Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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J1 2009 第8節 名古屋×広島 @スカパー 
 名古屋にとってこの試合で最も危なかったシーンは75分に柏木のFKからファーサイドで森脇が抜け出しヘディングで合わせたシーンだった。この直前にピクシーは竹内から花井へとメンバー変更を行い「この試合を勝ちに行く」というメッセージをピッチにいる選手達に対して伝えていたわけだが、セットプレーの直前に選手交代を行うことの危険性は昨シーズン終盤の第31節・柏戦で学んでいるはずだし、何よりこのひとつ前の選手交代で巻を下げていた名古屋にとって、この場面でさらに竹内を下げることは飛び込んで来る相手と競り合う文字通りの「数」が絶対的に少なくなることを意味していた。案の定、中央で構える増川、吉田の二人の頭を越えて行ったボールはファーサイドをフリーで抜け出した森脇の頭ににピタリと照準が合い、たまたま当たりが浅かったから良かったものの、もしこれがしっかりと当たっていれば名古屋は失点を免れなかっただろう。この場面ではどう考えてもせめてこのセットプレーが終わるまで交代は待つのが妥当で、決して調子が良いわけではない広島に対して名古屋はベンチワークのミスによって危うく勝ち点3をプレゼントするところだった。

 正直なところ、俺は名古屋が広島のパス回しの前に晒されたらボールに触れないのではないかというぐらい過度な不安を試合前から抱いていた。しかしいざ蓋を開けて見れば、互いに前の試合から中二日という状況に変わりはないもののそのうち半日を移動に当てなければならなかった広島のコンディションは想像以上に悪く、また名古屋がマギヌンとバヤリッツァという両外国人を欠くのに合わせるかのように広島もミキッチとストヤノフを欠いていたこともあってかそのパフォーマンスにいつもの輝きは見られなかった。そんな状況でも広島は頑なにつなごうとする姿勢は見せていたわけだが、互いにコンディションが悪い中では、時にセイフティーファーストでスペースに蹴り出すドイツ的な一面を見せる名古屋の方が効率的な戦い方だったかもしれない。
 もちろん名古屋が広島相手に上手く戦っていたということもある。「相手に合わせた戦い方はしない」と公言するピクシーだが負傷者が続出していることもあって最近では試合ごとにフォーメーションを変更しており、ACLのニューカッスル戦(AWAY)ではついに“聖域”とも言える4バックにも手を付けた。そしてそこで好感触をつかんだピクシーはこの広島戦でも頭から3バックを採用しこれが広島の良さを消すことにつながった。
 第一のポイントは吉村をアンカーに据えてその前に中村と小川を並べる逆三角形の中盤。中村と小川を広島の攻撃の起点となるWボランチ(森崎と青山)にぶつけることでここから効果的なパスが出てくることを阻止し、あわよくばここでボールを奪ってショートカウンターにつなげる狙いだ。仮にここを抜け出されたとしても、名古屋は中村と小川を含めて一旦リトリートしてDFライン5枚+中盤3枚でブロックを作ってスペースを消し広島のパスワークを寸断してしまう。
 名古屋にとって最大の懸案材料であるバイタルエリアもこの新しいフォーメーション(3バック)では以前ほど気にならなくなってきている。ただそれは中盤の構成を変えてアンカーに吉村を置いたからではなく、DFラインが3枚(5枚)になったことで精神的に余裕が生まれた名古屋DFの「前」に対する意識が高まってきたからだろう。名古屋のDFラインは4バックの時には自分が食い付くことによって後ろにスペースを空けるリスクを背負うよりもラインを崩さず後退することを優先していたが、3バックになってからは自分が出ても後ろにカバーが2人いるという安心感で積極的にアプローチに行けているように感じる。

 こうした戦い方が出来るのならなぜ川崎戦でそれをやらなかったのかという話だが、一方で攻撃に目を転じてみるとこの新システムは必ずしも上手く行っていたとは言えず、本来の自分達の目指す戦い方という側面から見ればそれとは大きくかけ離れていたと言わざるを得ない。
 主力に怪我人が続いたこともあってか、ピクシーはこのところフォーメーション同様に日替わりで若手プレーヤーをピックアップして先発で起用している。そして前節の津田に続いてこの試合でチャンスを貰ったのは巻だった。巻にとっては待ちに待った今シーズンリーグ戦初先発であり、昨シーズンまで名古屋に在籍していた同タイプのヨンセンではなくダヴィとコンビを組みことでどういった化学反応が起きるのかに注目がが集まる。巻としてもそろそろ結果を出していかないと厳しいだろう。
 しかし結果から言えば、少なくとも現段階でダヴィとのコンビによって巻が生かされているとは言い切れず、2トップとしてのコンビネーションも皆無に近かった。またそれ以上に問題だったのはボックスの中で生きるタイプの巻が前線に張っていることで、トップ下に位置する小川や中村がボックスに飛び出す動きが制限されてしまったこと。中央に4人のアタッカーが集まる名古屋のアタッキングサードはちょっとした渋滞を引き起こしていた。阿部のクロスからバー直撃の惜しいヘディングシュートを放つなど、前節の津田と比べれば短い時間の中でも存在感を出した巻だったが、チームとしての機能性を求めるならばここには小川や中村と絡みながら攻撃に参加できるタイプのアタッカーが必要だろう。そしてもし巻がこのシステムで存在感を発揮しようと思うなら、そのためにはボールを持てばひたすらゴールを目指しシュートまで持って行くダヴィにもっと広範な(例えばチャンスメーカーとしての)仕事が求められることになるが、それにはまだ二人の信頼関係は十分ではないし、ただでさえチームとしての攻撃が上手く行かず「戦術はダヴィ」になりつつある現状の名古屋からしてみればこれは到底無理な相談かもしれない。

 この試合で圧倒的な存在感を放っていたのは言うまでもなくダヴィ。マークが一人二人ついていてもこれをものともしないで突破を図りシュートまで持って行くスケールはまさに桁違い。その凄さはサッカーを初めて観る人にも伝わったに違いない。お金を払って見る価値のあるプレーヤーだ。だからこそここにマークが集中する裏(スキ)を突けるようなアタッカーがいなかった(小川が稀にこれに絡んだ程度)ことは名古屋にとって大きな課題だし、おそらく玉田やマギヌンの離脱によって自分が何とかしなければならないと一層強く思っているに違いないダヴィの負担を軽減させられるような攻撃を名古屋が構成出来るようになることを期待したい。
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by tknr0326g8 | 2009-04-30 23:53 | Game Review
J1 2009 第7節 名古屋×横浜 @スカパー 
 水曜日に行われたACL・ニューカッスル戦(AWAY)でマギヌンが負傷退場したことは、名古屋にとってある意味玉田のそれを上回るインパクトを持つ。実際昨シーズンは第25節の新潟戦でマギヌンが負傷した後6試合勝ちなしという苦戦を強いられ、結果的にこの大事な時期に勝ち点3を積み上げられなかった名古屋は残り10節時点では優勝に最も近いとされるチームであったにも関わらずそれに手が届かなかった。
 そんなわけで俺が今シーズンこれまでの試合のレヴューの中でマギヌンの緩いディフェンスに対してその事実だけは伝えつつもそれを糾弾する気になれなかったのは、その後の攻撃に備えたポジション二ングというメリットを見ていた面もあるが、下手に守備を頑張って怪我でもされたら困ると考えていたからだ。ブラジル時代は知らないが、川崎時代を含め日本に来てからはフルにシーズンを戦い抜いたことがないマギヌンの最大のウィークポイントはこの点で、心のどこかで覚悟はしているものの、よりによって週二試合のペースで続く怒涛の7連戦の序盤でこうした事態が起こってしまったことは最悪としか言いようがない。もちろんクラブも昨シーズンの教訓を踏まえて、シーズンオフには平木や橋本という大卒の即戦力アタッカーを補強してはいるが、この二人がいづれもピクシーの信頼を勝ち取るには至らず未だセカンドチームで燻っている(ベンチにすら入れていない)ことを考えると先行きの見通しは決して明るくない。ベンチ入りを許されている花井や佐藤といった若いアタッカーがこれを機に出てくればチームとしても多少は勢いが付くのいだろうが。

 前節の柏戦では玉田が欠けたことに伴う4-1-4-1、そしてミッドウィークのACLではピクシーが監督になって初めて試合開始から3バック(3-6-1)を採用するなど、フォーメーションが日替わりになりつつある名古屋は、玉田に加えてマギヌンとバヤリッツァという両外国人も欠くことになった今節は柏戦に続く4-1-4-1で中盤の右に今シーズン初出場となるFWの津田を起用してきた。ニシーズンぐらい前から昨シーズンの最初にかけて明らかに良い調子を持続している時期があった津田は、それを逃さず使い続けていれば清水の岡崎ぐらいの選手になれたと俺は本気で思っているが、杉本の後塵を拝して出場機会を減らし続けた結果、いつの間にか当時のオーラは消えてしまった。そして昨シーズンのような状態が続くのであれば(レンタル)移籍でもした方がよいと俺は思っていたのだが、ACLもあって出場機会が増えると判断したのか津田はチームへと残りここにきてようやくチャンスを掴んだのだった。

 試合は序盤から名古屋がボールを支配し、対する横浜は強固な守備ブロックを作ってカウンターを狙うような展開。吉村のアンカー+その前に二人のセントラルミッドフィールダー(中村と山口)が並ぶ布陣がようやく様になり始めた名古屋は、横浜が最も警戒すべきダヴィを囲い込むような感じ(位置)で守備ブロックを作っていたこともあって、中盤でのボールの動きも少しづつ円滑になってきた。中村や山口が自慢の運動量と当たりの激しいディフェンスでボールホルダーにチェックに行き、こぼれたボールを吉村が回収してサイドに展開するオペレーションも時間帯によっては上手く回っている。もちろんこの形がハマらない時は、人とボールに釣られやすい傾向にある吉村がボールサイドに引っ張り出されて名古屋のバイタルエリアは相変わらずスカスカになっていたりすることもあるが、最近の浦和を見るまでもなくショートパスをつなげるような選手間の距離や角度が出来ている時は得てして守備も上手く行くものだ。
 しかし中盤から後ろでは比較的ボールを動かせている名古屋だが肝心のアタッキングサードへと上手くボールを運ぶことが出来ない。横浜がここにブロックを作っているのでそれが難しいのは当り前なのだが、ACLとの連戦になる小川や中村は運動量の低下が激しく、特にここのところ人が変わったようにボックスの中への飛び込みを見せるようになっていた中村の前への勢いは鳴りを潜めていた。また接触プレーに対してあまり笛を吹かない西村Rのジャッジも、これまで比較的よく吹くレフェリーに当たってきた名古屋の選手達にとってはマイナスに作用していた。これは何もペナルティエリア近辺でファールをもらい損なっていたアタッカーに限った話ではなく、さすがに代々守備を売りにするだけあってユニフォームを引っ張ったりすることも含めて激しいディフェンスをする横浜と比べれば随分とお上品なプレーをする名古屋の中盤以下の選手(山口除く)には全員当てはまる。
 そしてマギヌンの代役として今季初出場を果たした津田も慣れない役割ということやコンビネーションの問題もあってか中々ボールが収まらずチームとしてはブレーキとなっていた印象だ。30分を過ぎる頃からようやく落ち着いてゲームのリズムに乗って行けたようだが、これで再びピクシーに見切りを付けられないことを願う他ない。個人的には津田はこのポジションでは持っている力の半分ぐらいしか出せない気もするが、右も左も(杉本よりは)器用にこなすだろうしもう少し我慢して使って欲しい。あと気になった点としては、中盤の両サイドの小川と津田が積極的にディフェンスに関与しなかったのは、横浜の3バックの両脇のスペースに人を残しておきたいというピクシーの狙いだったのだろうか。

 強い逆風に苦労し挙句前半終了間際には追い風に乗るかのような速いカウンター一発からゴールを許した名古屋にとって風上に立つ後半はいくらか戦いやすくなるであろうことは予想されたが、それでも横浜の高く強い3バック、そして左サイドの田中、ボランチの小椋で構成する守備ブロックをどう攻略するのかは、マギヌンを欠く名古屋にとっては相変わらず難題だった。この場に玉田がいたとしても(セットプレーを除いては)大きな有効打にはならなかっただろうが、おそらくマギヌンを止められるDFは横浜にはいない。横浜が向かい風+リードを奪っていることで一層受けに回っていることを考えれば、中村か山口に代えて花井を投入しマギヌンに近い役割をさせるという手はあるが、花井をまだ戦力として考えていない節があるピクシーはおそらくやらないだろう。どこかの時間帯で津田と杉本を入れ替えるだろうとは思っていたが、杉本が取り戻しつつあるスピードでいくらサイドを破って津田の鬱憤を晴らしたとしても、横浜の強大な3枚のCBがそびえ立つペナルティエリアにクロスボールを入れても勝ち目はなく、コーナーキックを獲得したとしても極めて精度の低い名古屋のセットプレーがこの山を越えられるとは思えなかった。名古屋に唯一突破口があるとすれば小川のいる左サイドで右アウトサイドの丁と右ストッパーの金の韓国コンビをこじ開けてペナルティエリアの中まで侵入するぐらいだろうか。

 そしてそんな苦しい展開の中、相手のミスという形で先制点が転がり込んだことは名古屋にとってはラッキーだった。相変わらず相手チームにとってはセットプレーの守備のトレーニングの続きのような怖さのカケラもないセットプレーを続けていた名古屋――ACLのニューカッスル戦といい相手の方に高さの面では圧倒的なアドバンテージがある中、なぜショートコーナーを使ったりして工夫しないのか不思議だった――の何の変哲もないコーナーキックに対して横浜GKの榎本が中途半端に飛び出して何故か躊躇して止まったことで、フリーでヘディングを合わせた吉田のシュートは無人のゴールへと吸い込まれた。ルーキーイヤーにセットプレーから中澤にほとんど子供扱いされて決められていた吉田にとってはそのお返しとも言えるゴールだった。

 こうなると名古屋としては押せ押せで松田の激しいチャージによって得たペナルティエリア左からのセットプレーで小川が蹴ったボールがそのまま榎本の頭上を抜けてゴールへと突き刺さった。全くもって精度の上がって来ない名古屋のセットプレーだが、HOMEでのニューカッスル戦で左サイドのやや浅い位置から小川が良いボールを蹴って以降、左サイドの角度がある位置からのセットプレーには得点の臭いが漂うようになって来た。前節の柏戦では菅野のスーパーセーブに遭ったものの同じような位置から惜しいチャンスがあったし、AWAYでのニューカッスル戦でも同じようなシーンが見られた。こうしたプレーを続けて行くことでチームは少しづつイメージを共有しそれが必殺のパターンとなっていく。これは間違いなく良い傾向だし名古屋としてはこうしたパターンをいくつも作って行かなくてはならない。
 こうして小川も今では左サイドからのFKに関しては自らの蹴るボールの軌道も含めて明確なイメージを描けるようになって来た。それはカーブを描きながら手前の密集を越えてゴールマウスの右上にそのまま向かって行くイメージで、例えそこに相手のGKが立っていたとしても手前で誰か名古屋の選手が触れば一点というイメージだ。その観点から言うなら、この試合での決勝ゴールとなったFKも角度こそやや深い位置だったが、同じようなキックの軌道がイメージされていたのではないだろうか。もちろんこれからは相手も研究してくるのでまた別のパターンも作っていかなければならないわけだが。

 もし名古屋がこの横浜戦を落としていたら、俺はその責任の大部分を小川に求めるようなエントリーを上げていたに違いない。それは決してスケープゴートというわけではなく、負傷によって玉田とマギヌンという攻撃のキープレーヤーが欠けた名古屋にとって小川が担わなければならない役割は大きく、新人王の資格を持つイチ若手プレーヤーだった昨シーズンならともかく今シーズンから背番号10を背負う小川にそれぐらいの負荷が掛かるのは当然のことだと思うからだ。そして結果として名古屋は(相手のミスに助けられた面もあったが)逆転でこの試合に勝利し、また小川も1得点1アシストを記録して勝利に貢献した。チームとして快勝とはいかなかったがこれは十分賞讃に値する。

 最後にこの試合の締めを飾ったのは公式戦初出場となるユース出身の福島新太。時間稼ぎの交代だったので結局ボールタッチする間もなく終了のホイッスルを聞くことになったが、福島にはこれをスタートとしてこれから少しでも出場時間を増やしキャリアを重ねて行って欲しい。そして敢えて言うならば、この試合疲れからか明らかにいつもより動きの量が落ちていた中村を思い切ってもっと早く福島に交代し、なおかつそれでも勝ち点3を拾えるようなチーム作りが出来るようになれば、若手はもっと伸びて来るだろうし、それに伴いチーム力も上がって来るに違いない。
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by tknr0326g8 | 2009-04-26 23:57 | Game Review
関東大学リーグ 第2節 @駒沢
 当初の予定では平塚まで湘南と岐阜の試合を観に行こうと思っていたのだが、昨日のJ1での巻&深井の駒大コンビアベックゴールに触発されて急遽予定を変更し、先週開幕した関東大学リーグを観に行くことに。この日の駒澤公園であれば、第一試合では駒澤の酒井そして第二試合では明治の久保というかつて名古屋ユースで同じポジションを巡って凌ぎを削ったライバルをハシゴして観れるのも大きな魅力。

 会場に到着してさっそくプログラムの登録メンバーをおさらいすると、昨シーズン2位と躍進した国士舘で青山と同じ代でキャプテンを務めていた根津がトップチームに昇格しレギュラー番号(4)を背負っているのがまず目を引く。三年間の雌伏の時を経てようやく出てきたかという感じだが、残念ながら根津と一緒に国士舘に進んだはずの唐沢はトップチームのメンバーに入っておらず、また根津自身も怪我でもしているのか1節、2節とベンチに入っていないようだ。その他では明治に久保(背番号11)、駒澤には酒井(〃2)と三宅(〃29)がメンバー入りし、残念ながら二部に降格してしまったが学芸大でも太田がレギュラー番号の7を背負っている。
 そしてさらに注目すべきは別紙に記載されている「追加登録メンバー」だ。今週は週に二試合が予定されている影響もあってか各チームともに1年生を中心とした追加登録が多いが、その中にこの春名古屋ユースを卒業したばかりの西部(流経大)と奥村(駒澤)の名前があった。高2の時から一学年上の三宅や津田とともに名古屋DFラインでレギュラーを張っていた西部はもとより、奥村も一年のブランクを経て戻って来た昨年(高三)は(例えば同じ高三時の新川と比べてもそれを上回るような)出色のパフォーマンスを見せていたので、こうした抜擢を受けたとしても何ら不思議ではない。むしろ俺としては二人とも名古屋のトップチームで見てみたかった素材ですらあるのだが。

 とそんなわけで第一試合は専修大と駒澤大学の試合。試合自体は、細かくそしてリズミカルにパスをつなぐ専修と伝統の「大きく」そして「遠くへ」を地で行くキックアンドラッシュの駒澤という対照的なチーム同士の対戦となったが、圧倒的にボールを保持しゲームを支配していた専修に対して、駒澤が後半開始直後のCK一発とPKによって2-0と勝利を収めた。エースの三島がベンチスタートだからか、それとも秋田監督がユニバ代表の監督を兼任している関係でチーム作りが遅れているのか、とにかく駒澤は散々な試合内容だった。名古屋ユースから三人の選手を預けているのである程度の勝ち点は稼いで一部に残留してもらわなければ困るが、この結果は全く試合内容に見合わない。試合終盤になるとリードを許していた専修も焦りからか段々と攻撃が雑になって行き、それが駒澤の二点目(PK)にもつながったわけだが、良いサッカーをしていたのは明らかに専修の方だった。
 駒澤では酒井が右SBとしてスタメン出場。三宅と奥村は残念ながらベンチ外だった。名古屋ユース入団時も含めもともと身体能力の高いFWだった酒井は高3からコンバートされた右SBを大学に入っても続けている。酒井が高校3年の時名古屋ユースは高円宮杯で準優勝し酒井も右SBとして優勝に貢献していたが、当時のチームは3トップを採用しており、もし酒井が右WGに入って久保、新川と3トップを組んでいたらどうなっていただろうかと時々考えることがある。プリンスリーグでは一学年下の中田健太郎(現横浜FC)が、そして中田の負傷後は同じく一学年下の花井が右WGに入り、結果的には本大会では花井が大事な場面で次々とゴールを決めてブレークを果たしたわけだが、花井を中盤(インサイド)に入れ酒井が久保、新川と3トップを組んでいたらもっと破壊力のある、他チームからも恐れられるほどのチームになっていたのではないのか。そんなわけで俺は酒井が駒澤に進むと聞いた時ひょっとしたらFWへの再転向もあるのかもしれないと思っていたがどうやらSBで勝負するようだ。そしてこの試合も試合中に監督やコーチから守備について何度も怒鳴られながらプレーしていた酒井は、それでも持ち味である1対1とどこのポジションからでも繰り出す(試合を通して10回以上投げていた)ロングスローによってチームに貢献していた。特にロングスローは「とにかく遠くへ」をポリシーとする駒澤にとっては大きな武器だ。
 そう言えば関東選抜に選ばれているGKの岡大生は名古屋のJrユース出身。昨日のJリーグで観たFC東京の権田といい、かつてクラブや下の世代の代表で長谷川とポジションを争ったライバルたちは試合に出て活躍しているが、当の長谷川が名古屋のトップチームで第4GKに甘んじている状況はなんとも寂しい限り。日本GK界屈指の名伯楽ディドの目の届くところでトレーニングを積み、師と仰ぐ伊藤裕二がトップチームのGKコーチになった今シーズン長谷川の巻き返しにはぜひ期待したい。

 第二試合の明治と法政の試合には久保が登場。かつてはU16やU17に名を連ねていたこともある久保はずっとセンターフォワード。長身でヘディングの競り合いに強く守備もサボらずやる姿はユース時代からトップチームのヨンセンを彷彿とさせるものがあった。そしてそんな久保の高さと強さを最大限に生かしていた当時の名古屋ユースは今から考えればモウリーニョ時代のチェルシーみたいだった。自らを目掛けて放り込まれるロングボールに対して強靭な身体を武器に競り合いを制し抜群のキープ力を見せる久保は言うなれば「得点力のないドログバ」みたいだった。チーム戦術による部分も大きいがファイナリストとなった大会で無得点だったセンターフォワードというのも珍しいだろう。しかし明治大学入学後は43年ぶりにリーグ優勝を果たしたチームで一年生からちょくちょく出場機会を得ていて、三年生となる今年は昨年までこのチームのエースとして君臨していた林陵平(東京V)から11番を引き継いでいる。

 試合は第一試合では見られなかった中盤での激しい潰し合いが繰り広げられたが、開始早々に右からのアーリークロスを久保が飛び出してくるGKの鼻先で頭で合わせてさっそく明治が先制する。その後も久保はエースと呼ぶに相応しい存在感を前線で放っており、ポストプレーからターンしてそのまま強引にDFラインを突破しするプレーで追加点まで奪ってしまった。よくよく相手チーム(法政)を見てみたらCBはいずれも30番台の背番号を背負っており、3月まで高校生だった新一年生を相手に久保が貫録を見せ付けたわけだが、少なくとも久保自身も今年に入ってひと皮向けたことは事実だろう。関東選抜やユニバ代表とは今のところ縁がない久保だが、この調子が持続出来ればユニバ本大会への道も見てくるかもしれない。
 そして久保の特徴はそんな攻撃面だけに留まらない。周りのアタッカー達がどちらかと言えば気分屋っぽく守備をしたりしなかったりしている中で、久保だけはサボらずに試合終了のホイッスルが鳴るまで攻撃にも守備にも奔走し続けた。そして久保のそんな守備面での貢献(信頼感)は、時間帯によっては二列目に入って「守備を頑張ってくれ」というような監督からの指示を受けるぐらいだった。
 あとは、前半を終わって3-0という余裕の試合運びから一転、主な選手交代を行った後になってから法政にあと一点取られたら同点という状況にまで追い込まれたチームにあって、明治は久保の存在がひと際心強く感じたことも書き加えておきたい。
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by tknr0326g8 | 2009-04-21 02:23 | College Football
J1 2009 第6節 柏×名古屋 @日立台  →→→ 東京×千葉 @国立競技場 
 2週間前川崎相手に真っ向勝負を挑んで玉砕してからというもの見る見るチーム状態が悪くなっている名古屋はここのところ試合の内容も悪く結果も残せていない。今週のトレーニングではピクシーが青空ミーティングを開いて改めてハードワークの必要性を説いたということだが、この柏戦を皮切りにGWまで週二試合のペースで消化しなければならない7連戦を考えると、とてもじゃないがチームに修正を施しているような余裕はなく、その行く末は大いに思いやられる。それにこんな時には経験豊富なベテランやチームに勢いをもたらすニュースターの登場が起爆剤となったりするものだが、名古屋は昨オフに藤田や米山、大森といったベテランを切ってしまったし、なかなか冒険を冒そうとしないピクシーの選手起用の下では(プロとは言えまだ精神的にも未熟であろう)若手選手達がしっかりとモチベーションを保てているのかむしろ不安なぐらいだ。

 そんな名古屋に追い打ちをかけるように今節は玉田が負傷欠場。個人的には(バックアップの面子を含めて)ダヴィやマギヌンが欠けるよりもチームとしての傷は浅いと思ってはいるが、それでも玉田は今の名古屋にとって不可欠なパーツのひとつであり、名古屋がチームとしての機能を維持するためには、ただ単に玉田のポジションに代役(筆頭は杉本)をあてがうだけでは十分でなく、何らかのコーディネーションが必要となるだろう。
 この危機的状況に際してピクシーが選んだのはフォーメーションをダヴィの1トップに変更するオプションだった。清水戦で思いのほか機能した4-1-4-1が良い印象としてピクシーの中にも残っていたのだろうか。前半に先制しながらも清水の猛烈な追い上げに遭っていた第3節、名古屋は試合終盤にフォーメーションを4-1-4-1に変更することで清水の勢いを止めるとともにそこから2点を奪って最終スコア3-1の勝利を収めた。俺も4-1-4-1がこんなに機能するとは思ってもいなかったが、左サイドで珍しく真面目に守備していた玉田も含めてこの新布陣の出来栄えは正直想像以上だった。ちなみにその成功例の一端である吉村の二点目について、「吉村がよく走り込んでいた」的な評価をよく目にするが、あれは(確かに素晴らしいゴールではあったが)吉村個人のファインプレーというよりも、中村がアンカーに入ったことで一列繰り上がった(言うなればトップ下的なポジションになった)吉村がボックスに顔を出すには必然であり、(ほとんどやらないので意外と見落とされがちな)前線への飛び出しと正確なキック(ミート)の技術を持つ吉村をあのポジションで起用したシステムの勝利(成果)だった。
 と、そんな4-1-4-1で今回はさらに吉村がアンカーの位置に入りトップ下を中村と山口が務める形にマイナーチェンジが施されていた。そして玉田欠場によりチャンスをもらう形になった山口がキックオフから気持ちを前面に出したアグレッシブなプレーを見せていたのが印象的だった。チームを鼓舞するかのごとく激しい当たりを見せる山口のプレーはやや空回り気味な感すらあったが、俺はああいうプレーが嫌いではない。フェアプレーを「言い訳」としてお上品に省エネスタイルでプレーしていたのではチームは今の泥沼から足を抜き出すことは出来ないだろう。むしろこの苦境から脱しようと思えばチーム全員にこれぐらいの気持ちを見せて欲しいぐらいだった。

 しかしいくら選手会長の山口がチームを引っ張り、以前良い感触を掴んだシステムを引き出しの奥から引っ張り出してきたところで、チーム(組織)としての機能が一朝一夕で改善されるほど話は単純ではない。キックオフと同時にアグレッシブに前からプレッシャーを掛けてくる柏に対して、この試合の名古屋は阿部を経由したビルドアップをさせてもらえず前線のダヴィを狙って大きくロングボールを蹴り出すシーンが目立っていた。もちろん柏のプレスは一試合を通じて続くものではないので、柏の勢いが小休止に入れば中盤でパスをつないでサイドを変えたりも出来るのだが、それでも攻撃は前線で仕掛けて強引にシュートまで持って行くダヴィと、2,3人に囲まれてもそれをくぐり抜けてボールを持ち出しラストパスを供給するマギヌンの両外国人に大きく依存したものであったことは否定出来ない。そして名古屋が良い形を作れている攻撃はほとんどがカウンターからというのも偽らざる事実だった。
 また名古屋は中盤の真ん中の枚数が二枚から三枚になっても、相変わらずここでパスをつないだりゲームを作ったりということが出来ない(しない)。ここでボールをキープして相手を食い付かせてからサイドに展開出来ればマギヌンや小川そして両SBの攻撃力ももっと生きてくるはずだし、攻撃もカウンター頼みにならなくても済むはずなのだが、真ん中が二人から三人に増えたところでオンザボールのアクションは相変わらずサイドチェンジの時にバケツリレーのごとくボールを右から左に受け渡す程度であり、あとはひたすらオフザボールでサイドのプレーヤーの(攻守に渡る)サポートに回っているだけだった。この試合ではボールを持った山口が出しどころがないまま(柏の早い寄せに対して)ボールを失っていた場面が何度かあったが、これは中央の3人の関係性を示す象徴的なシーン。3人のポジションバランス(角度)や距離感に違和感を覚えたのは、変貌を遂げつつある浦和の前節の試合での残像が残っていたからだろうか。
 良い意味での変更点を挙げるとすれば、真ん中の三人のうち一列前に繰り上がった山口と中村がサイドばかりではなく1トップのダヴィに対するサポートの意識を強く持っていたこと。特に(このブログでは再三力説しているように)ボックスの中でスペースを見つけることに秀でた能力を持っている山口は、二シーズン前にフェルフォーセンのもとで金正友とともに同じような役割を担って開幕からの連勝に貢献した時と同じようなイメージでプレーしていた。

 鮮やかなカウンターから幸先良く先制点を奪った名古屋だったがその戦い方はかなり危なっかしいもの。特にセットプレーでは綿密なスカウティングを行ってきたと思われる柏に対して名古屋は成す術がない。まるでトレーニングの続きででもあるかのようにノープレッシャーで名古屋ゴールへと迫って来る柏のセットプレーに対しては、もはや柏が勝手に外してくれるのを祈るしかなく、ただ突っ立っているぐらいしか出来ない名古屋のDFはゾーンディフェンスというよりコーンディフェンスといった趣き。またサイドバックが積極的に攻撃参加する柏に対しては、マギヌンがサイドを変えるたびにそのサイドからピンチを招いている状態で、DFがボールを奪った時にはそのマギヌンがカウンターの基点となるので一概に善し悪しは言い切れないが、イエローカードをもらった田中や阿部などサイドバックの負担が大きかったのは確かだ。

 後半になると名古屋はシステムはそのままで中村から杉本にメンバーチェンジ。おそらくアクシデントだろがなぜそこで杉本なのか。名古屋は構成も少し変え、マギヌンを中(中村がいたポジション)に入れ杉本が外に出たわけだが、中村の代わりに入れるなら福島が優先されるべきではなかったか。もちろん公式戦出場経験のない福島を起用することにリスクはあるが、福島の運動量でなければチームのバランスが崩れてしまうという思いが俺にはあった。しかし基本的に10代や20歳そこそこの選手をあまり信用していないピクシーは若い選手に対して試合の趨勢が決まった後で経験を積ませる程度の起用しか行わない。この試合でベンチ入りしていた福島もおそらくは経験を積ませるためであって戦術的な交代要員ではなかったなかったはずだ。福島にデビューの機会が訪れるのはいつになるのだろうか。
 そしてそんな杉本投入の“成果”はすぐに現れる。動きの質はともかくとして運動量とアグレッシブなチェーシングが売りの中村に代わって同じく質的な問題を抱えつついつの間にか省エネスタイルを習得した杉本を投入しその上マギヌンを真ん中に移したことで、名古屋は中盤のディフェンスはスカスカになり柏のパスワークに面白いように振り回されていた。柏の勢いがデフォルトとしてカラータイマー付きなのでなんとか助かったが、広島やG大阪のようなチーム相手に同じ戦い方をしたらきっと名古屋はボールに触ることが出来ないままゴールまでボールを運ばれていただろう。
 こうなると必然的にゲームはオープンになる。しかし対面する柏の右サイドバック蔵川がオーバーラップを繰り返しているにも関わらず守備に戻らずパワーを貯め込んでいるはずの杉本がボールが回って来ても稚拙なプレーで次々とボールを失っている間に、柏が名古屋の切り替えの遅さを突いた速いリスタートから菅沼が弾丸ミドルを名古屋ゴールに突き刺し同点に追いついてしまう。優勝争いを繰り広げていた昨シーズンの終盤の日立台でも同点ゴールを決めているこの万能型アタッカーをなんとか名古屋に引っ張ってこれないかというのは昨シーズンオフに俺が密かに抱いていた野望。もちろん柏のユース生え抜きの菅沼を引き抜くなどということは無理を承知での話だが、柏には二年前のシーズンオフに名古屋でバリバリの主力だった名古屋の笑いのバンディエラこと古賀正紘を引き抜かれた貸しがある。アジアを含めた強行スケジュールを戦い抜く上で層の薄いサイドハーフに右も左も出来る菅沼が加われば魅力的だし、いつまでも杉本のサイドハーフ起用などという余興に付き合わされなくて済んだはずだった。

 それにしても杉本はどうしてしまったのだろうか。およそ一年前、誰にも止められなかった杉本の姿はもはや微塵も感じ取ることが出来ない。その要因の一端は間違いなくヨンセンの移籍にある(ヨンセンがいた頃はとりあえず目の前のDFを抜いてアバウトでもクロスを上げておけばヨンセンが合わせてくれたが今はそうもいかない)のだろうが、その走りには速いだけではなく(主に守備面での)量も兼ね備えていたはずなのに、今やすっかり走りをセーブするようになってしまった(そもそもそのスピード自体も以前は小林といい勝負をしていたのにこの試合では小林に置いて行かれている有様だった)。三シーズン前だったか、プチブレイクを果たしてオシムの代表合宿に呼ばれたはいいものの、そこでの教えを曲解したのかすっかりサイドに張り付くようになってパフォーマンスが落ちたシーズンがあったが、今回もシーズンオフのポルトガル留学で変なことでも教えられたのだろうか。そんな杉本が普段のトレーニングで良いパフォーマンスを見せているなら話は別だが、もしそうでないのならば、オーストラリアでのACLに向けて今回の遠征に帯同している(試合前のアップは一緒に行っていた)津田や新川といった若いアタッカーにチャンスを与えるべきだと俺は思う。

 試合は同点のままオープンなゲーム展開でカウンターの打ち合いになっていたが、時間とともに疲れの色が濃くなる柏に対して名古屋は交代枠に余裕を残しつついくつかの策がハマっていた。その一つ目は小川とマギヌンのポジションを入れ替えたことだ。小川が真ん中に入ったことでボールが落ち着いた名古屋は中盤でのパス回しにテンポが生まれるようになっていた。そして二つ目は吉田を投入し最終ラインを3枚にし前線に人数を増やしたこと。この二つの策で名古屋の攻撃(カウンター)は随分スムーズにそして効果的になった。
 そして効果的な施策をもうひとつ上げるとすればピクシーがいつもやる阿部→巻という交代を我慢したこと。もし試合が同点のまま終わっていたら、交代枠を一つ残していたピクシーの采配は非難の対象になったかもしれない。しかし俺はここでは我慢したピクシーを評価したい。もちろん上でも書いたような杉本の投入を含め駒の有効活用という部分では不満な点が消えたわけではないが・・・。

 ダヴィによるロスタイムの決勝ゴールは低迷していたチームにひと筋の光明を見出すような劇的なゴールだった。菅野によって何度も行く手を阻まれていたにも関わらず、チームは再びピクシーの言う「Never Give up!」のスピリットを体現し勝ち点3を手繰り寄せたのは評価出来る。
 またしても2ゴールとチームを救ったダヴィは決して器用な選手ではないし技術的なアラを探せばいくつも出てくるだろう。正直言って今のレベルではヨーロッパで活躍するのは難しいかもしれない。しかし前を向いて仕掛ける時の迫力と一瞬のタイミングで相手を振り切るプレーは規格外で年齢的にもまだまだ成長の余地を残す。小手先のプレー(演技とか)に走らずもっと相手DFとの駆け引きが上手くなって行けば、この先さらに成長して行けるに違いない。俺はその成長が名古屋とともにあることを願っている。
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 というわけで、前節に引き続きFC東京をフックに他のJチームの試合を観戦。今日の対戦相手は今シーズン未勝利の千葉だ。バックスタンドのAWAY寄りに座ったので試合前のアップも千葉が目の前だったのだが、それひとつ取ってもなかなか特徴が出ていて面白い。名古屋だと(他のチームでも)大抵締めは各自が適当にパートナーを見つけて思い思いにシュート練習したりパス練習したりしているのだが、千葉は何人かの選手が絡んだ(守備も置いた)コーディネーション系のトレーニングを行っている。試合に向けてイメージの最終確認を行っているのだろうか。

 試合は前節(鹿島戦)では特に前半流れの中からアタッキングサードにボールを運べなかった(得点シーンはアタッキングサードでのスローインからだった)東京だが、この試合では近藤とカボレに面白いようにクサビのボールが入り、そこを基点として後ろの選手が追い越して攻撃の形を作れている。そして前節でもキレのある動きを見せていた石川がPAの外で一人二人と外してミドルシュートを叩き込んで先制に成功した。
 一方の千葉を見ていて思ったことはDFラインからゲームの組み立てていくスタイルがどことなく名古屋と似ているなということ。起点(パスの出し手)という部分では千葉がセンターバックのボスナーであるのに対して名古屋がサイドバックの阿部であったり、もちろん守備ではよりスペースを空けないことを意識してソリッドなスタイルの千葉に対して、名古屋はWボランチがアグレッシブに動き回り(一方でDFラインは下がりながら対応するので)バイタルエリアを開けていたりするなどの違いはあるが、どことなく親しみを感じてしまう。
 それではなぜここまで(5節終了時で)千葉が未勝利なのに対し名古屋が2勝しているのかと言えば、それは個の力に他ならない。中盤の真ん中に構え10番を背負う工藤は悪くない(むしろ名古屋にはいない=欠けているタイプだ)が、巻とダヴィ、アレックスとマギヌンを比べればいずれも前者の劣勢は否めず、米倉と小川に至っては比べる次元にない。そしてそう考えるとなぜ谷澤が使われていないのかとういう疑問が生じてくる。ピクシーが千葉の監督だったら良くも悪くもこういう起用は絶対にしないだろう。
 そして試合は実際に途中出場したその谷澤が起点となり残り4分で千葉が大逆転劇を見せる。昨シーズンの最終節といい千葉にはアレックス・ミラーが持ち込んだリヴァプールのメンタリティが根付いているのだろうか。後半は確かに千葉が攻める時間帯が長かったが、巻が佐原に完全に抑え込まれていて対佐原意識過剰な状態(前線でロングボールを受ける時に今野の方に寄っていたが、常に首を振って怯えるように佐原の位置を確認していた)になっているようでは千葉に勝ち目はないと思っていた。しかし谷澤の登場によって千葉はそこに風穴を空けたのだった。対する東京は明らかに闘えていない選手がいてその選手が集中を切らしていたのが致命傷だった。
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by tknr0326g8 | 2009-04-19 23:26 | Game Review
J2 第8節 栃木×徳島 @西が丘
 徳島がチャンスを作れている時は自分が良いプレーで絡んでいた時だということを青山隼は気付いているだろうか。ゲーム全体を通しては決して6.0を上回るパフォーマンスを見せていない青山だが、青山が身体を張って中盤でルーズボールを奪取し味方につないだ時、前線のスペースへと飛び出して行ってボールを引き出した時、シンプルにワンタッチあるいはツータッチで逆サイドへと展開した時、徳島はこの試合で数少ないチャンスへと結びつけていた。それが自覚出来ているのなら、青山はもっと自信と中心選手としての自覚を持ってプレーしチームに貢献しなければならない。俺はいつか青山が名古屋の中盤を仕切る日が来ることをまだ諦めてはいないが、Wボランチを組み同じような髪形をしている172cmの倉貫が時々182cmの青山よりも大きく見えるようではまだまだ険しい道のりは続くのかもしれない。幸いスタッフ(監督)からの青山に対する期待と信頼はヒシヒシと伝わってくるので、J2というハードな舞台で良い経験を積んで欲しいと思う。

 徳重や倉貫などのタレントが中盤にいる徳島だが、この試合では栃木のディフェンスを前に上手く攻撃を組み立てることが出来ていなかった。(時々無茶苦茶に感じるほどに)荒削りながら卓越したフィジカルを感じさせるファビオとJでの実績も豊富な羽地というこれまた強力な2トップが前線に構えるということもあってか、立ち上がりから奪ったボールはとにかく素早くDFラインの裏へという展開が多い。そして攻守の切り替えが速いとは言えないチームにあっては、SBのポジション二ングがやたらと自重気味なのが目に付く。これではサイド攻撃で相手を自陣に釘付けにすることは不可能だろう。このことは普段名古屋のサッカーを見ているせいもあってことのほか印象に残ったわけだが、後半から右SBに入ったのが名古屋から期限付き移籍中の筑城というのは何かの悪い冗談だろうか。
 最後はほとんど放り込みのような形ながら、栃木GK小針のファンタジー溢れる飛び出しなどもあり、何度か決定的なチャンスを作って会場を沸かせた徳島だったが、今シーズンからJ2に昇格した栃木相手にこの内容では少し寂しい。それは人が重なったりしている守備面でも同じで組織としての完成度では栃木に及ばないレベルだった。

 それに比べると栃木は堅い守備からカウンターのスピードが段違いに速い。後ろからもどんどん飛び出してくるし、特に青山と同じく「調子乗り世代」の河原がキレキレだった。名古屋ファン的視点で見るならば、この試合二度の無回転FK(いづれもGKがなんとかパンチングでクリア)を放ちスタンドを沸かせた米山の存在も見逃せないところだろう。ただ、違いを作り出せる男・佐藤悠介(彼もまたかつて名古屋でプレーしていた)をベンチに置いておくという策(この試合でも佐藤が出てきたのは残り5分ぐらい)は評価の分かれるところかもしれない。
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by tknr0326g8 | 2009-04-16 02:11 | Other Games
J1 2009 第5節 名古屋×浦和 @スカパー 
 大迫と原口、未来の日本代表を背負って立つかもしれない二人のティーンエイジャーが揃ってJ初ゴールを挙げた記念すべき一日に、そのどちらかにLIVEで立ち会えただけでも今日はよしとしなければならないのかもしれない。
 当初は久保(明治)と酒井(駒澤)のユースから続くライバル対決を観に多摩(関東大学リーグ)に行こうと思っていたのだが、たまには他人行儀にJを観戦してみるのも悪くはないかなというわけで、直前にチケットが回って来た味スタへ方向転換。ここではレフェリーの微妙なジャッジにイライラすることもなく、むしろ自分達(が応援するチーム)にとって少しでも不利な判定があると過剰に反応するファンの様子に対しては「こんなリアクションしてちゃレフェリーにプレッシャーを与えるどころか逆に(レフェリーに「こいつら素人だな」と)ナメられるのがオチだ」という感想を抱いたほど。そしてともに日本代表経験がある今野と羽生をWボランチに据えながらどうにも中盤のバランスが悪いFC東京を見ていると、いつもムラムラコンビに対して抱いているストレスも幾らかも緩和され、あまり贅沢ばかり言ってられないという戒めが俺自身の中に生じたのだった。味スタから直帰してTV観戦した名古屋と浦和のゲームで「悪魔の笛」を持つ男・家本がカードを乱発しても、名古屋のサッカーが個人技頼みでちっともコレクティブじゃなくても、必要以上に動揺することなく淡々と観戦することが出来たのはそんなことが影響していたのかもしれない。

 火曜日のACLで最低のパフォーマンスを披露していた名古屋は、阿部、吉村、増川が先発に復帰。しかしチーム状態は決して良好とは言えず、頼みのダヴィも相手チームのマークが日に日に厳しくなっていて公式戦は3試合ゴールから遠ざかっている。浦和がいくらチーム再建中であるとは言え、抱えている選手の能力を考えればこの試合で名古屋の苦戦は免れず、唯一ポジティブになれる要素があるとすれば相性の良さぐらいだろう。
 
 試合は四日前のACLニューカッスル戦同様に名古屋が新生・浦和を「受けて立つ」ような展開でスタート。相手によって自分達のサッカーを変えるようなことはしないと言っている名古屋からどうして相手の出方を見るという発想が生まれてくるのか俺には不思議で仕方ない。「自分達のサッカーで」というのなら何故キックオフから自分本位に猛攻を仕掛けないのか。そもそも名古屋が相手の出方によってやり方を変えるような機転を持ち合わせているとも思えない。こうなると彼等にとって自分達のサッカーというのは考えることを放棄した怠慢に対する言い訳にすら聞こえてくる。

 名古屋が受けに回ってくれたおかげで、最初の10分ぐらいはフィンケ率いる浦和が今年取り組もうとしているサッカーを垣間見ることが出来た。一発のパスでスペースを狙うのではなくワンタッチ、ツータッチで細かくパスをつなぎDFラインと中盤との間のスペースに落ちてきたFWにクサビのボールを当てながら攻撃を組み立てるスタイルは去年までとは大きく異なり、選手間の距離の近さは集散の速いディフェンスでも活かされている。開幕戦で見られたカウンターに対する脆弱さも鈴木と阿部のWボランチによって完全にカバー出来ている。怪我上がりとは言え、名古屋に来れば即ボランチのレギュラー奪取出来そうな細貝が左SBのサブというのもなんとももったいない話だ。

 一方の名古屋は全く組織的なサッカーが展開出来ていない。組み立ての部分では試合前に負傷したらしい玉田の動きが少ないためか、それとも単に浦和のプレスを嫌がってか、ダヴィを狙った単純なロングボールがやたらと目立っていた。そしてアタッキングサードに入ってからも、多くの観客で埋まったタジアムの雰囲気に勝手にテンションが上がってしまったのか、いつも以上に個々のプレーヤーが個人技に走って浦和の素早い寄せを前に行く手を阻まれている。前線のアタッカー4人の個人能力は高いので(特にダヴィと坪井や闘莉王との1対1に持ち込めば)それだけでもチャンスは作れるかもしれないが、これは名古屋のスタイルとは到底呼べる代物ではないはずだ。

 前半終了間際の失点は気を付けなければいけない時間帯に喫したという意味では最悪だが、セットプレーからの流れで闘莉王があのポジションに残っていたという点で不運であり事故のようなゴール。名古屋としては切り替えて後半に臨むしかなかった。そして後半開始と同時に玉田に代えて久しぶりに杉本を前線に投入し、その後お約束で巻と山口を相次いで投入した名古屋だったが結局浦和から得点を奪うには道のりはあまりにも遠かった。パワープレーに転じた80分過ぎに山口が角度を付けずに真っ直ぐ巻にロングボールを放り込んで浦和DFにはね返されるシーンが二度たて続けにあったが、こういうシーンを見ていると(山口個人の戦術理解の問題もあるが)チームとしてこうしたパワープレーに対するトレーニングや意思統一は行っていないのだろう。

 そして名古屋がこの試合で勝ち点を拾う上で致命的だったのがセットプレーの精度の低さだった。実は俺がピクシーの監督就任に際して最も期待していたことのひとつはセットプレーの改善だった。しかしこの一年でその精度は一向に上がらず、昨日の中スポでも浦和戦に向けてセットプレーの確認に時間を割いたという記事が掲載されていたが、そこには相変わらず得点の気配が全くと言っていいほど感じられなかった(唯一の例外が解説の藤川久孝が思わず声を上げていたプレー)。試合前のGKのアップでGKコーチ(マザロッピ除く)が蹴り込んでいるクロスボールを彷彿とさせる名古屋のキッカーの弾道はGKの手の中にそのままスッポリと収まるか、ニアを狙えば相手DFにぶつけ、それではとファーを狙えば誰にも触れられず反対側のゴールラインを抜けて行く。セットプレーはキッカーで決まるとよく言われるが、これではピクシーがテクニカルエリアで頭を抱えたくなるのも無理はない。
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by tknr0326g8 | 2009-04-12 23:24 | Game Review
ACL 第3節 名古屋×ニューカッスル @BS朝日
 ACL初挑戦となった初戦でAWAYながら韓国の蔚山を相手に3-1と完勝を収めた名古屋はどうやらアジアを「こんな程度のもの」と思ってしまったようだ。前節では明らかに自分達より力が劣りディフェンシブな試合の入り方をしてきた北京を相手に(むしろ決定機の数では圧倒されて)スコアレスのドロー。そしてこのニューカッスル戦でも気の抜けたようなパフォーマンスでアッサリ先制を許すという醜態をあろうことかホーム瑞穂で晒してしまった。後半に入ると相手の動きが落ちたこともあり少しは積極的なプレーを見せるようになったものの、局面で身体を張らない選手達のプレーはナメているとしか言いようがない。まがりなりにもプロである選手達は「疲れ」を言い訳にすれば何でも許されるとでも思っているのだろうか。そして技術的に拙いミスを連発するだけでなく、ギコチナイ連携で選手の動きが被りまくる姿にはこれが本当にプロのチームなのかと疑いたくなるような有様だった。

 ゲーム形式のリカバリートレーニングという斬新なことでもしているかのような前半を見ながら、俺が不安に思っていたことはひとつ。ひょっとしたら後半頭から花井は玉田か杉本に代えられてしまうのではないかといういこと。この試合が公式戦初先発となった“名古屋のプリンス”花井聖はダヴィと縦の関係の2トップを組むような形で起用されていて、随所に才能の片鱗を感じさせるような鮮やかなボールコントロールを見せていたものの、いかんせんボールに触る機会が少なく、そのパフォーマンスに及第点以上のものを与えるまでに至っていなかったのは事実である。そしてピクシーのこれまでの采配を考えると、この悪い流れを断ち切るためにピクシーが最初にピックアップするであろう選手はベンチ入りしているメンバーの中で最も信頼が置ける選手=玉田であり、そんな玉田を花井に代えて後半頭から投入するというのは容易に予想できる事態だった。
 しかしこの試合の前半を見ていれば選手交代を行うべきポイントが他にあることは一目瞭然だ。コンディションを優先に考えるなら田中と小川に休息を与えるべきだし、ニューカッスルのディフェンスを崩すべく戦術的な意図を持った交代を行うなら中村か山口をベンチに下げこのポジションにゲームをコントロール出来るような選手を配置すべきだった。リードされた展開での玉田投入が既定路線であったとするならば、せめてその交代は中村とにして花井を一列下げてプレーさせるような選択肢を持って欲しかった。

 現実はどうなったかと言えば、やはりピクシーは花井の代わりに玉田を後半頭から起用してきた。この時点で“アマチュア”観戦者である俺のモチベーションは大幅ダウン。これでチームが帳尻合わせのように体よく逆転でもしてしまったら、若干19歳の“名古屋ユースが生んだ最高傑作”は前半に最低のパフォーマンスを晒していたチームのスケープゴートにされかねない。
 しかしそんな俺の思惑をよそに、玉田を2トップの一角に起用した名古屋は明らかに前半よりも攻撃面では好転を見せていた。代表との掛け持ちにより休みなしで稼働している玉田とフレッシュな花井という要素も考慮に入れて考えると二人の間に技術的な差はほとんどない。しかしこれは本人達というよりは周りのプレーヤーの意識として、玉田なら安心して預けられるボールも花井だとそこまでは信頼出来ていない(パスを出せない)といった心理的な問題があるのかもしれない。玉田の投入によって相手陣内でボールを動かすことが出来るようになった名古屋は相手陣内でプレーする機会が増えていった。
 また一度中盤まで引いて来てボールを引き出す玉田のプレースタイルはもはやこのチームに欠かせないものだ。玉田の登場は前半に全くゲームのリズムを作れなかったWボランチの欠陥も補っていた。上でも書いたように俺はこのボランチのポジションにこそ花井を起用してここでゲームをコントロールすべきだと思ったし、それはこれまでも名古屋のボランチに対する不満として散々このブログで書いてきたことだが、ピクシーはそんなことは全く望んでいないのだろう。Wボランチは2トップと攻撃的な両サイドハーフを生かすために(彼等の守備の負担を軽減するために)中盤の広大なスペースをひたすら犬のように走り回ってボールホルダーへのチャレンジを繰り返し、攻撃に参加するサイドバックの穴(スペース)埋めを行う(この試合では攻撃参加したCBバヤリッツァの穴埋めというオプションも加わった)。簡単に表現すれば「ショートパスをつなぎながらサイドチェンジを入れてサイドから崩す」名古屋のサッカーで、ボランチにチャンスメイクはおろかゲームを組み立てる役割すら求められないことに対して違和感を感じる人間は俺一人ではないだろうが、ベンゲル時代の両SBがこのチームではWボランチに入れ替わったのだと思えばこの歪な状態もなんとなく腑に落ちる。決して陽の目を浴びることがない徹底的な脇役。またそう考えると太陽のような花井をここに置くことに対する場違い感もよく理解できる。願わくば今のチームでそのポジションを担う中村がパスを受ける前にもう少し周りの状況を確認しておいて欲しいし、チームが行き詰った時には吉村はもっと顔を出してボールを引き出す意識を持って欲しい。またこの試合で吉村に代わって先発を任された山口には本来備えているはずのリーダーシップを発揮して前にいる選手へのディフェンスの指示やDFラインとの連携を図ってほしいところだ。

 玉田の投入によって後半になって少しは改善された名古屋の攻撃だったが、玉田ひとりによって全ての事態が好転するほどニューカッスルも甘くはない。今書いたようにWボランチが攻撃の組み立てに参加しない(出来ない)分、名古屋はDFラインにビルドアップの能力が求められているわけだが、そのキープレーヤーである阿部を休ませてそのポジションに竹内を入れていることに加えて、明らかにコンディション不良の田中がアマチュアレベルのパスミスを連発して次々とピンチを招いているようではどうしようもなかった。相手がオーストラリアのチームということもあるので、セットプレー対策として竹内が起用されることは事前に十分予測できたが、「結果論」としてこれなら竹内を右、左に佐藤を入れた方がよっぽど良かった。ビルドアップの出来るSBとして阿部のバックアップにと期待されていた流通経済大学出身のルーキー平木がまだセカンドチームで修行中であることを考えると、消去法で代役は竹内か佐藤しかいないが、どちらもビルドアップでは大きな期待は出来ないので、いずれにしてもサイドハーフにボールを預けてそこにオーバーラップを掛けて数的優位を作るような攻撃を考えるしかない。そうなるとユーテリティを名乗る割には左サイドで攻め上がった後のプレーが特に雑になる竹内よりも、蔚山との試合でマギヌンと良いコンビネーションを見せスピード溢れる突破を披露していた左利きの佐藤の方がいい。そして竹内は田中の代わりに右SBとして使えばベストだった。

 頼みのダヴィも相手のマークがキツくなりまたコンディション的にも開幕当初のようなキレがなくなりつつある中で少しづつパフォーマンスが落ちてきている。このチームで最も替えの効かないパーツであるダヴィは一手にこのチームの浮沈を握る存在となってしまった。個人で替えが効かなければチームとして補うしかないが、ここはピクシーの手腕が問われるところで、清水戦では4-1-4-1だったりこの試合では田中を右、小川を左のウイングに張らせた3バックと新たなオプションをチームに加えてはいるものの、どうもこのところさらにマギヌンへの負担が大きくなっているのが気になる。試合終盤になると決まって中央に移りボールを受け一人二人と交わしてボールを前に運んで行く“スーパー”マギヌンなくして今の名古屋は成り立たなくなりつつある。そしてそこには誰が出ても同じようなプレーが出来ると語ったベンゲルのコレクティブ・フットボールの原型はない。

 玉田の個人技(鮮やかな直接FK)によって悪い流れながらもなんとか引き分けに持ち込んだ名古屋。とりあえずは勝ち点1を獲得できたこと(相手に3を与えなかったこと)と怪我人が出なかったことを前向きに捉えて週末の大一番・浦和戦そしてACL残りの3試合と戦い続けて行くしかない。
 それにしても嫌なタイミングでの浦和戦である。結局今日の試合で休めたのは増川と吉村と阿部だけ。田中や小川はコンディションに大きな不安を残し、田中の代わりは竹内でも何とかなるが小川の代わりが見付からない。これは橋本を筆頭とした中盤のアタッカーをこれまで使ってこなかったツケでもあるが、それでも小川を外すとなれば、ピクシーはヨンセンなき今サイドハーフとしては全く機能していない杉本を選択するだろう。杉本としては去年のナビスコカップで浦和相手にハットトリックを達成するなど良いイメージを持っているかもしれないが、去年の浦和戦で杉本が活躍できたのは昨シーズンの浦和が3バックの脇に致命的な欠点を抱えていたからであり、今シーズンの浦和にはそんなものはない。ここはやはり小川を強行出場させるのか悩みどころだ。そして両チームのチーム状態を考えれば、プロ初ゴールをプレゼントするのが大好きな名古屋だけに今度は山田直樹あたりにやられそうな気がプンプンする。ただ名古屋にとってラッキーなのはシーズンがまだ始まったばかりということもあり浦和のパスサッカーが完成形に至っていないということ。広い中盤を二人のボランチがカバーして守る名古屋は昨シーズンの例を見ても中盤でしっかりとボールを動かせるチームには常にお手上げだった。浦和の発展途上のパスワークに振り回されつつも(最終ラインが辛抱強く耐えて)相手のミスを待ってカウンターというのが名古屋にとっては勝利への道筋となるのではないだろうか。そして浦和がパス回しに気を取られるあまりポッカリと空いたバイタルエリアからミドルシュートを打つことを忘れてくれることを願いたい。
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by tknr0326g8 | 2009-04-08 03:02 | Game Review
JFL 第4節 町田×刈谷 @町田
 コーチとして“キング・オブ・トーキョー”ことアマラオが加わるなどの興味深い話題はあったものの、先日名古屋オーシャンズへの入団(練習生契約)が発表された元“名古屋のプリンス”平林や、平林と同じく名古屋ユース出身の松田や諸江といった選手達が抜けてやや関心が薄れつつあるFC刈谷のゲームを観戦に町田まで。対戦相手となる町田ゼルビアは「昇格請負人」こと戸塚哲也を監督に迎えた昨シーズン見事JFL昇格を果たし将来的なJリーグ昇格を目指しているクラブ。こちらにはかつて名古屋やFC岐阜でプレーしていた深津康太が在籍していたりする。

 町田駅からバスを乗り継ぐという悩ましい立地にあるスタジアムは、路線バスの終点となる停留所(車庫)から無料のシャトルバスが出ているわけだが、どちらも同じバス会社であることだし、「300円払うから駅からシャトルバスを出して欲しい」というのが率直な感想。またスタジアムは小じんまりとしたメインスタンドを除けばゴール裏からバックスタンドにかけて芝生席になっており、裏にある公園とは高さ1mに満たない柵が設けてあるだけなので、時節(お花見シーズン)がら酒の肴にと「無料観戦」の立ち見組がたむろしている有様だった。無論クラブの(ボランティア?)スタッフがそこに出向いては一人づつ「有料の試合となりますので・・・」と説得して回っているのだが、何ら強制力がない上地域密着を掲げている以上彼等をむげにあしらうわけにもいかないので必然的に口調は穏やかになり、また他の仕事もあってそこにスタッフを常駐させるわけにもいかないので、この試合に500円を払う気などサラサラない野次馬は追い払っても追い払ってもたかってくる蠅のようにフェンスから消えることはなかった。ゼルビアは2011年のJ2昇格を目標としており、このまま行けば無料でJが楽しめる不景気に優しいクラブが誕生するかもしれない。

 そんなわけで試合。上でも書いたように平林を筆頭とした昨シーズンの主力選手が何人か抜けた刈谷は4-1-4-1のようなフォーメーション。昨シーズンの今頃ジェフR戦や横河戦を観た時も同じようなフォーメーションで戦っていた記憶があるが、全体的にやや小粒になった印象は拭えず、またまだチームとしてのコンビネーションや戦い方が消化できていないのか、JFLに昇格したばかりの町田に立ち上がりからゲームを支配され押し込まれるような展開が続いた。
 今シーズン草津から移籍してきた池上やアンカーの酒井を中心に粘り強く町田の攻撃を凌いでいた刈谷だったが、攻撃は1トップに入った中山と左サイドの姜(今シーズンFC岐阜から移籍)という小柄でスピードのある二人のアタッカーを走らせてDFラインの裏を狙わせるしか手がない状況。J1でも対戦相手に脅威を与えるほどのフィジカルを誇っていた和多田(昨シーズンで退団)は別格として、前線で泥臭く身体を張り続けていたオイサー伊藤を失った(引退)ことがチームとしては大ダメージのようだ。個人的にはJAPANサッカーカレッジにいる富岡英聖などは色々な面でオイサーの後釜にうってつけの人材だと思うんだが、双方にとってそんな需要はないんだろうか。

 そんな中先制点を挙げたのは押されていた刈谷。相手をハーフコートに押し込むぐらい攻めても攻めても得点に結び付けられない町田は攻め疲れからか徐々に刈谷のカウンターを許すようになり、何度かオフサイドに引っ掛かっていた刈谷もようやくシュートまで持っていけるような展開を作り始めていた。そしてその流れで得たコーナーキックから目下リーグ得点王の池上が完璧なヘディングで合わせて今シーズン早くも3点目を決める。4節を終わって3得点で得点王のCBがプロ三年間でまともに出場機会もなかった選手だとはとても信じられない。

 次に試合が動いたのは後半。刈谷は前線にボールが収まらない(ハイボールを入れてもことごとく弾き返される)ので相変わらず苦労していたが、思うようにいかない町田もイライラしていたのかラフプレーが多くなってきていた。そして後半開始から10分が経過した頃、ボールコントロールしようとした時に相手のダーティーなプレーによってもつれるように倒された高橋が下から相手の胸のあたりを両足で蹴り上げて一発レッド。刈谷は数的不利を余儀なくされてしまった。
 一人退場となった刈谷は中盤をフラットにして4-4-1のようなフォーメーションに変更せざるを得なかった。しかし完全に尻すぼみ状態の町田とは対照的に、むしろ刈谷は11人の頃よりもボールを大事にするようになり、無駄なロングボールがなくなって安定した戦いが出来ている印象すらあった。そして我慢を続けていた刈谷に神様からのプレゼントが訪れる。町田のFWがクロスボールを処理しようとした刈谷GKに向かってやや無謀な形で突っ込んでこの日二枚目のイエローカードをもらい退場を宣告される。
 これで俄然勢い付いたのはもちろん高橋の退場後もリズムを崩さなかった刈谷の方。町田のDFラインのミスからボールを奪った姜が独走しGKとの1対1を迎えると冷静にGKの上をフワッと浮かして追加点を奪い、さらに終了間際には交代で入った森山が右サイドを破り逆サイドのサイドネットに突き刺さるようなシュートを決めて3点目を決めた。

 町田はFWが退場した後にあろうことかベンチスタートだった深津をFWに投入してパワープレーを仕掛けてきた。深津が先発でないことにも驚きだったが、どうやら前節でも試合途中から同じような起用をしていたらしく、確かに深津のポジショ二ングやロングボールを放り込む角度なんかを見ているとこうしたトレーニングは普段からしっかりと行っているようにも思える。しかし将来的なJ昇格(定着)を目指すのならば、こうした付け焼き刃ではなく地道にチーム力を底上げして行くことが必要なようにも感じた。かつて(今も?)岐阜が味わったジレンマを町田も遠からず感じることになるのかもしれない。

 一方色々な意味でよく我慢した結果が報われ最終的にスコア上では完勝を収めた刈谷は今後も厳しい戦いが続くことが予想されるが、またチーム一丸となって乗り切って行って欲しい。
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by tknr0326g8 | 2009-04-05 23:42 | Other Games
J1 2009 第4節 川崎×名古屋 @等々力 
 なぜだかこのところ三シーズン連続で真夏のナイター開催が続いていた川崎でのAWAYゲーム。麗らかな春の午後に名古屋が等々力で試合を試合をするのは川崎がJ1復帰を果たした4年前のシーズン以来で、その時はジュニーニョが欠場した川崎(ジュニーニョの代役はブラジルから来日したばかりのフッキだった)を相手にJ1の貫禄を見せた名古屋が中村の鮮やかな直接FKなどで2-0と完勝を収めている。そしてその時以来名古屋は川崎に勝っていない。その年の10月にホーム(瑞穂)で対戦した時にはジュニーニョにハットトリックを決められるなど散々なやられっぷりで既に立場はすっかり逆転していたが、「加減」というものを知らず、ハリケーンのように相手DFを蹂躙していく川崎の攻撃陣はその時以来名古屋にとって脅威であり続けている。

 かくいう俺もこと川崎戦となると全く勝てる気がしないどころか恐怖感の方が上回っている始末だ。川崎の攻撃を止めるためにはボールの出どころであるWボランチ(中村憲剛)を潰すことというのはもはや鉄則で、俺も4シーズン前の大敗後のレヴューの中でそれについて触れているのだが、そもそも相手の○○を潰して・・・という発想こそが相手に対して気後れしている証拠。いつまでもプロビンチャ気取りでいてもらっては困る名古屋には、今回の試合前にピクシーが表明していた“真っ向勝負”はいつかは立ち向かわなければならない壁でもある。

 試合から二日前の中スポには川崎戦を控えた名古屋のトレーニングの模様がレポートされていた。文中のトレーニング内容だけ読むと、「サイドバックが上がったスペースをWボランチがカバーする動きの確認」という単なる守備のトレーニングのようだが、実はここにこそピクシーの川崎戦に対する考え方のヒントが埋め込まれている。サイドバックが攻め上がった後のスペースのケアがテーマということは、ピクシーがサイドバックを攻撃に参加させる気でいることの裏返しでもある。すなわちピクシーは川崎相手に攻める気でいるのだ。ボランチがサイドバックの空けたスペースをケアするというのはそのためのリスクヘッジでしかない。
 俺は川崎戦に限っては、フェルフォーセンが二シーズン前の等々力で見せたような、自分達を「格下」と認めオールコートでのマンツーマンで相手の良さを消す大分のような戦い方が良いのではないかと思っていた。実際ニシーズン前の名古屋は局面の1対1で「格上」の川崎を上回るファイティングスピリットを見せ、理解不能な本田の退場とロスタイムでのジュニーニョの同点弾さえなければ・・・というところまで川崎を追い込んだ。またフェルフォーセンの細かなポジショニング指導によって頭がバーストしすっかり不調をかこっていた中村直志が、戦術理解が高くないプレーヤーに向いているとされるマンマークによって中村憲剛の担当を任されそのシーズン一番パフォーマンスを見せていたのだった。
 しかしピクシーは「私はマンマークディフェンスが嫌いだ」とこうした戦い方を拒否。そこには開幕からリーグ戦、ACLを通じて無敗と好調なチームに対する手応えも伺える。真っ向勝負で川崎を打ち破ればチームにとって自信は本物になるだろうし、少なくとも俺の中でのピクシーに対する評価が数ランクアップすることも間違いない。

 そうして迎えたキックオフ。立ち上がりこそ前からプレッシャーを掛けに来た川崎に押され気味だった名古屋だったが、奪ったボールを素早く川崎DFの裏に送り込むシンプルなカウンターで徐々に盛り返し、左サイド小川の突破からゴール前マギヌンが飛び込んで先制ゴールを奪うことに成功する。昨シーズン名古屋躍進のメインキャストだった両サイドハーフが絡んでの鮮やかなゴールは、二人のDFの間を割って入って振り切った小川のドリブルも、しっかりとファーサイドからゴール前に詰めて怖がらずに飛び込んだマギヌンも秀逸だった。こういうゴールを見せられると小川のCH起用を推奨している俺にも心の迷いが生じてしまう。やはりこのチーム(の戦術)では最も能力の高いMFはサイドに置いておくのが優先事項なのかもしれない。

 しかし名古屋は前半のうちにアッサリと逆転を許してしまう。試合運びの拙さと言ってしまえばそれまでだが、二つの失点シーンはいずれも名古屋が抱える構造的な課題が露になっていた。
 一失点目は、楢﨑の目の前(すぐ隣)に立っていたチョン・テセがオフサイドだろう?とか、ゴール前に詰めてきたV・ジュニオールに気付かず前に入られてしまった田中のミスだろう?とか色々な見方はあるが、基本的にディフェンスを期待できないマギヌンが川崎の右SB森をアッサリと行かせてしまったのがそもそもの発端だ。相手のSHへの対応に加えてスピードに乗ったSBの相手までさせられてしまっている阿部を少々気の毒に思ったシーンはこの試合一度や二度ではなかった。だがこのマギヌンの微妙なポジショニングはターンオーバーした時にこの上ない武器になる。決して端から守備を放棄して前線に張り付いているわけではなく、かと言って積極的に守備に絡んでいるわけでもないマギヌンは、チームがボールを奪った時得てしてボールを受けやすい位置にフリーで立っていることが多い。そこがチームにとっては攻撃の基点となる。そして(DFを寄せ付けない超絶ドリブルや観客の感嘆を誘うようなパスを持っているわけではないが)独特の身のこなしから局面を切り開いてチャンスを作り出すマギヌンのプレーはスーパーで、こうなるともはやその存在はチームにとって諸刃の剣だ。
 二失点目はコーナーキックからファーサイドで折り返されたところを中央で谷口に頭で押し込まれたもの。ボールが飛んだコースが良かったのでGKの楢﨑やゴールポストの脇に立っていた小川はノーチャンスだったが、名古屋のDFはボールがファーサイドに流れた段階でホッっとしたのか集中が切れ足が止まってしまった。名古屋は長身選手の絶対数が減っても昨シーズンと同じゾーンディフェンスを続けている。そして最近では171cmの阿部が180cm超の選手達と並んでゾーン(ライン)を形成している。川崎は寺田が常に阿部のいるファーサイドに流れるなどそこを狙っていた節がある。確かに阿部は小柄な割にジャンプ力もありヘディングの競り合いでもそう簡単には負けないが、これからも相手チームの一番ヘディングの強い選手がここを狙ってきた時名古屋デイフェンスは耐えられるだろうか。とは言え、あくまでこの失点の責任は阿部というより足を止めてボールウォッチャーになってしまった中の選手にあるのだが。

 前半はその後リードを奪った川崎がかなりペースを落としたこともあり、名古屋がボールを持つ時間が多いまま終了。ただ名古屋の選手達は川崎のカウンターを警戒していたのかリスクを冒さないやや慎重なパス回しが目立っていた。

 後半になるとボールをキープする名古屋と網を張って守ってカウンターを狙う川崎という色合いが益々鮮明になる。ここで驚いたのは名古屋が「成す術なく」とはならずポゼッション志向で攻撃を組み立てて行こうとしていること。川崎が持たせているのだから当然と言えば当然だが、川崎の網に引っ掛かってカウンターを浴びながらも、名古屋は中央でパスをつないで相手を食い付かせてサイドへと展開するという狙いが観ている側にもハッキリと伝わって来た。ただ予想以上にボールが持てることで余計な欲を出してしまったのか、それとも単に技術がないだけなのか、はたまた慣れないプレーをしているしわ寄せなのかは分からないが、名古屋はゴールへとダイレクトに向かうプレーが少なくなってしまった。後半名古屋サポーターに背を向けていた川崎GKの川島がなかなかボールに触れずに少し寒そうに身体を擦っていたのが印象的なぐらい。そして相手を食い付かせたのはいいが、餌ごと持って行かれてしまうかのように、DFラインから出たボールを吉村がコントロールしようとしたところで相手のチャージを受けて奪われると、そのままゴールまで一直線に持って行かれダメ押しとなる追加点を奪われてしまう。

 その後試合は2点差となったことで意気消沈したのかすっかり覇気がなくなってしまった名古屋だったが、終盤には再び息を吹き返し最後まで攻撃する(得点を狙う)姿勢を見せたことは素晴らしかった。そしてそれは名古屋の「Never Give Up!」という言葉が単なる標語ではないことを十分に実感させるものでもあった。その意味ではピクシーが杉本や巻といった前線のプレーヤーを中盤や最終ラインの枚数を削って次々とピッチに送り込んだ交代策は、プレー面では(あろうことか田中の前に蓋をしていた杉本や何故かサイドに流れていることがあった巻など)完全に機能不全を起こしていたものの、明確な「メッセージ」として選手達に届いていたのかもしれない。

 またしても川崎の壁を破れず1-3というスコアで敗戦を喫した名古屋だったが、俺個人としてはそれほど悲観はしていない。川崎がこの先の連戦を睨んで(特にリードしてからは)省エネスタイルの戦い方をしていたという事実はあるが、川崎に対して名古屋がこうしたポゼッション志向の戦い方を実践して挑んで行けたことは(それが攻め切るという形においては全くもって完遂していなかったとしても)大きな収穫。むしろ(多少のメンバー変更は必要かもしれないが)長いボールを含めゴールに向かうダイレクトプレーを増やすなどもう少し攻撃に変化を付けられれば、次の対戦では川崎と真っ向勝負で打ち負かすことも不可能ではないという感触が俺の中には残った。ジュニーニョの衰えとともに少しづつ下降線を辿っている川崎に以前ほどの恐さは感じず、3年後に勝っても何の自慢にもならない。今日を含めこれまでの借りは8月の瑞穂でキッチリと返すべきだろう。

 選手個々では吉田と山口のプレーが印象に残った。吉田は今や東アジア屈指のストライカーであるチョン・テセとのマッチアップでは一歩も引かないどころかことごとくこれを抑え込んでいたし、二シーズン前の対戦ではボールを奪うことはおろか身体を当てることすらさせてもらえなかったジュニーニョにもよく付いて行っていた。最後のカードとして出てきた山口は出場時間こそ短かったが闘志を前面に出したプレーで中盤で出色のパフォーマンス。いびつな選手交代により4-2-4のような形なっていた試合終盤の名古屋で相手のマークをかいくぐり前線にパスを運んだり配給し続けていたマギヌンと相手のボールホルダーを潰しまくっていた山口という2枚の中盤が見せるプレーは文字通り鬼気迫るものだった。
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by tknr0326g8 | 2009-04-05 01:59 | Game Review
選手紹介#17 “必殺仕事人”大森征之
 昨シーズンまで名古屋で4番を背負っていた大森征之の引退がクラブを通じて発表された。名古屋に在籍すること11年、出場試合は200試合を上回る。これはもはやクラブにとってひとつの歴史であり、昨シーズン開幕前の移籍騒動で(少なくとも俺の中には)心情的なシコリを残した大森だったが、名古屋について語るならば彼についても触れなければならない。

 名古屋の背番号4と言えば、チーム設立当初からのメンバーであり二度の天皇杯優勝でいずれもピッチに立っていた“ミスター・オウンゴール”こと飯島寿久(現トップチームコーチ)が思い浮かぶが、もし将来誰かがクラブの歴代ベストイレブンを選定することがあるとすれば、その俎上に上がるのは飯島ではなくその飯島から背番号4を受け継いだ大森の方だろう。タイトルとは直接無縁だった大森だが、彼が優れたプレーヤーであったという事実に疑いの余地はない。

 そんな大森のチーム加入は1998年。時の名古屋監督である田中孝司がユース代表監督時代に大森をトレーニングキャンプに呼んだことがあり、その縁もあって当時JFLの鳥栖でプレーしていた大森を引っ張ったと言われている。今から考えれば、大森を引っ張って来たことと中谷をデビューさせたことが田中孝司が名古屋に残した数少ない功績だ。ちなみに大森が1995年に広島に入団した時の同期が久保竜彦、その広島を一年で解雇になり移籍した鳥栖でコーチとして後の大森のサッカーに対する考え方やプレースタイルに大きな影響を与えたとされるのが今シーズンから大宮の監督に就任した張外龍である。

 名古屋への入団後どちらかと言えば地味な存在だった大森だが、ほどなくして彼は「期待の若手」となり古賀・福田・中谷の通称“トルシエ・ボーイズ”とともに脚光を浴び始める。そして大きな転機は2000年。言わずと知れた清商トリオの解雇騒動によって大森は若くして名古屋の中心選手となった。トレードマークは甲高い声。入団当初に左SBとして出場した試合で目の前にいた当時日本代表の平野孝に「ヒラノっ!!」とやって少しムッとされていたシーンが脳裏に焼き付いているが、クレバ-な状況判断に基づいたコーチングは当時から際立っていたし、それは十分中心選手としてプレーするに足るものだった。
 レギュラー定着したばかりの頃はサイドバックとしてプレーすることが多かった大森はどちらかと言えば攻撃面でその特徴が際立っていた。とりわけシザースの切れ味は抜群で、爆発的なスピードがあるわけではないが、スピードを落とした状態から一瞬で相手を置き去りにするフェイントは名古屋のタッチライン際の名物のひとつだった。またスペースでボールを受けるというよりも足元でボールをもらうタイプの大森は、晩年のピクシーに「俺がボールを持ったら後ろを回れ」と試合中に怒られたりもしていたが、清商トリオ退団直後の神戸戦で左SBの位置から再三に渡り左SHの滝澤にスルーパスを送り滝澤のプチブレークをアシストしていた。
 こうしたパスの能力はストッパーに定着してからもしばしば発揮され、その右足から放たれるキックの質、戦況(狙いどころやタイミング)を見極める眼ともに申し分ないフィードは何度もチームにチャンスをもたらしている。最も印象深いのは名古屋が降格の危機に瀕していた2005年の第31節・G大阪戦で、ラスト10試合でたったの2勝(1分7敗)しか出来なかった名古屋が奪った勝利のうち1勝がそのシーズンでリーグ初制覇を成し遂げたG大阪からだったのだが、その試合で未だにサポーターの間では語り草になっている鴨川の(宮本を吹っ飛ばして決めた)先制ゴールをアシストしたのが大森からの正確でタイミングの良いフィードだった。
 そんなゲームの流れを読む力がありパスも出せる大森を中盤で起用出来ないのか?という考えはおそらく誰もが思い浮かべるはずだ。実際ペップ(グァルディオラ)を崇拝する大森も当初はボランチでの起用を望んでいたとされ、その身体にはペップ譲りのパスのリズムが染みついていた。そしてこのポジションを重視していたネルシーニョがクサビのパスを出してゲームを作れないムラムラコンビに痺れを切らして試した奥の手が大森のボランチ起用だった。しかし俺は決して悪くない感触を得ていたこの起用も、残念ながら周りや本人の怪我によって長続きすることはなかった。

 だがそんな大森もいつか振り返られる時があるとすれば、おそらくそれは晩年にDFリーダーとして強いイメージを残した「守備」の面でだろう。2002年から2003年にかけてズデンコ・ベルデニックのもと、(特定のマークを持たず)カバーリングに専念するリベロ・パナディッチともう一人のストッパー古賀正紘とともに「鉄壁」と称される3バックを組んでいたのが大森だった。正しいとか正しくないとかではなく、個人的な感想としては思い出すのもおぞましいズデンコ時代の守備的なサッカー(今の大分をもっと守備的にした感じ)において、当時浦和に在籍していた全盛期のエメルソンを完璧に封じていた大森のディフェンスは数少ない見せ場だった。パナディッチそして楢﨑という後ろ盾があったとは言え、当時の大森は「エースキラー」の称号を欲しいままにしており、その後相次ぐ怪我でそのプレーから少しづつキレが失われていったことを考えても、大森はズデンコのもとでキャリアの全盛期を迎えていたと言っていい。
 その後大森に対して絶対的な信頼を置きまた大森も心酔していたフェルフォーセンのもとでも大森は3バックの一角として不動の地位を確立していたが、結局そのパフォーマンスが怪我の前の状態に戻ることはなかった。個人的には味スタでのFC東京戦でなんでもないボールコントロールをミスった大森に対して近くにいたFC東京のレプリカを着たサッカー少年が失笑していた場面がなぜか印象に残っている。そして2007年にホーム(瑞穂)で1-4という惨敗を喫したG大阪戦で俺の中でのプレーヤーとしての大森は終わった。バレーに蹂躙されて心が折れたのか、すっかり集中力を失って次々と失点を許すると、極め付けは播戸の鋭いフェイントに尻もちをつかされるかのように振り切られ豪快なゴールを叩き込まれた。大森がここまで完全に抜き去られたのは、他には2000年のヴェルディ戦@国立競技場で飯尾一慶に抜き去られた時ぐらいしか思い付かない。W杯とも日本代表ともリーグ戦での得点とも縁がないままひたすら地道にチームを支えてきた選手のプレーヤーとしてのひとつの時代の終焉がそこにはあった。

 そんな大森は今後指導者にも興味を示しているという。人格的にも素晴らしく卓越した戦術眼も併せ持つ大森ならきっと優れた指導者になれるだろうし、その力を名古屋の育成のために貸してくれたなら幸せなことだと俺は思う。この際一年前の移籍騒動はノーサイドだ。そして偶然にも大森が引退を発表する数日前、俺はユースで往年の大森を彷彿とさせるプレーを見せる選手を見掛けた。決して身長に恵まれているわけではないが粘り強い対応で相手のアタッカーを封じ、自らボールを持てば前線に鋭いフィードを入れる19番の奥山が(彼自身はこれまでも何度か見てはいたが)どことなく大森と被って見えたのはなにかの偶然だろうか。そして大森と同じ甲高い声でコーチングを行うのは週末にプレミアカップ東海大会に挑むU-15のニッキ。トップチームで4番を引き継いだ吉田も含め大森の意思は名古屋できっと彼等が受け継いでくれるだろう。
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by tknr0326g8 | 2009-04-03 01:53 | Player's Profile