Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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キリンカップサッカー2009 チリ代表×ベルギー代表 @フクダ電子アリーナ
 コンディションが万全とは言えないながらも確かな技術を持ったガタイのいい選手達で構成されるベルギー代表は言うなれば全員が本田圭佑。コンディションが上がって来れば直接対決となる日曜日が楽しみだ。
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by tknr0326g8 | 2009-05-30 20:38 | Other Games
キリンカップサッカー2009 日本代表×チリ代表 @長居スタジアム
 例えばG大阪のジュニアユースからユースへと昇格出来なかった時、例えば移籍先のオランダ(VVV)で2部降格を経験し直後の北京五輪では目標のメダル獲得どころか1勝すら挙げられずグループリーグ敗退を喫した時、挫折や屈辱を味わう度にパワーアップして帰って来る本田圭佑という男はまるでサイヤ人だ。日本ではCSでの中継はおろかスポーツニュースで紹介されることも全くないオランダ2部でMVPを獲得した本田圭佑が今度はどんな進化を遂げたのか確かめるために遥々やって来たのは大阪長居スタジアム。
 コンディション不良のためか大久保や松井がメンバーを外れ、日本不動のナンバー10・中村俊輔もリーグ戦が終了して帰国したばかりということで、本田は期待通り先発出場。代表では今や定番となった玉田のワントップの下に三人(この試合では本田、中村憲、岡崎)を並べる布陣も本田が入っただけで随分と新鮮な感じがする。そして本田については中村俊輔の代役的位置付けなのか右サイドで起用されていることに少し驚いた。名古屋にいた頃の記憶ではやはり真ん中から左サイドの方が力を発揮しているイメージがあり、右サイドに回った時はシュートの意識こそ確かに高まっていたがどこかしっくり来ていないイメージだったからだ。しかしオランダでもどちらかと言えば右寄りで起用されているらしい本田は、右サイドで名古屋時代には見せたことがないようなスムーズな適応を披露しさらに俺を驚かせた。また本田と言えば屈強なフィジカルが持ち味のひとつだが、当たりの強さはそのままに良い形で身体の力が抜けて一連の動作が行われており、岡崎の先制点につながった無回転系のミドルシュートやそこに至るプロセスも実に滑らかだった。
 願わくば名古屋で小川と本田が同じピッチでプレーするところが見てみたかったというのが名古屋ファンにとっての偽らざる気持ちに違いない。
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by tknr0326g8 | 2009-05-28 20:41 | Other Games
J1 2009 第13節 磐田×名古屋 @スカパー 
 ACL出場に伴う過密日程を強いられている今シーズンの名古屋だが、この試合に限って言えば、ミッドウィークにナビスコカップを戦っている磐田に対して名古屋はACL(北京戦)で主力を温存しており、体力的にはむしろアドバンテージがあるはずだった。磐田は特に救世主のイ・グノに疲れが見られるとの情報もあり、名古屋からすれば北京遠征に帯同することもなく休養たっぷりの主力選手達がハイレベルのパフォーマンスを見せられれば十分に勝機を見いだせる試合だ。
 しかしそんなコンディション的なアドバンテージを生かせる試合であるにも関わらず、ピクシーは敢えて巻や竹内、山口といった水曜日の試合にフル出場している面々を先発で起用してきた。今朝の朝刊で「復活2トップ、ダビ&玉田」とブチ上げていた中スポも全くもって良い面の皮だが、これは俺にとっても正直意外な采配だった。ベンチ入りした松尾や花井、新川といった面々は明らかにご褒美的な意味合いだろうが、玉田や田中といった主力をベンチスタートにさせてまで彼等を先発起用する理由がどこにあったのか。考えられるとすれば、磐田がハイクロスに弱いというスカウティングを行っていたということ。実際セットプレーでも名古屋の選手が競り勝つ場面は多く、クロスボールを送り続ければそのうち得点が生まれるのではないかという予感は漂っていた。ヘディングの強い巻とセットで、(田中ほど安定感はないが)タテへの勢いがありクロスマシーンに徹することが出来る竹内を右SBで起用したというのもこう考えれば合点が行く。そして本来であれば杉本を起用するであろう右SHに中村を回した(センターに山口を起用した)理由についてはジウシーニョ対策と見るのが妥当だ。どうしてサッカーの記者は一等席で観戦し会見に出席するという特権を得ながらこういった疑問を解決してくれないのだろう。

 試合は立ち上がりから守備ブロックを固めている磐田に対して名古屋が攻めあぐむ。クロスボールを巻に合わせようにも深い位置まで侵入できない名古屋は必然的にロングボールやアーリークロスが多くなり攻撃の精度は低かった。そしてボール扱い(パス回し)の決して上手くない右サイドのコンビ(中村&竹内)やボランチのところでボールを失っては磐田にカウンターを浴びる展開が続く。
 このようにサイドのスペースが消されて自慢のサイドアタックを封じられた時、名古屋がボランチのところでチャンスメイクを行うことが出来れば・・・というのはこれまでも何度となく書いてきたことではあるが、そもそもこのチームにそんな発想はない。この試合でもボランチが果たしていた役割はと言えば、稀に前を向けた時でも迷うことなくサイドにボールを展開したり、ウイングのように高い位置に張り出した竹内の空けたスペースをケアするといった守備的なタスクだった。

 前線でコンビを組むダヴィと巻の2トップはまだ発展途上のコンビだが、互いの良さを引き出すようなコンビネーションは試合ごとに良くなっている。初めてこのコンビを見た時に俺は「このコンビを機能させるためにはダヴィにもっと広範な仕事が求められる」と書いた記憶があるが、それはすなわちこのチームにおいてゴールゲッターとしての役割を担っているダヴィがそのオールラウンドな能力を生かしてアシストする側に回ることも含めてプレーすることであり、それ(フィニッシャーとして巻がプレーするシーン)はこの試合でも随所に見られていた。
 しかし徐々にフィットしつつあるこのコンビネーションには現段階で致命的な欠点が存在することもこの試合では露見していた。それが巻の決定力だ。いくらダヴィが黒子に回り役割分担を行おうとも、最後のところで巻のシュートが枠に飛ばないようでは話にならない。むしろチャンスに決められなければ(勝敗を含めた)流れが相手チームへと行くのがサッカーというスポーツの必然でもある。もちろん巻には元日本代表の兄を例に取るまでもなくプレーヤーとしての伸びしろが残されているのでしっかりと育てれば兄と同じように代表クラスにまで成長する可能性はあるが、あとはクラブとして腹を決めてどこまで我慢して起用し続けていくのかに懸かっている。

 その後試合は終盤に差し掛かった頃に小川の退場によって動揺したのかセットプレーの流れから磐田に先制を許すと、さらにはピクシーからの反撃の合図として阿部に代わって杉本が投入されたことでバランスを崩し昨シーズンのデジャブのような成岡のミドルシュートを喰らってしまった。二失点目は点を取るために前線に人数を掛け3-2-4みたいな布陣になっていたので仕方のない部分もあったが、最終スコアから見てもこれが致命傷となった感は否めない。阿部のいたスペースにボールを運ばれたことで吉村がカバーに回り、ただでさえスカスカな中盤(バイタルエリア)が山口一人だけになり、余裕を持って横へと回されて後ろから上がって来た成岡にミドルを打ち込まれるというのは磐田からすれば狙い通りの絵に描いたようなカウンターだっただろう。

 その後一人少ないながらも執念を感じさせる粘りで1点を返しさらに(川口のセーブによって阻まれたものの)あわや同点かというチャンスも作ったことは名古屋にとって僅かな光明だ。たがここのところJリーグでは試合終盤のパワープレーからしか点を取っていないということもまた動かしようのない事実。中断期間のリフレッシュとミニキャンプを経てチームにレベルアップが必要なのは言うまでもない。マギヌンが帰って来ればいくつかの問題が解決する可能性もあるが、この試合は「これまで通り」ではもはや通用しないという良いレッスンになったはずだ。

 あとこの試合について残念だったことは、御殿場で開催中の「ジャパンズエイト」を辞退してまでベンチ入りさせた花井や、水曜日の試合でプロ初ゴールを挙げた新川に出番が巡ってこなかったこと。俺はこういう試合を見るたびに、試合を有利にする進めるために花井をボランチの位置で使ってみたらどうかと思ってしまうのだが、ピクシーに戦力と見なされていない彼等若手プレーヤーは例えベンチ入りを許されたとしてもよっぽど余裕のある展開でもない限り出場機会に恵まれないことも目に見えている。対戦相手の磐田では花井と同学年のライバルでもある山本がスタメン出場し、浦和では厚い選手層を抱えるチームにあっても10代の選手が戦力としてカウントされ起用され続けている中、それがチームの方針であるとは言え複雑な気分になるのは禁じ得ない。
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by tknr0326g8 | 2009-05-25 02:12 | Game Review
ACL 第6節 北京×名古屋 @BS朝日
 シーズン序盤のホームゲームでややもたつきを見せたものの過密日程期間に予想以上の健闘を見せたことで一試合を残してグループ首位を確定させた名古屋にとってこの北京との試合は言わば消化試合だった。となると必然的に試合の結果はおろか内容についても関心は薄れるわけだが、主力の疲労や怪我の回避また経験を積ませる目的で若手を起用するとなれば話は別で、普段お目にかかる機会が殆どなくまたユース出身者が多く燻っているセカンドチームの面々がこの国際舞台でどういったプレーを見せるのかはある意味でトップチームのそれよりも遥かに興味深い。あとは前日の鹿島と上海の試合を見るまでもなくサッカーだか格闘技だか分からない試合になりやすいAWAYでの中国のチームとの試合で彼等に怪我がないことを願うのみだ。唯一それだけが俺が今回の若手起用に対して消極的になっていることで、「大人」のプレーヤーであれば経験によってある程度は回避できるかもしれないアクシデントを若いプレーやがどこまで未然に防ぎながらプレー出来るのか。マスコミからはほとんど葬り去られているが、柏の比嘉のような悲劇が繰り返されることだけはあってはならない。

 名古屋のスタメンのうちトップチームでコンスタントに出場機会を得ているのはDFの吉田とMF山口のみで残りは普段のサブメンバーとセカンドチームの若手によって構成されていた。かつて日本のチームにとってアジアのカップ戦の位置付けが低く、著しくレベルの低いチームが大会への参加を認められていた頃、名古屋は初めて天皇杯を制した翌年のアジアカップウィナーズカップのグループリーグでは森山や中西といった普段の交代要員を主軸にしたメンバ-構成で監督もコーチだった田中孝司が務めていたことを思い出す。
 この試合のメンバー構成について言うなら、人材が不足しているCBの吉田はともかくとして中堅と呼んで良い山口をこの試合で敢えて使う必要があるのかという点だけが個人的には疑問だったが、山口のようないわゆる「兄貴分」的なプレーヤーを混ぜておくことはこうした若いチームを機能させる上で必要なことだとピクシーも判断したのだろう。実際にゲームの中で山口が経験に見合った圧倒的にな存在感を見せたかと言えば決してそういうわけではなかったが、この試合で彼が巻いていたキャプテンマークにそうした期待がヒシヒシと感じられた。

 試合は名古屋の若手が積極的なプレーを見せる展開でスタート。若手特有のペース配分を無視したプレーに若干の不安は覚えたものの、普段トップチームのスロースターターぶりを見せらている身からすればかなり新鮮な光景だった。選手起用について(例えばベンゲルのような)冒険は好まないピクシーの前で、普段なかなかチャンスが巡って来ない若手にとってこれはまたとないアピールの場でもある。それを生かそうとする選手達の前向きな姿勢は観ていても微笑ましい。

 しかし積極的なプレーとは裏腹にサッカーのクオリティ自体は決して高いものではなかった。最前線に巻を据えその下に(右から)津田、花井、新川というアタッカーを並べる名古屋だが、北京の前からのプレッシャーが厳しいこともあってか攻撃の組み立てはロングボール主体で、そのロングボール自体もかなりアバウトな状態。吉田と増川の間で頻繁にボールを動かしながら最後は阿部が長短のパスを織り交ぜてゲームを組み立てていくトップチームのスタイルと比べると、それはひどく成り行き任せなもの映った。最終ラインでしっかりとつなげるのが吉田一人ではさすがに厳しい。ゲームメークという面で阿部と佐藤では比べるべくもないが、CBに入った竹内が(何度か前線に良いクサビのボールを入れたりもしていたが)全くビルドアップに貢献出来ていなかったのは少し意外だった。以前フェルフォーセンがエルゴラか何かのインタビューで「竹内はタッチラインを背負うと上手くパスを出せなくなってしまう(だから自分はSBでは起用しなかった)」と語っていたことがあったが、どうやらそれはCBでも同じだったようだ。入団時の触れ込みでは確か大森のようなプレースタイルというのがあったはずだが、すっかりパワー(SBではパワフルなアップダウン)が売りのプレーヤーになってしまったのだろうか。
 こうなると名古屋は花井がもっとゲームメークに絡んで来ないと攻撃が形にならない。確かに花井のポジションは巻と縦関係の2トップにも見えるようなトップ下でそこでの仕事は過不足なくこなそうとしていたが、普段のトップチームで玉田がやっているようにもっと下がって来てボールに触るような仕事を積極的にこなしても良かったようにも思えた。新川のゴールへとつながった直接FK(春先の愛知学院大との試合でも同じような位置から決めていたので十中八九決めるぐらいの精度があるのだろう)をはじめトップチームと比べても遥かに可能性を感じさせたセットとプレーのキッカーとしては十分すぎる存在感を示していただけに、花井はゲームの中でもっとボールに触って自己主張を感じさせても良いと思うし、チームにおける絶対的なプレーヤーになるべく次なるステップを意識してプレーして欲しい。

 新川のプロとしての公式戦初ゴールによって1-0で折り返し迎えた後半は(名古屋の)接触プレーのひとつひとつに対して厳しく笛を吹くレフェリーとの闘いでもあったが、前掛かりに出てくる北京に対して体力的にも厳しい戦いを強いられていた。北京がDFラインをかなり高く押し上げていたので、カウンターから北京DFラインの裏に広く広がるスペースを使えればチャンスは出来るだろうと思いながら見ていたのだが、最前線にいるのが巻ではそれもままならない。個人的にはキープ力とスピードがある選手(津田や新川)をピッチに残して彼等を前線に配置した方が良いと思ったし、杉本を投入するにしてもより前線(相手ゴール)に近い位置の方が良いだろうと思ったのだが、ゲーム自体がロングボールの多い展開だったためか最前線から高さのある巻が外されることはなく、また津田と代わって入った杉本も右サイドに張り付いてしまった。何度かカウンターのチャンスを迎えながらも名古屋が追加点を奪えなかったことはある意味必然であり、自らそれに蓋をしてしまっていた部分も少なからずあったと言えるだろう。

 後半の失点シーンはこの試合の名古屋を象徴しているような展開だった。最終ラインからつなげない名古屋はなんとか最終ラインで北京の攻撃を喰い止めてもパスが全部クリアになってしまう。そしてそれを拾われ波状攻撃を受ける苦しい展開の連続から最後は竹内がピッチに足を取られる不運もあり中央から豪快なシュートを決められてしまった。まあ竹内がピッチに足を取られたのはこの場面だけでなく、前半に決定的なピンチを招いた13分ぐらいのシーンで足を滑らせたことでクサビを受けた選手に対する寄せが甘くなり難なく前を向かれてスルーパスを通された(そこからのクロスに対してクサビを受けた選手が再びゴール前へと詰めた)シーンでも見られたし、それももっともとをただせばアッサリとクサビのボールを通されてバイタルエリアでフリーにさせるという(まさしくピクシーが試合前に語っていた通り)人が変わっても名古屋のサッカーは変わらないというわけで、組織的な欠点まで引き継いでしまったことに起因する。

 クサビのボールを当てて相手DFを中央へと引き寄せサイドから裏のスペースを使うのが狙いの北京に対して、名古屋は前半佐藤の裏のスペースを狙われるシーンが目立っていた。佐藤は相手の右SHに対して比較的早いタイミングから積極的にアプローチに行ってしまうのでこの試合でCBの左側に入った吉田との間にギャップを作りやすい。これに対して北京は2トップのうち一方がクサビを受け、もう一方(特にJ・グリフィス)がそのスペースに流れてチャンスを作りだしていたのだった。後半になるとDFライン全体がスライドしながら吉田が早いタイミングでカバーに入ってそのスペースを消せるようになっていたが、今度は(名古屋にとっての)右サイドから9番の選手が積極的に松尾との1対1を仕掛けたりと、北京の攻撃におけるサイドの使い方は同じくサイドアタックを売りにする名古屋のそれと比べてもこの試合ではそれを上回るものだったと言っても過言ではない。

 後半の名古屋に関して言えば、見所の一つは福島に代えて田口が入ったことで花井が一列下がってボランチに入ったこと。後ろに行くほど経験をベースとした信頼の置ける選手を使いたがるピクシーの中で、花井はまだトップチームではより負担の少ない攻撃的なポジションでしか起用されていない。しかしセカンドチームにおいては例えばこの田口との関係においてこの序列は逆転する。かくして田口が攻撃的なポジション、花井がボランチという夢のコラボが実現したわけだが、心なしかボールに触れる機会の多いボランチの方が花井のプレー(動き)に躍動感があったように感じたのは気のせいだろうか。花井が「名古屋ユースの最高傑作」と言われる由縁はなにもその優れたテクニックだけではない。見掛けによらず身体能力が高く守備での1対1もそこいらのボランチよりはよっぽど強い。花井ならトップチームでも十分にボランチとしてプレー出来るだろう。もちろん今のトップチームでのボランチの役割に花井をそのまま当てはめることは出来ないし、花井の能力を最大限に生かすためにはより守備に強い選手と組み合わせた方がベターではあるが。

 勝ち点3こそ逃したもののAWAYで勝ち点1を獲得したほぼセカンドチームと言っていい名古屋。この試合が彼等が今後少しづつ出場機会を増やしていくためのフックとなってくれたらうれしいが、W杯予選に伴う中断期間をOFFにして休養に充てるトップチームに合わせてセカンドチームまでOFFにしてしまうことには少し疑問も感じる。伸び盛りの彼等をみすみす休ませておく手はないし、かつて上田滋夢がやったように海外にでも遠征させる(しかもその時は「移動も含めて将来アジアで戦うことを想定して」行われていた)べきではないだろうか。昨シーズン開幕から絶好調だった杉本がナビスコカップの浦和戦でハットトリックを達成した直後中断に入りOFFを経て戻って来たらすっかり普通の選手になっていたことを忘れてはいけない。
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by tknr0326g8 | 2009-05-24 05:53 | Game Review
J1 2009 第12節 名古屋×大宮 @スカパー 
 三週間以上に渡って続いた週二試合ペースのハードスケジュールからようやく解放され、中一週間を空けての公式戦となった名古屋。このところ省エネスタイルでの試合が続いていたがコンディション的にも少しはフレッシュな状態で試合へと臨めるかもしれない。キリンカップ~W杯アジア最終予選を見据えた?玉田の再離脱は懸念材料だが、チーム全体でのそれを上回るパフォーマンスを期待したいところだ。

 しかしこの試合でキックオフからペースを握ったのは前節の神戸同様にアグレッシブに前からプレッシャーを掛けてきた大宮の方で、スタミナ配分をまるで考えていないとしか思えない大宮のハイプレッシャーに対して名古屋は最終ラインから大きくタテに蹴り出すようなプレーを余儀なくされてしまった。一般にパスサッカーと言われる名古屋だが、その起点は常に最終ライン(特に阿部)なので、ここにプレッシャーを掛けられるとその面影は消え失せてしまう。もちろん今シーズンの名古屋は前線に一人でゴールまで持ち込めるダヴィがいるのでそんな攻撃でもなんとかなってしまう可能性もなくもないが、ダヴィにはマトがピッタリとマークに付き、ロングボールのこぼれ球(セカンドボール)をことごとく大宮に拾われているようではノーチャンスだ。さすがに大宮のプレッシャーが弱まってくれば名古屋も少しは中盤を経由してボールをつなぎゲームを組み立てることが出来ていたが、試合を通してそれが機能していた場面は数えるほどしかなかった。
 また名古屋としては大宮の見慣れない韓国人左SBがDFラインとの間にギャップを作っていたのでそこを突いて行けばもう少しチャンスを作れたと思うのだが、立ち上がりから何度か良い形でそのギャップに入り込みボールを受けていた小川と左右を入れ替わって20分過ぎに杉本が右へと回ると、田中との相変わらずギクシャクとしたコンビネーションによってみすみすチャンスを潰してしまったのも痛かった。まあそれ以前の問題として杉本の場合はオフサイドに引っ掛かり過ぎだが。

 一方の守備でも名古屋は大宮の変則的な布陣に対して完全に後手に回っていた。大宮の攻撃は簡単に表現するなら前→後→前で縦の揺さぶりを掛けながら攻める速攻。奪ったボールを素早く最前線の藤田に当てて、クサビを受けた藤田はシンプルにその下に位置する石原、藤本、デニス・マルケスに落とす、これを受けた二列目の選手達は再び前(DFラインの裏)へとボールを運ぶというパターンだ。もちろん名古屋の最終ラインには吉田がいるので藤田へのロングボールの大半は弾き返すことが出来るのだが、名古屋はこのセカンドボールを拾えなかった。大宮にとっては二列目にボールを落とすのが藤田であろうが名古屋のDFであろうがそんなことは大きな問題ではない。特に目に付いたのは藤本とデニス・マルケスがフリーで前を向いてボールを持つ場面。彼等は攻撃になるとかなり内側に絞ったポジションを取っていたので名古屋はSBが付いて行けず、名古屋は吉村の両脇に広がるスペースを上手く利用されていたのだった。
 俺はこの日のスターティングメンバーを見た時に吉村と山口をWボランチに並べ中村をトップ下に配置した4-2-3-1のような並びになるのだと思っていたが、実際には吉村を1ボランチに据えた4-1-4-1のような形で、二列目に配置された中村と山口は前目にポジションを取っていた。しかしこれは完全に裏目で、中村や山口が前から行こうにも大宮は中盤を飛ばして後ろから前線にボールを入れてしまう。名古屋が人を配置すべきなのはむしろそのこぼれ球を拾える自陣のDFライン前のスペースだった。連戦の最中の頃はローテーションを組みながらも極力運動量を減らすためか、中盤の選手もディフェンスになれば一端自陣に戻ってポジションを取ることが多かったが、逆に一週間の回復期間を経て体力的な余裕が出来たのか前から行くようになってバランスを崩してしまった。

 後半になるとピクシーはまず杉本に代えて巻を投入しフォーメーションを4-4-2に変更。確かに杉本が機能していたとは言い切れないし、大宮に対してはDFラインの前に二枚のボランチを並べた方がバランスが良いかもしれないが、こうなるとそもそもなぜ杉本を先発させたのかという話になる。名古屋はこの時点で同点そして逆転に向けたカード(杉本)を一枚失ってしまった。そして1ボランチからフラットな4枚に代えても一向にバランスの整わない中盤は大宮の攻撃に振り回され続けただけでなく、巻を入れたというのにサイドからのクロスボールが全く入らないという意味からすれば攻撃面でも機能しているとは言い難かった。

 こうなると最後の切り札は前節・神戸戦のロスタイムで劇的な同点ゴールを決めた津田しかいない。そしてこの津田の投入が名古屋にひとつの化学反応を引き起こす。60分、山口に代えてピッチへと送り出された津田は最初は右サイドハーフの位置に入っていたが、次第にそのポジションは前そして中央に寄って行き、いつしかダヴィ、巻と流動的な3トップを形成するような形になっていた。そしてこれにより目の前のスペースが空いたことで水を得た魚のように躍動し始めたのが田中だった。試合終盤になっても全く色褪せないスタミナによってディフェンスだけでなく、攻撃になるとボックス内にまで顔を出し始めた田中は幾度となく好機に絡む。今季から名古屋に加入したこの元日本代表をここまで15試合ほどを観て来て得たひとつの結論は「田中のフィニッシュには期待してはいけない」ということだが、田中の場合そこに(来て)いることが重要だ。そしてこの試合でもダヴィによってもたらされた同点ゴールは巻が頭で落としたボールを拾った津田がゴールライン際までえぐり、ボックスの中まで走り込んでいた田中にマイナスの折り返し、案の定シュートをミスった田中だったがそのこぼれ球がダヴィの足元へと転がったところから生まれたのだった。その前にも左サイドからのクロスボールに対してボックス内ファーサイドで受けた田中がダイレクトで折り返しゴール前で詰めた津田があわやというシーンなどもあり、この時間帯の名古屋にとって田中がいかに大きな仕事を果たしていたか分かるだろう。

 またしても試合終了間際のゴールによって追い付いた名古屋だったが結果的には二試合連続の引き分けとなってしまった。そして内容は良くなかったものの相手の力を考えればやはり勝ち点3を取りたかった試合でもある。ただこれはもう切り替えるしかないので、既にグループ首位通過を決めているACLを名古屋がどういうメンバーで臨むのかは分からないが、来週の磐田戦でなんとか勝ち点3を獲得して中断期間を迎えて欲しいところだ。イ・グノの加入によって劇的なまでにチーム力の上がった磐田だが、名古屋にとってはむしろジウシーニョや西がポイントになりそうな気がする。
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by tknr0326g8 | 2009-05-17 21:18 | Game Review
J1 2009 第11節 神戸×名古屋 @スカパー 
 23日間で7試合という過密日程も今日の試合でひと段落。正直言って予想以上でもある選手達の頑張りによってここまで6試合を5勝1分と無敗で乗り切ってきた名古屋にとってはなんとかあと一試合頑張って欲しいところ。ただそう口で言うのは簡単だが選手達のコンディションを考慮すればそれがいかに難しいことかというのも十分理解出来る。
 特に俺が心配しているのがこの6試合フル出場を続けている小川だ。今シーズンから10番を背負う小川に対してピクシーの信頼は厚く、また自身が現役時代に付けていたエースナンバーの継承者として過剰とも思えるスパルタ教育を施しているが、瞬間的なパフォーマンスはともかくとして一試合を通じた小川のパフォーマンス(動き)は明らかに低下してきている。6日のACL・蔚山戦でも後半になるとヘロヘロになっていた小川は考えられないような凡ミスを連発していた。ピクシーの現役時代でも当時の監督だったベンゲルは時としてエースのピクシーを休ませたり途中でベンチに下げたりしていたし、今回も完全休養とまではいかなくてもベンチスタートや途中交代を視野に入れた起用を考える必要があるのではないだろうか。

 名古屋は4/12の浦和戦の試合前のアップで負傷して以来離脱していた玉田が先日のACLでの途中出場を経てようやくスタメンに帰って来た。そしてこれに伴い連戦の間中色々といじっていたフォーメーションも中盤フラットな4-4-2に戻している。懸案の小川もスタメン出場。ピクシーが星野仙一と被って見えた瞬間だが、こうなったら行けるところまで行くしかない。そしてそれを考えるとサブメンバーの中では途中出場でも最も計算の立つ杉本はベンチに待機させておいた方がよかったような気がする。

 試合はキックオフからホームの神戸がアグレッシブに前からプレッシャーを掛けて来た。名古屋はただでさえJリーグとACLの掛け持ちという(移動も含めて)厳しい日程であることに加えて、前の試合から中3日の名古屋に対して中4日で一日分試合間隔が長い神戸にこうして勢いで押されると苦しい。もちろん名古屋はここのところ(相手の攻撃を受け止めながらカウンターで仕留める)省エネスタイルでの戦い方を身に付けつつあり、またチームとしてもある程度押し込まれることは予想していたと思うので、これぐらいは想定の範囲内だったのかもしれないが、こういう展開に持ち込まれるとやはり中盤のクオリティの低さが顔を覗かせてしまう。実際前線でダヴィと宮本の1対1のような状況を作れさせすれば得点の機会は訪れるだろと俺も安易に考えていたが、神戸の意外とソリッドなディフェンスを前にして中盤を作れない名古屋はダヴィにボールが入らないのだから話にならない。
 そしてこういう時には玉田が下がって来てボールに触りゲームメークに参加するのが昨シーズンから散々見てきた名古屋のデフォルトなのだが、復帰早々でコンディションがフィットしていないのかその玉田が相手の寄せに遭ってボールを失いむしろピンチを招いてしまっているような状態では、結果として名古屋は前線のダヴィ目掛けてロングボールを放り込むぐらいしか攻撃の手立てがなくなっていた。ロングボールに対してダヴィと宮本がマッチアップする場面が多かった前半は必ず近くにボールがこぼれてくるのでそれを拾えば名古屋にもチャンスはあったのだが、それでもやはり名古屋の攻撃が単発で成り行き任せだった感は否めなかった。

 ただ名古屋はこの短い準備期間でもしっかり修正を施してきていた部分もあった。6日のACLで唯一の失点を喫し何度か危ない場面を作られたセットプレーがその修正ポイントで、ここのところ(ラインを作ってゾーンで守る名古屋の)一番外側に立つ阿部の所を明らかに狙われるようになっていたことを考慮してか、この試合では阿部を増川と吉田の間に挟むような形(順番)で立たせるように微調整が施されていた。配置転換によって大外に回った吉田が神戸が蹴り入れてくるボールを何度か弾き返していたことを考えてもこれはまずまず機能していたと言えるのではないだろうか。

 0-0のまま迎えた後半、神戸の韓国代表・金南一の有り得ないミス(オウンゴール)によってラッキーな形で先制した名古屋を見ながら、俺は早いところ玉田か杉本を下げて山口を投入すべきだと思っていた。まだ守りに入るには早い時間帯だったが、気温の関係もあってか早くも運動量が落ちて来ていた名古屋は特に攻→守の切り替えにおいて中盤の戻りが遅くなっており、またフォーメーションとWボランチの組み合わせを従来の形に戻したこともあってか、バイタルエリアにスペースを空けてしまう悪癖もまた復活してしまっていた。これを防ぐには中盤のセンターを二枚から三枚に増やすのが手っ取り早い。逆にこの試合での名古屋を見る限り攻撃はダヴィさえ残しておけばあとは前にいるのが三人だろうが四人だろうがあまり大差はない。
 しかし名古屋がそんな手を打つ前に神戸はこのスペースを使って右から左へとボールをつなぐと、DFラインの裏へのパスに抜け出した茂木が落ち着いてゴールに流し込んで名古屋は同点に追いつかれてしまう。最後に茂木に対応した増川のミス(ボールを弾ませる前にクリアしていれば何も問題はなかった)はあったものの、失点自体はチームとしてのディフェンスの組織な欠陥が露になった失点だった。
 それにしても昨年までサイドバックをやらされていたりした茂木の突然の覚醒ぶりは凄まじいものがある。FWとして(平林らとともに)ワールドユース(U-17)に出場していた茂木は名古屋も獲得に動いていたが争奪戦の末広島に競り負けた過去を持つ。その頃の名古屋は広島と新人獲得を争って勝った試しがなかった(松下や梅田など)わけだが、もし名古屋が茂木を獲得していたら茂木はどういった選手生活を歩んでいただろうか。

 その後楢崎が怒るのも無理はない判定(雰囲気に呑まれたとしか思えない)によってPKを取られ一度は逆転を許してしまった名古屋は苦境に立たされたが、ロスタイムに交代で入った津田が劇的な同点ゴールを決めてなんとか勝ち点1を確保することに成功した。決して良い内容とは言えないながらも(運もあったし)勝ち点3が取れない試合ではなかっただけに勝てなかったことは悔やまれるが、展開を考えればよく追い付いたと言えるだろう。昨シーズンの小川といいこのスタジアムには名古屋にとって何かがあるのかもしれないとしか思えないゴールは、チームが標榜する「Never Give up!!」の精神を体現した素晴らしい得点だった。正直俺はこの状態で名古屋が得点を奪えるとしたらセットプレーかパワープレーからしか考えられないと思っていたので、(右サイドからの)セットプレーのキッカーとして鋭く精度の高いキックを見せていた玉田を下げてしまったのは微妙だと思ったが、最後になっていずれも交代で入った巻→津田という流れから得点が決まったことは、結果として交代策がバッチリはまった(当たった)形になった。
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by tknr0326g8 | 2009-05-10 21:06 | Game Review
関東大学リーグ 第6節 流経×駒澤 @西が丘
 前節関東大学リーグデビューを果たしおまけに初ゴールまで決めたらしい名古屋ユース出身のルーキー奥村情(駒澤大)を観に西が丘へ。もちろん奥村が再び試合に出られる保証はどこにもないが、駒澤では酒井、三宅、奥村と名古屋ユース出身のプレーヤーが三代連続でトップチームの登録メンバー入りを果たしており、誰かは見られるだろうぐらいな気楽な気持ち。
 そしてそんな俺の期待通り奥村は二試合連続でスタメン出場。ポジションは4-4-2の左SHだった。やっているサッカーがアレなこともあって大柄な選手を揃える駒澤の中で170cmに満たない奥村はひと際小さく見え、背番号31を背負う後ろ姿はどことなくデビュー当時の阿部と被るものがある。

 試合はリーグ戦ここまで首位の流経が優位に進めるのかと思いきや駒澤伝統のキックアンドラッシュに対して流経が想外の苦戦を強いられる展開。駒澤は特にエースの三島が岡ちゃん注目の流経・山村との(ロングボールの)競り合いをことごとく制していたのが大きかった。そしてタテパス一本から三島が頭で落としたボールを拾った棗がそのまま抜け出して冷静にGKを外してシュートを決め先制に成功する。
 流経は時々個々のプレーヤーの戦術理解の高さを感じさせるパスワークによって駒澤陣内へと攻め入るものの後ろでゆっくりとボールを回している時間が長い。先制点を挙げ勢い付いている駒澤をジラすかのようなDFラインでの横パスは、変な形でボールを失って前掛かりな駒澤にカウンターを喰らうことを警戒していたのか、それとも駒澤を前におびき出すことで後ろにスペースを作ろうとしていたのか、はたまた過密日程の最中自分達や相手の体力面を考えて駒澤がガツガツ来れなくなる後半勝負と端からプランを立てていたのか。いずれにしてもスタンドのOBやファンにとっては少しじれったく映っただろう。

 奥村は立ち上がり早々にセットプレーからボックス内で目の前にこぼれてきたボールを反転しながら左足でシュートしたもののシュートは力なくGKの手の中に収まり、そしてそれ以降は大学レベルのフィジカルに苦労し全く見せ場のないまま後半早々に交代を告げられてしまった。前の試合から中四日とは言え、ユース時代は無尽蔵とも思われるスタミナでピッチを駆け回っていた奥村が苦しそうに見える場面は前半からあるあたりやはりフィジカルの差がかなり響いていたのだろう。そして駒澤のサッカーにおいて奥村が自分の居場所を見つけるためには奥村自身のフィジカル面でのレベルアップも不可欠だ。アルベルの脇を走り抜け得点を量産していたユース時代を考えれば、三島などと2トップを組ませてセカンドトップ的な使い方をしてあげればもっと奥村の特徴は生きると思うが、今は与えられたポジションで大学サッカーに慣れ順応していくしかない。

 後半になると駒澤の足が止まり勢いが減速したことで試合は流経のワンサイドゲームの様相を呈してきた。DFラインでの横パスが多かった前半とは打って変わり、絶妙な距離感と角度でポジションに入る選手を経由するパスでやすやすと駒澤陣内にボールを進めている。ショートパスによる中央突破ありサイドチェンジでの揺さぶりありアタッキングエリアでは10番金久保を中心としたドリブルありと、崩しの見本市みたいだった後半に流経が得点を記録出来なかったのが不思議なくらいだが、中央を固める駒澤のディフェンスはオフェンス同様に力強かった。

 駒澤はことあるごとにコーチ(時々監督)がテクニカルエリアに出て来て選手のプレーひとつひとつに対して注文をつける。面白かったのは、ほとんど怒号とも言えるそのスパルタ式のコーチングに対して、前半メインスタンド側のライン際にいた奥村は――おそらくこれまでの人生18年分以上にこの一試合の中で怒られていた気がするが――ベンチを振り向いて指示に耳を傾け「ハイ」と返事していたが、後半こちら側に来た右SBの酒井は相当怒られ慣れているのか、「OK」と言わんばかりにその都度ベンチに右手を上げて応えていたことだろうか。

 名古屋(ユース)ファン的にはこれであと三宅が常時試合に出られるようになれば完璧だが、貴重な機会を与えられている奥村がそれを積み重ねて成長し、3年後にプロのスカウトに注目されるようなプレーヤーになってくれれば良いなと思う。
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by tknr0326g8 | 2009-05-09 23:00 | College Football
プリンスリーグ東海2009 第5節 名古屋U-18×藤枝明誠 @藤枝
 GWユースの旅の締めくくりは藤枝。もちろん名古屋U-18が6年連続の高円宮杯出場を賭けて戦っているプリンスリーグ東海・第5節の観戦。名古屋は昨年の高円宮杯準優勝の副賞として4月にドイツで開催されたSBCカップに出場していたので他のチームより消化試合数が二試合少なくこれが三試合目となるが、前節の四日市中央工業との試合ではチームにとってこの大会では二年ぶりとなるまさかの黒星を喫している。全9試合という短い行程においてこういった取りこぼしは致命傷になるが、幸いなのは今年のプリンス東海が例年になく混戦の様相を呈していることと、過去の全国大会(高円宮杯)で名古屋が頑張って結果を残したことにより東海地区には「3枠」が与えられていることだろうか。

 というわけで、名古屋にとっては気を取り直して臨まなければならないリーグ三戦目。相手となるのは今年のプリンス東海に波乱を引き起こしている台風の目・藤枝明誠だ。シーズン前は今年も名古屋、磐田、静学の三強を中心にリーグ戦が回るものだとばかり思っていた(その中でも磐田が少し抜けているかなという感じ)が、藤枝明誠は開幕戦で藤枝東を3-0と退けると第二節では三強の一角静学を3-2と振り切ってここまで破竹の4連勝を続けている。もちろん第四節終了時のリーグ首位であり現時点で高円宮杯に最も近いチームである。GW最終日ぐらいはのんびりと家でACLでも観戦しようかと考えていた俺の足を藤枝まで向かわせたのはそんな藤枝明誠を見てみたかったからというのもある。

 さっそく試合について書きたいところだが、その前に第一試合で観た清水と磐田の静岡ダービーを簡単にレヴュー。局面での1対1で優位に立ちキックオフからペースを握った磐田の今年のユースは個々のプレーヤーの能力がフィジカル面も含めて高いように感じられる。そして幸先よく先制した磐田に対して、清水はパスをつないで組み立てようとしているのだがミスもあってこれが全くとつながらない。磐田は最終ラインと中盤が4+4でキレイにラインを作りコンパクトに保っているので、清水はこの中に入って行こうとすると必ずと言っていいほどボールを失ってしまっていた。
 清水はちょっとこのままではシュートすらままならないなと思っていると、ハーフタイムを挟んだ後半からロングボールで磐田DFラインの裏を突く作戦に変更しこれを徹底的に続けてきた。最後のところでは磐田のDFラインがなんとか身体を張って防いでいたが、2トップがクロスしながら磐田DFの裏に走り込んだり、FWがクサビを受けるフリをして一旦下がって(磐田DFが喰い付いてきたところで)出来たギャップに2列目・3列目から勢いよく走り込んだりと随分手慣れた感じもするこの攻撃によって、後半の磐田は自陣に釘付けになっていたと言っても過言ではない。そして清水が諦めずに攻め続けた結果がロスタイムの劇的な同点ゴールにつながったのだった。
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 優勝候補の磐田が予想外のもたつきをみせていることで名古屋にも光が見えてきた。そしてそれはこの試合で首位(無敗)の藤枝明誠を叩くことによって確固たるものとなる。そしてそんな大事な試合を前に名古屋はスタメンに手を加えてきた。

      高原   奥村

小幡   矢田   近藤  三浦

安藤   岩田    岸   金編

         古川

 矢田のFW起用というのをちゃんと見たことがないのでそれ自体については何とも言えないが、個人的には(選手がベストコンディションという前提で)このチームでは2トップは奥村と高原の組み合わせがベストだと思っている。DFラインと駆け引きしながら裏を狙う高原と引いて来てクサビを受ける奥村という役割分担にすればバランスが良いし、何よりアタッキングエリアでドリブルで積極的に仕掛けられる高原はチームに勢いをもたらすことが出来る存在だ。2月から3月にかけてジャパンユースで見た時には、そのドリブルは高校レベルでも十分通用するどころかむしろファールでしか止められないようなシーンも少なくはなく、間違いなく相手チームにとっての脅威になるだろうと俺は確信していた。これを使わない手はない。
 金編のスタメン復帰もうれしい要素。そもそもなぜ金編がスタメンから外れていたのか(コンディションでも悪かったのか)俺には全く理解できないが、岸とともに昨年のクラブユース~高円宮杯で全国の舞台を踏んできた金編の貢献なくしてこのチームの躍進は有り得ない。昨年一年間で宇佐美(G大阪)や原口(浦和)といった同年代のスタープレーヤー達と公式戦でマッチアップした経験は今シーズン活かさなければならない。

 名古屋はキックオフから相手の出方を見るような試合の入り方をしていた。さすがに開幕4連勝中の相手ということで慎重になっていたのだろうか。そしてそんな展開の中、開始5分と経たないうちに名古屋は予想外の先制ゴールを許してしまう。明誠の右SHが持ったボールに対して名古屋は左SBの安藤を含む3人ぐらいでボールを奪いに行ったにも関わらずボールを獲り切れなかったことで、空けた左SBのスペースにボールを流し込まれ、ペナルティエリアの左側に掛かるか掛からないかといった場所でそこに流れてきた明誠のFW(11番)と岸が1対1でマッチアップするような状況になった。そして明誠の11番は軽くステップを踏んでフェイントを入れるや予備動作のほとんどないシュートを名古屋ゴールにねじ込んだのだった。角度がほとんどなかったこともあって最初は誰もがサイドネットに引っ掛かったのだと思ったシュートは、その強烈なパワーや振り足の速さと合わさって、リアクションとして表現するなら「はっ?!」という感じ。この時ようやく俺を含むスタンドの観客は「明誠の前線に何だか分からないけど凄い選手がいる」ことに気付いたのだった。

 その後もその11番は名古屋に脅威を与え続けていた。ロングボールの競り合いでは岸を寄せ付けないほどだったから身長もおそらく岸と同じがそれ以上あるのだろうが、身体の厚み(筋肉の付き方)やバネが全然違う感じがして、サイズやプレースタイルは異なるが雰囲気はどことなく指宿(ジローナ)に似ている感じがする。そして愛知県に生まれていたならば間違いなく今頃は高校球児(もちろんエースで四番)だったであろう彼の他にも、明誠はサイズがあり動ける選手を揃えている。先制点のシーンで11にパスを出した右サイドの選手や、ロングボールをことごとくはね返していた最終ラインもかなり大きい。そして左サイドハーフの9番は金編との1対1で何度かスピードで置き去りにしていたぐらいだから、(金編のコンディションがどうだったのかは不明だが)相当なスピードの持ち主なのだろう。
 そして明誠の攻撃は11番の高さ・強さから逆算してプログラミングされている。といっても単純に11番に向かって放り込むというのではなく、11番にクロスを上げるにはどうやって組み立てたら良いのか、またそれをオトリに使って周りの選手がゴールを奪うにはどうしたらいいのかがよく考えられている感じ。基本的にはフィジカルをベースとしたリアクションスタイルなのだが、今シーズン躍進を果たしたその強さの一端を垣間見ることが出来た。

 そんな明誠に対して名古屋はDFラインでゆっくりとパスを回しながら呼吸を整え少しづつ反撃を開始する。上でも書いたようにセンターバックがともに大柄な明誠にはロングボールを蹴っても簡単にはね返されてしまうので、名古屋はパスをつなぎながらアタッキングエリアに入ったところでスピードアップして攻撃を仕掛けるイメージだ。そして段々とリズムが出てきた名古屋はサイドに振ってのドリブル突破からチャンスを作り、高原や奥村が相次いでシュートを放った。特に高原はゴール前でクロスに対して二度の決定機を迎えるなど、消えている時間も多いが出てくるべきところは必ず出てくる頼もしいストライカーだ。そして明誠がすっかり守備モードに入ってしまったので前半のうちに追いつきたかった名古屋だったが得点を奪うまでには至らず前半を終了する。

 後半は、小雨が降り注ぐ中名古屋がピッチ上に揃っているにも関わらず5分近くも控室から出てこないというとんだ“ホームアドバンテージ”ぶりを発揮した明誠に対して選手達が集中を切らしてしまったのか、名古屋はミスを連発してどことなくバタバタした立ち上がりとなったが、時間とともに再び名古屋が主導権を握ることに成功する。中盤が前を向いてボールを持てればビッグチャンスを作れる名古屋は、相手に当たり負けすることも少なくなり精力的に中盤でボールを拾って前線あるいはサイドにボールを配給出来ていた。そして最終ラインでも明誠の攻撃の核である11番に対して後半は岸からマークをスイッチした岩田が競り負けず堂々渡り合う。このチームのキャプテンでもある岩田の意地と身体能力の高さが垣間見られた場面でもある。

 そしてそんな展開の中、名古屋はサイドチェンジのボールを受けた小幡の後ろを安藤が回って2対1の状況を作ると、小幡のパスを受けた安藤が目の前のDFをフェイントで幻惑し一瞬マークが離れたところで中にクロスボールを入れる。するとこのクロスボールがキックミスとなり明誠GKの頭上を越えゴールへと吸い込まれた。蹴った安藤本人もビックリのゴールはどことなくベンゲルのお別れゲームを思い出させるものだった。

 その後も猛攻を仕掛ける名古屋に対して動きの鈍ってきた明誠は危なくなればファールで止める状態になっており、後半の名古屋にはセットプレーからいくつものチャンスが訪れることになる。残念ながらそのどれもがゴールには結びつかなかったが、メインスタンドに座っていると「入った」と思えるシュートがいくつもあったことは事実で、またその中では右サイドからのキックを担当する矢田のキックの質と精度も光っていた。そう言えば去年の高円宮杯・Round16で同じここ藤枝でジュビロを粉砕したのはセットプレーから矢田の蹴ったボールに反応したアルベスだった。このコンビはベスト4でもコーナーキックからヘディングを叩き込んでいたわけだが、矢田のキックは当時からスピード・コースともに問題ないところに正確に送り込まれており、トップチームの右サイドからのキックカーにこのまま連れて帰りたいぐらいだ。

 そして試合はその後スコアも動くことはなく1-1のまま終了。名古屋としては決めるチャンスがいくつもあっただけに(後半、中盤でボールを拾った明誠の11番がループ気味に放ったミドルシュートがバーを直撃したシーンなどもあったが・・・)勝てる試合だったし勝ちたい試合だった。こういう相手に対してキチッと勝ち点3を奪えるようなそんな勝負強さと粘り強さをこのチームには持って欲しい。この1ポイントが後になって効いてくるのかそれとも-2となって足を引っ張るのかは、名古屋にとっては週末の清水商業戦、来週の清水戦に掛かってくるだろう。ここで勝ち点6を取り切って中断に入れるかどうかは今後に向けた大きな分岐点に違いない。

 気になった点があるとすれば、まず奥村へのクサビのボールが入った後のサポートが遅いこと。以前(2月頃の勝てていた試合)は両SHはもとより近藤あたりももっとそれに絡んでいく動きを見せていた。あとはどちらかと言えばタテ(あるいは前方の小幡)に入ったボールに対してすぐにサポートに入りますよというようなポジショニングを取っている左SBの安藤が、もう少し後ろでボールを回している時(あるいはGKがボールを持った時)ボールを引き出せるようなポジションを取ってあげられればチームももっと楽になるのではないかということ。前にボールが入ったらすぐにサポートに入ってサイドで数的優位を作ること自体は良いのだが、ついついそういうことも考えてしまうのは、トップチームの阿部であったり二年前の中田健太郎であったり昨年の本多であったりといった攻撃(ビルドアップ)の起点としての左SBのイメージが強過ぎるからだろうか。

 一方藤枝明誠にとっては、昨年の覇者名古屋と引き分けたことで高円宮杯出場に向けてまた一歩近づいた。確かに今の彼等は手堅いがこれが全国で通用するのかと言えばまだ難しいであろうことも事実。万が一名古屋が3位以内に入れなかった時には彼等に総体でファイナリストになってもらわないと困るので、中断期間中を利用して更なる強化に取り組んでくれることを陰ながら応援したい。
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by tknr0326g8 | 2009-05-07 00:27 | Youth
JFAプレミアカップ2009 決勝 G大阪×名古屋 @Jヴィレッジ
 いよいよ迎えた決勝戦。勝ったチームにはマンチェスターで開かれる世界大会への出場権が用意されている。
 名古屋は右サイドバックの後藤が昨日の試合での負傷により欠場となったもののそれ以外は清水戦と同じスタメン。ただ3月の横浜遠征の時には後藤ではなく今日スタメンに入った若園の方がむしろレギュラー格だったこともあり、スピード溢れる突破を持ち味とする若園でも何ら問題ないだろう。

     曽雌   北川

伊藤   金    真柄   森

中島  松田  ニッキ  若園

        板倉

 試合は立ち上がりやや慎重に様子を見ていた名古屋に対して、G大阪が中央でショートパスをつなぎながらサイドに振って突破を狙うスタイルでペースを掴みかける。開始一分でG大阪が名古屋陣内深くへと攻め入り放ったシュートなどはその象徴的なシーンだった。名古屋のディフェンスは基本的には前からプレッシャーを掛けて方向を限定しタテに出てきたボールを弾き返すように設計されているのでこうして細かくパスをつながれて前後左右に揺さぶられる攻めに少し戸惑っている様子だ。またサイドで1対1を仕掛けられてもボールサイドにスライドするでもなくカバーリングもないのでG大阪からしてみたらここを破ればビッグチャンスにつながる。実際名古屋は前半何度か左サイドからゴールラインまでエグられピンチを招きそうになっていた。そして連戦の疲れからか攻守の切り替えなどで全体的に足取りが重く感じられる名古屋は、例えばグループリーグ初戦からサイドバックというハードなポジションでフル稼働している中島が普段なら追い付けそうな突破に対して置いて行かれるようなシーンも見られたほどだった。

 しかし時間とともにG大阪のポゼッションスタイルに慣れてきた名古屋は、球際を激しく前で奪ってそのままダイレクトに裏を狙う戦い方で徐々に盛り返し始めた。そしてやはり昨日の試合で足を痛めていたのか、ややナーバスなプレーでいつもの輝きが見られなかった伊藤に代わり石川が投入されるとさらに勢いが加速する。20分という比較的早い時間での交代だったこと(またその後復活しなかったこと)を考えても、ベンチは行けるところまで伊藤を引っ張ろうと考えていたのかも知れない。そして代わって入った石川も今大会はあまりプレーにキレがなくここ二試合スタメンを外されている鬱憤を晴らすかのように、攻撃面で持ち味を発揮し積極的な仕掛けから好機を演出していた。また真柄のキックも良くニッキをはじめとして高さにアドバンテージがある名古屋は昨日の良いイメージが残っているのかセットプレーからもG大阪を脅かし続け、オフサイドで取り消されてしまったがファーサイドでフリーになった中島が豪快に右足で蹴り込んだ幻のゴールなどもあった。

 前半も中盤以降はG大阪にチャンスらしいチャンスも作らせなかった印象の名古屋だったが、最後のところでG大阪はしっかりと身体を張り、逆に名古屋は何度かスタンドが一瞬沸き立つようなシーンを作るものの仕掛けが強引過ぎるところもあって決め手を欠き結局前半は0-0のまま終了。

 そして迎えた後半、G大阪はショートパスをつなぐスタイルから前を向いてボールを持ったら早めにトップにボールを入れてくるスタイルに切り替えてきた。G大阪のFWはDFとDFの間を抜ける動き出しを意識しており、DFラインが揃っておらずDF間でのカバーリングも上手く機能しているとは言えない名古屋にとってこれは嫌な形だ。実際一本のパスで裏に走り抜けられていた名古屋は(ベンチからも早々にニッキと松田の間を絞れという指示が飛んでいたりもして)DFがよく戻りながらこれに対処して水際で喰い止めていたものの、決勝点の場面はやはりCB二人の間を抜け出されてGKと1対1に持ち込まれてのものだった。名古屋が今のような守り方をしている以上、一定レベル以上の相手と戦う時にはこうした失点を一点は覚悟しなければならないのかもしれない。

 そう考えると後半もほとんどの時間を攻撃に割いていたにも関わらず最後まで得点を奪えなかったことには悔いが残るし、試合全体で見てももったいない試合だったと言えるだろう。良い形で中盤でボールを拾えていた名古屋は良い位置にフリーの味方が見えた瞬間にパスを出していればもう少し簡単にG大阪のDFを崩せるのになぁと思えるシーンがいくつもあった。しかしそれぞれの選手が「何か良いことをしよう」という意識が高すぎるのか、ワンテンポかいやツーテンポぐらい長く持ち過ぎてしまうので相手に寄せられ選択肢を失ってしまう。もちろん北川をはじめとして個々の能力が高い名古屋の選手達は並みの相手だったらそこからこじ開けることが出来るだろうし、このレベルでも1対1なら余裕を持って相手を振り切る力を持っているが、そこから二人三人とやって来られてはさすがに分が悪い。この試合も選手達は疲労がピークに達しているであろう中で気力を振り絞って最後までよく頑張っていたので何が悪かったわけでもないが、足りなかった部分があるとすればこの部分だろう。

 大会を通して見ても全国の舞台でもなお名古屋の選手達の個人技の高さは際立っていた。しかし一方で組織的なプレーや戦術面は他チームと比べてもまだまだといった印象を受けた。これは逆に言うならこのチームはまだ底を見せておらず、そのポテンシャルは測り知れないということ。育成に関し監督以下のスタッフがどういった画(プロセス)を描いているのかは分からないが、今後は攻守に渡ってグループとして(あるいはチームとして)のプレーを磨いて、来年のクラ選や高円宮杯ではチームとしてスケールアップしたプラチナ世代が再び偉業に挑んでくれることを期待したい。
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by tknr0326g8 | 2009-05-05 16:27 | Youth
JFAプレミアカップ2009 大会第2日 @Jヴィレッジ
 大会二日目はグループリーグ最終戦と決勝トーナメント一回戦。もちろんグループリーグで敗退すれば即大会は終了となる。名古屋は昨日の二試合で勝ち点6を稼いでいるので引き分け以上なら決勝トーナメント進出確定。仮に負けたとしても得失点差を考えれば大敗でもしない限りトーナメントに進める有利な状況にある。ただ昨日も書いたように、名古屋は狙って引き分けに持ち込めるほど器用な戦い方の出来るチームではない(むしろ下手に引き分けを意識すれば自滅する可能性の方が高い)ので、いつも通りアグレッシブに攻めて勝ち点3と首位通過を狙って行って欲しいところ。

 名古屋の先発はベストメンバー。

     曽雌    北川

伊藤   金    真柄   石川

中島   松田  ニッキ  後藤

        板倉

 試合は開始早々に動く。右サイド後藤からのダイアゴナルなパスを受けた曽雌がトラップ一発でスペースへとボールを運びマーカーを置き去りにするとそのまま飛び出して来た相手GKの脇を抜くように右足でシュートを決めた。名古屋はキックオフからこの試合を通じてトップに当てるボールが正直過ぎて(強引過ぎて)ことごとく相手DFに引っ掛かっていたのだが、このシーンでは珍しく後藤から曽雌にキレイにボールが入った。こうしてボールを受けられれば個人能力の高い名古屋は確実にシュートまで持って行ける。

 しかし幸先良く先制したところまでは良かったものの、その後ゲームの主導権を握っていたのはどちらかと言えばアカデミーの方だった。アカデミーはやはりアカデミーで、現代日本サッカーの教科書のようなパスのつなぎそしてディフェンスをするチーム。そしてそのプレースタイルは強引なまでに野性的な名古屋を相手にするととても洗練されたものに見えてきた。
 クサビのパスがことごとく相手に引っ掛かる名古屋は次第に攻撃がスペースを狙ったロングボール一辺倒になってきた。もしかしたらそれは選手達の判断でアカデミーの浅い相手DFの裏を突くパスを執拗に狙っていたのかもしれないが、それにしても対照的な両チームの戦い方は、ひと言で表現するならば、「フリーの味方を見つけてつないでくるアカデミーと、空いているスペースを見つけて蹴ってくる名古屋」といった感じ。個々の能力が高い名古屋からしてみれば、スペースに蹴って前線のアタッカーに拾わせ個人技で勝負を掛けるのは確かに効率的かもしれないが、常にボールロストの可能性の少ない方を選択するアカデミーの支配率が次第に高まっていったのもまた必然の結果だった。

 守備についても、しっかりと連動してボールを追い込み最後のところでは一人が抜かれてもすぐにカバーリングがやって来るアカデミーに対して、組織というよりは「頑張る」「1対1で負けない」そして「(最終ラインは)セーフティー」がキーワードな名古屋は、前からプレッシャーを掛けに行っても上手くパスで逃げられてしまい(むしろ一発で取りに行って交わされピンチを招くことの方が多かった)、また最終ラインもラインを揃えたりコントロールしたりといったことをしないので簡単にギャップを作ってそこに走り込まれたりDFとDFの間に斜めに走られると対処のしようがなかった。アカデミーの攻撃陣からしてみたら、普段の(攻撃の)トレーニングの成果を実感しながら試合を進められていたのではないだろうか。

 とは言え、ゲームのコントロールと決定機の数や勝敗ではまた別の話であるのも確かで、アカデミーがなかなかフィニッシュまで辿り着けないのに対して、名古屋は単発ながらも前半には前線に出て行ってペナルティエリアでボールを受けた金が軽やかなステップでGKまで交わしてシュートを放ったり(戻ってきたDFがゴールライン上でクリア)、後半開始後も裏へのシンプルなタテパスから北川や曽雌が抜け出して、曽雌がGKとの1対1を二度迎えるなど決定的なチャンスを作り出していた。決まっていればもっと良かったがこのあたりはさすがとしか言いようがない。

 もし名古屋が個人技を生かしつつチームとしてゲームをコントロールするような戦い方をするチームであったならば、俺はこの試合をもっと安心して観ることが出来ただろう。去年のクラ選で同じくJFAアカデミーと対戦した黄金世代の時と同じく「相手は良いサッカーをしているけど怖さがない」とかなんとか言いながら。しかしどちらかと言えばゲームをコントロールしているのがアカデミーの方という状況では、そんな余裕を持つこと自体不可能だった。
 そしてなんとかこのまま頑張って試合が終わってくれれば良いなと思っていると、左サイドでボールホルダーに対して二人行ってしまった隙を突かれて裏のスペースを使われサイドをエグられると、そこから上げられたクロスボールをファーサイドでフリー(頭)で合わされて同点に追い付かれてしまった。アカデミーとしては快心の崩しで、彼等が喜びを爆発させていたのは決してこれで決勝トーナメントが近付いたからだとか格上の名古屋に対して後半のこの時間帯にイーブンスコアに持ち込んだからだけではなく、その崩しが動画に撮ってテキストに出来るほど鮮やかだったからに違いない。

 パスを回されることでプレスが無力化してしまい流れの悪い名古屋は石川に代えて森を投入し、さらに曽雌に代えて加藤を投入すると、森をトップ下に動かし4-2-3-1のような形になる。そしてベンチからはトップ下に入った森に対して相手のボランチを見るようにという指示が飛んだ。さすがにここまで自由にボールを動かされては反撃もままならないとベンチも踏んだのだろう。もともとリトリートして守るようなチームではないので、4+4でブロックを作るよりもこの方が理に適っている。
 というか、そもそも俺はこのチームの特徴を考えるならばバルセロナ風の4-3-3にするのが良いのではないかとずっと思っていた。最近のチームは大抵4バックなので、前から本気でプレッシャーを掛けて追い込んで行く今のスタイルは3トップの方がずっと効率もバランスも良く、バランスが改善されれば前掛かりになり過ぎてカウンターを喰らう機会も減るに違いない。攻撃面を考えても局面での個人技による仕掛けを重視するのであればこのシステムは最適だ。

 とまあそんな余談は置いておいて、システム変更によっていくらか名古屋の守備もバランスが改善され、その後は一進一退の潰し合いとなりゲームはそのまま1-1で終了となった。そして得失点差により名古屋は二位で決勝トーナメント進出を決めた。

 決勝トーナメント初戦の相手は清水。言わずと知れた東海大会の決勝で敗れた相手だが、この大会も絶好調らしい清水はグループリーグを唯一全勝で勝ち抜いている。手の内を知られてるという意味でも決して「隙がない戦い方」ではない名古屋にとっては難しい戦いになるだろう。実際試合前のベンチでは清水は戦術ボードを使って念入りに確認を行っていた。
 名古屋のスタメンはこんな↓感じ。右サイドで今大会これまであまり見せ場のない石川を外して絶好調の森を投入している。

     曽雌    北川

伊藤   金    真柄   森

中島   松田  ニッキ  後藤

        板倉

 キックオフ前になってピッチには突然やや強い風が吹き始めた。それは試合に影響を及ぼすレベルのものだったが、選手が入場しコイントスの場面になって俺に名古屋の勝利を確信させる出来事が起こる。コートの選択権を得たのは清水だったが、清水のキャプテンはベンチの方に向き直って(風上か風下)どっちにしたら良いのか聞いていたのだ。そんなことも自分達で決められないようなチームに名古屋が負けるはずはない。そして東海大会決勝の雪辱に燃える名古屋はいつになく気合が入っている。この試合イケると俺が思った瞬間だった。

 そしていざ試合が始まると風上の名古屋が清水を一方的に押し込んで行く。この試合の名古屋のパフォーマンスはおそらく今大会(これまで)のベストパフォーマンスで、それは手の内がどうとか細かいことを言っている場合ではないぐらい気持の入った戦い方だった。清水がグループリーグでどいった相手とどういった戦い方をしていたのかは、残念ながら全ての試合が同時間キックオフだったので分からないが、名古屋はグループリーグで激しい当たりにもまれてきた経験が生きているように感じられた。名古屋がグループリーグで当たったチームと比べても清水はガツガツ来ないし明らかに“お上品”な感じがする。これが東海のスタンダードだとしたら、名古屋は大会を通してその上のレベルへとステップアップしたということだろう。
 バイタルエリアでクサビのボールを受けようとする北川へのプレッシャーがグループリーグからは信じられないぐらい緩い清水に対して、名古屋はそこを基点として次々と攻撃を組み立てて行く。そして相手を押し込んで獲得したコーナーキックから清水のGKがカブったところを北川が頭で押し込み名古屋は狙い通り先制。清水のGKは自らのゴールキックが押し戻されるほどの風に対して相当ナーバスになっており、これはセットプレーのたびに微妙にGKを外して蹴れば何かが起きるなと思っていると、またしてもコーナーキックから真柄がGKの頭越しに蹴ったボ―ルが風にも乗って直接反対側のサイドネットに突き刺さった。まさしく往年のピクシーのような軌道を描いたゴール。

 前半に風上で掴んだ名古屋の良いリズムは後半になっても途切れることはなかった。リズムが良いとこうもボールが動くのかというほどいつになくパスも回せているし、守備に回っても前線からのアグレッシブなチェイスからボールが出た先で相手の前に入ってカットすることが出来ている。名古屋らしい戦い方だ。そして守備面では二人の三年生、真柄とニッキがとてもよく効いていた。得点で気を良くしたというのもあるのだろう、中盤に出てくるボールは真柄が潰して潰して潰しまくる。そして相手が蹴って来る長いボールはニッキが圧倒的な高さでことごとくはね返す。二年生のチームに“オーバーエイジ”としてこの二人を選んだ理由はこうしたシーンを見ているとよく分かる。

 そして清水にペースを明け渡すことなく試合を進める名古屋は例によって清水DFラインの前でボールを受けた北川がキープして右サイド大外をもの凄い勢いで回ってDFラインの裏へ飛び出した右SB後藤にスルーパスを送る。これを受けた後藤は落ち着いてコントロールすると左足で豪快に蹴り込み試合を決定付ける三点目を獲得したのだった。

 その後ロスタイムにおまけのようなPK――確かに清水FWの足にGKが引っ掛かっていたかもしれないが、試合を通してあまり接触プレーを取らなかった基準からすれば流していても不思議ではなかった。むしろバランスを崩しても倒れなかった清水FWへのご褒美的なPKだった――で失点し、最終的には3-1というスコアになったが、内容的に見ても完勝で今大会ようやく名古屋らしさの出た試合だったと言えるだろう。

 決勝に向けて心配な要素があるとすれば、試合終盤に、後藤、伊藤、北川が相次いで足を痛め交代したこと。気持ちのこもったハードな試合をした代償だろうか。特に三点目を決めて勢いに乗っていた後藤の状態が最も深刻でおそらく捻挫だと思うが明日の試合の出場はまず難しいだろう(もちろん試合の大勢が決した後で交代枠も7つあるのでベンチが大事を取って交代させた可能性もある)。ただ控えにもそれぞれに個性的で能力の高い選手が揃っているこのチームは代わりの選手が出場したとしてもそれに負けないぐらいのパフォーマンスを見せてくれるに違いない。名古屋にはこの試合の良いイメージを持って明日の大舞台でも伸び伸びと戦い良い試合を見せて欲しい。
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by tknr0326g8 | 2009-05-04 22:50 | Youth