすっかり親会社からの自立に成功し来シーズン以降のアジアそして世界を見据えたチーム作りに取りかかっている今、全ての面で取り残された印象のある名古屋はすっかりビッグクラブに挑むプロヴィンチャといった趣で、それでも去年あたりまでは、チーム構成的に強力な外国人プレーヤーの「ここで勝負すれば勝てる」というポイントがあり、勝敗に対しても微かな期待があったのだが、今年の名古屋、特にここ数試合の結果を考えれば、この試合は後々尾を引きそうな大敗さえ避けられれば御の字という思いが1サポの俺の中にもなくはない状況。

 前節の大分そしてミッドウィークのカップ戦で甲府に(スコア上の)大敗を喫していた名古屋は、選手たちが自信を失っていることが一番怖く、それを考慮してかフェルフォーセンはこれまで拘ってきた4-4-2を捨て中盤に人を増やした4-5-1のような布陣でこの試合へと臨む。このフォーメーション変更はフェルフォーセンが「(ロングボールという)攻撃のオプションを増やすことが出来る」と期待するFWの豊田が怪我により欠場を余儀なくされたことも影響しているのだろうが、どちらかと言えば守備面を考慮しての処置であることは間違いない。

       玉田

本田           中村
    金     須藤
       吉村
有村  古賀  増川  大森

       川島

 試合開始からしばらくは布陣を変更してきた名古屋に対して様子(出方)を伺おうという意識もあったのか、浦和がペースアップするようなこともなく、名古屋も中盤でボールを奪ってからサイドに展開して攻めるという目指すべきスタイルの一端を垣間見せていた。(もっとも相変らず中盤の押し上げが遅いことで、名古屋の攻撃は浦和のゴールに近付いたりフィニッシュまで辿り着くことは殆どなかったわけだけど。)
 しかしそんなどちらのペースとも言えない展開から時計の針が25分を回る頃には徐々に浦和がペースを握りだし名古屋は圧倒的に押し込まれる時間帯へと突入していく。押し込まれ始めた名古屋は全体がラインを下げて引いて守ろうとするのだが、浦和はポンテを筆頭にしばしば高い個人能力によってこれを突破してしまうし、慎重にスペースを埋めて守っているはずの名古屋の選手達もゾーンでのマークの受け渡しを上手く消化出来ていないのか、時々ポッと空白でも作るようにワシントンやポンテをフリーにしてしまって、そこにボールが渡り大きなピンチを招いている。これがワシントンやポンテがゾーンの合間を縫うように絶妙なポジショニングを取っているのか、それともゾーンに捕らわれすぎて名古屋のプレーヤーの中でマークが曖昧なのかは微妙なところだが、どちらにしろ名古屋にとって良い傾向ではない。そしてどんどん苦しくなってきた名古屋は、マイボールになってもロングボールを誰もいない前線に蹴り込んだり、GKにボールを戻しても川島がこれを再び大きく蹴り出してしまったりと少し焦りの色も見受けられるようになる。

 苦しいながらも浦和の決定力不足に助けられ0-0のまま前半を終えた名古屋は、ハーフタイムを挟んで迎えた後半ついに積極的な姿勢を見せ始める。まず目立ったのは金と須藤のポジショニングだ。前半ボールを支配される元凶となった浦和のボランチに対しこの二人が積極的にプレッシャーを掛けて浦和の自由を奪うと、高い位置で相手のミスを誘いボールを奪取しカウンターへとつなげる。
 そんな名古屋の攻撃において俄然存在感を発揮し始めたのが本田だった。浦和は右アウトサイドの山田が前半で名古屋の力は見切ったと言わんばかりにほぼ上がりっ放しのようなポジションを取り始め、そのことは逆に本田に自由にプレーするスペースをもたらした。本田は決して上がり過ぎずそんな山田と堀之内の間に上手くポジションを取ってフリーになると、中盤で奪ったボールを引き出し自らタテに持ち込んだり、玉田を狙ってニアサイドへ鋭いクロスを送ったり、逆サイドの中村までダイアゴナルなサイドチャンジを送ったりと名古屋の攻めにバリエーションを加えていった。
 そしてもうひとつここで忘れてならないのが金正友の存在だ。本田が山田(後)に引っ張られず高いポジションをキープできたのは、自分の後方で有村と協力するようにスペースをケアしディフェンスに奔走していた金正友の存在が大きかった。まだまだ完全にチームにフィットしたとは言い難いが、金正友はもはや名古屋に欠かせないプレーヤーとなり、持ち前の運動量と玉際の強さを発揮した守備だけでなくチャンスと見れば前線に飛び出して行き、3ボランチの一角というよりはセンターハーフとしての仕事を精力的にこなしていた。

 攻撃の手詰まり感が漂い始めた浦和とは対照的にいい流れの生まれだした名古屋は、後半20分過ぎに須藤に代えて怪我から復帰してきた藤田俊哉を投入。そしてこれが名古屋の攻撃にさらなる活性化を与えることになる。後半開始から須藤は積極的な守備と前への意識で良いプレーを見せていたが、奪ったボールのつなぎで(慌ててしまうのか)単純なミスが見られたりと所々に若さが垣間見られるシーンが目立っていた。須藤のポジションにそのまま入った藤田はまさしくその部分で抜群の効力を発揮し、この交代で唯一不安だった守備面では浦和の足が止まっていたことで名古屋は事なきを得る。
 藤田が決してゾーンの概念に捕らわれることなく、中盤でスペースからスペースへと移動しながらボールを引き出しそして動かしていくと名古屋の攻撃にさらなるリズムが生まれてきた。そして名古屋にとってここのところずっと課題だった前線での人手不足という問題についても、藤田が後でパスを出した後に長い距離をランニングしボックス内に顔を出すことで、少なくとも+1の人数増にはなっている。

 後半35分に訪れた本田の決定的なチャンス(ゴール正面からフリーでシュート→枠の左外)を筆頭に幾度かカウンターから良い形を作った名古屋だったが、浦和ゴールを割るにはもう一工夫が足りなかった。浦和は右サイドで堀之内やトゥーリオが釣り出されたり名古屋にサイドのスペースを使われそうになる度に鈴木や長谷部といったボランチのプレーヤーがカバーに現れて名古屋の前に立ち塞がっていたし、これを打ち破るには名古屋にも更に上のレベルの攻撃が求められるだろう。そうでなければこの浦和やキッチリと守ってくる相手を崩すことは容易ではない。

 試合は結局0-0で終了したが、名古屋にとっては希望が見えてきたような試合だった。何も知らない人がこの試合を見たら「名古屋も10人なのにちゃんと攻撃もして頑張ってるねぇ」と思われても不思議ではないような試合運びだったし、その極端な例として後半の遠目からのセットプレーのチャンスでDFが上がっていかないようなシーンには疑問を感じたのは確かだ。そしてそんな戦いをしながらも未完成な組織は(個々のプレーヤーの能力、そしてコンビネーションを含めたチーム力の差はあったにせよ)所々でマークの受け渡しなどに課題(穴)を見せたりもした。しかし後半、特に藤田を入れた後に見られた攻撃は今後チームとしてさらに磨かれていくだろうし、逆に言えばすべてのプレーヤーがこの日の藤田俊哉のように良い意味で組織(ゾーン)の呪縛から解き放たれてプレーすることが出来ればチームとしても面白い攻撃が見られるようになるに違いない。まあ基礎も出来ていないうちから応用編の話をしても仕方ないが。
 あとは具体的に、俺はこのやり方を継続していくのであれば中村は須藤の位置でプレーするのがベストだと思うし、チームとしてもう少し中盤でボールポゼッションが出来るようになれば今の中村の位置に杉本を入れることも可能だと思うが、そういったオプションを含めてフェルフォーセンが次節以降どのような手を打ってくるのかに注目していきたい。
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by tknr0326g8 | 2006-04-02 23:54 | Game Review