Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30
カテゴリ
最新の記事
以前の記事
<   2008年 11月 ( 6 )   > この月の画像一覧
J1 2008 第32節 vs京都 @スカパー
 優勝争いのプレッシャーというひと言で片付けるにはあまりにも稚拙な試合展開を見るにつけ、俺に頭によぎったのは「限界」という言葉。決して「Give up」するわけではないが、この大事な試合で2-0というアドバンテージを生かし切れず、この大事な試合でスタメン中最も在籍期間が長く「替えが効かない」と評されるゲームキャプテンが中途半端なミスで失点の引き金となり、テンパった若手選手を諌められる選手がおらず、それどころか攻撃の核となるべき日本代表FWが感情をコントロール出来ずにイエローカードをもらって次節出場停止になる、現実は現実として、奇跡なくしてこのチームが成し得る最長不倒距離はそう遠くではないという事実を俺は痛感せざるを得なかった。とは言え、優勝の二文字は様々な幸運や他力によって今なおその不倒距離内にある。この試合の最後の最後にもらったビッグプレゼントによって、名古屋は次の札幌戦に勝てば最終節まで優勝争いが出来るという権利を手にしたのだ。次は札幌から勝ち点3を奪うという自力によって、天より与えられし権利を生かして欲しいと心から願う。

 試合は前半名古屋のペースで進んだ。と言っても名古屋の出来が特別良かったというよりも、京都(加藤久)が必要以上に名古屋を恐れて勝手に自滅してくれた印象が強い。ヨンセンが怖いのも名古屋の攻撃を止めるためにはまずヨンセンに仕事をさせないことが重要なのも分かるが、シジクレイを最終ラインの真ん中に入れた5-3-2のような布陣にしてしまっては、攻撃に厚みを持たせることはおろか攻撃を組み立てることすらままならない。京都の攻撃は2トップとトップ下の角田が名古屋のDFラインに対して積極的にプレッシャーを掛けてあわよくばボールを奪いそのままゴールへというぐらいしか糸口がなかった。
 そんな京都に対して名古屋はDFラインからの長い縦パスを使った攻撃が目立っていた。京都のアタッカーがDFラインに対してプレッシャーを掛けに来ていた影響もあるが、その戦い方からは奪ったボールを素早く相手の3バックの脇のスペースへという共通意識が垣間見られる。これは今シーズンの名古屋が浦和や川崎といった3バックのチームと戦う時に徹底してやってきたことで、そのスペースを突く役割を担う両SHの小川とマギヌンが2トップを飛び越して二点目を名古屋にもたらしたことは決して偶然ではない。

 後半になると試合は一変した。京都が(前線からプレッシャーを掛けるためとは言え)よりによって角田をトップ下に据えて2トップとともに攻撃を構成していた前半とは打って変わって4-4-2に布陣を変更したことで名古屋の守備組織は機能不全に陥り、2トップのうち一人が裏を狙い一人がクサビを受けに下がるという京都の戦術が機能し始める。
 前半の名古屋は京都のボールが出てくる位置が低かったためにDFラインを高く保つことが出来ていたし、京都のほとんどの攻撃が2トップ+角田の三人によるものだったため4枚のDFラインが数的優位を保ちながらボールを受けに下がる柳沢や林に対しても必ず増川か吉田がチェックに行って潰すことが出来ていた。例えば角田と林を4バックのうち3人が(一人多い状態で)見て、クサビを受けに下がった柳沢に対して増川がチェックに行くといった具合だ。
 しかし後半になると2トップとともに攻撃的な中盤の二人(安藤と中谷)が攻撃に加わった京都に対して数的優位を失った名古屋DFラインはクサビを受けに下がるFWの選手に対してチェックに行けなくなってしまう。名古屋がDFラインとWボランチの間にギャップを作ってしまうのは今に始まった話ではないが、京都が普通に戦ったらアッサリとその弱点を曝け出してしまった。その上京都が中盤に上がったシジクレイと佐藤勇人のところでゲームを組み立て始め、そこから狙い澄ましたパスがDFラインの裏へと出て来ることで、名古屋DFは後退を余儀なくされた。
 後半の京都は(2点のビハインドを追い付いた勢いや名古屋の前線の選手達の足が(守備面で)止まっていたことを抜きにしても)同じ4-4-2の名古屋よりも遥かにバランスの優れた良いチームだった。もし中谷と渡邊の位置が逆だったら名古屋は一気に逆転負けを喰らっていたかもしれない。田原がいるならまだしも、空中戦に滅法強くハイクロスからは失点する気がしない名古屋DFラインに対してSHとしての中谷は決して有効なカードではない(一度PKを取りそうなシーンはあったが・・・)。それよりも切れ込んでからの強烈な右足シュートを持ち直接ゴールを狙える渡邊が前にいた方が名古屋にとってはずっと怖い。そして前半から守備も含めたハードワークによる疲労があったとは言え、林がベンチに下がったことも名古屋にとっては好材料だった。上でも書いたように名古屋にとっては柳沢と林による前後に幅(ギャップ)を作る動きは厄介で、実際林の裏を狙う動きによって名古屋はPKも献上している。まあかつてオシムが言った王ように林は「90分働けない」から林でもあるのだろうが。

 試合の流れとは別に、名古屋にとってこの試合での注目ポイントのひとつは出場停止の吉村の穴を誰が埋めるのかということだった。中盤の守備をボランチ二人に大きく依存している名古屋では運動量を生かした中村と吉村のペア(通称・ムラムラコンビ)がベストの組み合わせであることに俺も異存はない。中盤のボールハンターとして野性味溢れる守備を見せる中村はチーム戦術の斜め上を行く存在であり、そのパートナーにも同等の運動量が要求される。極論すれば中村が独自の感性で運動量豊富に動けば動くほど組織としてはそこに穴が空くことになる。となればそのパートナーは中村と同じだけ動いてその穴を埋めて回らなければならない。これを「バランス」と呼んで良いのかどうかは定かではないが、そういった点を考慮すると運動量を担保として中村とのコンビ歴が長く中村をより理解している吉村が適任ということになる。願わくば猛獣使いのごとく中村を自在に操れる選手がいればベストなのだが、残念ながらそれが出来るであろう唯一?のプレーヤーである藤田にはピクシーのサッカーに対応するだけのフィジカルが伴っていない。
 と、話が逸れたが、とにかくこの試合で欠場した吉村に代わって中村とコンビを組んだのは地元京都出身の山口Kだった。かつてネルシーニョがこうしたご当地起用を行っていたことがあったが、中村との相性を考えて米山ではなく山口Kを選んだのであれば、ピクシーの選択は限りなく正しいと俺は思う。そしてこの試合での山口Kは重要な一戦ということもあってか慎重さを前面に出しつつも気の利いたプレーを見せ素晴らしいパフォーマンスを発揮していた。そして後半途中から攻撃的な布陣にシフトするにあたり、中村をベンチに下げ山口Kをピッチに残したピクシーの判断もまた素晴らしかった。
[PR]
by tknr0326g8 | 2008-11-24 22:31 | Game Review
天皇杯5回戦 vs大宮 @NACK5
b0036243_156133.jpg

 ちょっと前に「勝っても負けてもブーイングされる」とぼやいていた日本代表DFがいたが、こんな内容で勝って歓声を浴びる選手達はどんな気分なんだろうか。大宮の軽率なミスから始まった試合は、空席だらけのスタンドとあいまって、全体的に緊張感に欠けたままさながらトレーニングマッチのような雰囲気を醸し出していた。藤本のミドルシュートを背中に浴びたラフリッチが大袈裟なリアクションで倒れ込んだり、マギヌンが股抜きを狙ったボールが相手DFの両足の間にスッポリと挟まったりと笑いの小ネタにも事欠かない。

 キックオフ早々集中力を欠いていたとしか思えない大宮のDFとGKの連係ミスによってヨンセンが無人のゴールへ難なく押し込み幸先よく先制した名古屋。しかし本来であればここで畳み掛けなければならないはずが、大宮のペースに付き合ってペースを落とすと、時間とともにゲームの主導権を大宮に明け渡してしまった。先週の柏戦で追加点を奪えずにそれが致命傷となってしまった教訓が全く生かされていない。それともムラムラコンビを筆頭に先週の試合で後半途中にガス欠を起こした選手達はセーブしながら試合を進めていたのだろうか。

 玉田の代表招集に伴い名古屋は藤田がトップ下に入り4-2-3-1のようなフォーメーションを敷いていた。盟友・名波が前日に引退を表明したばかりのナンバー10を今の名古屋で生かすならこのポジションしかない。ただこれは決して消去法によって得られるネガティブな結論ではなく、単なるプレーメーカー以上の存在としてボックスの中に飛び込んで行くプレーを持ち味としている藤田の特徴を考えればトップ下はその持ち味を最も発揮出来るポジションだし、またこのチームにおいて突出したサッカーセンスを持つ藤田がトップ下に入ることによって、1トップのヨンセン、そして両SHの小川、マギヌンと攻撃面でどういう絡みを見せるのかといった期待はある意味では玉田以上に大きい。
 しかし結果から言えばこの試みは守備面から破綻をきたしていた。玉田よりも中盤の色が強い藤田がトップ下(玉田の場合はどちらかと言えばヨンセンとタテの関係の2トップと言った方がしっくりくる)に入ることで、名古屋の中盤はいつにも増して攻撃する人と守備する人という二層構造が顕著になり、各ラインの間に出来るギャップにやすやすと侵入を許していた名古屋は選手間での連携やマークの受け渡しも曖昧で、ひと言で言うなら「スカスカ」な状態だった。中盤の守備組織のマズさは今に始まった話ではないとは言え、そして大宮には小林大悟を筆頭に中盤にボールを動かすことに長けた選手が多いとは言え、これでは残りのリーグ戦が思いやられる。
 そして中盤でボールを持った内田に対してあろうことか誰もプレッシャーに行かないでいると、内田がこの隙を見逃さず右足一閃。無回転にも見えたミドルシュートはグングンとスピードを増しながら四中工の後輩にあたる名古屋GK西村の指先をかすめ名古屋ゴールに突き刺さった。ゴールマウスに転がるボールからピッチに目を移すと最終ラインの吉田がなかば放心状態で腰に手を当てて首を傾げている。なぜフリーであんなミドルシュートを打たれたのか理解できないのだろう。しかし中盤を見ると中村や吉村までもが「やられた」とばかりに呆然と立ち尽くしている。こりゃダメだ・・・なぜ最終ラインの選手達は行かせてしまった中盤の選手に抗議をしないのか、なぜマークの受け渡しについて彼等は話し合おうとしないのか。その後も中盤でフリーな選手からDFラインの裏へと供給されるボールに対して、最終ラインの選手たちは振り回され続けていた。大宮の攻撃はラフリッチがほぼ100%ファーサイドにポジションを取ってその裏から内田や藤本が飛び出す仕組みになっているので、大宮の狙い澄ましたパスに対して名古屋の最終ラインが右へ左へと振られるのは仕方のない話だ。

 そんなわけでヨンセンの逆転ゴールが決まったにも関わらず俺のストレスがピークに達しつつあった35分過ぎ、突如ピッチサイドでユニフォーム姿になった山口Kが交代のスタンバイし、ピクシーも同じ問題意識を抱えていたのかと少し溜飲が下がる。しかし誰に代わる予定だったのかは分からなかったが、結局山口Kはそのまま引っ込んでしまった。藤田がベンチに向かってゼスチャーを交えながら何か言っていたのでベンチはもしかしたら藤田と代えるつもりだったのかもしれない。そしてその後は中村と吉村の左右の位置を入れ替えたりといったお茶を濁すような配置転換が行われただけで特に中盤の建て直しがなされることはなく、俺のストレスは試合終了まで続くことになる。良かった点があるとすれば、マギヌンが90分間プレー出来たことと、後半に藤田に代えて山口Kが投入された後、トップ下の位置に移った中村が滅多に見せない(普段は忌み嫌っているとしか思えない)ボックス内への飛び出しを何回か見せたことぐらいだろうか。

 名古屋にとっては次のラウンドへと進む権利を取得しただけの試合。ただそれだけだった。一方の大宮にとってみれば、トレーニングマッチさながらの緊張感の無さから来る凡ミスはあったものの、リーグ戦上位の名古屋に対して好機の数で上回り優位に試合を進められたことは今後のJ1残留争いを戦い抜く上でそれなりに良い感触を得たのではないだろうか。それは何より試合後のサポーターの選手達に対する声援が物語っていた。
[PR]
by tknr0326g8 | 2008-11-15 15:06 | Game Review
キリンチャレンジカップ2008 日本代表×シリア代表 @ホームズスタジアム神戸
b0036243_2272544.jpg

初めて訪れたホムスタは、ゴール裏のボリューム感はやや物足りない感じがしたものの、メインスタンドからピッチを見おろした感じは埼スタをコンパクトにしたような印象でした。中心地からあまり遠くない場所にこんなスタジアムがあったらいいかもしれない。
[PR]
by tknr0326g8 | 2008-11-15 02:27 | Other Games
J1 2008 第31節 vs柏 @日立台
b0036243_19462318.jpg

 去年のGWにも天狗になっていた鼻をへし折られているここ日立台での柏戦が名古屋にとって間違いなく厳しい試合になるだろうという俺の読みとは裏腹に、柏は試合開始から拍子抜けするほど迫力も怖さも感じさせなかった。名古屋を研究してきたであろうことは節々で感じられたし、玉際ではガツガツ当たって遠慮なく削りに来てはいたものの、柏がチームとしてまとっている雰囲気は中位そのもので、優勝を狙うのであればもう一敗も出来ない名古屋にとってこれはひと足早いクリスマスプレゼント以外の何物でもなかった。
 しかし名古屋は自らの手でみすみすこの天からの贈り物を放棄してしまった。そして試合の中での良い流れを断ち切り優勝争いに終止符を打ったのが、万年中位(を維持することすら難しくなりつつあった)のチームに劇的な意識改革をもたらし優勝争いへと導いてきたピクシーであったことは皮肉としか言いようがない。この試合のターニングポイントが米山の投入だったことは明らかで、セットプレーの直前に焦って選手交代を行って一瞬の空白を作って同点ゴールを許し、真ん中に人だけが増えた中盤は混乱したままさらにその直後逆転ゴールを叩き込まれた。
 リーグ戦残り3試合、チームに求められるのはACL圏内からの一刻も早い撤退だろう。采配にミスがあったとは言え、誰もがその重要性を理解していたはずの試合で、同点にされたぐらいで気落ちして直後に逆転を喰らう(しかもこれは千葉戦でのミスの繰り返しだ)ような脆弱なメンタルしか持ち合わせていないチームがアジアのハードスケジュールを戦い抜けるはずはなく、そんな環境に身をさらしたらこのチームの崩壊は必至だ。そして何より(今のように目の前の試合に全力を尽くすのは当たり前として)どうしても優勝したいとかアジアや世界で戦いたいというような一サッカー選手としての向上心がチームそして選手から感じられないまま中途半端に足を踏み込むにはACLは危険すぎる。

 というわけで、NHK総合で放送された中継の録画を(得点&失点及びヨンセンのオフサイドシーンを除いて)見る気にはなれないので、試合会場で観たままのレビュー。

 深刻な得点力不足を抱える攻撃陣に待望のマギヌンが戻って来たと思ったら、今度は守備面でバヤリッツァの二試合出場停止に加えて楢﨑までもがトレーニング中の怪我で欠場を余儀なくされてしまった名古屋。この時期はどこのチームもそうだとは言えなかなかベストメンバーが組めない。だが俺は「楢﨑不在の穴」というような世間一般の風評には賛同しかねる。確かにチームのキャプテンでもある楢﨑は日本を代表する(というより日本1の)GKでありとても替えが利くような選手ではないが、芦川+ディドという間違いなく日本で(もしかしたらアジアで)No.1のスタッフが指導に当たっている西村(や広野)がヘボいはずはない。それに西村はナビスコカップでもグループリーグ突破に貢献した実績があり、ここがチームにとってのアキレス腱になるとは到底思えなかった。そして実際に西村が見せたパフォーマンスはなんの不満もないものだった。
 またバヤリッツァを欠くDFラインも吉田と増川のコンビが無難なプレーを見せていた。特に吉田は攻撃面でも特徴を発揮し、大きく開いたマギヌンにピンポイントで合わせる大きなサイドチェンジを決めたかと思えばカウンターから中央を攻め上がり先制点にも絡んだ。守備面でもそのプレーは安定しており、機動力を使って地上戦でいやらしく攻めてくる相手への対応に少し苦労していた部分はあったが、単純なスピードはおろかちょっとした緩急の変化にすら戸惑っていた昨シーズン(ルーキーイヤー)を考えれば吉田はすっかりプロの水に馴染み、さらにその中で抜きん出た存在へと成長しつつある。
 マギヌンが戻って来た攻撃はボールの収まりどころがひとつ増えたことで随分と滑らかになった。なによりマギヌンを経由する攻撃のアイデアはこれまでの名古屋に欠けていたものだったし、玉田もマギヌンとのコンビではイメージがより高い次元で共鳴し合ってとてもプレーしやすそうだった。もっとも怪我による長いリハビリからいきなり実戦復帰を果たしたマギヌンの右膝にはウォーミングアップの時からテーピングが確認でき、そのコンディションはベストというわけではない。特に接触プレーに関しては露骨に避けるようなそ振りを見せていたし、守備面では後ろにいるSBに大きな負担を掛けていたことも事実だ。だがそれらを補って余りあるものをマギヌンは名古屋にもたらしていた。あとはコンディションを上げていくだけだろう。

 一方で二試合の出場停止からようやく中村が戻って来た中盤は、守備面で相変わらずムラムラ・コンビの運動量(スーパーハードワーク)に依存している。チームが今のやり方を継続する限り二人して走りまくるムラムラ・コンビのどちらかが欠けても苦しく、またこの二人の組み合わせがベストチョイスであることに疑いの余地はないが、この二人が(特にポジショニングで)絶妙なバランスを保っているかと言えば決してそうでもない。
 例えばこの試合でもしばし見られたのは中村の前から吉村の前に流れて行った相手に対して中村が付いて行ってしまい、中村と吉村のポジションが重なったところを簡単にハタかれたりターンされたりしていなされ中村の空けたスペースを使われるというようなシーン。相手としては一回のフェイントで二人を抜けるわけだから実にラッキー(一石二鳥)だが、名古屋のDFラインからしてみたらたまったものではない。
 またこの二人は守備に気を遣うあまりか攻撃への関与も極端に低い。名古屋はよくアーセナルに例えられるが、仮想セスクのいない名古屋をアーセナルに例えるのが正しいのかどうかは考えものだ。Wボランチの攻撃に対する関与の低さはポジショニングひとつとっても明らかで、例えば吉田が上がった後のスペースは何も言わなくても自然と埋めるのに、玉田が下がって来てボールを受けるようなシーンでは玉田の空けた前線のスペースを狙うようなことは全くしない。攻撃への関与はせいぜい前が手詰まりになった頃に遅ればせながら上がって行ってミドルシュートを放つことぐらいだ。二人してそんな状態では名古屋の攻撃にバリエーションが増えないのも当然と言える。
 そしてこの中盤のバランス(感覚)の悪さは後半に米山を投入した後に最悪の形で噴出する。米山を守備固めで投入した直後にセットプレーから同点とされたことで、名古屋は米山がトップ下、その下に中村と吉村といった感じの各々の特徴を考えればまるでチンプンカンプンな4-2-3-1になっていた。そしてここで中央の三人には混乱が生じる。得点を獲りに行かなければならない状況を考えて積極的に前からプレッシャーを掛けに行く米山に対して、後ろの二人は全くそれに呼応しない。二人でカバーしていたエリアが三人になったことで多少油断した部分もあったのだろう、失点シーンではSB(阿部)とSH(小川)が挟み込むようにケアしているサイドに吉村がフラフラと出て行って真ん中(米山の背後)を空けてしまった。百歩譲って吉村のそうした動作がサイドで囲んでボールを取り切ろうという積極的なものであったとして(実際にはアッサリすり抜けられてしまったが)、それに対して中村が連動してポジションをスライドするようなそ振りは全くなかった。かくして中央のスペースで奇跡的なほどにフリーでボールを受けた大谷はそのまま持ち上がって狙い澄ましたスルーパスをDFラインの裏へと送り込んだ。これに反応したポポが吉田の背後へと斜めに走り込んで豪快なシュートを名古屋ゴールに突き刺したわけだが、こうした動きをされるとDFライン(吉田)としてはどうしようもない。

 阿部の怪我がどの程度のものであったかは分からないが、逆転を許した名古屋が死に物狂いで勝ちに行くのであれば、巻を投入するに当たり再び米山を下げてでも阿部を残すべきだったと俺は思う。阿部のいない名古屋がいかに不味いものであるかはこの間の岐阜戦で証明済みだが、この交代によってますますバランスを崩してしまった名古屋はゴールどころかチャンスすら作ることが出来ず4分という長いロスタイムすらもただただ浪費するしかなかった。
[PR]
by tknr0326g8 | 2008-11-08 19:46 | Game Review
天皇杯四回戦 名古屋vs岐阜 @豊田スタジアム
b0036243_15554382.jpg

 阿部のいない名古屋は遠藤のいないガンバやポンテのいない浦和みたいなものではないかというのが今シーズンの名古屋の試合を観ながら俺が常々考えていた仮説だった。しかし岐阜の守備ブロックを前に全く攻撃を組み立てられない名古屋を見ていると、どうやらその仮説は大幅な下方修正を迫られそうだ。プラン通りに試合を進めていた岐阜に対し名古屋が「どちらがJ1か分からない」ほどゲームを支配されていたわけではない。ただ名古屋の何人かの選手達はJ1はおろかひとつ下のディビジョン(J2)ですら通用するかのかどうか疑わしく思えるほどFC岐阜に完封されてしまっていたのもまた確かだった。

 日本代表の玉田を筆頭に阿部、増川、吉村といったリーグ戦のレギュラー組が多く欠場したこの試合でピクシーが採用したのはヨンセンの1トップ+トップ下に中村を置いた4-2-3-1。ペナルティエリアの中に入ろうとしない中村のトップ下というのは正直微妙だが、右利きで内側に切れ込むのが得意な小川とタテに抜けてからのクロスを持ち味とする渡邊が組む左サイドや広大なスペースを得て活きるスピードが武器の杉本とディフェンスに重きを置いた三木が組む右サイドという組み合わせはなかなか相性が良さそうだというのが最初に抱いた俺の感想。そして前の4人が攻撃に掛かる分、DFラインの手前に山口Kと米山という守備的な選手を並べてもう一枚壁を作るというのも悪くはない。
 しかしこれらのイメージは所詮机上の空論でしかないことが時間の経過とともに徐々に明らかになっていく。キックオフ直後こそ岐阜DFがワールドクラスのヨンセンの高さに慣れていないところを突いて良い形を作りかけていた名古屋だったが、岐阜DFがヨンセンの高さに慣れてくると次第に攻撃は手詰まりとなりパスの出し手であったりゲームを作れる選手がいないという問題が顕在化してきた。しっかりとした守備ブロックを作ってヨンセンに対するクサビを遮断している岐阜に対して、名古屋は前にボールを進めることが出来なくなり、前の5枚と後ろの5枚とが完全に分断され始めていた。欠場している試合でパスの出し手としての阿部であったりパスの受け手としての玉田の存在がクローズアップされる皮肉な展開だ。

 これではいつまで経っても埒が明かないとピクシーも判断したのだろう。25分過ぎに中村の位置を下げて杉本をFWに出し山口Kを右SHに張らせた4-4-2にフォーメーションを変更。慣れ親しんだ形で局面の打開を狙った。しかしフォーメーションを変えてすぐのタイミングでは岐阜DFが少し混乱したのか杉本がビッグチャンスを迎えたものの、これを決め切れずにいると名古屋は再び失速してしまう。それもそのはずでサイドアタックが売りの名古屋の4-4-2にあって右サイドで山口K+三木という守備的なタイプの組み合わせは有り得ない。また左SBに起用された渡邊にしても前線にボールが収まらないことにはオーバーラップのタイミングが掴めるはずもなく、ロングボールで岐阜DFの裏を取るぐらいしか手立てがない中では全く存在感を発揮できないまま90分を過ごしてしまった。結局この試合で渡邊が上げたクロスボールはゼロだったのではないだろうか。もしこれで渡邉の評価が決してしまうのであれば、渡邉にとっては少々気の毒ではある。

 後半開始とともにピクシーはやはり山口Kのところに手をつけてきた。個人的な考えを言うなら、中村とWボランチを組ませるなら米山よりも山口Kを残すという手はあったようにも思うが、ピクシーの中でのボランチの序列は米山>山口Kなのだろう。そんな山口Kに代えて投入されたのは先週の試合でJリーグデビューを果たしたばかりの新川。ポジションは新川が左で小川が右に回った。俺なら二列目に投入するなら新川ではなく花井を選択しただろうし、新川を投入するなら前線に入れてヨンセンと2トップを組ませ杉本を二列目に戻していただろう。プロのレベルではフィジカル的なひ弱さを見せることが多いセカンドトップタイプの新川には二列目はまだ少し荷が重い。実際先週の試合と比べれば自分から仕掛けていく姿勢が見えるようになっていた新川だったが、中盤からドリブルを始めて奪われたり相手に難なく囲まれて潰されたりはたまたフィジカル的な要素に起因すると思われるミスをしたりとその特徴を発揮できているとは言い難かった。
 また新川にとって不運だったのはポジションをサイドに固定されたことと、前方(FW)にスペースを必要とする杉本がいたこと。新川も決して杉本に遠慮していたわけではないだろうが、杉本の存在は新川のプレーエリアを狭める結果につながっていた。その杉本自体もキッチリと組織を固めて守る岐阜を相手に得意のスピードを活かせないでいたし、俺なら杉本を下げて花井を入れるのになぁ(新川を前に出して花井を二列目)と思いながら見ていると、ピッチ脇に31番のユニフォームが現れた。さすがはピクシー・・・と言いたいところだが、花井と交代したのは杉本ではなく米山で、フォーメーションは4-4-2から中村をアンカーに据え新川と杉本が両ウイングを務める4-3-3へと変化したのだった。確かに得点を奪わなければ次のラウンドに進めないノックアウト方式のトーナメントということを考えれば、守備的なプレーヤーに代えて攻撃的なプレーヤーを投入するのは十分に有り得る選択肢だ。しかし残念ながらこのやり方もやはり機能することはなかった。
 そもそも動きの質を量で補うタイプの中村にアンカー(ワンボランチ)を任せること自体リスクが大きい。案の定広大なスペースを走りまくって一人で守らなければならなくなった中村は後追いでのディフェンスとそれに伴うファールが増えイエローカードをもらってしまった。このお土産は後々効いてくるかもしれない。やり方が正しいかどうかは別として中村がいないと(中村の運動量がないと)名古屋の中盤が機能不全に陥ってしまうのはリーグ戦を観ていても明白だ。そしてこのフォーメーションにおいては攻撃面で決定的な役割を担うはずの両ウイングも、スペースと時間的な猶予を得られないとテンパって出鱈目なプレーを連発する悪癖を曝け出していた杉本と相手に完全に体力負けしている新川では好機を作り出すことすらままならなかった。

 最後はややラッキーな形で得られたセットプレーのチャンスから、蹴った瞬間その弾道から決まると分かった花井のプレースキックが勝敗を決したわけだが、選手の動きもベンチワークも全てにおいてチグハグな名古屋のパフォーマンスは優勝争いをしているリーグ戦に向けて不安を残すものだった。終了間際の劇的なゴールがチームに勢いを付ける特効薬とはならないことは東京V戦を見ても明らかだ。そんな名古屋にとって救いがあるとすれば、花井が「将来の名古屋」とかそんな曖昧なものではなく今リーグ戦の優勝争いをこのチームにとってもプラスαをもたらす戦力として使えることが証明されたことではないだろうか。
[PR]
by tknr0326g8 | 2008-11-02 15:55 | Game Review
Jユースカップ 名古屋U-18×京都U-18 @サンガタウン
b0036243_184347.jpg

 前半に三浦からの折り返しをアルベスが落ち着いて決め幸先よく先制した名古屋だったが、後半にこの試合初めて相手陣内へとオーバーラップを見せた右SB磯村が上がったスペースをカウンターで使われ、エリア内で相手を後から押し倒した西部がPKを献上。しかもこのプレーで西部は二枚目のイエローカードをもらっ退場になってしまった。
 同点とされた後の名古屋は、磯村がSB→CB、三浦俊がSH→SB、奥村情がFW→SHと右サイドでそれぞれが一列づつポジションを下げてカウンター狙いに切り替えたことで京都に決定的な場面を作られることもなく、むしろ数的不利に陥る前と比べてひとりひとりの集中力が高まっているようにも感じられたくらいだったが、ゲーム全体で見ればどことなく不完全燃焼な感は否めない。例によって(特に前半)ゴール前でのシーンが少なかったこの試合が「勝てる試合」だったと断言出来るかと言われれば微妙だが、京都が「勝てる相手」だったことは確かなのだから。

 試合は立ち上がりからDFラインでボールを回しながら機を見て前線へのフィードを入れて攻撃を組み立てる名古屋と前からプレッシャーを掛けて奪ってからのカウンターを狙う京都という分かりやすい構図。名古屋の攻撃はほとんどが西部の左足から始まっていて、前の4人(2トップ+両SH)が前後左右のスペースへと動いて一瞬マークを外したタイミングを見逃さず正確なロングボールが供給される。トップチームで攻撃を司っているのが阿部の左足だとしたら、ユースではストッパー西部の左足がそれに当たると言えるだろう。前線の選手に収まるとそこから攻撃はスイッチオン。センターハーフの岸寛も前線へと飛び出して行き第二・第三の動きが絡んで相手ゴールへと迫っていくのが名古屋のスタイル。そしてこの試合では特にアルベスと奥村の2トップのプレーが目を引いた。柔らかなボールタッチと相手の前に身体を入れる上手さを持つアルべスのポストプレーに対して京都DFはファールでしかこれを止めることが出来ず、ドリブルが上手く機動力に優れるセカンドトップの奥村情は前半から神出鬼没な動きでボールに触り攻撃にリズムを作り出していただけでなく、後半に西部が退場してからは右SHとFWとの掛け持ちのような状態で攻守にフル稼働していたスタミナは驚嘆に値する。
 とは言え名古屋の攻撃が京都の守備組織を打ち破るには決定的な何かが足りなかったのは事実で、ペナルティエリアの外ぐらいまではボールを運べるもののそこから先へはなかなか進めない展開が続いていた。しかしそんな中ほとんどファーストチャンスと言ってよいシュートで名古屋は先制点を奪うことに成功する。相手のミスもあって一気にペナルティエリアの中までボールを運んだ名古屋は、右寄りの位置でボールを受けた三浦俊が鋭い切り返しで目の前のDF二人を外すと中央で待つアルべスへパス。ノーマークとなっていたアルべスは冷静にそして豪快にゴール左上へとシュートを突き刺したのだった。

 そんな中気になったのは金編の欠場により右SBへと配置転換された磯村。磯村のように絶対的なプレーヤーをSBで起用することは、去年の中田健太郎の例もあるので決して有り得ない話ではないが、少なくとも今回のケースについて言えば、チームにとっても上で書いたような攻撃に「決定的な何か」をもたらす上でマイナスに作用していた部分が少なからずあり、また磯村個人にとっても右SBとしてのパフォーマンスは散々なものだった。守備では磯村のいるサイド(京都から見て左サイド)へと流れてくる伊藤優汰に振り回され、攻撃に回ってもつなぎのパスミスを連発、前半はオーバーラップから攻撃に参加するような機会も皆無だった。
 後半になると何故か京都が頭から伊藤優汰をベンチに下げてしまったため磯村の負担は激減したのかもしれない。相手陣内に入ったところでボールを持った三浦の背後をこの試合初めて見せる怒涛のオーバーラップで追い越していく。しかし三浦が外の磯村を使わずに中に入れたボールがアルベスと奥村の間で呼吸が合わずにロストするや、京都はカウンターから磯村が上がっていた右サイドのスペースへとボールを送り込んで来た。そしてそこからの折り返しをペナルティエリアの中に走り込んで合わせようとしていた選手に対して西部が後ろから押し倒したような形となりPK、そして西部は二枚目のイエローカードで退場となってしまった。

 同点に追い付かれしかも一人少ないという状況を考えると名古屋にとって残り時間は苦しいものになるかとも思われたが、予想に反して名古屋は一人少ないことを全く感じさせないような戦い方を見せた。それどころか選手たちのパフォーマンスは一人少なくなる前よりも良くなったようにも見え、相手チーム(京都)との間に力の差を感じていたのかそれまでどことなく淡々と試合を進めていた印象のあった名古屋の選手たちが、一人少なくなったことで遅ればせながら危機感を感じたのかそれを機に集中力もグッと高まり、またそんな選手たちの気持ちを盛り上げるために意図的にやっていたのかどうかは定かではないが、前半は殆ど指示らしい指示も送っていなかったベンチの朴監督もヒートアップしてレフェリーの判定に食ってかかるような場面が頻発していた。相手に宮吉がいたらまた違っていたのかもしれないが、DFの中心であり攻撃の起点でもある西部が退場するという最大級のピンチにあって、名古屋はユーティリティ性をいかんなく発揮する磯村がCBとして問題なく相手の攻撃を退け、機を見て繰り出す思い切りの良い攻撃では個々の特徴を生かした鮮やかな連携で京都ディフェンスを崩しに掛かるような場面すら見られたのだった。
 ただひとつ言えるとすれば、相手が一人少なくなった時点でイケイケの京都に対して、名古屋はボールポゼッションを放棄しカウンターに徹するという方向転換をせざるを得なかった。朴監督は結局最後までメンバーを入れ替えないまま試合終了まで乗り切ったわけだが、サッカーのやり方が変わるのであれば当然それに応じた選手交代が行われてしかるべきだったようにも思える。それだけの駒がベンチに揃っていないと言われればそれまでなのだが。
[PR]
by tknr0326g8 | 2008-11-01 18:04 | Youth