Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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J1 2008 第14節 vs鹿島 @スカパー
 W杯予選の影響により一ヶ月以上の中断を経て再開されたリーグ戦第14節は、ACLによる未消化試合の関係で水曜日にひと足早く再開を迎えていた鹿島と、6/8のナビスコカップ以降異例の大型連休へと突入し(他チームのような)キャンプはおろかトレーニングマッチすらこなした形跡がない名古屋との間で、特に試合勘という部分でのコンディションの差が明確に現れた試合になった。名古屋にとってこの先上位を争うことになるかもしれない鹿島に与えた勝ち点3と得失点差-4という代償は決して小さくはないが、試合が終わった今となっては、この試合を水曜日から始まるナビスコカップ決勝トーナメントと今後のリーグ戦に向けた調整として割り切るしかない。
 逆に言えば、この試合は名古屋に試合勘を取り戻させるためのスパーリングとしての機能は十分に果たしていた。(中身の是非はともかくとして)色々な意味で勝者としての経験やメンタリティが備わっている鹿島は、試合開始早々に先制しさらに前半のうちに追加点を奪うと、今後の過密日程を考慮してすっかり省エネモードに突入し、そんな鹿島に対して名古屋は、得点にこそ結びつかなかったものの、ヨンセンにクサビを入れてサイドへと展開する攻撃の形をいつも以上に作り出すことが出来ていたし、前後半通じて鹿島のおよそ倍に当たる17本を放ったシュートも含めて実戦の場でこれだけ練習出来れば水曜日以降はコンディションも上がってくるに違いない。

 そんなわけで、俺は0-4というスコアほどこの試合結果について悲観をしていないが、それでも失点の原因となった部分を中心に内容を振り返っておく意味はあるだろう。明らかに集中を欠き、試合に入り切れていなかった一失点目は論外として、追加点となった小笠原とダニーロによるいずれもスーパーなミドルシュートは(見方によっては「事故」と言えなくもないが)DFラインの前にスペースを空けてしまう名古屋守備ブロックのスペックを考えると事前に十分に想定され得る失点だった。この試合について言えば、名古屋の中盤は、守備面での貢献が低いマギヌンと1対1には強いがポジショニングと状況判断に欠ける中村が欠場し、左SHに深井と中盤の底で気の利いたポジションを取れる山口Kが起用されたことで、いつもと比べれば無駄にスペースを空けることもなく試合を進めていたものの、失点シーンでは自陣深くでボールを動かされる中でやはりそこにスペースを空けてしまい、また山口KがDFラインに吸収されていたためにシュートに対する寄せが遅れてしまった。まるでシュート練習のような思い切りの良さで何の躊躇もなく放たれたシュートを見ると、鹿島は最初からミドルシュートを狙っていたのかもしれない。名古屋を崩す上でのポイントのひとつは間違いなくミドルシュートだ。
 ダニーロのミドルシュートによる3点目、ロスタイムに自陣から右サイドをドリブルで駆け上がった内田の折り返しからマルキーニョスに決められた4失点目は、選手交代によってチームがバランスを崩していたことが大きな要因だった。ピクシーが行った選手交代とシステム変更はいずれも明確な意思があり、良い形は作りながらも決め手を欠く状況を打破しようとした前向きな施策ということで、采配自体を否定するつもりはないが、結果論で言えば、前線に杉本を加えた3トップはしばらくは良い形での攻撃を持続出来たものの、時間の経過とともにチーム全体の足が止まってくると中盤と前線の3人の間に距離が生じ、そのスペースを鹿島に使われ始めたことが終了間際の決定的な二失点につながってしまった。マギヌンが出場している時にはしばしば見られるケースでもあるが、相手SBの上がりに対してDFラインが対応しなければならない状況は少し厳しい。

 逆に、名古屋にとって今後に向けた光明となりそうなのが三試合出場停止のマギヌンに代わって起用された深井と精度が高まってきたセットプレーだろう。これまでもプレシーズンマッチに始まりナビスコカップ、リーグ戦の途中出場とそれなりに高いパフォーマンスを示していた深井は、リーグ戦初先発となったこの試合でもチームにとって十分武器となり得ることを改めて証明した。マギヌンとは違ってスピードのあるドリブルからの仕掛けが持ち味だが、この試合のように中央のヨンセンのところでタメが出来ればその能力はさらに活かされる。ナビスコカップの浦和戦(ホーム)の時にも書いたが、あとは試合勘を取り戻してフィニッシュの精度を上げることが最重要課題だ。
 そしてそんな深井が小川とともにプレースキッカーを務めるフリーキックも今後に向けては明るい材料だ。この試合では曽ヶ端の好セーブもあって得点には至らなかったが、これまで全く得点の匂いがしなかったセットプレーにもようやくそれらしい雰囲気が漂ってきた。実はその兆候はナビスコカップの浦和戦(アウェー)の時に既にあったのだが、名古屋は高さに関してはヨーロッパのクラブチームと比べても遜色ないものがあるだけに、セットプレーは確実な武器としていかなければならない。
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by tknr0326g8 | 2008-06-29 23:59 | Game Review
W杯アジア三次予選 日本代表vsバーレーン代表 @埼玉スタジアム
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名古屋サポにとって近くて遠い記憶になりつつある本田圭佑の代表デビューを観に雨の埼玉スタジアムへ。もともと緊張や物怖じとは無縁で、オランダに行ってからビッグマウスに磨きが掛かった感がある本田は、もう少しピッチ上でも“オレ様”プレーが目立つのかと思いきや、むしろ新入りらしい遠慮が所々に垣間見られるなど、思いのほか普通のデビューとなったのは意外でした。
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by tknr0326g8 | 2008-06-23 02:01 | Other Games
J2 2008 第20節 FC岐阜vs横浜FC @ニッパツ三ツ沢球技場
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 堅い守りから縦に速い攻撃を繰り出すのがチームとしてのスタイルらしい横浜FCに対して、岐阜は結局最後までそのディフェンスを崩し切ることが出来なかったが、後半にセットプレーから菅が押し込んだ一点を(相手の決定力不足もあって)なんとか守り切って久しぶりの勝ち点3を獲得しました。正直に言ってJのレベルでプレーするのはちょっと厳しいのでは?という選手も含めて、決して厚くない選手層をなんとかやり繰り&組織としてまとめてハードスケジュールを乗り切ろうとしている岐阜ですが、苦しい戦いはこれからも続きそうです。

 名古屋ファン的にはチケットを買った段階で少しだけ期待していた須藤右介や中田健太郎がサブにも入っていなかったことはちょっとだけ残念だった。と同時に、横浜FCがサテライトリーグに参加していない現状を考えると(サテライトリーグが実戦経験の場に成り得るかという議論は一旦置いておいて)どこで試合勘を養っているのかがとても気掛かりだ。(ちなみに中田は同じくルーキーの中野や大久保と一緒にオーロラビジョンで10年史のPRをしてました)

 横浜FCのサッカーは、自陣でソリッドな守備組織を形成し、ボールを奪うとシンプルに縦のスペースにボールを送ってそこで2トップの難波とチョ・ヨンチョルがポイントを作るカウンタースタイル。機動力に優れる難波と高い技術を持つチョ・ヨンチョルの2トップはこのスタイルと相性が良さそうだが、惜しむらくはチーム全体のこの戦術に対する理解がまだ低いことと、チョ・ヨンチョルと周りの選手とのコンビネーションが合っていないこと。そしてそれが上手くハマッっていた時間帯では2列目の押し上げもあって岐阜を自陣深くへと釘付けにしていただけに、最後の時間帯になって2トップを高さのある御給とスピードのある池元に入れ替えたことで逆に攻撃の形(狙い)がブレた(ボケた)ことは岐阜にとってはラッキーだった。

 一方、ここ5試合でたったの1得点と開幕当初の爆発的な得点力が嘘のように沈黙を続ける岐阜は、この試合に向けて若干の配置転換を断行。どうやら普段は2トップの一角に入る片桐と普段はサイドハーフの高木のポジションを入れ替えているようだ。中央(前線)の片山と高木の関係はタテに並んだ2トップのようにも見える。しかしこれが上手く機能しない。最前線の片山は1トップ気味になったこともあって、高くて強い横浜最終ラインのプレッシャーを一身に受け、この試合全く仕事をすることが出来ていなかった。片山がここまで何も出来なかった試合は開幕戦の甲府戦以来ではないだろうか。中盤に下がった片桐も窮屈なプレーに終始させられていていつものように攻撃の基点となることが出来ていなかった。個人的には(TVで見る限り)すっかりプレーにもキレを取り戻したように見える相川を見てみたかったが、それはこの試合で最後に顔見せ程度に出てきて相変わらずのスピードスターぶりを見せ付けていた小島とともに敷島公園までお預けということで。
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by tknr0326g8 | 2008-06-15 18:39 | FC GIFU
国際親善試合 U-23日本代表vsU-23カメルーン代表 @国立競技場
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 セットしたボールに対する立ち方がどことなくC・ロナウド風なスタイルになっていた本田がいきなり無回転FKで観客の度肝を抜いたこの試合。ボールへの入り方(角度)を変えたことで、名古屋にいた頃と比べて本田のFKにはちょっとだけ精度が加わっていた。またそれがオランダで揉まれた自信なのか、チームの主力としてやっていかんとする自覚なのか、はたまたこの夏の移籍市場を見据えて北京で一大キャンペーンを張ろうとする目論見なのかは分からないが、このチームにあって群を抜いてモチベーションが高いように見えた本田は、ハードワークを厭わず黙々とプレーしている姿に好感が持てました。もし本田が今の名古屋にいたら・・・と想像しないでもないですが、北京でのパフォーマンスによってオランダに行ったことが間違いではなかったと証明して欲しいです。

 名古屋ファンにとって注目なのは吉田麻也がメンバーに残れるのかどうか。この試合ではチームが森本の1トップや谷口の限りなくFWに近いMF起用など、相変わらずテスト色が強い人選を行ったことで、DFラインでも吉田に先発のチャンスが与えられていた。この試合ベンチスタートだった青山(清水)は逆に本番はほぼ当確と思われるので、吉田にとっては文字通りのラストアピールの場になったわけだが、いつもの名古屋でと同様に落ち着いてプレー出来ているように見えた。あとは反町が、予選からずっとこのチームの中心としてプレーしてきたものの試合勘に欠けている水本や伊野波といった選手を選ぶのか、このチームへの合流は遅かったがJで好成績を残していている吉田を選ぶかの問題。伊野波はサイドも出来るので、実質的には水本との二者択一だろうか。18人という枠を考えるとCBでの起用しか想定していない選手を3人もメンバーに入れておく余裕はない。

 そんなテスト的な意味合いが強いメンバーということもあるので、内容についてあれこれ言うのはやめておくが、このチームに最も欠けているのは強烈なキャプテンシーを持ってチームを引っ張っていく選手のような気がする。味方の軽率なミスには叱責し、苦しい時にチームメートを鼓舞できる、そんな存在。本田あたりはその才能があると思うので、本番までにオーバーエイジも含めてキャプテンの再考を行ってみるのも悪くないかもしれない。
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by tknr0326g8 | 2008-06-13 00:01 | Other Games
PlayBack#7 “オーストリアの英雄”ヴァスティッチの記憶
 オーストリア・スイス共催のEURO2008に、地元オーストリアの代表選手として、かつて名古屋にも在籍していたイヴォことイビツァ・ヴァスティッチが出場している。38歳という年齢でまだ現役を続けていること自体驚きだが、ビッグタイトルが懸かった大会で代表に復帰してしまうのだから恐れ入る。2002年の日韓共催W杯でフィリップ・トルシエが中山雅史や秋田豊をメンバーに加えたように、求心力のあるベテラン選手を敢えてチームに入れておくというのは、チームマネージメントの手法として決して珍しいことではないが、ヴァスティッチの場合スタンドからの圧倒的な後押し(「イヴォ」コール)もあってか、いきなり初戦(クロアチア戦)から0-1とリードされた後半に反撃の切り札としてピッチに姿を現すこととなった。

 オシム率いるシュトルム・グラーツでマリオ・ハース等とともに黄金時代を築いていたヴァスティッチが日本へとやって来たのは、日韓ワールドカップが終了したばかりの2002年7月だった。シュトルム・グラーツからセットで加入したクロアチア出身のDFパナディッチとともにさっそくチームにフィットしたヴァスティッチは、1stステージの残り8試合で5ゴールを量産し、チームも7勝1敗という驚異的な勝率を残した。爆発力のあるウェズレイとの2トップは文字通り「J最強2トップ」と呼ぶに相応しく、2ndステージ開幕を控えてチーム内外からは優勝を期待する声も上がっていた。そしてシーズン開幕戦、ホーム瑞穂に清水を迎えた名古屋はヴァスティッチのスーパーミドルを含む2得点などで清水を3-0と粉砕する。周囲の期待感は最高潮に高まっていた。しかしその後ヴァスティッチのパフォーマンスが低下すると、名古屋はチームの勢いも失っていった。そして初優勝を期待された2002年2ndステージはクラブ史上最低順位(当時)という皮肉としか思えない結末で幕を閉じたのだった。

 オーストリアでそうであるのと同様、名古屋でもヴァスティッチの人気は高かった。端正な顔立ちのせいもあるだろうが、ラストマッチとなった豊スタでの仙台戦で後半ロスタイムに決めた劇的過ぎる逆転ゴールなど、一年間という短い在籍期間で名古屋の地に刻んだプレーの印象は余りにも強い。野球でしか存在しないと思っていた「逆転サヨナラ」ゴールに俺もTVの前で思わず涙腺が弛んだクチだが、それでも俺は名古屋サポのイヴォに対する評価が(例えば翌年チーム初の得点王を獲得したウェズレイなどと比べても)不当に高いものであるとも感じている。そしてその最大の理由は、いつからかヴァステイッチのプレーにはどこか心ここにあらずな雰囲気が漂い始めたからであり、アタッカー(FW)として獲得されたにも関わらず前線で身体を張るプレーを放棄してしまったからである。それがチームの成績にも反映されていたのは上でも書いた通りである。

 ヴァスティッチのプレースタイルに変化を与えるきっかけとなったのは、俺が知る限り2ndステージ・第3節の千葉戦だ。その年のシーズン開幕前、強引な手法によって監督のズデンコ・ベルデニックを引き抜いた名古屋に対し千葉は「報復」に燃えていた。そしてスポーツ新聞紙上などで2トップを名指しして「削りに行く」と宣言していた中西永輔は試合でそれを実行に移す。しかし主審はその悪質なファールに対して警告ひとつ出さないどころか、後半38分報復行為による二枚目のイエローカードでヴァスティッチを退場させてしまった。この試合の後EURO2004予選のために欧州に戻ったヴァスティッチは地元の記者に対して日本のレフェリーのレベルの低さを嘆いたという。明らかに相手を傷つけることを狙って危険なファールを繰り出していた中西は犯罪者以外の何者でもない。ご丁寧に新聞で予告まで残していたのだから、選手を守るためにクラブは中西を傷害で刑事告訴するぐらいしてもよかったと俺は半分本気で思っているが、とにかくこの一件があって以降ヴァスティッチは前線で身体を張ることをやめてしまった。ヴァスティッチが自陣にまで戻っての献身的な守備に精を出す一方で、前線ではウェズレイが孤立し相手チームに囲まれ徹底的に潰されていた。

 そんなヴァスティッチがやる気を取り戻したのは、皮肉にも翌年に一年の契約が切れる直前、退団が決まってからだった。契約を延長したかったというようなヴァスティッチの言葉がマスコミを通じて伝わってきたこともあったが、おそらくあれはリップサービスだろうし、(求められる役割で)100%の力を発揮していないヴァスティッチとの契約を延長せず新外国人のマルケスを連れてきたことは(結果も含め)至極真っ当な判断だったと思う。
 退団が決まってからのヴァスティッチはまるで名古屋の地に自分の名と記憶を刻もうとするかのごとくハイレベルのパフォーマンスとモチベーションを取り戻していった。ヴァスティッチにはスピードがあるわけでも華麗なテクニックがあるわけでもないが、その右足から繰り出されるキックはとにかく破壊力があり、40m級のサイドチェンジを次々と決め、強烈なシュートをゴールへと突き刺した。そして最後の瞬間に訪れたサヨナラ・ゴールもペナルティエリアの外からやはりその右足によって放たれたのだった。

 在籍期間こそ一年間と短かったが、練習に取り組む姿勢などが、当時まだ若かった中村などにとって良い手本となっていたというヴァスティッチ。そんなオーストリアの英雄を名古屋で見られたことは名古屋ファンにっては誇りだし、そんなヴァスティッチ最後の(?)晴れ舞台を一試合でも長く見ることが出来れば名古屋ファンとしては幸せだ。
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by tknr0326g8 | 2008-06-11 00:05 | PlayBACK
ナビスコカップ2008  第6節 vs浦和 @埼玉スタジアム
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 前節の京都戦で劇的な逆転勝利を収め決勝トーナメント進出を決めた名古屋にとって、この試合は位置付けが非常に難しい試合だった。正直に言えば、俺もチケットを買った時には、浦和との真剣勝負というよりは久しぶりに(一昨年の高円宮杯決勝以来)花井が観られるかもしれないという期待の方が大きかったかもしれない。しかしピクシーがこの試合に向けて示した指針は「ベストメンバー」を揃えて勝ちに行くことだった。まさか前節の京都戦で大幅にメンバーを入れ替えたことでJリーグから注意があったわけではないだろうが、3週間の中断を挟んで再開されるリーグ戦に向けて良い感触を持ってオフを迎えたいということだろう。

 見方によっては消化試合で、相手はアジアチャンピオン、観客も3万人を超えるという環境は若手選手に経験を積ませるにはもってこいとも言える。逆に言えば、ここで若手を使わなくていつ使うのか?という意見があってもおかしくはないぐらいだ(実際俺も花井は見たかったし)。しかし去年のナビスコカップでの失敗を考えると、勝ちに拘ったピクシーの方針は正当性を帯びてくる。昨シーズンの名古屋は開幕から4連勝と好スタートを切ったものの、それとほぼ同時進行で試合が行われていたナビスコカップで若手を起用し、結局1勝も出来ないままグループリーグ敗退という憂き目に遭った。俺のような若手厨からすればそれはそれで見応えがあったわけだが、結局チームはここで「負け癖」を付けてしまった。スタッフ・サポーターを含め観ている側がモラトリアムというフィルターを通して試合を観ていることは確かだったし、チーム自体が負けることに対して慣れていったことは後のリーグ戦での波のある戦い方にも大きな影響を与えたような気が俺はしている。それらを教訓として考えれば、リーグ戦での上位進出を狙うチームにとってピクシーの判断は限りなく正しい。

 この試合の名古屋の注目のひとつはヨンセンとの2トップを誰が組むのかということ。杉本はもちろんのこと、巻も津田も二試合連続ゴールと結果を残している。誰が出ても遜色はないが、ピクシーがピックアップしたのは巻だった。俺の中ではプレシーズンマッチのFC岐阜戦を観る限り動きの被りまくっていたヨンセンと巻の2トップは有り得ないと思っていたのだが、まさしく伸び盛りの巻を使いたいというピクシーの気持ちも分からないでもない。
 結論から言えば、巻は巻で前線で身体を張って仕事をこなしていたし、2トップの動きが被る場面かなり減ったが、それでもこの2トップが(1+1が3や4になるような)相乗効果を生み出せていたかと言えば決してそうとは言えなかった。そして対浦和ということを考えれば、ヨンセンと巻を二枚前線に並べるよりも、3バックの脇のスペースを突けるようなタイプを起用した方が効果的であったことは、後半に交代出場で入ってハットトリックを達成した杉本が証明していた。

 試合の中で気になったのはセットプレー(コーナーキック)の守備。コーナーキックのディフェンスではいつもゴールエリアの横のラインに合わせて等間隔に人を配置しゾーンで守る名古屋が、この試合ではヨンセンがそこから離れてゴールエリアの縦のラインの上に立ちニアサイドをケアしていた。ここに人を立てることはヨーロッパなどでセットプレーをゾーンで守るチームではよく見られる光景だが、これが果たして、二週間前の浦和との試合でコーナーキックから内館にニアサイドに入られアッサリと失点を許したことに対する教訓から得られた策なのか、それともヨンセンと巻が2トップを組んだことでピッチ上にいつもよりもひとり高さのある選手が増えた影響なのかは非常に興味深い。普段大抵4人でラインを形成していることを考えると、この試合では巻、バキ、吉田、増川と4人がラインを形成していたので、余ったヨンセンがニアサイドに回ったと考えるのが妥当な気もするが。

 そんなディテールも含めてこの試合でもピクシーの采配は際立っていた。後半立ち上がりに浦和に同点とされた後さらに押し込まれていると見るや、すぐさまヨンセンに代えて杉本を投入し浦和のウィークポイントであるサイドのスペース(ウイングバックの裏)を突いて流れを押し戻す。そして杉本が狙い通りに勝ち越しゴールを決めると、今度は中盤で幅広いスペースをカバーできる山口Kを投入して守備を強化するとともにセカンドボールの回収に掛かる。さらにダメ押しは津田の投入。いつ戦意を喪失してもおかしくない浦和に対して、3バックにウイングをワイドに配した3トップをぶつけるという鬼采配。攻めなければいけないはずの浦和はあえなく4バックへとシステム変更を余儀なくされたのだった。

 あと阿部のゴールにはゴール裏から見ていて本気で鳥肌が立った。阿部の左足から放たれたボールはインパクトの直後無重力のようにフワリと浮き上がり、ゴールマウスの手前で下に滑るようにドライブしてゴールネットを揺らした。昨シーズン大きな成長を遂げた阿部だったが、俺がシーズン開幕当初から言っているように、同じ左サイドで決して相性が良いわけではなかった本田が移籍でチームを去った今シーズンこそが真の意味で飛躍のシーズンとなるだろう。既に名古屋にとって替えが利かないプレーヤーになっているが、阿部がゴールを決め始めた時こそが、名古屋が真の強者となる時に違いない。

 名古屋にとって残念な点があるとすれば、ポンテがまだすっかりリハビリ・モードだったこと。それは浦和(エンゲルス)がポンテを投入した時点で勝負を捨てていたのではないかと勘ぐりたくほどの低調なパフォーマンスだった。所々で繰り出す急所をエグるようなキックは正確だが、おぼつかない足元にキレを感じさせない身のこなしは、なんだか昨日の+1マッチを思い起こさせる。(エンゲルス以下浦和のスタッフが気付いているかどうかは別として)杉本やマギヌン、小川といった選手達が浦和の欠点を浮き彫りをしたように、俺はポンテこそが名古屋のウィークポイントを詳らかにしてくれる貴重な存在になるのではないかと密かに期待していた。本調子のポンテは中盤と最終ラインでキッチリと守備ブロックを作っていてもその合間合間に進入して来て決定的な仕事をやってのけてしまう。そんなポンテが簡単にバイタルエリアを空けてしまう名古屋と対戦した時に、守る側の名古屋の選手達が何を感じてどういったリアクションを起こすのか、個人的にも楽しみにしていたのだが。どうやらポンテの回復具合はまだそのレベルに達していなかったようだ。
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by tknr0326g8 | 2008-06-08 17:24 | Game Review
W杯アジア地区三次予選 日本代表vsオマーン代表 @日産スタジアム
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雨のせいなのか寒さのせいなのかはたまた時差ボケなのか分からないが、明らかに調整不足のオマーンに対して、大久保や中村俊輔が美しいゴールを決めた日本が終始試合をコントロールし危な気なく勝利をおさめました。コンディションやメンタルも含めてこれだけチーム状態に差があると、(試合をしているのが自分の好きなチームならともかく)試合に関する興味が失われることはもとより、プレーの評価軸がぐるっと360度回って、良いプレーと独り善がりなプレーの境界線が曖昧になって来る気さえします。
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by tknr0326g8 | 2008-06-03 00:18 | Other Games