Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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J1 2008 第30節 vs磐田 @スカパー
 東京V、横浜そして磐田というJ1残留ボーダーライン上にいるチームとの三連戦で三引き分けという結果に終わってしまった名古屋が積み上げた勝ち点は3。試合の内容では1勝(磐田戦)2敗(東京V戦、横浜FM戦)が妥当な線だったことを考えれば、そこで得られる勝ち点もやはり3なのだから世の中は上手いことできている。

 この試合での名古屋は前半からここ二試合が嘘のように吹っ切れたパフォーマンスを披露した。立ち上がりこそ磐田の前線からのプレスに苦しんで蹴り合いのような展開になってしまっていたが、磐田の勢いが緩んできた10分過ぎあたりから徐々にボランチの米山や吉村が前を向いてボールを持てるようになり、両サイドバックも積極的に攻め上がって磐田を自陣へと押し込むことに成功していた。特に右サイドではタッチライン際に大きく開いてポジションを取り裏への突破を狙う杉本に加えて、その背後からSBの竹内が何度もオーバーラップを仕掛けることで、磐田の左アウトサイドの村井に前半全くと言って良いほど攻め上がる場面を作らせなかった。名古屋が良い形で攻撃できていたこと(ベンチもそれに満足していたこと)は、普段は前半途中から折を見て繰り返される両SHのポジションチェンジ(左右の入れ替わり)がこの試合は前半の間一度もなかったことからもうかがい知れる。

 良い形で攻めながらも名古屋が得点に至らなかった要因はいくつかあるが、その最たるものは豊スタの緩い芝生とそれによって顕在化した選手達の技術不足だろう。12月のクラブワールドカップに向けて張り替えたばかりなのか、選手が踏ん張る度にめくれ上がる芝生はTV画面越しでも確認出来たし、磐田の選手も含めてキックオフからピッチに足を取られて(滑らせて)転倒する選手が続出していた。そしてそんなピッチ状態にナーバスになっていた選手からは肝心なところでのミスや雑なプレーが散見されていた。これではとても得点や勝利などおぼつかない。

 勝ち点2を失い優勝争いからも後退してしまったこの試合で収穫があるとすれば、花井聖や新川織部といったユース出身の期待のプレーヤー達が経験を積めたことだろうか。優勝争いの最中3万人を越える観客が入った豊田スタジアムという緊張感の中でプレーできたことは彼らにとっても今後の財産になるに違いない。二試合連続での出場となった花井はこの試合ではコーナーキックのキッカーを任せられるなど、前の試合と比べればやはり随分とリラックスした様子でその持ち味を発揮出来るようになっていた。またチームとして考えても、センターハーフというよりはWボランチと言った方がしっくりくる今の名古屋の中盤の真ん中(二人)において、花井が出てきた後のように攻撃になった時にはひとりが前に出て高い位置で攻撃に絡めるようになれば、攻撃に厚みと新たなオプションを加えられるはずだ。中盤の深い位置でボールを捌くだけではなくボックスの中に飛び込むプレーなどで得点を強く意識したプレーを見せていた花井は優勝争いをしているチームにあってもことのほか頼もしく見えた。そんな花井と比べれば新川はややアグレッシブさを欠いていた印象は拭えない。緊張やレベルの差などで思うようなプレーが出来ないのは仕方ないが、もっとボールに絡んだり自分から呼び込んだりして「自分が決める」ぐらいの気概を見せて欲しかった。可もなく不可もなくでは、薄いようで厚い名古屋のアタッカーの壁を崩すことは出来ない。そしてこれは新川にとっても俺のような新川の登場を待ち望んでいた一ファンから見てもようやく巡ってきた千載一遇のチャンスなのだから、もっと貪欲アピールして欲しかったというのが正直な感想。もっとも新川はサイドに張り付かせてそこから中に入ってくるよりも真ん中にからサイドに流れさせた方が力を発揮出来るというのが俺の中での評価ではあるのだが。
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by tknr0326g8 | 2008-10-26 22:21 | Game Review
J1 2008 第29節 vs横浜 @日産スタジアム
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 シーズンも残すところ6試合となったこのタイミングで、残留争い中の下位チームを相手に二試合続けて最低のパフォーマンスを晒してしまった名古屋。特に前の試合から二週間の間が開いていたにも関わらず横浜相手に何もさせてもらえなかった今日の試合は、優勝争いのプレッシャーがどうとか怪我人がどうとか出場停止がどうだとか言う以前にあらゆる意味での準備不足が明らかで、それはプロのクラブそして選手として怠慢以外の何ものでもなかった。こんな試合を続けているようでは優勝はおろか、試合を決める力に欠けるチームを相手に引き分け持ち込むのが精一杯だろう。

 試合前半から圧倒的な横浜のペースだった。名古屋は横浜による前線からのプレスを前にパスをつなげることが出来ず、攻撃(ビルドアップ)はDFラインからいきなり行き詰ってしまう。それとは対照的に横浜はボールを奪ったらシンプルにロングボールを名古屋DFラインの裏へと蹴り込んで前線のアタッカーの機動力を活かそうとする狙いが功を奏していた。そして横浜はリズムを掴んでくると、名古屋ディフェンスの隙(後述)を突いてサイドからも積極的な攻め上がりが見られるようになり名古屋をハーフコートに押し込んでいった。
 こうなるとどちらが優勝争いをしているチームでどちらが残留争いをしているチームなのか分からないが、百歩譲ってここまでならよくある話ではある。相手が攻撃面ではレギュラークラスを何人も欠いているとは言え後ろには力のある選手が揃っている横浜であればなおさらだ。そもそもこれだけの戦力を抱えるビッグクラブが残留争いをしていること自体おかしな話。

 しかしそれでも俺が首を傾げざるを得ないシーンは試合を通じて続出していた。
 最初に気になったのはコーナーキックの守備。前節東京V戦で名古屋はゴールエリアの前方のスペースで後方から勢い良く飛び込んできた土屋にドンピシャでヘッドを合わされ失点を喫した。名古屋は長身選手が4人並んで(ニアサイドからヨンセン、バヤリッツァ、増川、吉田(いつもなら竹内)の順)ゴールエリア内のゾーンを分担し、その外側にも吉村と米山(いつもなら中村)の二人が立っているが、当然のことながら二人でこの前方のスペースを隈なくカバーすることは出来ない。もちろんゴールエリアで合わされたら即失点だがその外側であればよっぽどドンピシャで合わされない限りGKやゴールマウスの中に立つ二人のDF(小川と阿部)が反応出来る確率が高いという意味でこの守り方は理に適っている。だがそれはあくまでも確率の問題であって、一旦露になった欠点をそのまま放置しておいて良いわけがない。実際この試合で中澤を中心とした横浜が狙ってきていたのもこのスペースだった。最初のコーナーキックでは中澤のヘディングシュートがDFに当たって難を逃れたものの、名古屋がこれに対して対策を立てていないことは明らかだった。見ていると吉村も米山も全神経をキッカーに注目しているが、漏れなくスペースをカバーしているゴールエリアと違い、二人ではスペースをカバーしきれないゴールエリア前方では、特にファーサイドの選手がボールと選手を出来るだけ両方把握しなければならない。もしくは二人でカバー出来るスペースは限られているので、出来るだけニア~ゴール正面にかけてを空けないように二人で連動してポジションを取るべきだろう。

 次に気になったのは中盤のディフェンス。これは「中村不在の穴」というひと言で片付けてしまえばそれまでだが、そんなことは二週間も前から分かっていたことであって、プロチームが今更それを言い訳にすることなど恥ずかしくて出来るはずもない。ナビスコカップ準決勝1stレグ(大分戦)において中盤の底でWボランチを組んだ米山と吉村を、俺は「コンビとしては最悪」と書いた。戦術理解が高くボールを裁ける米山と運動量と前線のスペースへの飛び出しに特徴がある吉村のコンビは一見良い組み合わせのように思える。しかしお互いにベテランと呼んでも差し支えない二人の間にはコンビネーション(コミュニケーション)のようなものが微塵も感じられず、互いが互いをカバーしあうような補完関係が全く成立していなかった。そして今日の試合を観て改めて感じたのは、今の名古屋においてWボランチはやはり“ムラムラ・コンビ”しか務まらないということ。俺がいつも彼らを中心とした中盤の守備を疑問視していることからも分かる通りこれは決してポジティブな意味ではないが、それが名古屋の現実でありハッキリした解答だ。
 よく4-4-2で組織的とかヨーロッパスタイルとか言われる名古屋のディフェンスだが、実際は最終ラインと中盤がそれぞれに分離してしまっており、中盤の守備は中村と吉村の半端ない運動量によって支えられている部分が大きい。両SHが攻撃に力点を置き、また最終ラインは相手にボールが渡ればラインを維持したまま後退してしまうから、Wボランチは前後左右360度に渡ってひたすらボール目掛けて走り続けなければならない。よく後半になると中村が腰に手を当てて呆然としているシーンがあるが無理もない話だ。もちろん前線からのディフェンスや両SHの素早い守備への切り替えなどがあってチーム(組織)としての守備が機能している時もあるが、名古屋の中盤での守備のベースはWボランチによるハードワークを越えたハードワークすなわち“スーパーハードワーク”にある。これが監督就任当初ピクシーが標榜した“スーパーハードワーク”の真実なのかもしれない。これが戦術だと言われればそれまでだが、もはや質より量で支える中盤の守備には限界が来ている。
 この試合では中村に代わって起用された米山が中村と同じ役割を担わされていた。そもそも米山に中村と同じ走りまくって相手を潰す仕事を任せること自体無理がある。どうしても米山を起用するのであれば、中村の時とはやり方を変えて、米山をアンカーに据えてその前に吉村と小川を置く4-3-3のような布陣にするなどのマイナーチェンジが必要だったのではないだろうか。案の定、「中村の代役」としての米山は全くと言っていいほど役に立っていなかった。この試合でよく見られたシーンは、右サイドで小川が行かせてしまったサイドの選手に対して米山が対応に出て、その裏を吉村がカバーしているのならまだしも吉村は吉村で独自のポジションを取っているので、ズレることによって出来たスペース出来たスペースへとボールを回され、中盤の底から上がってきた松田や河合にミドルシュートを打たれたり、逆サイドの田中隼へと展開されて左サイドを崩されたりといったシーンだった。中村不在のシミュレーションをチームはちゃんと行っていたのだろうか。

 ハッキリ言ってほとんど収穫のなかったこの試合で唯一希望があるとすれば、先発に復帰した吉田をはじめ、津田や花井といった若手プレーヤーがトップチームの実戦の場へと戻ってきたこと。まあ津田にSHをやらせるのであればまずはどう考えたって渡邉圭二を試すべきだろうという思いはありつつも、(怪我や出場停止による不在メンバーがいるとは言え)ピクシーのこの人選には驚いた。もちろんチームのパフォーマンスと歩調を合わせるかのようにほとんど何も出来ないまま後半途中で交代してしまった津田や、ところどころ良い狙いはあったものの全体的にやや硬さの見られた花井など、パフォーマンスとしては決して満足いくものではなかったが、こればっかりは使い続けていくほかない。ただスタートが左SHと自分の持ち場から離れたポジションだった津田と比べれば、花井は4-2-3-1のトップ下というピクシーによる最大限の配慮がなされていた。ここで花井がヒーローになっていれば(チームに付くであろう勢いを考えても)最高だったが、世の中そうそう上手くはいかない。
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by tknr0326g8 | 2008-10-19 18:25 | Game Review
関東大学リーグ 第18節 @西が丘
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 来シーズンからの名古屋加入が内定している明治の橋本を久しぶりに観てみようということで西が丘へ。前に橋本を観るのは今シーズンの開幕戦で、明らかにコンディションが整っていなかった橋本は酷いパフォーマンスの末に途中交代させられてしまった。

 しかしいざ発表されたメンバーを見ると、スタメンはおろかベンチにも橋本の名前はない。出場停止ではないようなので怪我でもしたんだろうか。そしてそんな橋本の代わりにFWに入り林と2トップを組んでいたのは、名古屋ユース出身の久保裕一だった。そしてそんな久保に続き、対戦相手の学芸大からは太田圭祐、第二試合の駒澤大からは酒井隆介といった名古屋ユース出身のプレーヤーがそれぞれ途中出場を果たした一日は、橋本一人を観ること以上に意義深い日になった。

 久保は高校時代と比べれば身体に厚みが増した印象。逆に俊敏性は少し落ちたような気もするが、前線で身体を張る久保らしさは健在だった。ただチーム単位として見れば、似たタイプの林との2トップはその怖さを十分に発揮しているとは言えず、サイドから良いクロスが入ってこなかったこともあって、ストライカーとしての大きな見せ場はないまま後半途中で交代となってしまった。
 太田と言えば、去年の高円宮杯・準々決勝(vs広島皆実)、同じ西が丘で、彼本来の持ち味であるドリブル(テクニック)に加えて驚異的なランニング(スタミナ)を披露していたことが記憶に新しい。この試合では0-0で迎えた後半に切り札として4-4-2の右SHとして出場したが、その時間帯には両チームともかなり中盤が空いてしまっていたこともあって、どちらかと言えば守備面で味方のカバーに奔走するようなプレーが目立っていた。学芸大は組織的なディフェンスが特徴のチームだけに守備面での戦術的なタスクが多いのだろうが、マイボールになってもほとんど自陣ペナルティエリアの外ぐらいから飛び出して行かなければならない状況ではその攻撃的な特徴を発揮することは難しかったかもしれない。
 久保との絡みもあって高校三年からサイドバックに転向した酒井は、大学生になったらFWに再転向する可能性もあるかと個人的には思っていたが、どうやら大学でもSBとしてプレーするようだ。この試合では出場機会があるかないか微妙なところだったが、4-0とリードした後駒澤の右SBの選手が遅延行為で?退場を喰らってしまったこともあり、突如出場機会が巡ってきた。ただ時間帯、点差を考えて「上がるな」と指示を受けての投入だったのか攻撃参加の機会は一切なし。豪快なオーバーラップからのクロスやシュートも見てみたかったが、それはまたの機会に取っておくということで。

 そしてもう一人、名古屋ファンとして見逃せない人物は国士舘のベンチにいた。前期に国士舘の試合を観た時は全く気付かなかったが、時々ベンチから飛び出して来てピッチ上の選手達に指示を送っている人物にどこか見覚えがあるなと感じたのは後半に入ってからだった。少し太った感じはするが「もしかして」と思いプログラムで確認すると・・・やはりその人物は伊藤卓その人だった。
 中田英寿の代のユース代表で10番を背負いアジアユースではキャプテンも務めていた天才少年。その後1996年途中に国士舘大学を中退してベンゲル時代の名古屋へと入団したが、出番間近と言われていた矢先に大怪我を負ってそのシーズンを棒に振ってしまう。彼の名古屋での唯一のゴールはユース代表時代の監督でもある田中孝司が名古屋の指揮を執るになった1998年になってからで瑞穂での浦和戦だったと記憶している。
 そんな伊藤卓が母校の国士舘大学に戻ってコーチとしてキャリアを積んでいるというのはちょっと嬉しいニュース。今日の試合では1-4と大敗を喫してしまったが、試合内容ではむしろ駒澤を上回っており、今シーズンの国士舘は組織と個人技がMIXされた素晴らしいチームに仕上がっている。あとは来年4年になるはずの根津や唐沢がトップチームで出場機会を掴んでくれれば言うことはない。
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by tknr0326g8 | 2008-10-18 18:26 | College Football
W杯アジア最終予選 日本代表×ウズベキスタン代表 @埼玉スタジアム
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 二日前にとんでもない悪夢を見たばかりの埼玉スタジアム。高校年代最高峰の戦いの次は日本最高峰のチームの戦い。
 ウズベキスタンの緩いマーキングの合間を縫って得意のドリブルで攻撃にアクセントをつけていた玉田は良い意味で吹っ切れたプレーを見せ会場を湧かせ、一方最後尾に控える守護神はホームでどうしても勝ち点3が欲しい試合間際、立て続けに誰もいないところにフィードを蹴って会場のため息を誘った。日本以前に名古屋を代表する二人が好対照なパフォーマンスを見せた試合は、二人以外にもなかなか普段のJリーグではなかなか見られないようなプレーを見られた貴重な体験だった。楢﨑のあんなキックをリーグ戦で見せられたら卒倒ものだが、時にエゴイスティックで時に献身的そしてシュートにどん欲な玉田には残り少なくなったリーグ戦でもぜひお目に掛かりたいものだ。
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by tknr0326g8 | 2008-10-15 23:58 | Other Games
高円宮杯 決勝 名古屋U-18×浦和ユース @埼玉スタジアム
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 ひと言で言うなら“大人と子供”のような試合だった。そしてそれが局地的なフィジカルの差に端を発したものであったことを考えると、名古屋が浦和に勝つことだけに集中するなら、せめて三年生と二年生を中心としたスタメンを組んだ方が良かっただろうし、後半のキックオフに当たって行う交代も矢田→加藤翼ではなかっただろう。前半に山田と原口によって決められたミドルシュートは高校生レベルはおろかプロでも滅多にお目に掛かれないスーパーゴールだったが、名古屋でああいうゴールを決めることが出来るとすればその数少ない候補である鈴木がベンチを温めているという事実、これが浦和と名古屋の違いであり、そのサッカー観や目指している方向性が真っ向からぶつかった結果が1-9というスコアだった。

 道すがらKIOSKで購入したエルゴラッソによれば、「グループリーグではあえて真っ向勝負を挑んで完敗したが、今度は恐らく正面突破ではなく側面攻撃を試みるはず」「この一戦、朴監督は周到な浦和対策を巡らすはず」といった論調が並んでいた。確かに、勝ち負けが全てではないユース世代で初タイトルが懸かっているからといっていきなりスタメンを変更してくるとは考えづらいが、グループリーグで完敗を喫した浦和相手に何の準備もなく臨んで来るとは到底思えなかったし、二日前の準決勝で作陽がひとつの見本を示していたことを考えれば、当然会場でビデオを回していた名古屋としてもなんらかのインスピレーションを受けていたと考えるのが妥当だろう。しかしキックオフと同時にピッチ上で展開されたサッカーは(少し硬かったことを除けば)いつも通りの名古屋のサッカーで、それはまるで大会を勝ち進む中で少しづつ積み重ねて来たチームの成長を確かめようとするかのようだった。いや、もしかすると朴監督は色々と策は授けていたのかもしれないが、それすらさせないほどに浦和の圧力が凄かったのかもしれない。

 浦和というチームを考える上で対戦相手が最もナーバスになるのはやはり原口と高橋という両ウイングだろう。特に原口は今大会何度も高校生離れしたゴラッソで観客の度肝を抜いているこの年代のスタープレーヤー。今大会から4バックを採用している名古屋は表面上(システム的に)は彼らにスペースを与えていないが、グループリーグで対戦した時にも彼等(高橋は仙台カップで不在)と対峙したSBが1対1でかなり振り回されてそこからやられていた。両SBにとっては大変な仕事だがここを抑えなければ名古屋に勝機はなく、逆に言うならSBが彼等を潰すことが出来れば名古屋が試合のイニシアチブを握ることも不可能ではないはずだった。
 しかし、おそらく朴監督も十分にケアしていたであろう彼らの攻撃に対してサイドでなんとか蓋をしたと思ったところで、名古屋からしてみれば堰き止めても堰き止めてもこぼれて行ってしまう水のように、名古屋の守備ブロックは中央に穴を開けてしまい、そこから浦和の攻撃が溢れ出るのを塞ぎ切れなかった。そう浦和には中央にも今大会絶好調の元U-17日本代表山田直樹と背番号10を背負う田仲智紀という優れたアタッカーがいたのである。そしてそこに穴を見つけるや浦和は原口や高橋も集まって来て徹底的に狙って来た。
 名古屋が中央に穴を作ってしまった理由は明白だ。アンカー役を務める一年生の小幡がフィジカル面で浦和のアタッカーに太刀打ちできなかったこと。山田のミドルも原口のミドルも彼らのすぐ脇にいたのは小幡だったが、フィジカルコンタクトでバランスを崩されスピードで置いていかれ鋭い切り返しに振り回されるといったプレーが続いていた。身長160cm(とパンフレットには記載されている)の小幡は166cmの山田なんかと比べてもひと際小柄に見える。もちろん小幡にはその身長を補うだけの技術とセンスがあり、これまでの試合のレビューでも書いて来た通り今大会を通じて高校年代でも通用する球際の強さを身に付け十分に“戦える”選手になってきた。しかしアルベスのポストプレーを軸とした名古屋の攻撃を速い寄せによって寸断したところから始まる浦和の攻撃は、名古屋からしてみれば否応なしに小幡の相方の岸が前線に飛び出したところをこれまた高校生離れしたパススピードで一気に突く形になっており、ただでさえ個々が強力な浦和の攻撃を小柄な小幡が中盤でひとりで対応せざるを得ないような状況にしばしば陥っていた。グループリーグで浦和と対戦した時と比べれば、前を向いた時には競り合いでもかなり戦える(勝てる)ようになっていた小幡だったがこれではさすがに分が悪い。

 前半3点のリードを許した後、浦和が一息ついたこともあってか、何度も決定機を作り出し右サイドをエグったアルベスの折り返しを正面で奥村情が蹴りこんで1点を返したまでは良かったが、その後終了間際に2点を奪われ試合の趨勢が決まってしまったことは朴監督にとっても誤算だったに違いない。それによって判断が鈍った(選択を変更した)のかどうかは定かではないが、後半開始に当たって朴監督が行った選手交代は少なくとも俺にとっては予想外のものだった。左サイドの矢田に代えて1年生の加藤翼を投入した朴監督は、前線をアルベスと加藤の2トップ、岸寛を左に出し、奥村が右、センターで磯村と小幡にコンビを組ませた。DFラインの裏を狙ったシンプルなロングボールぐらいしか攻撃の糸口がなかった(前線と比べれば決して強くない浦和のディフェンスにはこれだけで十分にチャンスは作れてしまっていたが・・・)前半から、磯村を中央に持ってきてボールに絡ませる機会を増やしてもう一度攻撃を作り直そうという狙いだろうか。
 もし俺が監督だったならば、ハーフタイムで小幡を下げてセンターを岸寛と磯村で組ませ、右サイドには三浦俊を投入していただろう(もしくは奥村を右に下げ鈴木を前線に投入)。そうなると小幡にとってはグループリーグに続いてハーフタイムでの交代となってしまうが、出続けることによって得られるものよりも失うものの方が大きいように思われたし、そして何よりフィジカル的に浦和に対抗出来る選手によって中央の穴を早急に塞がなければならない。磯村をセンターに回すのは攻撃面はもちろん守備面でも大きいように思われた。また、フィジカルで押されている相手に対して、これまた一年生で164cmと小柄な加藤翼を投入するというのも俺には解せない。確かに加藤は投入されるやその持ち味を発揮し鋭い飛び出しから独特のリズムを持つドリブルで何度となく浦和陣内深くへと切れ込んでいた。しかしそこからラストパスが出てくることはなかった。ラストパス直前の切り返しが全部浦和DFのリーチに引っ掛かってしまっていたからだ。そこには歴然としたフィジカルの差が存在していた。この状況で攻撃の切り札として加藤翼を使うのであれば、クラ選の頃のようにアルベスをトップに置いてその後方から奥村と加藤で仕掛けさせるやり方にしないと苦しい。

 こうなると名古屋が行き詰まってしまうのは時間の問題。6点目、7点目、8点目と加点されていく頃には朴監督もテクニカルエリアに出ることもなく、ベンチの柱にもたれかかって呆然と試合を眺めるしかなかった。8点目を奪われ残り10分となったところでようやく小幡に代えて三浦という二枚目のカードを切ったが、我慢して見守っていれば好転するほど事態は深刻ではなかったのだろうか。前半にDFライン裏へのボールで簡単にチャンスが作れてしまったこともあってか、後半になっても名古屋はロングボールが目立ったが、浦和ディフェンスもこの攻撃には慣れてきてしまっていた。そして矢田を下げ磯村を真ん中に持ってきた影響からか、後半になると浦和相手に最もやってはいけない中央に寄った攻撃が増えカウンターを喰らう悪循環に陥っていた。もう少し早く手を打っても損はなかったに違いない。

 決勝という大舞台で歴史に残る大敗を喫してしまった名古屋。正面からぶつかるには浦和というチームは強大過ぎた。これまで戦ってきたチームは、強豪チームではあってもあくまで「高校」の枠に収まっているチームだったが、浦和はまるでカテゴリーがひとつ違うチームのようだった。そんな相手に対して、高校レベルで普通に通用するテクニック、高校レベルで普通に通用するフィジカル、高校レベルで普通に通用する戦術というのは意味を成さなかったということ。こういうスーパーチームを凌駕するためには、それらが程よくブレンドされているのではなく、何かひとつ突出したものを作らなければならない。俺はフィジカル至上主義でも身長至上主義でもないが、技術で相手を上回るならそれを生かすサッカーをするべきだろうし、フィジカルにしても同じことが言える。もしくは相手を徹底的に研究してその長所を消し弱点を突くような戦術を磨き上げるということかもしれない。
 ここまで来たらあとは「楽しんで来い」という言葉だけで決して暢気に何も考えずに選手達を決勝の舞台へと上げさせたわけではないだろうが、結果的にそんな決勝の舞台を「楽しむ」ことが出来なくなってしまった選手たちには少々酷な結末だった。これを何らかの糧としていつか「あの日があったから今の自分がある」と言えるような日が来ること願わずにはいられない。そしてこのチームをここまで引っ張り上げここ三年で二回の準優勝とベスト4一回という結果を残した朴監督以下のスタッフ、それに応えて頑張った選手たちは賞賛に値するし、準優勝という結果を誇りに持って欲しいと思う。
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by tknr0326g8 | 2008-10-13 15:52 | Youth
サテライトリーグ vs川崎 @等々力
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 最終ラインに本職のCBがひとりもおらず4人のSBを並べて4バックを形成してみたり、中盤でサイドハーフが二人とも左サイドを持ち場とする左利きのプレーヤーだったりと、明らかにチームとしてのバランスを欠いている名古屋の試合内容や戦術について語っても意味がないが、名古屋はトップチームと比べればサイドが機能しない分、花井がDFラインの裏へのスルーパスで新川を走らせたり、大森がロングフィードで巻を狙ってみたりとFWの特徴を活かしたダイレクトプレーが目を引いた。どことなく、ゲームキャプテンを務めていた大森が心酔する古き良きそして忌まわしきフェルフォーセン時代のサッカーの影がチラつくが、ただそれらの攻撃は意外と実効性があったのも確かだった。先制点は新川が裏に抜け出して挙げたものだったし、巻へのロングボールも地味に効いていて、巻がピッチにいる間は川崎がDFラインを押し上げ切れず名古屋が中盤でボールを動かせるような時間も多かったが、後半巻が退いてからは川崎がDFラインを押し上げ中盤をコンパクトに保ったことで名古屋は中盤で攻撃を組み立てられなくなってしまった。

 目立った選手を挙げるとすれば先制点を挙げた新川。スピード溢れる飛び出しそしてドリブルは川崎DFに対して十分に脅威を与えており、昔と比べれば少し腰高になったイメージはあるが、ようやく「戻ってきた」感じがするパフォーマンスだった。ただ後半にGKと1対1になった場面でエリアに入ってからパスを選択したのはマイナスポイント。ドリブルでゴールへと突き進みながらチラチラと横(中)を見ていたのでなんだろうと思いながら見ていたが、どうやら後ろから追走してくる片山を確認していたようだ。あの状況であれば自分でシュートまで持ち込んで欲しかった。というより、もし俺が監督だったら即座に奥村駿との交代を命じていただろう。変なところで玉田の真似をする必要は全くない。

 ちなみに、傾斜がほとんどないバックスタンドとゴール裏の一階部分のみを解放という、「試合」を観たい観客には優しくない運営を行った川崎だが、サテライトの後にJユースカップの試合を組み込んだのは(クラブにはクラブでグラウンドや運営費の問題があったのだろうが)良い判断だった。なぜ25日の名古屋は同じような運営に出来ないのだろうか。11時から港(Jユースカップ)で14時からトヨスポ(サテライト)じゃあ電車移動だとサテライトのキックオフに間に合わない。せめてどちらかの時間をズラすとか、なんなら前日のトップチームを含めて対戦相手は全部磐田でもあることだし、24日の豊スタで対磐田三番勝負にしても良いくらいだ。
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by tknr0326g8 | 2008-10-12 17:30 | Game Review
高円宮杯 準決勝 名古屋U-18×FC東京U-18  @国立競技場
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 プリンスリーグ東海そして高円宮杯のグループリーグ・決勝トーナメント(一回戦、準々決勝)を勝ち抜いて、三年連続で聖地・国立競技場に辿り着いた名古屋ユース。この夢の舞台で対戦相手となるFC東京は、かつて(二年前)Jユースカップの準決勝で大敗を喫したり、今夏のクラ選でも決勝トーナメント一回戦で4-8というサッカーではなかなかお目にかからないスコアで敗れた苦手としている相手だ。ただでさえFC東京はプリンス関東やクラ選を制して今大会も優勝候補の本命と言われるほどの強さなのに、相性まで悪いとあっては試合前に悲観的なイメージしか浮かんでこなくても仕方ないだろう。
 しかしいざ試合が始まると、出場停止やら怪我やら代表やらで普段のレギュラーメンバーを何人も欠くらしい1.7軍ぐらいのFC東京に対して、夏のリベンジの意味も込めてとても気持ちの入ったプレーを見せる名古屋はゲームの内容でもFC東京を上回り見事2-0でリベンジ完遂そして決勝進出を決めたのだった。

 試合はキックオフと同時に東京が案の定前から掛けて来たプレッシャーを名古屋が切り抜けると次第にペースは名古屋へと移っていった。どことなくギクシャクしていて球際の厳しさも足りない東京のプレッシングに対して、名古屋は東京の選手と選手の隙間へと上手く入り込んでポジションを取ってパスをつなげることが出来ている。パスをつなぐと言ってもありがちな最終ラインを中心としてボールがヨコにヨコにと動くわけではなく、タテにクサビのボールを入れてそこを基点としてさらに後ろから人が前のスペースへと飛び出しそこにパスを送るといった具合に攻撃がタテにタテにと進んでいく様は爽快ですらあった。
 特に目立っていたのは奥村情とトップ昇格が内定した磯村だろうか。奥村は前線でボールを受ければ相手に囲まれてもそれをものともしないドリブルで何度も東京ディフェンスを突破していた。好調を持続する奥村を東京は全く止めることが出来なかった。磯村は現在のシステムにおけるデフォルトのポジションは中盤の右サイドでありながらこの試合ではかなり中に絞って(それも少し深い位置で)のプレーが多かった。そして相手を背負ってボールを受けてもエレガントなターンであっという間に置き去りにしてグイグイとドリブルで突き進んでいく様は貫禄や風格という言葉がしっくり来る。前半はやや持ち過ぎて最終段階で潰されることも多かったが、プロになるだけあって既にこのレベルでは頭ひとつ抜けた存在になっているということだろう。

 しかしこういう良い流れの時こそ落とし穴はあるもので、今大会しばしば本多とポジションを入れ替えて攻撃参加することがあるストッパーの西部が左サイドから鮮やかなオーバーラップ(ドリブル突破)を見せたかと思った直後、テンションが上がり過ぎてしまったのか西部がDFラインで無理につなごうとして処理にもたついたところを相手FWにさらわれGKと1対1の場面を作られてしまう。シュートはなんとか岩田敦が身体に当て、そのこぼれ球を再度打たれた時にもゴールライン上に戻っていた本多がブロックしたが、名古屋からしてみれば絶体絶命のピンチだった。
 そしてそれを機に試合は一気に東京へと傾いていく。その余波による煽りを最も受けていたのは岩田で、コーナーキックに対して飛び出したところをカブって押し込まれそうになりまたしてもゴールライン上でDFがクリアするというシーンがあって動揺したのか、その後のセットプレーでそれを払拭するように飛び出したはいいがボールに触れないというようなシーンを連発してしまっていた。これはハーフタイムに伊藤裕二GKコーチのメンタルケアが必要かなと思っていたが、結局ハーフタイムを挟んでも岩田がこの試合でいつものような安定感を取り戻すことはなかった。セットプレーからこぼしたボールをプッシュされたシーンではオフサイドに救われるなど運までは失っていないことが救いだったが、これまで幾度となくチームを救ってきた岩田のこんなプレーを観れるのも大舞台ならではかもしれない。第一試合でも最初のCKでカブった浦和のGKが二度目のCKの時には前に出られず目の前でヘディングを叩き込まれるというシーンがあった。特にこの年代ではGKのメンタルケアもなかなか大変そうだ。

 その後少しづつペースを取り戻した名古屋がパスワークからチャンスを作り出していたのに対して、東京はレギュラーの何人かが不在の影響からか後半になってもロングボールで前線のアタッカーの突破力に頼るような展開が目立っていた。グループリーグ初戦(青森山田戦)の頃の名古屋であればひょっとしたらこのシンプルな攻撃でDFラインは崩れていたかもしれない。しかし名古屋は西部を中心としたDFラインがしっかりと体を張って守り、競り合う人とカバーに入る人の役割分担も徹底されていて危なげなく守ることが出来ていた。
 デイフェンス面に関して言うなら中盤についても欠かせない。寄せが速く球際にも厳しいディフェンスは高円宮杯開幕当初と比べれば見違えるように逞しさを増し、また最終ラインが競り合ったセカンドボールもことごとく確保していた。俺は以前、岸寛と小幡の軽量級コンビをWボランチに据えた中盤を「受けに回ると弱く、ボールをキープして攻撃に回った時に特徴を発揮する」と書いたが、この試合を見た印象で言えば全員が攻守に文句なし。全員がハードワークし、全員が守備のタスクをこなした上で攻撃に加わってプラスアルファを発揮することが出来ていた。磯村や岸寛、矢田といった選手が高いレベルでプレー出来ることは分かっているが、一年生の小幡が高校レベルでもしっかりとその特徴を発揮できるようになってきたのはチームにとっても大きいだろう。

 0-0のまま進んで行く試合を観ながら俺の頭によぎったのは、東京の「一発」に沈んでもおかしくはないという悪い予感。手を打つとすれば前半から激しいアップダウンをこなしていて疲労が見て取れる矢田に代えて鈴木か三浦俊を投入する感じだろうが、よく考えたらこの試合まだ矢田はコーナーキックを蹴っていない。藤枝での磐田ユース戦を見た立場から言えば、矢田を代えるにしてものコーナーキックを一回見てからでも遅くはない。とそんなことを考えていた矢先だった。この試合で初めて名古屋に巡ってきた右サイドからのコーナーキック。矢田の左足から放たれたコーナーキックは、まるで磐田戦のリプレーを見るかのような美しい軌道とボールスピードでアルベスの頭にピタリと吸い寄せられた。

 そして迎えたロスタイム。ともにほとんど時間稼ぎのような感じで投入された三浦俊と鈴木が大仕事をやってのける。アルベスに代わって投入された鈴木が右サイドの深い位置で身体を張り粘ってボールをキープ。そこから中央の奥村情を経由して大外でボールを受けた三浦は、そのままダイレクトでシュートを打つのかと思いきや飛び出してきたGKを見るや冷静に切り返してこれを外して右足でゴールへと蹴り込んだのだった。類まれなスピードと才能を持ちながら控えに甘んじている三浦はこの瞬間往年のピクシーのように国立の舞台に舞っていた。

 決勝の相手はグループリーグで完敗を喫した浦和。特に中盤から前に強力なタレントを揃える浦和は(後半スタミナが切れるのが玉に瑕だが)この年代のスーパーチーム。名古屋も一ヵ月前と比べれば新システムの完成度が高まってきてはいるものの、それでも浦和が難しい相手であることに変わりはない。だが名古屋が準々決勝(横浜FM戦)とこの準決勝で見せたような戦う気持ちをピッチ上で体現することが出来れば、良い試合に持ち込むことは出来るだろう。前回の対戦で浦和との間に感じた大きな差のひとつは球際での激しさだった。その差を詰められれば結果は当然変わってくる。ひとつ気になる点があるとすれば、浦和にとって“ホーム”である埼玉スタジアムでの試合はレフェリーへのプレッシャーも相当なものになるはずで、そうした時に球際の激しさは諸刃の剣になりはしないかということだけだ。
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by tknr0326g8 | 2008-10-11 18:54 | Youth
J1 2008 第28節 vs東京V @スカパー
 もし名古屋が本気で優勝を狙っているのであれば、ホームで東京Vを迎えるこの試合はなにがなんでも勝たなければならない試合だった。大分が敗れ鹿島が引き分け浦和が敗れた今節、名古屋は勝てば単独首位で2週間の中断を迎えられるはずだった。相手は連敗中で残留争いに巻き込まれている東京V、楽ではないが勝てない相手では決してない。目の前に転がってきたチャンスを確実にモノにするのは王者の絶対条件だ。もちろん勝負は水ものであり、必ずしも強いチームが勝つわけでもなければ、全力で良いプレーをしたからといって勝てるわけでもない。しかしこの試合について言えば、名古屋はそんなことを語るまでもなく、ごく当たり前に勝ち点3を取り逃し、かろうじて勝ち点1を拾い上げたに過ぎなかった。

 試合は特に前半名古屋が抱えている課題が全て表面化したかのような内容だった。守備では例のごとくボランチとDFラインの間に出来たギャップをディエゴを中心とした東京Vのアタッカーに自由に使われミドルシュートを連発されていたし、前節に続いて前半終了間際という気を付けなければいけない時間帯に先制を許したのは、セットプレーからゾーンディフェンスの隙を狙われての失点だった。一方の攻撃では、タテに入って来るボールに対して厳しい寄せを見せる東京Vに対して、SBから2トップやSHになかなかボールが入らず起点を作れない中、ボランチの二人が上手くボールに絡んでゲームをコントロールすることが出来ないという面が改めて浮き彫りとなり、2トップのヨンセンと巻はところどころで動きが被る悪癖が顔を覗かせていた。また最後の最後でヨンセンのゴールを導き出したセットプレーにしても、あのゴールはGK土肥のミスに大きく依存していて、あれだけ長身選手を揃えながら全く得点に結びつかないというのは大きな問題だ。

 細かいことを挙げれば切りがないが、これらの課題はこのブログでも再三指摘してきた代表的な事例。そしてこの試合ではそれらに加えて新たにもうひとつの課題が加わった。それが左SHとしての玉田のプレーだ。前節からピクシーが試している玉田の左SHに対して世間的にどういう評価がなされているのかは知らないが、少なくとも俺は前節のレビューの中でも書いたようにかなり懐疑的な眼を持っている。ピッチ上のどこであれボールを受ければまずドリブルから入る玉田は、浦和戦の後半のように全体が間延びしてスペースが出来ればその特徴が生きるが、名古屋のパスサッカーにあってはリズムを壊す存在になりかねない。そんな玉田を見て思い出すのはバルセロナにいた頃のリバウド。リバウド自体は強力な武器だがリバウドにボールが入った途端に全体のリズムは壊れリバウドのリズムになってしまう。特に玉田の場合相手チームから既にそのプレーを覚えられていることもあり、相手ゴールから離れた位置でそのプレーに入ることはむしろ危険だ。玉田を使うならFWかトップ下がいいだろう。今さら深井の移籍を惜しんでも仕方がないが、ピクシーの頭には渡邊圭二という選択肢はないのだろうか。ヨンセン&巻の2トップということを考えればクロスボールが持ち味の渡邊は相性が抜群だと思うのだが。

 渡邊圭二と言えば、累積警告リーチが掛かっている不動の左SB阿部に「もしも」のことがあった場合、チームはどうするつもりなのだろう。やはりいきなり今シーズン初出場となる渡邊圭二を使うのだろうか。であるとするならば、渡邊がいつも復帰明けの試合では足を攣って交代するというパターンが定番化していること(裏を返せば必ずリザーブが必要になること)を覚えておかなければならない。その意味でも公式戦に慣れさせておくことには重要な意味がある。
 ベンチメンバーに関して言うなら、名古屋期待の若手である北京五輪代表DFの吉田麻也が前回の出場に続いて単なるパワープレー要員として起用されている現状にも問題はある。それまでの攻撃に変化を加え、また最もダイレクトに相手ゴールをこじ開ける手段として試合の途中からパワープレーを組み込むこと自体に全く異議はないが、ハタチそこそこのDFに対してこんな使い方をすることが良いことだとは俺は思わない。吉田に対してこんな使い方をするぐらいならやはり巻をベンチスタートにして、ヨンセンと玉田の2トップ、左SHには渡邊というのが一番しっくり来る。

 というわけで、この試合は少なくとも俺にとって内容も結果も選手起用も全くもって満足出来ない試合だった。とは言え、シーズンも佳境に入ったこのタイミンで今さら何を言っても無駄なので、今シーズンはこのやり方で倒れるまで突っ走るしかない。幸い周りのチームにも絶対的な強さを持ったチームはないので、もしかしたら最後までの優勝争いの緊張感の中に身を置けるかもしれない。ただ今日のように、優勝争いのプレッシャー云々ではなく単純に気持ちで相手に負けているようでは、それもとてもじゃないがおぼつかないだろう。

 あとTVでは全く確認できなかったので、ひとつ気になったこととしては、ヨンセンのゴールの後ボールをセンターサークルまで持ち帰ったのが名古屋の選手だったのかヴェルディの選手だったのかということ。願わくばそれが名古屋の選手であって欲しい。ヴェルディ同様名古屋にも勝ち点3が必要で、あの瞬間そのチャンスはまだあったのだから。
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by tknr0326g8 | 2008-10-06 02:19 | Game Review
DVD 「名古屋グランパス・レジェンド・オブ・スターズ」
 今さらながら、先行予約していた「J.LEAGUE 15th ANNIVERSARY LEGEND OF STARS (名古屋グランパス)」のレビュー。率直な感想から言えば、クラブにとって第三者が編集した内容はやはり消化不良だった。正味2時間そこそこで15年+α分のクラブの歴史を語り尽くすこと自体土台無理な話だが、それを差し引いたとしても、このDVDは伝説のスタープレーヤーを切り口としてクラブの歴史をを紹介するといった内容ではなく、作品の大部分を占めるベンゲル讃歌とJのお荷物と呼ばれていた頃の懐古に終始してしまっている印象が強い。最近名古屋のファンになって、ベンゲルが名古屋を率いていた頃を知らない(知りたい)という人にしてみれば悪くない内容かもしれないが、同時に新しいファンからこれだけが名古屋の歴史だと思われても困るという思いもある。
 ベンゲルとの夢のような時間はたったの一年半。その数倍も費やした「万年中位」に触れずに名古屋を語ることなど出来るはずがない。さすがに(楢﨑など)現役プレーヤーをレジェンドとして祀り上げるのは躊躇われるが、クラブ史上初の得点王であるウェズレイの完全無視など、扱いにはあからさまな偏りが見られ、今回のDVDの売れ行きを見ながら「レジェンド・オブ・スターズ 2」の制作に取り掛かるつもりなのだろうかと訝りたくなってしまう。
 偏っていると言えば引用しているVTRも。やたらとヴェルディとの長良川決戦がフィーチャーされていたが、それ以上に語るべき試合はいくつもあったはずだ。小倉がベンゲルにベンチから「KILL YOU」と叫ばれたのは天皇杯の神戸戦だったが、その映像も探し切れていないし、ピクシーの「seven beautiful years」も映像が時系列を無視したツギハギになっていては台無しだ。Jリーグの直轄団体であるJリーグメディアプロモーションの制作ならば、もう少しバリエーションを持って映像を引っ張り出すことが出来なかったのだろうか。同じ映像が何度も登場する点など言語道断。つなぎのテンポも良くないので、間を置かずに二度見る気には辛い内容だ。

 そんな中にあって良かったのは、トーレスの現地インタビューと現在名古屋の下部組織でコーチを務める伊藤裕二、小川誠一、飯島寿久による対談というレアな企画。そして浅野哲也の声を久しぶりに聞けたことだろうか。

 トーレスの現地インタビューはどうやら藤原清美に全面依頼した模様で、おそらく藤原清美は鹿島版でフル回転しているであろうことが容易に頭に浮かぶが、藤原清美に頼らなければそもそもこのインタビュー自体成り立たなかったことを考えれば、方法論も含めての成功事例と言えるだろう。逆に言えばイングランドやフランスには「藤原清美」がいなかった。ここまでベンゲル崇拝な内容を作るのであれば、ベンゲルのインタビューのひとつやふたつ録って来てしかるべきだし、またこの作品中にデュリックスのインタビューがあったならば、それだけで俺の不満は半分以下になっていたに違いない。

 二度の天皇杯制覇を達成した時にいずれもスタメン出場していた伊藤裕二、小川、飯島の三人による対談も渋好みな企画。ただ彼等が「レジェンド」や「スター」であったかと言えばそれはそれで甚だ疑問でもあり、マニア受けするこの企画が特典映像(おまけ)的な位置付けにしてあれば作りとしては◎だったかもしれない。
 懐かしいついでに個人的な印象で彼等について補足するなら、伊藤裕二は抜群の反射神経でJ開幕から名古屋のゴール守ってきた元祖守護神。最近は下部組織のGKコーチとしてもお馴染で、昨年は日本代表スタッフとして韓国で開催されたU-17W杯(城福ジャパン)のGKコーチを務めていた。ちなみに名古屋がサントリーカップという年間総合タイトルを獲得した1996年に、現日本代表GKコーチの加藤好男さん(当時解説者)はNHKの速報番組の中でシーズン・ベストGKに伊藤裕二を選んでいた。しかし代表選手偏重の傾向が強いJリーグAWARDSでベストイレブンに選ばれたのは楢﨑正剛(当時横浜フリューゲルス)だったという因縁もあったりする。小川誠一は、現在の名古屋のスタメンで最大勢力を占める中村、阿部、小川佳純の市船トリオの先鞭をつけた人物。名古屋に在籍したこともある元日本代表FWの野口等とともに布啓一郎率いる市船の創生期を支えていた。DVDの作りだとベンゲル色の強いプレーヤーのようだが、ベンゲルの下ではその攻撃的な特徴に反してオーバーラップの機会が少なく、左ウイングハーフの平野孝の後方支援に専念していた。むしろその特徴を考えれば、本人が「思い出の試合」に挙げていた1999年のAWAY磐田戦を含むジァアン・カルロス就任と前後しての時期の方が輝いていた時期だったと言える。飯島は帝京高校時代に森山(現FC岐阜)、磯貝(元G大阪等)、本田(元鹿島)のチームメートとして高校サッカー界を席巻し東海大学時代にはバルセロナ・オリンピック予選の代表メンバーにも選ばれていたサッカーエリートにして、現JFA名誉会長の川淵三郎(当時Jリーグチェアマン)に「この選手がスタメンで出ているうちは名古屋の優勝はないと思っていた」とまで酷評されたこともあるミスター・オウンゴール。DVDの中でも本人が言っている通り攻撃面での特徴を持たない選手だったが、時々なぜか無茶なドリブルで持ち上がり途中で奪われてカウンターを喰らうようなシーンがなぜか俺の中では印象に残っている。

 彼等三人が現在指導者として名古屋の下部組織を担当していることはファンにとってもうれしい話。今年からはディドも戻ってきたことだし、作品の中で湘南ベルマーレのコーチとして登場する浅野哲也もいつか名古屋に力を貸して欲しいと俺は思っている。作品の中でも紹介されている通り、トヨタのクラブチームからプロ選手、そして日本代表にまで登りつめた浅野の歩んだ道はまさしくシンデレラストーリーだ。ミルン時代には突然左サイドバックにコンバートされて出番を失いそのまま浦和にレンタル移籍。移籍した途端に日本代表に選ばれたのは、本人が語っているように浦和で試合に出始めたからではなくて、当時日本代表監督に就任したばかりのロベルト・ファルカンに対してジーコを筆頭としたブラジル人達からの推薦があったからだと言われている。ブラジルでいうところの典型的な「5番」タイプの浅野に対してはブラジル人選手達も評価が高く、出身が茨城ということもあってよく鹿島移籍の噂が上がっていた。

 と、話が懐古主義に走り過ぎたが、DVD「レジェンド・オブ・スターズ」もインタビューを聞きながら懐かしいVTRの感傷に浸りたい人、そして久しぶりに小倉の小倉らしさに触れたい人にはお勧めのDVDかもしれない。
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by tknr0326g8 | 2008-10-01 01:45 | Topics & Issues