Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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J1 2009 第24節 名古屋×新潟 @スカパー
 内容はともかくようやく4月以来の連勝を飾り残留争いから抜け出して上位争いに喰い込んで行こうかという態勢が整ったと思ったら、毎シーズンの恒例行事となりつつある楢﨑の(長期)負傷離脱によってその前途に暗雲が立ち込めてきた名古屋。日本代表のレギュラーにして、名古屋の絶対的なキャプテン、そのビッグセーブによって何度もチームを救ってきた守護神離脱の影響はあまりにも大きい。ここで彗星のごとくリーグ戦デビューを飾るのが神戸さん(現北マリアナ諸島代表監督)をして「GKとしては10年に1人の素材」と言わしめたユース出身の長谷川だったならばまた違った楽しみもあるのだろうが、残念ながら長谷川はまだそのレベルに達していないようだ。伊藤裕二GKコーチとディドがそう判断したのなら、それに間違いはないのだろう。Uカテゴリーの代表でもずっとライバル関係だった権田がFC東京で正ゴールキーパーのポジションを掴み、中学(名古屋U-15)時代に一つのポジションを争っていた岡大生(駒澤大)がユニバーシアード代表に選出されていることを考えれば、長谷川にも早くそのステージまで上がって来てプレーしている姿を見せて欲しいものだが。

 名古屋は千葉戦から導入した3-5-2を三試合連続で使用。前節決勝ゴールを決めたマギヌンは出場停止となってしまったが、前線には負傷によって前節出場を見合わせたケネディが戻って来た。小川を除けばそれぞれがそれぞれの得意な持ち場で能力を発揮出来るようにと採用されたであろうこの新しいシステムが単なる個の力の積み上げではなく、この一週間でどこまで集団(組織)として成熟しているのかが注目ポイントだ。

 しかし結論から言えば、名古屋がこの試合で見せたパフォーマンスは未だ観る人を満足させるレベルには達しておらず、またこのチームが目指すべき方向性としてピクシーが就任当初から掲げてきた「コレクティブ」「モダンフットボール」「美しいサッカー」といったキーワードからはまだまだかけ離れた代物でしかなかった。まあピクシーの言うところの「美しい」の定義の中にレベルを超えた個人技と個人技のつながりも含まれるのだとしたら、針の穴を通すようなブルザノビッチのスルーパスに対して自慢のスピードで相手DFよりも前に出た玉田が冷静にGKを外して決めた(U-12の杉森君を彷彿とさせるような)ゴールも十分に「美しい」ものではあるが。

 前線の3人(ケネディ、玉田、ブルザノビッチ)の自由な発想による即興コラボとそこにダイナミズムを与えるべく上下動を繰り返す両サイド(三都主と小川)によってのみ攻撃が構成されている名古屋は言ってみれば完全分業制で、そこに「コレクティブ」な要素を求めるのは土台無理な話かもしれないが、ここでボランチの二人がそのリンク役としてもっと積極的にボールに絡むことが出来たら事態はもう少し緩和され、その攻撃もより魅力的で相手を支配出来るようなものになるかもしれない。少なくとも、この試合のように味方がサイドで詰まっている時でもサポートに顔を出さなかったり、ブルザノビッチがボール持った時に後ろからサポートが来たなと思ったら吉田!だったりというような状態よりは遥かにマシだ。
 もちろんボランチの二人からしてみたら前の3人に加え両サイドが攻撃に加わる状況ではリスクヘッジを行いバランスを取ることを第一に考えているのだろうし、ケネディとブルザノビッチと玉田しか絡んでいなかった先制点のシーンを観るまでもなく、前の人間だけで完結してしまう攻撃が一層その傾向を促進してしまっているという側面は確かにある。しかしそんな分業制によってチームが攻守に上手くバランスを保てているかと言えば、決してそうではないことは中盤でひたすらファールを繰り返していたWボランチを見れば明らかだ。そしてここには明らかにチームとしての歪みがある。

 「美しい」という意味では特にこの試合の残り15分もまったくもってそれに相応しくない内容だった。30度を越える過酷なコンディションは差し引いて考える必要があるにせよ、ユースにまで「美しく攻撃的なフットボール」を強要しておいて(クラ選U-18の大会プログラムにもそう記載されている)、トップチームがいとも簡単にそんな理想や理念をかなぐり捨てて勝敗に執着する戦い方をしていたのでは示しがつかない。それにその肝心の勝ち点3にしても、新潟がもう少しまともなチーム状態であれば、この試合はロスタイムで大逆転負けを喰らった大分戦の再現となっていても全く不思議ではなかった。
 これがあくまでも狙い通りの戦い方であると言うのなら、チームは今シーズンの目標をACL制覇に切り替えアジアでは普通に起こり得る理不尽なジャッジに備えて、この機会に「退場者を出して一人少ない状況でいかにして1点のリードを守り切るか」というシミュレーションを行っていたに違いない。

 名古屋が「一人少なくなってしまった」要因は間違いなく運動量の低下。そしてその最たる例がブルザノビッチだった。前半には玉田のゴールをアシストしたりポスト直撃の直接FKを放つなど、徐々にこのチームや日本そのものに馴染んできた印象もあるブルザノビッチだが、後半について言えば一人分の仕事もこなせていない。本来であれば代えられてしかるべき(トップ下の人材がいないのであれば小川をトップ下に回して右サイドに田中を投入すればいい)パフォーマンスしか見せられていないブルザノビッチを最後まで引っ張ったのは、ピクシーによる盲目的な溺愛かそれともピクシーならではのスパルタ教育なのか。
 そんなブルザノビッチは確立されつつあった名古屋のケネディを中心とした攻撃においてもどちらかと言えばそのリズムを壊す存在になりかけている。ファンハール時代のバルセロナにおけるリバウドみたいに、攻撃は必ずそこを経由してクリエイティブな形が生み出される一方で、そこにボールが入った途端にリズムはそこまでボールを運んで来たチームのリズムではなくて全てリバウド(ブルザノビッチ)のリズムになってしまうようなイメージ。

 と、そんな否定的なことを書きつつも、俺はピクシーがなぜこのバルカン半島からやって来たアタッカーに拘るのかはとてもよく理解できるし、そんなブルザノビッチの覚醒なくして名古屋の進撃はないとも思っている。そもそも今玉田が点を獲れていることにしてもケネディだけでなくブルザノビッチがいるからに他ならない。
 確立しつつあったケネディ中心の攻撃をピクシーがここに来て一から作り直しているのは、ヨンセンを中心に据えて攻撃を組み立てていた昨シーズンの痛い記憶があるからだろう。昨シーズンの終盤、他チームによるヨンセンに対するボックス内での徹底マークが施されると名古屋は急速に攻め手と得点力を失っていった。そしてナビスコカップでは準決勝で守備の強い大分の前に苦杯を舐め、リーグ戦もまた勝ち切れない日々が続くことになる。その結果ピクシーは来たるべくシーズンオフに向けてヨンセンとの決別を決断し、相手の徹底マークに遭ったとしても個の力でそれを打ち破ることが出来るダヴィというリアルストライカーを獲得したわけだが、今の名古屋に関してもケネディを中心とした攻撃だけではいつかそんな日が訪れることをピクシーは予見しているのだろう。実際それは先制には成功したものの追加点が遠かった大分戦(ダヴィがいればおそらく勝っていた試合)やケネディが徹底マークに遭ってほとんど仕事が出来なかったこの試合(新潟戦)でも少しづつ露呈し始めている。そんな状況を打開するジョーカーがブルザノビッチに他ならない。

 名古屋がチームとして一体感のあるサッカーを見せられるのはいつの日か。個人と組織がバランス良く調和したサッカーの完成はひょっとしたら今シーズンは無理かもしれないが、可能性はあるチームだけに今はやる方にも見る方にも我慢が必要なのかもしれない。幸いにも鹿島、FC東京と続く連戦までには二週間のインターバルも含めてまだ一ヶ月ある。その間に少しでもチーム力を高めて彼等と互角とまではいかないまでも前回対戦のような恥ずかしい試合をしないレベルにまで持って行って欲しい。
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by tknr0326g8 | 2009-08-31 01:51 | Game Review
第14回東京都サッカートーナメント 決勝 東京学芸大×明治大 @西が丘
 天皇杯の東京都代表決定戦を兼ねた東京都サッカートーナメント。第14回目を数える今年の決勝は東京学芸大学と明治大学という個人的に非常に興味深い対戦になった。この試合に対して俺が格別な興味を惹かれるのは、学芸大では太田圭佑(2年)、明治では久保裕一(3年)という名古屋ユース出身プレーヤーがメンバー入りしているからで、Jクラブのファン目線でこれだけこの試合を楽しめるのは、学芸大DFの高橋の来季加入が内定していて、明治では三田と山村という二人のユース出身プレーヤーがスタメン出場していたFC東京ファンぐらいではないだろうか。
 そして両チームともにオーソドックスな4-4-2の布陣を敷く中で、学芸大の太田は右SH、明治の久保はFWとして期待通り先発出場を果たす。太田も久保も関東大学リーグでは一年生の頃からちょくちょく試合に出ていたが、太田は背番号7、久保は11と、ともにレギュラー番号を背負っており、今やすっかり主力におさまっている。

 というわけで、試合もそんな二人を中心に見て行くと、試合は常にボールを持って攻撃を組み立てようとする明治に対してしっかりと守備ブロックを作ってそれを待ち構えカウンターを狙う学芸大という図式の中で、太田も久保も前半はそれほど目立つことが出来ず、ともにどことなく窮屈なプレーを強いられていた印象だった。
 太田はまず守備ありきで全体のバランスを崩さないことを優先するチームにあって、特に前半はかなり抑え気味なプレー。そんなわけでほとんどボールに触ることが出来なかった太田は、右サイドの深い位置でボールを持つと鮮やかな切り返しで対面するDFを転がし左足で中にクロスボールを入れたのが唯一の見せ場だった。
 一方の久保は終了間際にCKからドンピシャのヘッドを合わせてゴールライン上で相手DFにクリアされたのが最大の決定機。流れの中では、常にボールをキープして攻撃のビルドアップを図るチームの中で、前線に張っているだけでなく、相手DFラインと中盤の間のギャップに落ちて来てクサビのボールを受けようとする動きが目立っていたが、ボールを引っ掛けてカウンターを狙う学芸大に対して明治は怖くてそこにクサビのボールを入れられない。むしろそんな久保をオトリとして久保が空けたスペースに2トップを組む山村だったり大外から右SHの都丸や左SHの山田が走り込んでボールをもらう場面の方が良い形になりかけていた。また久保自身も一度下がった後サイドや前線にボールが出た後で再び前に出て行こうとする時に、山村がそのスペースを消してしまっているような場面も多く、久保のプレーからは昨夏のJヴィレッジで名古屋ユースに悪夢をもたらす口火を切ったこの一年生FWの良さを引き出してやろうという姿勢が感じられたが、コンビネーションについてはまだまだといったところだろうか。

 試合は結局後半も点が入らず0‐0のままPK戦にもつれ込んだが、尻上がりにペースを上げて行ったのは学芸大の方で、カウンターやセットプレー――明治はマークが曖昧で相手のキーマンとも言える高橋をフリーにしていていつやられてもおかしくなかった――から何度か決定機を作り出し、その度に明治のGK高木の好セーブやポストに阻まれていたものの明らかに試合の主導権を握っていたのは学芸大の方だった。そしてそこには得意のドリブルと持ち味のスピードで攻撃に絡む太田の姿があった。
 そんな学芸大に傾きつつある流れを決定的にしたのは明治FW山村のラフプレーによる退場で、明治はさらにとっくに交代枠を使い切った延長残り5分ではCBの丸山が足を攣って十分なプレー続行が出来なくなるというアクシデント。それでも明治はそんな丸山を最前線に回して久保を一列下げるという応急処置でこれを乗り切った。春先に関東大学リーグ第2節を観た時にも同じことを思った記憶があるが、久保はこうした場面でもチームのために献身的なプレーが出来るプレーヤーだ。

 そして前後半90分・延長20分でも決着がつかなかった死闘はPK戦へと突入し、試合の中でもビッグセーブでチームを救っていた明治GK高木の活躍もあって明治がPK戦を制し天皇杯へと歩を進めた。今年の天皇杯でも、長友(現FC東京)、橋本(現名古屋)、林(現東京V)、関(現仙台)、石井(現山形)、藤田(現東京V)等を擁し清水相手に互角以上の戦いを見せた(結果は3-3からPK戦の末敗退)二年前の再現となるようなサプライズを見せられるか。さすがに当時ほどのタレント集団ではないかもしれないが、三田や松岡など一年生でも十分に目立っている選手もいるので、彼等の伸びシロ次第ではそれも可能かもしれない。

 上でその献身性について触れた久保は高校(ユース)時代と比べてもシュートに対する意識が格段高くなっており、ターンからシュートに持っていく一連の動作にも鋭さが増している。今や押しも押されぬ明治のエースだ。この先勝ち進んでプロとの対戦になった時にどれだけインパクトを残せるか。太田も二年前の高円宮杯・準々決勝で同じここ西が丘のピッチを広島皆実を相手に単に速いだけでなく驚異的なスタミナで駆け回っていたのが昨日のことのように思い出されるが、まるで90年代のイタリアサッカーを観ているような学芸大の中で新しいサッカー・新しいスタイルを学んでいるところだろう。まだ時々戸惑ったり遠慮したりしているように見える場面もなくはないが、この先チームの主力としてプレーする中でさらに成長して行くに違いない。チームには征矢貴裕という良いお手本でありライバルもいるだけにその伸びシロに期待しながら見守って行きたい。
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by tknr0326g8 | 2009-08-30 17:51 | Other Games
J1 2009 第23節 G大阪×名古屋 @スカパー
 前節(この試合のつい四日前に)低迷している千葉を相手に2‐0と勝利を収めて連敗をストップしたものの、新加入選手が多い影響もあってコンビネーションが未完成で戦術的にも整理されていない印象を受ける名古屋のチーム状態は万全とは程遠い。その上この試合に向けては、7月のチーム加入後圧倒的なパフォーマンスでチームを牽引してきたケネディが負傷欠場となり、また対戦相手であるG大阪がチーム状態を回復してきていてある意味では大差での敗戦よりも屈辱的だった前回対戦のリベンジに燃えているであろうことを考えると、この試合が難しいものになることは間違いなかった。

 ケネディを欠く名古屋はその代役として普通に巻を使ってくるのかと思っていたら、玉田とブルザノビッチを前線に並べトップ下には前節ベンチを温めていたマギヌンが入るという、チームとしての機能性や戦術よりも能力が高く信頼出来る選手から順に使っていく方針が明確に反映された先発メンバーを組んできた。
 確かに単純な個の力の足し算ではこのメンバーがベストだろう。しかしこのメンバーで名古屋は一体どうやって攻撃を組み立てるつもりなのか。ボールを持った選手がまずどこを見るのか、誰にボールが入った時にどう攻撃のスイッチを入れるのか、素人の俺には皆目見当がつかない。なんとなく前の三人(と両サイド)にボールを預けておけば、後は能力の高い彼等が即興でコンビネーションを完成させて上手いことチャンスを作ってくれるということだろうか。

 だが残念ながらそんな行き当たりばったりなサッカーは好調なG大阪相手には全く通用しなかった。Wボランチに攻撃を組み立てる能力がない(二人合わせたとしても遠藤の足元にも及ばない)ことに加え、最初からサイドに張り付いている両WBと前線で動き出しの少ない2トップでは、名古屋はタテにボールを入れることすら出来ない。困った時のケネディの頭という選択肢も今日の試合では使えない。これでは名古屋がDFラインで横にボールを回すばかりで攻めの形を作れないのも道理だった。
 相変わらずマイペースな中村とは対照的に、吉村などは積極的に高い位置で攻撃に絡んでチャンスを増やそうという姿勢も見られたが、これにしても能力や特徴を考えれば限界がある。むしろそんな状況に業を煮やしたバヤリッツァが自らボールを運んで前線にボールを供給していた時の方が攻撃が良い形になりそうだったことを考えれば、最初から後ろは4バックにしてバヤリッツァをボランチで起用した方が良いのではないかと思えたほどだ。

 攻撃が上手く行かないと言っても、一方で川崎戦から比べると人を二人(ボランチに一人と最終ラインに一人)増やしている守備がより盤石になったかと言えば決してそんなわけでもない。守備専門のボランチを二枚並べたところで、動きの質を量でカバーするタイプの中村と吉村の組み合わせでは、中盤でボールを動かすことに長けたチームが相手だと途端に無力化してしまうのは去年から分かり切っているし、普段は二人で守っているペナルティエリアの幅に三人が入ることになった3バックでは、安心感からかそれともゾーンの概念が強すぎるのか、レアンドロ&ルーカスという名古屋からしてみれば思い出したくもないほど相性の悪い2トップの動き出しに対して対応(最初の一歩)が遅れていたのは紛れもない事実だった。
 そして名古屋は案の定G大阪にそこを突かれて前半のうちに二失点を喫してしまう。一失点目は横の揺さぶりに弱い吉村がバイタルエリアで遠藤に子供扱いされていなされると狙い澄ましたミドルシュートを決められたものだったし、二失点目はカウンターからレアンドロとルーカスの二人で速攻を決められて失ったものだった。

 前半を終えた時点では、このまま行けば7月のFC東京との二連戦に続くワンサイドゲームになってもおかしくないというのが正直な感想で、後半に向けてピクシーがどういった修正を施してくるのかには興味があったが、果たしてそしてそんな魔法が存在するのかという疑問も一方では燻ぶっていた。これまでの傾向からすれば先発メンバーの中で最も優先順位が低そうなマギヌンを外して、もう少し守備で貢献できそうな選手(例えば山口K)を入れるのだろうか。しかし実際のピクシーの選択はボランチの吉村を外して前線に巻を投入し、マギヌンを一列下げてボランチで起用するというものだった。正直これはかなり意外な起用方法。おそらくトレーニングでもしっかりと試したことはない形だろうし、守備の強くないマギヌンにボランチをやらせるなどという発想はこれまでのピクシーでは考えられなかった。ピクシーの中ではこの一方的な試合を引っ繰り返すためにはこれぐらいの刺激が必要だと考えたのか、それともご乱心でヤケになっているのか、はたまた戦術的に十分な勝算があったのか。

 そんな、期待よりも不安の方が遥かに大きかったマギヌンのボランチ起用だったが、いざ後半が始まってみると意外と悪くなかったというのが正直な感想だった。というより、前半G大阪のワンサイドだった試合の流れを名古屋に引っ張って来る上で、より効果を発揮していたのは前線に投入された巻よりもむしろマギヌンの方だったとすら言える。基本的にボールに触りたがり、またボールに触ってなんぼのプレーヤーであるマギヌンは、DFラインでボールを持っている時にもそれを受けられる位置へと顔を出すし、それを受けると自らボールを前に運んだり逆サイドへと展開したりして名古屋にリズムをもたらしていた。そしてこうしたマギヌンのプレーは単にリズムを生み出すだけでなく、攻撃の過程においてDFラインからのビルドアップによって名古屋がボールを失う確率を半減させていたと言っても過言ではない。これはムラムラコンビに最も欠けている特徴でもある。もちろん守備においては関与度の低いマギヌンがムラムラコンビのようにハードワークで際立つことはないが、それでもそのナチュラルなポジショニングが隣にいる中村のそれよりも有効だった場面も決して少なくなかった。
 惜しむらくはそんなマギヌンがヨーロッパを経由せず日本にやって来てしまったこと。得意だろうが苦手だろうがやりたかろうがやりたくなかろうが攻撃でも守備でも100%やらないとレギュラーを獲れないであろうヨ―ロッパと比べれば、Jのレベルなら少しぐらい手を抜いても許されてしまうぐらい実力は抜けているからこうした場面での守備力や本当の意味での献身性は身に付かない。もしマギヌンがヨーロッパを経由してそうしたプレーや意識をすり込まれていれば、万能型MFとして(少なくともJのチームの中では)もっと絶対的な存在になっていたかもしれない。

 マギヌンの配置転換や巻投入の効果に加えG大阪の動きが落ちてきたこともあって徐々に試合を盛り返してきた名古屋は、往年のウリダ→ウェズレイラインを彷彿とさせるようなパスがマギヌンから玉田へと渡り一発でG大阪ディフェンスの裏を取ると、その折り返しを走り込んできた巻が身体ごと押し込んで1点を返すことに成功する。
 そしてここでピクシーは早くもこの試合三枚目のカードとして津田を準備していた。連戦による疲労の影響か明らかにプレーに精彩を欠いていたブルザノビッチを下げて津田を投入するのだろうと誰もが思ったに違いない。マギヌンが中盤の底に入ったことで形が出来始めている名古屋に必要なのは最後にそれをゴールへと流し込める人間をボックス内に配置することでもある。
 しかしそんな予想に反して津田と交代したのは右サイドの小川。正直有り得ない采配だと思った。本来ストライカーである津田をサイドプレーヤーとして起用して良かった試しなど数えるほどしかない。ピクシーには学習能力がないのか、それとも背後から残留争いの足音が聞こえて来ている中で冷静な判断を下せなくなっているのか。だがそんな俺の浅はかな読みとは全く別次元でこの日のピクシーの勘は冴え渡っていた。動きの落ちたG大阪を相手に積極的なプレーを見せる津田は右サイドから何度となくチャンスを作り出し、同点そして逆転に大きく貢献することになる。

 最後はまたしてもG大阪GK松代のミスもあってロスタイムに劇的な勝利を飾った名古屋は、前回対戦と合わせて勝ち点4を拾った計算になる。もしこの世に勝負の神様の気まぐれがあるのだとしたら、大分での大惨事分はこれでチャラだ。後になって「あの試合(大分戦)で勝ち点3が取れていれば・・・」という言い訳はもはや通用しない。あとは前を向いて進んで行くのみ。
 ただひとつ言えるとすれば、この試合ではことごとく当たったピクシーの采配だが、マギヌンのボランチや津田の右サイドなどは常に成功するものではないということは理解しておかなくてはならない。そしてようやくインターバルが1週間空く次節・新潟戦ではもう少しチームとして整理されてまとまった状態での試合が観たい。
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by tknr0326g8 | 2009-08-24 03:28 | Game Review
クラセン(U-15) 準決勝 名古屋U-15×神戸ジュニアユース @Jヴィレッジスタジアム
 グループリーグ最終戦で前橋FCを相手に0-1と敗戦を喫したものの、決勝トーナメントに入ってからは浦和、横浜FCといった関東の強豪チームを退けてベスト4まで勝ち上がってきた名古屋U-15。一週間に渡る戦いもあと二試合となりいよいよ二年連続の栄冠が見えてきた。

 準々決勝で横浜FCを6-0と下している名古屋は試合前のアップを見ていても逆にそれが心配になってしまうぐらい選手がリラックスしていて雰囲気が良い。そこには大会開幕直後Jヴィレッジの芝に順応出来ずに思うようなパフォーマンスを発揮できていなかった選手達の姿はなく、試合を重ね勝ち上がっていくごとに自信を付けてきた様子が伺える。選手達は全国大会の雰囲気とレベルを肌で感じながらこの大会期間中に大きく成長したのだろう。

 そんな名古屋が準決勝で対戦するのが神戸ジュニアユース。残念ながら昨年のJFAプレミアカップでベスト4に入っているぐらいしか事前の知識はなく、グループリーグでも彼等の試合を見れていないので彼等がどういうチームなのかは分からないが、前評判の高いチームであり、この神戸や札幌そして浦和といった強いチームと名古屋が決勝トーナメントで戦う機会に恵まれれば(その上でそれらを勝ち抜ければ)いいなぁと思っていたので、(札幌は準々決勝でジュビ沼にまさかの敗退を喫してしまったが)ベスト16で浦和、そして準決勝で神戸と当たれたことは良かったと思っている。

 名古屋の先発はこんな感じ↓

      中根   青山

岩田   真柄   富田   曽雌

樫尾   社本   大谷   宮越

         渕上

 試合前のアップの片隅で裏方の仕事をこなしていたニッキを見る限りまだ試合に出られる状態ではなさそうだったのは残念だが、負傷明けでこの大会に臨んでいるU-15日本代表の岩田が本来のパフォーマンスを取り戻して来ていると思われるのは好材料。決勝トーナメントに入ってから勝負強さを発揮しゴールを連発しはじめたエース青山とともにそのプレーに期待が集まる。

 試合はキックオフから名古屋にとっては我慢の時間帯が続いた。FWの9番とDFラインの18番を筆頭に、サイズがありフィジカルが強そうな選手が多い神戸に対して名古屋は序盤から押し込まれてしまう。ポイントは「頭」と「セカンドボール」だ。名古屋の最終ラインは大谷も社本も決してヘディングの競り合いが弱いわけではないはずなのだが、神戸のそれが名古屋を上回っていることは明らかで、単純なロングボールに対して名古屋DFのヘディングクリアがキレイに決まったのはこの試合の中でもそれこそ片手で足りるぐらいだった。神戸は単純なヘディング技術というだけでなくポジション取りや身体の当て方なども上手いのだろう。そしてそんな安定しない名古屋のクリアを拾うのはほとんどが神戸の選手だった。名古屋の最終ラインがこれほどロングボールを跳ね返せない状況は中盤の選手達にとっても初めての経験だっただろうし、なにより今大会かなりの重労働を強いられているWボランチにこれを回収しろというのもかなりキツイ話だ。
 そして中央が強い(武器)ということを自分達でも認識している神戸はサイド攻撃にも迷いがないし、9番と2トップを組む17番が名古屋のDFラインと中盤の間に降りて来てボールに触ったり中盤の底でゲームを組み立てていた6番がやはり合間合間に顔を出してテンポ良くボールを捌いたりして完全にゲームを支配することに成功していた。
 
 相手に押し込まれて前線からの強い圧力にさらされている名古屋の攻撃の組み立てが苦し紛れとも言えるロングボール中心になるのは必然だが、これを神戸は18番(182cm)がことごとく撃墜してしまう。こちらのクリア率はほぼ100%だ。かといってグランウンダーでパスをつなごうにも、神戸は非常に組織だったソリッドな守備ブロックを築いているので、簡単にはトップにクサビのパスを入れさせてもらえない上、寄せが早く球際に強い神戸は名古屋の選手が少しでも逡巡しているとボールを奪い取り一気に名古屋ゴール前へとボールを運んでしまう。神戸は普段から守備組織を作るトレーニングを相当やり込んでいると思われ、GKからのコーチングもそうしたものが多い。こうなると名古屋としては神戸が前掛かりになってバランスを崩したところでカウンターを狙うしか打つ手がない状況だ。

 決定的なピンチを何度か招きながらも相手のシュートミスに助けられていた名古屋は絵に描いたようなカウンターから真柄のスルーパスに青山が抜け出したシーン(シュートは打てず)ぐらいしか良い場面がなかったが、30分を過ぎたあたりから神戸の動きが落ちて攻め手を失っていったことで少しづつ神戸陣内へとボールを運ぶことが出来るようになっていった。
 そんな中目を引いたのは樫尾と宮越の両SB。神戸の攻撃のペースが落ちたとは言っても守備組織は相変わらず堅いので、名古屋がその中に入って行こうと思えば上記の通りカウンターを狙うかもしくは個々のプレーヤーが目の前の相手をドリブルで抜いて相手の組織のバランスを崩すしかない。それを最も体現していたのが左SBの樫尾だった。3月にはユース(高校生)に交じってJリーグU-16チャレンジリーグに参加するなど、サイズもあってクラブの期待も感じさせる樫尾は愛知や東海地区の予選を通してもそのポテンシャルをフルには発揮出来ていない印象があったが、ここにきてようやくそれを出せるようになってきたようだ。神戸の守備ブロックに割って入り、相手が寄せて来ても間に身体を入れてドリブルで突き進んで行く様は圧巻だった。また正確な右足のキックを持つ右SBの宮越は樫尾のようなドリブル突破こそないものの、名古屋が攻め込んでいる時間帯に絶妙な位置に入って来てセカンドボールを拾い攻撃に厚みを持たせていた。

 名古屋にとっては押し込まれる時間が長く、特にDFラインは一瞬たりとも気を抜けないまま終了した前半だったが、終盤には攻撃面で後半に向けて良い兆しも見せた。そして立ち上がりに気を付ければベンチには北川や森といった二年生ながら違いを作り出せる選手も控えているので、1点勝負で勝ち抜けるかもしれないというような期待を抱きつつ始まった後半は、神戸が良い形でチャンスを作っても決定機でことごとくシュートをミスしてくれたこともあって「予感」はさらに高まっていた。もしこれが大人のサッカーであったならば、プレーしている神戸の選手達も過去の経験からそんな嫌な「予感」を感じ取ってそれがパフォーマンスにも影響していたかもしれない。そして実際、中根に代わって北川が入った直後には神戸の守備ブロックが一瞬間延びした隙に右サイドの曽雌から北川にナナメのクサビのボールが収まり、これを受けた北川が裏に走り込む青山に出したボールを青山がゴールに流し込んだり(判定はオフサイド)、岩田が東海地区予選の清水戦で決めたのと同じような位置で直接FKを狙ったりといったようなシーンも出現していた。相変わらず中盤を制し決定的なチャンスが多いのは神戸の方だが、ここまで来たらどっちに点が転がり込んでもおかしくない。

 だが名古屋にとってはチャンスが少しづつ増えていたことが逆にアダとなってしまった。前掛かりになったところで2バックのようになっていたDFラインと後で2対2の状況を作られ、社本との1対1を制した神戸9番が角度のないところから(今年のプリンスリーグ東海での名古屋と藤枝明誠の試合で藤枝明誠の9番に決められたのと全く同じような)豪快なシュートを名古屋ゴールへと叩き込んだ。名古屋は残り時間を考えて、敢えて後ろを2バック状態にするリスクを冒し勝負に出たのかもしれないし、単純に選手達が相手ボールになった時に守備に戻るだけの体力がなかっただけかもしれない。
 そしてさらに今度は正真正銘のリスクを冒した2バック状態から裏にボールが出てまたしても相手2トップと2対2の状況になると、17番の対応に行っていた大谷が振り切られ中央で待っていた9番にボールが渡る。これを9番が今度は飛び出してくる渕上の脇を抜けるように冷静にシュートを流し込んで2-0としほぼ勝負を決定付けたのだった。

 名古屋からしてみたらロングボールの競り合いに強いニッキがいればまた違った試合展開になっていたかもしれないが、文字通り「堅守」と呼ぶに相応しい神戸の組織的なディフェンスをチームとして攻略出来ず、いつもの自分達のスタイル(良さ)を出させてもらえなかったのも事実。決勝進出の目があるとしたらカウンターからの1-0しかなかった。これはこれで良い経験として新たな目標が出来たと捉え高円宮杯で再び神戸そして日本一にチャレンジして欲しい。少なくとも選手達はこの試合から速い判断の大切さと中途半端なプレーの危険さを学んだに違いない。そんな彼等が冬にどんなチームへと成長しているか楽しみにしていたい。
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by tknr0326g8 | 2009-08-22 23:59 | Youth
J1 2009 第22節 千葉×名古屋 @フクダ電子アリーナ
 ケネディ加入後チーム状態が上向いたかに思われた名古屋だったが、取れたはずの勝ち点をポロポロと取りこぼしたりしているうちに、気が付けば残留争いがすぐ背後まで迫っている。降って湧いたオイルマネーの恩恵(ダヴィの移籍金)で元日本代表の三都主やモンテネグロ代表の10番・ブルザノビッチを獲得したものの、この投資がJ1残留のために費やされることになるのだとしたら余りにも割りに合わない買い物だ。

 三都主やブルザノビッチのお披露目となったホームでの川崎戦で0-2と敗れてから中二日、この第22節で名古屋がアウェーに乗り込んで戦うのは大分や柏とともにJ2降格圏に沈んでいる千葉。6月に瑞穂で対戦した時には下位に低迷している千葉を相手に(悪い意味で)いい勝負を展開し最後は力負けを喫しているという意味でこれはリベンジマッチでもあるのだが、J1残留という現実的な目標を考えても眼下の敵である千葉はここで叩いておかなければならない。

 だが結果から言えば、この試合を通して名古屋はまだチームとして人前に出るレベルには達していないことを改めて露呈する形になったし、そんな名古屋の隙に対して川崎のように付け込む術を持ち合わせていない千葉もまた順位相応のチームであることを自ら証明してしまっていた。そんな二チームによる試合が(ピッチ状態の影響があるとはいえ)互いにミスが目立つ低調な内容になってしまったことは、至極当然の成り行きだったのかもしれない。

 試合開始から5分ぐらいまでの名古屋は、野球で言うところの「偵察メンバー」のような感じで相手の出方を伺っているのか、それとも相手を撹乱する狙いなのか、かなり歪なフォーメーションを敷いていた。

        玉田   ケネディ

          ブルゾ
                     小川
       吉村    中村

三都主   増川    吉田    バキ

           楢﨑

 従来通りの4バックは右SBにバヤリッツァ、左SBに三都主とどちらも組み立ての起点になれてボールを前に運べるタイプなのでなかなか面白いアイデアかとも思われたが、中盤では小川が従来通り右サイドに張り出している一方で、ブルザノビッチがトップ下のような位置に入っているので左サイドがポッカリ空いてしまっている。これは試合の中で玉田がそのスペースに下がったり、三都主と小川が釣瓶の動きをすることで4バックのバランスを取りながら流動的にやってくるのかなと思っていると、5分ほどが経過したころから名古屋の真のフォーメーションが姿を現しはじめる。

 この試合に向けてピクシーが用意した秘策(調整案)は3‐5‐2だった。

       玉田   ケネディ

          ブルゾ
三都主                小川
       吉村    中村

    増川    バキ    吉田

           楢﨑

 率直に言うなら、この3‐5‐2はピクシーのもとに集結した信頼出来るタレント達が最大限に個々の能力を発揮するためのフォーメーションだ。高さと速さを組み合わせた2トップ。その下で攻撃のタクトを振るう10番タイプのアタッカー。突破力のある両翼。そしてそれらを後ろで支えるのが、ひたすらピッチを走り回るハードワーカータイプのWボランチと、どんな攻撃も跳ね返してくれそうな屈強なストッパー3枚。それぞれが自分の得意な持ち場で自分の得意な仕事をこなす完全分業制による選手配置はなんだか素人が考えたような安直さを感じさせなくもない。
 そして能力の高いアタッカー達による個人技での仕掛けや即興でのコンビネーションなど華やかなサッカーが観たい人にとってはこれはこれで良いのかもしれないが、ひとまず組織よりも個を優先させたチーム作りは全くもってコレクティブではない上に、チームとしての成熟も試合を重ねる中で選手達が互いの理解を深めるのを待つしかない。これでは千葉には勝てても川崎や鹿島には勝てない。川崎とのACLまでに名古屋はどこまでそれを高められるだろうか。現時点でそれがないことは、例えばこのタレント達をしてカウンターからの3対3などですら攻め切れなかったシーンを見るまでも明らかだ。

 試合全体を観ていて感じたのはケネディの存在の大きさ。相手DFが過剰なまでにケネディを意識していることもあって、前半はブルザノビッチがDFラインと中盤の間でフリーになる場面が多かったし、後半に玉田が決めた追加点もボックス内で玉田があれだけフリーになれたのは相手DFの注意がケネディに行っていたからに他ならない。玉田には是非ともこれで味を占めて欲しいと思う。相手DFがケネディに引っ張られて出来たスペースで自由にドリブルを楽しむのではなく、ブルザノビッチとともにボックスに飛び込むことを意識して行けば今シーズンの残り試合で二桁ゴールを記録しても全く不思議ではない。

 チームとして連携していたとは言い難いが、名古屋のベンチメンバーと千葉の力を考えれば2点をリード出来ればほぼ安全圏。それにしても贅沢なベンチメンバーが揃ったものだ。前線で高さが必要なら巻、スピードが必要なら杉本、アクセント(変化)が必要なマギヌンを投入すればいい。ケネディ、玉田、ブルザノビッチの誰が欠けても似たようなタイプによって応急処置的に穴は埋められる。ハードワークが信条のボランチが疲弊すれば山口。両サイドのバックアップに至っては田中隼麿と阿部という豪華さだ。あとはフロントが出来ることと言ったら、トヨタマネーを使ってCBのスペア用にベンチ入り枠をあと一つ増やさせることぐらいしかないかもしれない。これだけの選手(オプション)が揃えばピクシーもさぞかし采配が楽だろうし、逆に言えばこれだけのメンバーを揃えておいて結果が残せなければ嘘。その時にはその手腕が批判に晒されてもなんら言い訳は出来ない。
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by tknr0326g8 | 2009-08-19 23:59 | Game Review
宮城スタジアムカップ2009 @宮城スタジアム補助競技場
 クラセン(U-15)もグループリーグ突破が決定したということで、さらに北上しやって来たのは宮城県の利府にある宮城スタジアム。去年の12月に黄金世代(現高1)が高円宮杯(U-15)のグループリーグで京都やヴェルディと激戦を繰り広げたのが同じ利府にある宮城県サッカー場で、その時にはここに宮城スタジアムがあること自体知らなかったのだが、よくもまあ駅から歩いたら1時間近くかかるというこんな丘の上にW杯本大会を開催するスタジアムを建てたものだなと。アクセス条件では仙台スタジアムと雲泥の差を感じる。

 この宮城スタジアムカップは2002年のW杯記念事業として2004年からスタートし今年で6回目を迎える大会。今回も全国から集められた16のチームが4つのグループに分かれて予選を戦った後順位決定戦が行われる予定になっている。名古屋は先週の石川県ユースサッカーフェスティバルでもグループリーグで同居しさらには来週のジャパンユースサッカースーパーリーグ(ベスト4)では決勝で当たる可能性のある流経大柏、さらには作陽、そして地元の聖和学園と同じグループDに振り分けられており、グループDはスタジアム横の補助競技場が試合会場になっている(ベガルタユースの属するグループCが宮城スタジアム、グループAとBが県サッカー場を使用)ので、2002年のW杯で日本代表がトルコ相手に苦杯を舐めた宮城スタジアムで試合をするためには、グループリーグを首位で突破しなければならない。せっかくなので是非彼らには宮城スタジアムで試合をさせてあげたいところだが。

 昨日の試合で作陽を1-0と下し上々のスタートを切った名古屋だが、今日予定されているダブルヘッダー(うちひとつは先週の石川県ユースサッカーフェスティバルで敗れている流経大柏とのリベンジマッチ)を乗り切る上で、U-17日本代表としてスペインに遠征中の岸とSBSカップに出場するU-18日本代表に招集されている岩田(怪我で辞退したらしい)という最終ラインの中心選手を二人欠く苦しい状況。今日は二試合を通じて奥山と金編という急造コンビがCBを務めていた(そのしわ寄せで三浦俊が右SBに下がっている)。

 9:30から行われた流経大柏戦のスタメンはこんな感じ↓。

      奥村   大西

小幡   矢田   近藤   藤田

安藤   奥山   金編   三浦俊

         古川

 しかし結論から言えば、1-0で流経大柏に競り勝って先週の借りを返しグループ首位通過を決めた名古屋だったが、その試合内容はお世辞にも良かったとは言えず、プレーしている選手達にとってもストレスを感じる展開だったのではないだろうか。それは不明瞭なジャッジを連発したことで両チームの選手やコーチからクレームの集中砲火を喰らっていたレフェリーや、そんなこんなで試合終盤には怒号が飛び交っていたピッチ上を見ても明らかだ。

 この試合の名古屋は前線に奥村と大西という180cm超の2トップを並べてスタートしたがなかなか攻撃を上手くオーガナイズすることが出来なかった。組み立てがロングボール一辺倒でボールが落ち着かず2トップにもボールが収まらなかったこともあるが、前にボールが入っても二列目以降のサポートが遅く、奪われてカウンターを喰らうような展開が続く。対する流経大柏も時々アタッキングサードで良いコンビネーションを見せはするもののいかんせんそれも単発。クリア気味のロングボールに反応した大西が大柄な体を生かした強引な突破から左足シュートを放ち名古屋が先制したことで少しは試合も動き出すかと思われたが、これでは試合自体が低調な流れになるのも必然だった。

 後半開始と同時に右SHに豊田国際ユースでも印象に残る良いプレーを見せていた加藤翼を投入し、その後は高原(奥村out)、水野(大西out)と一年生を続々と投入した名古屋だったが、試合の流れは変わる気配がない。試合終盤になって流経大柏が色々とフォーメーションを変えたりながら点を取りに出て来たので、後ろにスペースが空き、名古屋はようやく高原や加藤や矢田、小幡といった選手達が流経大柏ゴールに向かって切り込むようなシーンも出始めたが、もう少し早くそうしたシーンを観たかった。

 二人のレギュラー(しかも二人とも年代別の代表)が欠けた最終ラインは、ロングボールを放り込まれるとその跳ね返しに難があり、しばしばそうした流れから大きなピンチを招いていたが、なんとかゼロで流経大柏の攻撃を抑え切った。試合中小川監督が金編に対して「相手がボール下げたらポジション上げろ」というようなひどく初歩的な指示を送るほどの急造CBでありコンビであったわけだが、それを考えればこの結果には満足すべきだろうか。もっとも昨年はスーパールーキーとして岸とともにほとんどの公式戦に出場した金編も来年には最終学年を迎えるだけに、(ポジションがどこであれ)こんなところで満足してもらっては困るのだが。

 15:30から行われた今日の第二試合の対戦相手は地元の聖和学園。今年のプリンスリーグ東北で2位という好成績を残しているらしい聖和学園は、グループリーグでも流経柏、作陽といった全国レベルの強豪校相手に二試合連続で引き分けに持ち込んでいる。名古屋は既に首位通過を決めているが、第一試合のモヤモヤを晴らすためにもスッキリと良い内容で勝利したいところ。

      高原   藤田

小幡   矢田   水野   加藤

中野   奥山   金編   三浦俊

         三浦天

 クラセンで対戦した横浜や広島そして今日の第一試合で対戦した流経柏などと比べた時に一体相手がどれぐらいのレベルなのだろうかとその力を測りながら、比較的余裕を持って試合を眺めていた俺の予想を裏切るかのように、試合は聖和学園のペースで始まる。流経大柏相手に2-2の撃ち合いを演じてきた聖和学園は実際に攻撃的なスタイルを持つチームで、そんな相手の勢いに名古屋は抵抗する間もなく押し込まれてしまった。ダブルヘッダーの疲れ(相手も条件は同じだったが)なのか、決して名の知れた強豪チームではない相手に対して余裕を持ち過ぎてしまっているのか、名古屋はボールホルダーへの寄せも甘く反応も鈍いのでスルスルとペナルティエリア内に侵入を許し、逆に攻撃に移っても第一試合同様にサポートが遅く単発な攻撃は相手のボックスに入ることすら出来ない時間が10分ぐらい続いた。

 10分ほどが経過したところで名古屋は中野に代えて安藤を投入。中野はコンディションの問題なのだろうか、あらかじめ「10分」と決められていたかのような交代だった。そしてそれを合図としたわけではないだろうが、遅ればせながらこの辺りから名古屋の反撃が始まる。ようやく前線の高原や藤田にパスが通り始め、まずは彼等が前を向いて仕掛けることを手始めに、ここに加藤や小幡や矢田といった二列目の選手達が絡んでスピードに乗った攻撃で聖和学園のゴールへと迫る。そして安藤が入れたクサビのボールを中盤に落ちてきた高原が受けてワンタッチで左サイドの小幡に流すと、小幡が一気に左サイドを持ち上がりファーサイドの加藤へ。これをフリーで受けた(ニアで藤田がオトリになった)加藤が右足で鮮やかに聖和学園ゴールに蹴り込む。名古屋1-0。

 キレイな崩しから奪ったゴールはチームに活気を呼び戻し、突然ピッチに名古屋の選手達の声が響くようになった。攻撃でボールホルダーを呼ぶ声もさることながら、目立っていたのは守備面で声を掛け合う姿。そしてそこではどこからボールを取りに行くのかということやチームとして連動することが強く意識されているように感じられた。
 今日の二試合を見る限り、名古屋は、アグレッシブに前からボールを奪いに行っていたクラセンの頃とは打って変わって、リトリートして相手が自分達のゾーンに入って来たところで前線からワンサイドを切り規制を掛けていく守り方へと変貌を遂げていた。そのおかげでボールを奪う位置が低くなりいざ攻撃となってもビルドアップはロングボールが中心になったり、二列目が最終ラインとの距離感(セカンドボール?)を意識したポジションを取ることで前線にボールが入った時のサポートが遅くなったりもしたわけだが、(好きか嫌いかは別として)これはチームの持つ課題へと取り組んだ前向きな変化と捉えても良いのではないだろうか。
 ただそんな守備面でも依然課題はあり、上でも書いたように、連戦の疲れからかそれとも選手間の距離を気にし過ぎるあまりかボールホルダーへの寄せが甘いディフェンスは自陣ペナルティエリア付近であってもいとも簡単に突破(単独もしくはワンツー)を許していた。これは実際失点にもつながっていて、右サイドで裏(ペナルティエリアの中)に抜け出されると角度のないところからシュートを決められ同点で前半を折り返すことになっている。

 同点ゴールを決められる頃には試合は再び聖和学戦のペースとなっていて、せっかく良いリズムで試合を進めていてもそれが長く続かないという試合の中での「波」もまたまだ解消はされていないようだ。

 後半になると名古屋は小幡に代えここまで二試合連続ゴールと好調の大西を前線に投入し高原が左サイドに回る。しかし大西が悪いわけでは全くないのだが、ショートパスをつなぐのではなく、まずは前線にボールを入れてそこでキープしている間に全体が押し上げるというスタイルの名古屋は、組織的に守られるとどうしてもクサビのボールもアバウトで一発狙いになり、相手の守備の網から抜け出せなくなってしまう。
 またアタッキングサードで鮮やかなパス交換からの突破を見せたかと思えば、それと同じぐらいパスに誰も反応出来ないままボールだけが抜けて行ってしまうシーンも見られ、ミスというよりはコンビが合わないと言った方が的確な感じだ。選手達はトレーニングの延長線上で自由にやっているような感じだったが、ちょっと淡白な感じもあり、自由演技として選手達の発想や判断に任せるだけでは限界もあるのかもしれない。この後またしてもタテ1本から相手を吹っ飛ばすようなパワフルな突破でGKと1対1になり左足で豪快なシュートを決めた大西(今大会三試合連続ゴール)にしても、単純に後ろからのタテパスで走らせて個人技で打開を図るだけでなく、チームとして上手く活かす方法を考えてあげればもっとその能力が生きてくると思うのだが。

 相手のレベルの問題もあるのかもしれないが、流経大柏戦と比べれば良かったシーンの絶対数は増えた名古屋。好調を持続している大西はもとより、ミニ国体から合流したばかりの一年生も良い意味で目立っていた。走り方がどことなく水沼親子に似てきた加藤翼はサイドハーフとしてこのカテゴリーでもすっかり危険な選手になっているし、高原や水野が見せた積極的な仕掛けも最後のところで相手に引っ掛かってしまったが期待を抱かせるには十分。CBの奥山も積極的に声を出して本職でない金編を引っ張っていた。彼等はミニ国体優勝そして国体出場を決めてモチベーションも高まっているのだろう。

 明日と明後日に行われる準決勝と決勝(3位決定戦)の舞台はいずれも宮城スタジアム。俺は観に行けないが、せっかくの大舞台なので楽しみつつも良い経験にして欲しい。
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by tknr0326g8 | 2009-08-17 23:06 | Youth
クラセン(U-15) グループD 名古屋U-15×FCディアモ @Jヴィレッジ
 クラセン二日目の相手は四国代表のFCディアモ。昨日の開幕戦で前橋FCと対戦したFCディアモは緊張もあってかキックオフから立て続けに失点を喰らいトータル8-2と敗れている。昨日はこの試合が名古屋とアズーリの試合が行われたピッチのすぐ隣で行われていたこともあって、前橋FCによるいきなりのゴールラッシュ(とそれに伴う観客の盛り上がり)が名古屋の選手達に与えた影響(焦りなど)も少なからずあるでのではないかと俺は思っているのだが、5メートルほどしかない両ピッチの狭間で試合を観戦していた立場からすると、混乱する選手達とそんな選手達に投げかけられるFCディアモの監督の声(コーチング)が印象的だった。選手がやるべきことを怠れば怒るし、良いプレーをすれば褒める、何をすべきか分かっていなければヒントを与えて考えさせる。これが晴れの舞台というよりもまるでトレーニングの一環のように試合を通じて投げ掛けられる監督の声は見ようによってはオーバーコーチングと言えなくもないが、そのタイミングや内容は的確で、クラブ創設6年目にして一枠しかない四国地区代表の座を勝ち取った要因のひとつはそんなところにあるのかもしれないと感じた。選手達はこの大会例えグループリーグで敗退することになったとしてもこの経験の中から将来に向けての何かを掴むに違いない。

 同じベンチからのコーチングでも良く通る声でスパルタ式に選手達を怒鳴り続けていた前橋FCの話は一旦ここでは置いておいて、それらとは対照的に、今シーズンから名古屋の監督に就任した高田監督は、U-18の小川監督と同様にベンチから静かに選手達を見守るタイプだ。ただ対戦するチームとの間に実力の差がない(もしくは相手の方が上という)U-18と比べれば、(少なくともこれまでの試合においては)対戦相手との間に力の差があったU-15では監督がベンチから口出しをしなくても良いような状況だった。そして東海地区予選などを観ていて思ったことは、いわゆる街クラブの監督がいちいちコーチングエリアにまで出て来て選手達に伝えなければないような内容は、J下部の選手達であればまだ中学生と言えども自分達で感じ取って自分達で修正するだけのサッカー選手としての奥行を持っている。このあたりはさすがに“アカデミー”と名乗るだけのことはあるが、J下部の監督というのは教えることと同じくらい我慢することが求められる仕事かもしれない。

 と、かなり前談が長くなったがさっそく試合。名古屋は昨日の試合とはスタメンを5人入れ替えて来た。よっぽどなことがない限りグループリーグ敗退はないという状況を考えても、一人でも多くの選手をこの大会に馴染ませておくことと彼等の(試合での)コンディションを測っておくことが狙いだろうか。

     北川   青山

曽雌  富田   真柄   森

河合  社本   大谷  鈴木

        渕上

 注目は三人の二年生。個人的には彼等三人に加えボランチのどちらかに代えて金を起用してくるかなと思っていたが、昨日の試合でも良いパフォーマンスを見せていた曽雌を筆頭に、U-14では不動のエースである北川(昨日の試合を頭だけ覗きに来たSALFUSのスタッフが真っ先に口にしていたのが「25番がいない」というこいとであり、実際地区予選でも決勝トーナメントに入る頃には3年生の中でも目立っていた)、さらには弟が全少を制した“新・黄金世代”でも活躍中の森といずれも期待の選手達がエース青山とともに攻撃陣を形成する。
 そしてもうひとつ気になる点としてはニッキの欠場。昨日の試合で足を痛めて交代したニッキはこの試合ではベンチにも入っておらず、今日見掛けた時にも普通に歩くだけで足を引きずっていたので、ひょっとしたら明日の前橋FC戦も難しいかもしれない。まあこの段階で無理をする必要は全くないのだが、高さのあるヘディングを武器に最終ラインで壁として立ちはだかるだけでなく「声」でチームを引っ張ることが出来るニッキの穴は、同じポジションでプレーする社本だけでなくチーム全体で埋めなければならないだろう。

 昨日の試合で前橋FC相手に8失点を喰らっているディアモに対して、自分達もそれ以上に点を取らなければいけないという思いもあるのだろうか、名古屋は立ち上がりからアグレッシブに攻め込む姿勢は見せるもののどこか焦りにも似た感じで気持ちが先走っているようにも感じられた。そしてディアモの忠実で速い寄せと未だ対応し切れていないJヴィレッジの芝の影響からかなかなかボールが落ち着かず組み立てが上手く行かない名古屋はロングボールを蹴り出すようなシーンが目立つ。

 対するディアモは完全なカウンター狙い。とは言っても自陣にベタ引きになって前線の一人か二人でカウンターを繰り出すというのではなくて、しっかりとプレッシャーを掛けてボールを奪い、ボールを奪ったら何人かの選手がグループとなって一斉に動き出す。比較的小柄なチームにあってサイズもある二人(中盤でボールを落ちつけられる10番とボックス内で危険なところに入って来る9番)がこのチームの中心選手ではあるが、ダイレクトに9番を狙うのではなくて、逆サイドにボールを振ったりして相手(名古屋)DFの意識を分散させ、その隙に9番がボックスに飛び込んでピンポイントで合わせるのがパターンだ。それを相手の監督のコーチング風に言うなら、「単純に(タテに)入れても高さのある相手に勝てないんだったら、どうしたらいいか考えろ」となる。
 そしてそんな攻撃はこの試合では名古屋よりも先に実を結び、カウンターから左サイドのスペースに抜け出されるとその折り返しに合わせようとした9番を大谷が後ろから引っ張ってしまいPKを献上してしまった(大谷にはイエローカード、PKは9番がゴール右に外す)。この試合について言えば、ここでPKを決められていたとしてもおそらく大勢に影響はなかっただろうが、今後自分達と同等レベルの相手と対戦する時はこうした不用意なプレーが致命傷となるだけに気を付けなければならない。

 よくよく考えてみれば、名古屋のDFが左右に揺さぶられるようなシーンはこれまであまりなかった。これまでは前線からのプレスはもちろんトップチームの理想を体現するかのようなハードワーカータイプのWボランチが中心となって中盤でボールを回収したり、そうして相手が苦し紛れにまっすぐ蹴って来たボールをニッキや大谷が跳ね返していたからだ。狙われるとしてもせいぜい相手のFWがサイドのスペースに流れてタテパスを受けてそのまま勝負するぐらい。しかしこのここに二試合では中盤でボールを獲り切れず、入れ替わられてそのまま前を向かれるようなシーンも少なくなかった。これは攻撃のスイッチが入った時に変な形でボールを奪われているからであり、そうした状況に堪らずボランチが一発でボールを奪いに行ってしまっているからでもある。チームとして簡単にボールを失わないことと守備におけるバランスを考え直すことが必要だろう。そしてDFラインは今後しっかりゲームを組み立てられるチームと対戦しサイドからの揺さぶりに遭った時にその真価を改めて試されることになる。

 これで目が覚めたわけではないだろうが、このピンチを凌いだ名古屋はその直後にCKから先制ゴールを叩き込む。左コーナーから真柄が入れたスピード、コースともに申し分ないボールに中央で一人(大谷?)が飛び込んでオトリとなり、その後ろから入って来た選手(北川?)がダイレクトボレーを蹴り込んだ。

 そしてこの得点と前後して、なかなか上手く行かない名古屋はフォーメーションに微修正を加える。北川を右サイドに回し森を中央へ。森と青山はタテの関係になって4-2-3-1のような形になった。

        青山

曽雌      森      北川

     富田   真柄

河合  社本   大谷  鈴木

        渕上

 キープ力のある北川がよりボールを受けやすいサイドに回ったことなどもあって少し前線にボールが収まるようになり、ディアモを押し込むことに成功した名古屋だったが、それでもフィニッシュの部分では強引さが目立ち、結局追加点を奪えぬまま1-0で前半を終了。現実的に考えれば逆転される可能性は低いが、「こんなはずでは…」というのが選手達の偽らざる気持ちではないだろうか。

 後半の開始に当たってベンチは青山と北川というU-15とU-14の両エースに代えて昨日ハットトリックを決めた中根とU-15日本代表候補でもある怪我明けの岩田を投入する。ベンチがよっぽど前半の出来が気に食わなかったのかと思いきや、どうやら青山は足を痛めていたようだ。後半も出ていれば必ずエースとしての仕事をしてくれたであろうだけに残念だが、全国初ゴールはこの先の大事な試合の数々の中できっと決めてくれるだろう。また彼のゴールなくして名古屋の栄冠も有り得ない。

        中根

岩田      森      曽雌

     富田   真柄

河合  社本   大谷   鈴木

        渕上

 ハーフタイムにベンチからの指示もあったのか、後半になると名古屋はトップ下の森が中心となってボールを引き出すための動き(顔を出す動き)が活発になり、いきなり長いボールで前線のアタッカーにボールを付けるのではなく、その間にワンクッション噛ませるようになったことでさらに前線の動きも活性化してきた。
 そしてなかなか強い気持ちを持っているディアモを相手に苦戦しながらも、名古屋は続々と得点を重ねて行く。CKのセカンドボールを拾った味方選手からDFラインの裏にフワリと出されたパスに反応した中根が左足のダイレクトボレーで逆サイドのサイドネットに突き刺して二点目を奪うと、左サイドから回って来たボールをバイタルエリアで受けた森が右サイドの曽雌にパスを送り、これに抜け出した曽雌がニアサイドの上を撃ち抜いた。
 森に代わって金がトップ下に入ってからは一層バイタルエリアを経由した攻撃の傾向は顕著となる。森と違って金は広範囲に動き回ってボールを受けるタイプではないが、タテに急ぎがちなチームにあってその確かな技術をベースとしたインテリジェンス溢れるプレーは一服の清涼剤的な味わい。U-14のJリーグ選抜でもプレーし(合宿を行い)そのプレーには少しだけ力強さも増したように感じる。そして真柄のスルーパスに右サイドからボックス内へと抜け出した金が冷静にコースを狙い澄ましてシュート、これはGKのビッグセーブによって阻まれたが、中根がプッシュし名古屋のリードは4点と拡がった。この金のシュートといい、その後同じように右サイドからドリブルでボックスへと侵入してきた曽雌がGKのニアサイドを抜こうとしてポストに当てたシュートといい、決まりはしなかったもののしっかりとコースを狙ってシュートを放っている彼等の冷静さと技術には驚かされる。トップチームの試合でハーフタイムのシュート練習を観ている時、ことごとくゴールネットを揺らしている選手の方が調子が良かったりシュート精度が高いと思いがちだが、外したりポストやバーに当てている選手の方が意外と際どいコースを狙ってシュートを打っている結果だったりするから気を付けないといけない。

 その後名古屋は大谷と曽雌に代え松田と石田を投入し富田を右サイドに回すなどのローテーションも実施。最終的な布陣はこんな感じ↓。

        中根

岩田      金      富田

     真柄   石田

河合  松田   社本   鈴木

        渕上
 
 そして試合終了間際にはロングボールに反応した岩田が相手DFに挟まれながらもスピードとパワーで抜け出し強引にゴールにねじ込んで5-0。完全にディアモの息の根を止めた。ようやく岩田らしさの出たゴールも見ることが出来たわけだが、岩田はこれから決勝トーナメントに向けてさらにコンディションが上がっていくことが期待される。

 これで二日目を終えてグループDは勝ち点6で名古屋と前橋FCが並び、アズーリとディアモが勝ち点0のままなので、名古屋と前橋FCは三日目の直接対決を待たずしてグループリーグ突破が確定した(順位は総得点差で前橋FCが首位)。決勝トーナメントで当たると思われる浦和――今日の試合では東海地区予選決勝で名古屋と戦ったジュビロ沼津の徹底したカウンター攻撃に大苦戦を強いられながらも最後は3点を固め取りして勝利――や、初日にその浦和の猛攻に耐えて0-0で逃げ切り、今日は退場者を出しながらも劇的なロスタイムゴールで勝利したジェフ千葉U-15習志野に目が行きがちだが、まずは目の前の試合。前橋FCは(隣のピッチをチラ見した程度だが)選手達が良くサッカーを知っていて、ショートパスを使いながらゲームを組み立ててくる印象。とりあえず選手達を怒鳴り散らしてとにかくうるさい前橋FCのベンチ(監督)のことは気にせず、試合に集中して良い弾みを付けて決勝トーナメントに臨んでほしい。
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by tknr0326g8 | 2009-08-17 00:53 | Youth
クラセン(U-15) グループD 名古屋U-15×AC AZZURRI @Jヴィレッジ
 黄金世代がクラセンを制してから早や一年。ディフェンディング・チャンピオンの名古屋は愛知そして東海地区予選を圧倒的な強さで勝ち上がりこの全国大会へと駒を進めて来た。ただこのチームは今年になってから突然強くなったような印象で、俺が今年の6月になるまでチームとして一緒にプレーする彼等を観たことがなかったことを例に取るまでもなく、これまで全国の舞台とは無縁のチームだった。U-12からの昇格組が少ない年代であることもその一端を示しており、またこのJヴィレッジの芝を経験しているという観点から考えても、経験があるのは今年のGWのプレミアカップ(U-14)で(早生まれの)「オーバーエイジ」としてそこに加わっていたニッキと真柄、それに三年前の全少でこのピッチに立った松下(当時愛知FC)ぐらいだろうか。昨年のこの大会でも何人かの二年生はメンバー登録されていたが試合に出るまでには至っていない。そうした意味では、このクラセンは彼等にとって待ちに待った全国の舞台であり、彼等の存在を世のサッカーファンに知らしめる絶好の機会でもある。
 そうした要因もあるのだろうか。一方で監督以下のスタッフ達はこの大会に向けてかなり慎重な準備を行ってきた様子が伺える。予選で圧倒的な強さを見せたとは言ってもそれは所詮の東海のレベルに過ぎない。全国レベルの相手と試合をした経験が春に館山で行われた合同合宿ぐらいしかないこのチームを今月頭には関東遠征へと連れ出し、柏、浦和、横浜といったチームとトレーニングマッチを組んでいる。大会に向けて抜かりはない。あとは彼等が大舞台に臆することなく持てる力を存分に発揮するだけだ。決して関東にも引けを取らない力を持つ彼等がその力を発揮できれば自ずと結果は付いてくるだろう。

 東海地区予選の期間中から三年生とプレミア準優勝を飾った二年生の混成チームで戦っていた名古屋だったが、全国初戦となるこの試合ではスタメンをオール三年生で固めてきた。特に注目は左SHに入っているU-15日本代表候補でもある岩田。東海大会では負傷によって決勝トーナメントをはじめとする大会後半を棒に振っていて、先週の豊田国際ユース(韓国戦)では飛び級で招集されたものの前半途中で交代と不完全燃焼に終わっているだけに、この全国の舞台で一体どういったプレーを見せるのかとても楽しみ。

     中根   青山

岩田  真柄   富田  野崎

樫尾  ニッキ   大谷  宮越

        渕上

 試合は立ち上がりから名古屋の選手達の硬さが目立つ。それでもこれまで県大会や東海大会で戦ってきたレベルの相手であればこのチームの大きな武器のひとつであるフィジカルで圧倒してペースを掴むことも出来るのだろうが、170センチ台中盤から後半の選手が多いAC AZZURRIは当たりに強く球際の競り合いでも名古屋に負けていない。そして何よりそのしつこいマークとそのチーム名の由来(2002年のW杯日韓大会でイタリア代表の支援と交流を行っていたクラブから生まれたらしい)が示す通り中盤からのディフェンスが非常に忠実で組織だっている相手に対して、名古屋は焦りからか上手くゲームを組み立てることが出来ていなかった。

 そしてようやく前線やサイドのアタッカーにボールが収まり出したかなと思った10分過ぎ、コーナーキックのクリアボールを青山が拾って(左)サイドのスペースをタテにぶっちぎる。それによって得たコーナーキックから真柄が入れたボールをゴール正面でニッキが競ってそのこぼれ球(浮き球)を野崎が頭でプッシュ、さらにゴールライン際で相手にクリアされようかというところに中根がダイビングヘッドで飛び込み頭三つのつなぎから名古屋が先制に成功したのだった。

 これでようやく緊張も解けて本来の姿を取り戻すかなと思っていたが事態はそう簡単には好転してくれない。相手が中盤からタイトなディフェンスをしてきてまたDFラインが浅いこともあってか、この試合の名古屋は早目に前線の4人にボールを付けてそこからシンプルに裏を狙わせるようなタテに速い攻撃が目立っていた。しかし前を向いた選手がボールを持ち、いざ仕掛けてチーム全体もスピードアップしようかというタイミングで、なぜだか名古屋はその仕掛けた選手がボールの上に乗ってしまいバランスを崩して転倒しボールを失うというシーンが続出していた。これがコンデシィヨン的な問題なのか、動きの硬さから来るものなのか、それともこのJヴィレッジ特有の芝目の長い天然芝に選手達が慣れていないからなのかは分からないが、とにかく名古屋は攻め切るどころか攻撃のスイッチが入った瞬間にボールを失いカウンターを喰らうという展開を続けていた。

 しかしそんな展開でもポロッと追加点が入ってしまったりするのだからサッカーは分からない。ニッキがDFラインから大きくクリアしたボールをボックスの中で相手DFとGKの間に入り込んでマイボールにした中根がGKを背負ったままの状態で反転しながら背面のゴールマススに蹴り込んだのゴールは決して美しいゴールではなかったがチームにとってはまさしく値千金とも言える貴重なゴールだった。

 オフサイドトラップの網をかいくぐって左サイドをフルスピードで抜け出した青山が丁寧に折り返したセンタリングを、ゴール正面でどフリーだった中根がワンタッチで合わせてゴール右に外してしまうというシーンで幕を開けた後半は、まるでそれが予兆であったかのようにいくつかのミラクルが起きる。
 最初のミラクルは、交代の札を出されてラストプレーとなった野崎の(枠内)シュートを中根がブロックしてしまったシーン。スピード溢れる突破で左サイドを抜け出した岩田がGKとDFの間に流し込んだグランウンダーの速いクロスボールに対して、ファーサイドで身体ごと突っ込んできた中根は一歩届かずボールは抜けてしまったが、大外から詰めて来た野崎がこれを拾って冷静にコースを見極めシュート。これが態勢を立て直して起き上がろうとしていた中根に直撃し、野崎は得点を逃しそのまま曽雌と交代する羽目になってしまった。
 二つ目のミラクルはそんな野崎に代わって右SHに入った曽雌のゴールの場面だ。ボールを持った右SB宮越とのアイコンタクトによって、引いてボールを受ける振りをしてウェーブの動きから一気に裏を取った(そのスペースに宮越がピタリとボールを落とした)曽雌が前を向いてドリブルを始めると、慌ててバックステップを切ったGKのシューズが脱げてしまう。そして何を思ったかGKが残されたシューズのところに戻ってそれを拾い上げている間に、曽雌が右サイドからゴールへと向かって一気にスピードアップして入って来るとそのまま冷静に無人のゴールにシュートを流し込んだのだった。
 それにしても曽雌の足腰の強さ(体幹の強さ)は素晴らしい。一つ上の学年の選手達が所々で滑っている中で、このチームで一,二を争う小柄な曽雌がボディバランスを全くブレさせることなくボールを落ち着けドリブルでボールを前に運んでいるのだから恐れ入る。と、こう書くとなんだか曽雌が重心の低いドリブラーのようだが、実際は全く逆でスピード溢れる突破を武器とする曽雌のドリブルは弾むようであり、まるで浮力が働いて地上から浮いているかのような錯覚を覚えるほどイメージ的にはアンリみたいな感じ。日本では長身でスラッとしていてスピードのあるアタッカーならなんでもかんでも“和製・アンリ”にされてしまうが、俺は162センチと小柄な曽雌の方がそのイメージに近いような気がする。

 その後名古屋は岩田に代え北川、樫尾に代え河合、そしてヘディングの競り合いで(着地の時?)足を痛めたニッキに代えて社本と次々に選手交代を行う。突破の破壊力という点では交代で入ったU-14組の曽雌や北川よりも野崎や岩田の方がサイズもあって強いかもしれないが、この試合では彼等のところでなかなかボールが収まらなかった(失うことの方が多かった)ことを考えると、曽雌や北川の方がボールも収まっていたし遜色ない働きが出来ていたと思う。まあ岩田の場合は怪我明けということもあってかゲーム勘が戻っていないように見える場面も散見されたので、今は焦らずこの先の決勝トーナメントでピークを迎えられるようにしていって欲しいところではある。

 試合終盤になると名古屋はこの試合まだ無得点のエース・青山に得点を取らせようという雰囲気がピッチ上に漂い始めていた。全員がチームメート思いなのか、それとも裏へのボールが流れたところで身体ごと相手GKに当たって行って相手GKを負傷退場させてしまったようにまだメンタル的に不安定な面がある青山をケアしているのかは分からないが、明らかにそんな感じの空気。
 だが結局こうした試みは上手く行かず、試合終盤には前線の選手達が無理に仕掛けてボールを奪われてはカウンターを喰らい続けるというシーンが見られた。相手の攻撃が比較的中央からで単調だったので守りやすかった部分はあったにせよ、名古屋は最終ラインが良くこれに耐えて凌いでいたと思う。地味ではあるが、チームが攻撃に掛かってボランチの二人も出払ってしまっているようなシーンでは相手の攻撃(カウンター)をまともに受ける形になっていて、こうした慌ててもおかしくないような場面でも大谷を中心としたDFラインは落ち着いてて対処していた。

 そしてそんな試合を締め括ったのはやはり中根。左サイドで得たセットプレーからキッカーの富田がニアに落としたボールをキープした北川が後ろ向きのままでセンタリングを送る。これをゴール正面で中根がプッシュしたのだ。東海地区予選ではなかなかゴールという結果が出せず、一つ下の学年の北川にポジションを奪われそうになるなど苦戦していた印象の中根だったが、見事ハットトリックを達成し上々の全国デビューを飾った。前からのディフェンスも労を惜しまず行いゴール前では危険を顧みないで身体を張る中根は、もし高校卒業後にトップチーム(プロ)に昇格出来なかったら是非とも駒澤大学をお勧めしたい。そのプレーはかつて「駒大スタイルを体現する男」と言われた筑城(名古屋から徳島にレンタル移籍中)ですらも驚くに違いない。

 明日の試合は青山も爆発してくれるだろう。
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by tknr0326g8 | 2009-08-15 21:26 | Youth
第17回FマリノスカップU-12 @マリノスタウン
 全少での初優勝から一週間。名古屋の“新・黄金世代”が再び関東の地に降り立った。昨年は年の瀬も押し迫った12/23~25に行われていたマリノスカップU-12が、今年はお盆真っ只中の8/14~16に開催されているからだ。全少が終わってから一週間経っていないというハードスケジュールもさることながら、TVなどのメディアで大きく扱われていた影響もあって他チームやその父兄を中心とした観客からも大きな注目度を集めている中で試合をするのは想像以上に負担が大きいだろう。周りのチームはチャンピオンを負かそうと最大級のモチベーションで挑んでくる。それがいかに難しい状況かは、一週間前に全少の準決勝で戦った川崎や同じく決勝トーナメントに進出していた大宮がグループリーグで撃沈(川崎は連敗!スタート、大宮も二試合を戦って未だ勝ち星なし)ぶりを見ても一目瞭然だ。ただ名古屋からしてみれば、この大会に参加しているチームをざっと見渡しても、昨年のこの大会の決勝で敗れた横浜F・マリノスプライマリー、同グループリーグで敗れたヴェルディ、春先のダノンネーションズカップ2009で3-0と完敗を喫した柏、同グループリーグで敗れ先日の全少でも同居したグループリーグで1-1とリベンジに失敗した仙台、全少で二年連続PK戦と未だ完全決着を付けられていない川崎と、いつにも増して勝利欲を掻き立てられるような相手が揃っていることも確か。挑戦を受ける立場と挑戦する立場の両方の気持ち楽しみながら、この大会でも全少のような素晴らしい試合を見せてもらいたいところ。

 今日から明日の午前中にかけて行われるグループリーグでグループCに振り分けられた名古屋は横須賀選抜、バディSC、そして昨年同様ヴェルディと同組。この大会の観戦は今日だけの予定なので、どうせならヴェルディとのリベンジマッチを観てみたかったが、そのヴェルディとの試合が第三戦(明日)に予定されていては仕方ない。追浜も含めれば8つのJ下部が参加しているこの大会では、J下部は2チームづつ各グループに割り振られているので、名古屋にはこのヴェルディ戦もさることながらひとつでも多く勝ち進んでもらって決勝トーナメントで他のJ下部など強いチームとの対戦を通してさらなる経験を積んで欲しい。

 第一試合となる横須賀選抜戦での名古屋のスタメンはこんな感じ↓。チーム全員で戦うというコンセプトのもとまたチームそして選手個人での更なる成長を考え、全少の準決勝や決勝とは少しメンバーも変わっている。

      森   杉森

佐藤  加藤   池庭  犬塚

吹ヶ  住田涼  柴田  福山

        岩本

 全少で優勝したことによる自信からか、名古屋の選手達は試合前のアップからとてもリラックスしていたように見えた。そしてすんなりと試合に馴染みペースを握った名古屋においてその攻撃の中心となったのはサイドだった。DFラインを押し上げてコンパクトな陣形を保ち中央を固めている横須賀選抜に対し、名古屋は佐藤に吹ヶが絡んだ攻撃で何度も左サイドを破ってセンタリングをゴール前へと送り込むようなシーンが目立った。一方で密集にさらされてなかなかゴールに持ち込めない2トップに対してはベンチから厳しい指示が飛ぶ。二人ともドリブルを得意とする突破型のタイプで、チームとしてももともとあまりこういったサイド攻撃(サイドからのクロスという形)を見せることがなかった部分はあるが、クロスボールに対するゴール前でのポジション取りという部分ではまだまだ改善点も見受けられる。
 そして試合は左サイド佐藤のクロスをゴール前で杉森がシュートしたこぼれ球を拾った犬塚が冷静にコースを狙ってシュートを流し込み先制。さらには浅い相手DFラインの裏に中央から出たボールに対して、杉森と譲り合うような形で飛び出した森がボックスまで持ち込んで追加点。前半のうちに幸先良く2点のリードを奪うことに成功した。

 全少でも準決勝・決勝ではMVP級の活躍をした森は、その準決勝・川崎戦でも同じような形から先制ゴールを決めたように、こうした1対1でも自らのスピードとシュートの勢いを殺さず確実にゴールを陥れることが出来る。GKのタイミングを外すのが上手いというか自分の中に独特なリズムを持っていてそれに乗ってプレーするのが上手いというか。
 そう言えば、この試合とは全く関係ない話だが、全少の決勝で森が左サイドからカットインして豪快に撃ち抜いたゴールは、あの後TVの録画でメインスタンド側からの映像を観たら、俺がピクシーの名古屋でのベストゴールのひとつと思っている95年に瑞穂での鹿島戦で決めたゴールとドリブルの位置取りやステップそしてシュートの弾道に至るまでビックリするぐらい瓜二つだった。そしてさらに驚くのが、そんなゴールを決めた森を始めとしてこのチームの選手達が当時まだ生まれていなかった!という事実だ。1997年生まれの彼等は名古屋の黄金時代を知らない。二度目の天皇杯制覇が記憶に引っ掛かるか引っ掛からないかだと思うが、当然その頃にはまだサッカーを始めていなかったはずで、彼等は“万年中位”の名古屋しか知らない世代なのだ。

 とかなり話が横道に逸れたが、後半の名古屋はCBを中心としてごっそりとメンバーを入れ替え(右SBの辻は前半途中から出場)。そして後半途中には吹ヶに代えて住田祐を投入したり、点差がさらに拡がった後では加藤と辻のポジションを入れ替えたりもしていた。

      森   杉森

浅井  加藤   池庭  梅村

吹ヶ   藤川   萩原   辻

        岩本

 横須賀選抜はハーフタイムにDFラインについての指示があったのか、後半になるとDFラインをさらに高く保つようになり、これに対して名古屋は何度もオフサイドを取られていた。おそらく横須賀選抜の監督は、前半を見ながら杉森のスピードを警戒して中途半端にDFラインを下げてしてまっていたあたりを修正ポイントとして選手達に提示したのだろう。しかし名古屋からしてみれば(横浜Jrユースの選手達が務めていた「疑わしきは罰する」副審も含めて)オフサイドトラップに苦しんだこともまた良い経験。こうした中から名古屋の選手達はオフサイドへの対処法を学んだに違いない。
 そして右サイドから森が持ち込んだボールが中央で梅村を経由して杉森へと渡り杉森がドリブルで左に抜けながら目の前のDFを抜き去って左足で逆サイドネットに決めたシュートを皮切りに、中央で池庭→加藤と渡り(逆サイドのパスコースが消されていたので)DFを背負った森に入れたボールを森がターンしながら豪快に右足で蹴り込んだシュート、さらには同じく相手DFラインの前でボールを受けた森が強引な突破を試みて相手GKとDFの間にこぼれたボールを見逃さず風のようにさらった杉森が鋭いドライブを決めてGKを交わしてゴールに流し込んだシュートと、名古屋は後半更に3点を追加することに成功。ディフェンスも集中してボールへの反応で常に相手を上回って先に触ることで危ないシーンを作らせなかった。だが名古屋からしたら「もっと出来た」というのが正直な感想ではないだろうか。

 横須賀選抜からしてみたら後半はDFラインも高く保って頑張っていたものの、ともに160近くあろうかという長身のCBコンビに対する依存度がやや高く、サイドのスペースを名古屋に使われしまったのが致命傷となった。

 約4時間のインターバルを挟んで行われた今日二試合の相手はバディSC。運動量と当たりの激しさが特徴のチームだ。試合前のシュート練習なんかを見ていてもフィジカル面でも強いのかもしれない。
 そんな中スタメンでは不動のWボランチを崩しているのが注目点。第一試合では右SBとして先発出場したものの前半途中で代えられてしまった福山もボランチでどういったプレーを見せるのか楽しみだ。華麗なボールコントロールを持ち独特なステップで相手を幻惑する彼はU-18の加藤凱とタイプが似ている。また決してスピードがあるわけではないが相手の逆を取るのが非常に上手い小柄なレフティーの犬塚をこれまでの右ではなく左に使っているのも地味に興味深い。メッシに憧れ、左利きながら右サイドから切れ込むプレーを得意とする彼が左サイドでどういったプレーを見せるのか。

        杉森

犬塚      森     加藤

     池庭   福山

吹ヶ  住田涼  柴田   辻

        岩本

 この試合では非常にアグレッシブな相手の勢いに対して序盤こそ押される場面もあった名古屋だったが、前半はそれをパスワークで切り抜けていくような素晴らしい試合を展開した。
 名古屋がどういったサッカーを披露したのかを最も物語るのが実は相手GKによる味方のディフェンスに対するコーチングからも読み取れる。「人数かけてんだろ」「軽いぞ」「緩いぞ」・・・etc。2人,3人と人数を掛けてボールを奪いに行っても(さすがに単独では難しいが)ワンツーなどで簡単に抜け出されてあっという間にゴール前までボールを運ばれてしまう。1対1では当たりに行っても簡単に抜かれて入れ替わられてしまう。そうして個人技とチームプレーが上手く噛み合う名古屋の攻撃を前にバディの運動量をベースとしたハードなディフェンスは次第に無力化し立ってボールを観てしまうようなシーンが増えて行ったのだった。

 先制点はこの試合でトップ下に入った森が中央で杉本が落としたボールを受け、その脇をスルスルとボックス内まで侵入して行った池庭にパス。これを池庭がシュートに行ったこぼれ球を拾った杉森が一歩外に持ち出してシュート。これが見事にネットを揺らしたのだった。
 相手GKの好セーブに遭ったりポストに嫌われる形で、この試合ややゴールから見放されていた感じの杉森だったがこういったところでキッチリと決めて結果を出すあたりはさすが。去年上級生に交じって5年生として出場した全少やバーモントカップ、そして春先のダノンネーションズカップを観ていたころはドリブルを生かしたチャンスメーカータイプの選手になるのかと思っていたが、ゴールの匂いを感じさせるゴールハンターとしてしっかりと成長を遂げていた。そして(県予選も含めて)全少で結果を残した彼からは自信に裏打ちされた余裕のようなものさえ感じることが出来る。あれだけメディアで騒がれてしまうと、これから彼が乗り越えなければならない壁もおそらく他のプレーヤーの何倍かのものになるに違いないが、才能のある選手が揃う“新・黄金世代”の中でもスター候補の筆頭にある彼が順調に成長していつか瑞穂のピッチに立ってくれることを願ってやまない。
 そしてそんな杉森と2トップを組むパートナーにして最大のライバルでもある森は、上でも書いたような独特なリズムによるパス・ドリブル・シュートもさることながら、決して重心が低いわけでもないのに非常にボディバランスが良く相手を手で押さえながら動きを封じるプレーもとても上手いので相手を背負った状態でもプレー出来るしそこから相手と競り合った状態でシュートに持ち込むことが出来る。彼の場合はこの年齢にしてサッカー選手としてはほぼ完成形を迎えている。

 後半も名古屋ペースでスタート。そして開始早々にロングボールを杉森がヘディングで後ろにスラすと、これを拾った森が一人で持ち込んでシュート。このシュートはポストに嫌われたが、猛烈なスピードで走り込んだ杉森が相手DFより先にこれを拾って鮮やかなシュート。これが決まって名古屋がリードを二点へと拡げたのだった。

 しかし点差を2点としたことで精神的に余裕を持ち過ぎたのか、それとも(相手も同じ条件ではあるが)今日二試合目の試合ということで疲れが出たのか、試合はその後バディのペースで進み、名古屋は押し込まれる場面が多くなった。名古屋は足が止まり出足も少しづつ遅くなっている。こうなると後ろに人数を掛けてなんとか凌ぐしかない。ただそうした状況にあっても「やられた」と思ったシーンは1,2度しかなく名古屋としては最後のところでなんとか守れていたし、前線にスピードがあって自分でゴールまで持ち込める選手達を揃えている名古屋だけにこうした状況からもカウンターで追加点を奪うことは可能で、(曇ってはいたが)真夏に行われる二連戦ではある意味これは現実的な戦い方だったのかもしれない。

 前半の出来を考えれば2-0というスコアにはやや不満も残るが、取りこぼすことなく勝ち点6を稼いでグループリーグ突破を決め明日の東京ヴェルディ戦に臨めるのは最低限の目標は突破出来たと言えるのではないだろうか。明日も楽しみながら一試合でも多くの試合を経験して欲しい。
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by tknr0326g8 | 2009-08-15 04:32 | Youth
豊田国際ユース U-16韓国代表×U-16名古屋グランパス・愛知県・豊田市選抜 @豊田スタジアム
 昨日の試合で同年代の日本代表にPK戦の末敗れたU-16名古屋グランパス・愛知県・豊田市選抜。最終日となる今日はU-16韓国代表との試合になるが、相手が実際にはU-15であることや今大会ここまで1分1敗と未だ未勝利であることを考えると是非ともこの試合に勝って大会を締め括りたいところ。

 U-16名古屋グランパス・愛知県・豊田市選抜のスタメンはこんな↓感じ。これまで途中出場でしか出番のなかった中京大中京高の熊谷や名古屋U-15から飛び級参加の岩田がスタメンに名を連ねている。

      川村   足立

岩田   都竹   水野   熊谷

渡辺   川本   奥山   野崎

         石井

 試合が動いたのは開始から僅か4分だった。ボールを蹴ると砂埃が舞うデコボコなピッチの影響もあってか水野が左サイドの渡辺に出したボールが少し短くなり、それを相手に拾われると最終ラインの川本と奥山の間にスルーパスを出されてしまう。これに抜け出した選手がクロスを送ってファーサイドで待ち構える選手に余裕を持って叩き込まれてしまった。ありがちなカウンターと言えばありがちなカウンターだが、この直後にも今度は右サイドで奥山と川本の間にスルーパスを通されてシュートまで持ち込まれており、名古屋のDFラインがあまりにも簡単にスルーパスを通されて裏を取られているのが気掛かりだ。

 昨日の試合のレヴューの中でも触れたが、このチームの最終ラインは粘り強いマークで1対1に強さを見せる奥山を中心として個々の頑張りは目立つものの、組織としての意思統一があまり見られずDFラインとしては機能していないのが実状。積極的にラインコントロールをして相手をオフサイドトラップに陥れるような守り方をしろと言うつもりはないが、今のままでは相手が一定以上のレベルになれば常に裏を取られる脅威に晒されることになる。もちろんこれはDFラインだけの問題ではないがこのチームが守備面で抱える確かな課題の一つ。昨日の試合でDFラインの裏に抜け出した相手をGK伊藤が倒してイエローカードをもらったシーンを見て、クラセン(U-18)・広島ユース戦の三浦天悟を思い出したのは俺だけではないはずだ。逆説的に言えば、そういったシーンを見ているとこのU-16にも小川新監督のスタイルが浸透して来ているとも言えるのだが。

 そんな名古屋はピッチの影響もあって攻撃でもなかなか良い形を作れないでいたが、前半のうちに奪った同点ゴールは鮮やかなゴールだった。左サイドの渡辺から右サイドの野崎に大きなサイドチェンジが通り、野崎がタテに預けたボールを受けた熊谷が足立の頭にピンポイントクロスを合わせたわけだが、、クロスボールの軌道もさることながら組み立てのシンプルさがむしろその機能美を際立たせていて、名古屋がトップチーム以下で目指しているサッカーを体現しているように見えなくもなかった。
 おそらく今彼等はこうしたシーンを一試合の中で少しでも多く作れるようにトレーニングを積んでいるのだと思う。いわゆるチーム戦術というやつだが、今のU-16の選手達を見ていて感じるのは、これに合わせてプレーすることに意識が行き過ぎているように見えなくもないということだ。世の中には完璧な戦術などないので、一定レベル以上の相手と戦えば当然のごとくそれが思うように作動しない場面が生まれてくる。そうなった時にどうするのかを考えるのはピッチ上の選手達自身であると今のスタッフは考えているのかもしれない。そしてそこでは各々の選手達が持っているプレーヤーとしての特徴やこれまで学んできたことが生きてくるはずで、例えば攻撃が行き詰まった時にどうやってフリーな選手を作るのとかはチーム戦術とは別レイヤーの話として彼等はその方法論を持ち合わせているはずなのだが。

 前半のうちに追い付いたことで後半は少し期待しながら試合を見始めたのだが、U-16名古屋グランパス・愛知県・豊田市選抜はまたしても開始直後にリードを許してしまった。キッカケはまたしてもスルーパス。右サイドでスルーパスを通されて裏を取られ、これはなんとか凌いだもののボックスの手前でセカンドボールを拾われると今度は左サイドでスルーパス。これに抜け出した選手が折り返したボールを中央で合わせられてしまった。
 言うまでもなくDFラインの裏を取られるのは即失点につながる死活問題。パスサッカーを標榜している某高校サッカーの監督が「パスを回す目的は?」との問いに「相手のDFとGKの間にボールを入れるため」と答えていたインタビューを読んだことがあるが、それをこんなに簡単に許してしまってはなかなか勝ち点3はおぼつかない。ミニ国体から本番に向けてDFラインもさることながらチーム全体でのディフェンスも再考されるべきだろうし、またその前提として個々のプレーヤーが球際でやられない強さを身に付けなければならないだろう。U-15の時にこのチームの監督だった菅沢現京都U-18監督やU-12で全国優勝を成し遂げた森川監督が「1対1で相手を抜けばチームとしては数的優位」といったような発言をしていたが、逆に言えば、球際で負けて入れ替わられたら後は数的不利を背負い込むことになるからだ。それが中盤であればDFラインが崩れる要因にも当然なり得る。

 試合はその後、相手に激しく削られてから突然スイッチが入ったのごとくアグレッシブに覚醒した高原と、昨日に引き続きスーパーサブ的な起用となったU-15の青山を中心としてU-16名古屋グランパス・愛知県・豊田市選抜が怒涛の攻撃を見せる。そして途中から左サイドハーフのような左ウイングのような位置に回った高原が左サイドからドリブルで仕掛けたところで相手に倒されPKを獲得。バックスタンドから見ているとPAの外のようにも見えたが、このPKを高原がキッチリと決めてU-16名古屋グランパス・愛知県・豊田市選抜が同点に追い付いた。去年のクラセン(U-15)のイメージがあるからか、高原は決してPKが得意なタイプではないと思っていたのだが、昨日今日の二試合で三度のPKをいずれも冷静かつ豪快に沈めているのを見るとどうやらそんな心配は無用なようだ。

 その後もU-16名古屋グランパス・愛知県・豊田市選抜は何度となくU-16韓国代表ゴールに迫ったが結局得点には至らなかった。このコンディションで最後に見せ場を作ったことは評価出来るかもしれない。そして二日続けてもつれ込んだPK戦では、最初に水野が外した時には危うしかとも思ったが、GKの石井がその後二本をセーブして逆転勝ち。U-16名古屋グランパス・愛知県・豊田市選抜の最終成績は4チーム中3位という結果だった。
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by tknr0326g8 | 2009-08-09 23:59 | Youth