Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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ACL 準々決勝 2ndレグ 名古屋×川崎 @BS朝日
 パーフェクトとは言えないが名古屋にとってはいくつかの課題が改善されていることが確認出来た試合だった。例えば1stレグのレビューの中で書いたサイドからのクロスボールに対して中央で合わせるバリエーションという意味では、鹿島戦での先制点(ブルザノビッチ)や3点目(杉本)といい、名古屋をACL準決勝に導いたと言っても過言ではないマギヌンのシュートといい、ケネディをオトリとしてその裏に飛び込む形がこのところよく見られる。特に逆サイドのSHがクロスに対してファーに入って来る形はSHの得点力によって苦しい試合をモノにしてきた昨シーズンを彷彿とさせるものだ。個々のプレーヤーを見ても、(雨の影響もあってか)相変わらず広野のキックが安定しないところは気掛かりだが、国立とカシマでは同じような位置から中途半端な(右足に付けるのか左足に付けるのかすら曖昧な)パスを出して自ら攻撃の芽を摘んでいた小川が迷いを吹っ切るように放ったミドルシュートを決めたことは彼自身にとっても光明となるに違いない。

 1stレグから一週間。ともに間にAWAYでのリーグ戦を挟んでいるのでこの試合に向けた特別な何かをトレーニングするような余裕はなかっただろう。実際、1stレグに2‐1で勝利を収めこの試合は引き分けでも準決勝に進める川崎はまずは失点をしないことに念頭にやや引き気味な布陣からカウンターを狙う形を徹底してはいたものの、中村憲剛とレナチーニョを両SHに配置する4-4-2のフォーメーションも名古屋のボールの出所と受ける先に対してマッチアップするように人を立てる守り方も前回対戦のままだった。
 対する名古屋も先に失点を喫すると(AWAYゴールもあって)苦しくなることからかなり慎重な試合への入り方をしていた。川崎が前から来れば(勝算の低い)撃ち合いに応じるしかないが、川崎が出て来ないのであればむしろそれを利用して0-0の時間帯を長引かせると同時にどこかで得点を奪いに行き、最終的に1-0のスコアで試合を終えるのが準決勝進出に向けては最も現実的なシナリオだからだ。名古屋は自陣へと引いた川崎が網を張る外のエリアで出来るだけボールを失わないようにバックラインでボールを回していたが、そんな光景もこの試合に限っては全くストレスに感じなかった。

 川崎にとって厄介だったのは三都主の存在だろう。一週間前に対戦した時には見られなかった形を名古屋は試合(公式戦)という最高のトレーニング環境で試運転しその上好感触を得ている。川崎はこれに対する対策をほとんど試合の中で考えながら行わなければならなかった。川崎の対名古屋用戦術は名古屋がDFラインでボールを動かしながら前の4人(2トップと両SH)にボールを入れてくるスタイルを想定しているので、三都主がボランチに入ってそのパス回しに積極的に関与することで予想とは違うボールの動きに対応しなければならない上、狙い目のひとつと踏んでいたはずのDFラインでのパスミスもこれによって確率が低下してしまう。三都主のボランチは守備においてもSBでのプレー経験が生きているのかDFラインとの距離感に気を払えるので中村や吉村と比べてもチームとしてブロックを作って守ることを可能にし、また隣でプレーするマギヌンが同胞の先輩の監視下に置かれて比較的真面目に守備に戻って来るようになったりといった副産物をもたらしていたりもする。

 川崎が土曜日のG大阪戦でどういった戦い方をしていたのかは分からないが、1stレグのレヴューの中でも書いたように名古屋対策を意識し過ぎているような川崎は自分達の良い部分を少なからず殺している部分もあり、またそのシステムには明らかなエアポケットが生じていたのも事実だった。名古屋のビルドアップにおいてパスの出し手(起点)となるのはDFラインであり、そこから時に中盤まで落ちてくる2トップにクサビのボール入れるか両SHに預けるかからしか攻撃が始まらないと見切っていた川崎は、名古屋の4バックに対して2トップ+両SHがそれぞれマッチアップするようにプレッシャーを掛け、パスの出先に対してはWボランチが2トップへのパス(クサビの)コースを消し、両SHがボールを受けようとする時にはSBが後ろから密着マークで付いて行って自由にボールを受けさせない(前を向かせない)ような対応をしていた。これだけで名古屋の攻撃(ビルドアップ)は機能不全を引き起こすと踏んでいたのだろう。あとはそこからボールを奪ってカウンターに持ち込めばいい。
 しかし、名古屋のSBにプレッシャーに行くSH、名古屋のSHに付いて行くSB、中央を固めているWボランチの三者の間にはポッカリとスペースが出来ていた。1stレグではレヴューでも書いたように名古屋のSBが川崎のSHとSBの間を上手く使っているシーンが目立ったが、この試合の小川の先制ゴールは小川がまるで導かれるようにこのスペースへとドリブルで入って行き、目の前に拡がる大きな空白に対して迷うことなく右足を振り抜いたことによって決まったものだった。また(二試合を通じた)決勝ゴールの呼び水となった田中のクロスも、マンマーク的な要素を多分に含むこの川崎の守り方に対して、相手のSBを引き付けながら小川が下がって来たことによって出来たスペースにタテのポジションチェンジによって田中が侵入したことがキッカケだ。こうなると川崎はSHがSBと入れ替わるようにそのまま田中を後ろから追走しているような状態で、中央を固めているボランチやCBのカバーも当然間に合わない。

 図らずも相手の弱点を突く形で得点を叩き出した名古屋だったが、その中でもここ数試合出色のパフォーマンスを続けているのがマギヌンだ。どこにでも顔を出して攻撃に絡み相手のプレッシャーを受けても独特なリズムを持つドリブルでなんなくボールを前に運んでしまう。好機を決して逃すことのない左足も秀逸だ。さらに今では上でも書いたように守備面でも周りと連携して十分にタスクを遂行出来るようになっている。このスーパー・マギヌンが消えてしまう前に名古屋はひとつでも多くの勝ち点を稼いでおかなくてはならない。
 チーム状態が良いとは言っても、プロのリーグ戦は戦術のイタチごっこ。名古屋がケネディをオトリにその裏を狙っていることも、ボランチに三都主を起用してビルドアップに一枚噛ませるようにしたことも、いずれ相手チームは対策を立ててくるだろう。現にこの試合の中においてすら、川崎は三都主にボールが渡った瞬間を狙って速い寄せからボールを奪いカウンターにつなげるような形を何度か見せていた。その意味では本当のチーム力が試されるのはこれからなのかもしれない。
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by tknr0326g8 | 2009-09-30 23:59 | Game Review
国体 サッカー少年男子 一回戦 愛知×青森 @ビッグスワン
 昨年12月の高円宮杯(U-15)と同じように試合後ピッチに倒れ込んだまま起き上がれない愛知(名古屋)の選手達を見ながら、選手達が本気で優勝を狙い自分達の力を証明しようという高いモチベーションを持ってこの大会に臨んでいたのであろうことを改めて感じさせられた。昨年ジュニアユース(U-15)で夏のクラブユース選手権を制しユース(U-18)へと大量昇格を果たしたものの、ユースの中ではなかなか(公式戦の)試合機会に恵まれない選手達にとって、この大会は自分達が主役となってまた慣れ親しんだ仲間達と一緒に戦える楽しみな舞台だったに違いない。しかし結果は一方的に攻め込みながらも守備を固めた相手からゴールを割れず一発のカウンターで沈むというまさしく昨年の高円宮杯(U-15)新潟戦を思い起こさせるような敗戦で、はからずもそれは彼等の時計が昨年の12月から止まったままであることを示したような形になった。

 まるで夢の中のような出来事が起こった鹿島スタジアムを後にし、バスを乗り継ぐこと8時間。やって来たのは今年3月のJリーグ(U-16)チャレンジリーグ以来となる新潟。目的は26日から新潟で開催されているトキめき国体にサッカー少年男子の種目で出場している愛知県代表だ。少年男子のサッカーは1993年の1月1日以降に生まれた選手(すなわち高2の早生まれ以降)に出場資格があり、各地域予選を勝ち抜いたU-16各県代表24チームによるトーナメント戦(一部シードあり)になる。愛知県は登録メンバー16人中実に14人が名古屋U-18のメンバーで占められており、東海地区(四県)予選を全勝で突破、当然その視野には優勝が入っていることだろう。組み合わせの結果一・二回戦のヴェニューもビッグスワンに決定し一回戦を勝ち上がれば二回戦で地元・新潟と当たる可能性もある。こちらは16人中10人が新潟ジュニアユース出身と奇しくも相手の地元で昨年12月のリベンジを果たすにはもってこいの環境が整った。

 そんな愛知の一回戦の相手は青森代表。こちらは16人中13人が青森山田高校の選手。エンジベースでミズノ社製のユニフォームを着ている愛知代表と比べると色が違うだけで(青森山田と同じく)ナイキ社製のユニフォームを着ている青森代表はやはりどことなくしっくり来ている気がするのは気のせいだろうか。
 愛知の先発は11人全員が名古屋ユースのメンバー。トップチーム同様にオーソドックスな4-4-2を採用していて、足立と高原が並ぶ2トップはどことなくケネディと玉田が並ぶトップチームを連想させる。右SBに入っている三鬼がプレーしている姿を観るのも2月以来。おそらく怪我だったと思われるが、この大会に照準を合わせて調整してきたのだろうか。彼のプレーも楽しみだ。

      高原   足立

佐藤   都竹   水野   加藤

渡辺   川本   奥山   三鬼

         伊藤

 試合は序盤からボールをポゼッションしながら様々な仕掛けを見せる愛知に対して青森は自陣深くにブロックを作りロングボール一本で2トップを走らせ愛知DFの裏を狙う作戦。監督も高体連の先生が務める青森はある意味でトーナメント慣れした戦い方と言えるのかもしれない。第一試合でも圧倒的に試合を支配し相手より良いサッカーを見せていた北海道代表が地元のバックアップを受けた(判定面でも若干のラッキーがあった)新潟代表に1-3と敗れる波乱があり、負ければ終わりの一発勝負では必ずしも強いチームが優勝するとは限らないし、それに適した戦い方があるのも事実だ。

 愛知がコンビネーションから鮮やかな崩しを見せるのは左サイドが中心。トップチームのようにWボランチがフラットになるのではなく、水野がチームの中心(ちょうど人体で言う“へそ”に当たる部分)にポジションを取って都竹がどちらかと言えば少し前目にポジションを取る愛知は、選手の比重が少し左サイドに寄っているもののSBとWボランチそしてSHが良い感じで二つのトライアングルを形成している。そこでのパス回しから相手のマークが外れれば前半に何度か見られたように佐藤がドリブルで中に切れ込んで行って左足での強烈なミドルシュートを放ったり、逆にそこに相手が喰いついて来れば相手のSBの裏のスペースに高原が流れてドリブル突破からチャンスメークを行ったりもしていた。
 逆に右サイドでは加藤そして三鬼という個の力でボールを前に運べる選手が揃っていることもあってか、こちらには大きくスペースが空けてあるようなイメージ。もし愛知が上述のように左サイドでボールを動かす中でもう少し上手くサイドチェンジを使って右サイドの突破力を生かすことが出来ていれば、もっと得点チャンスも増えていたかもしれない。個人的には三鬼の復帰もさることながら、豊田国際ユースの頃から加藤翼に注目していて、すっかり名古屋らしいSHになった彼ならAチーム(U-18)でもきっとハイレベルなパフォーマンスを見せてくれるだろう。正直このメンバーの中からAチームに入った時に(個人としても特徴を発揮して)最もフィットするのは(ある意味既にAチームのレギュラーである水野や奥山以上に)彼なのではないかと俺は思っている。

 といったような場面は名古屋の良かった部分。逆に悪かったというわけではないが今ひとつだったのはむしろ攻撃の大部分を占めるオーソドックスな組み立ての方だった。2トップに高い選手と速い選手を組み合わせて、高い選手の方にクサビを当てて組み立てる攻撃は、良くも悪くも普遍化し過ぎていて意外性がない。すなわちこれは相手チームにとっても守備の狙いどころがハッキリしていて守りやすいということ。二人掛かりでないとボールが取れないようなスーパーなボールの受け手(ポスト役)がいるのなら話は別だが、守備を固めてカウンターを狙っている相手に対して杓子定規にこのスタイルを用いるのも考えものだ。もちろんそんなことは百も承知の選手達は、クサビを受けるために中盤に落ちてきた足立の裏のスペースにSHが走り込むような連動した動きなども時折見せてはいたが、クサビを入れられなくてDFラインで横にボールを動かすようなシーンも少なくはなく、個々の技術が高いこのチームだったら相手を喰い付かせながら後ろからパスをつないでいくようなスタイルが合っているような気がしないでもない。

 一方のディフェンスでは危険なところに顔を出してピンチの芽を摘み取る水野の潰しが効いていたが、逆にロングボールでタテ一本を放り込まれた時にDFのラインコントロールが微妙でなかなかオフサイドを取れない場面が目についた。DFラインが手を挙げてアシスタントレフェリーにオフサイドをアピールしていたものの、実際にオフサイドを取れた回数は前後半合わせてもそれぞれ一回づつぐらいしかなかったのではないだろうか。これは今シーズンAチーム(U-18)についても同じようなことを感じることが多々あったので、ひょっとしたらクラブとして敢えてそうした守り方をしているのかもしれないし、戦術として端からオフサイドを前提とした(あてにした)守り方をする必要もないが、すんなりオフサイドが取れていれば楽だったのは間違いない。
 それでもDFラインは何度かタテ一本で裏を取られながらも粘り強い対応でこれに耐えていたが、全体が前掛かりなだけにチームが自陣でボールを失うと絶対絶命とも言えるシーンを招いていた。それが前半終了間際に10番小野のスルーパスから2トップを組む11番葛西に裏に抜け出されて決定的なシュートを放たれたシーン(シュートは僅かに枠を逸れる)であり、後半にDFのクリアボールが相手に当たってこぼれたところを(後半から入った)16番石田に拾われてそのラストパスから10番小野に決められた決勝ゴールのシーンだった。いずれもシュートを打った選手はラインを抜け出してフリーになり飛び出して来たGK伊藤を冷静にドリブルで抜いてからシュートを放っていたが、2トップだけで得点にこぎつけた青森としてはまさしくしてやったりといったところだろう。

 愛知はゴール前で迎えた二度の決定機も含めチャンスも多く作ったしやるべきことはやったとも言える。あとは決めるべきところで決めておけば・・・といったサッカーではよくある話ではある。ただこのチームがユース仕様に生まれ変わりこの年代(ユース)でもジュニアユースの頃と同様素晴らしい結果を残していくためには今のままでは何かが足りないのも事実。そしてそのためには個々のプレーヤーのレベルアップもさることながら、チームとしてのサッカーの方向性と選手の特徴や個性に折り合いを付ける中で戦術や選手の起用・配置を再度考えてみる必要もあるのではないだろうか。
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by tknr0326g8 | 2009-09-28 17:45 | Youth
J1 2009 第27節 鹿島×名古屋 @カシマスタジアム
 前節大宮に快勝したもののミッドウィークのACLで天敵ジュニーニョ擁する川崎にまたしても苦杯を喫したことで嫌な流れを完全に断ち切れていない名古屋にとってこの鹿島戦は正念場だ。この試合を落とすようだとこの後のリーグ戦はおろか再びミッドウィークに開催されるACLの2ndレグにも悪影響を及ぼしかねない。それはすなわち内容次第では今シーズンが終わってしまうことを意味している。前回の対戦ではホーム瑞穂で子供扱いされた鹿島を相手に名古屋はどこまで良い試合が出来るだろうか。

 ミッドウィークのACLを見据えてか何人かの主力選手を休ませて、ブルザノビッチや三都主といったここのところサブに甘んじていた選手達を起用してきたピクシー。サブにも入っていない中村や増川は出場停止でなければ休養と考えて間違いないだろうが、ベンチ入りしている玉田や小川はACLのパフォーマンスが悪かったことも影響してのスタメン落ちだろうか。スーパーサブの杉本はともかくとしてブルザノビッチや三都主はスタメンと比べても遜色ない能力の持ち主であり、上手く噛み合って本来の力を発揮できれば鹿島とも対等に戦えるだろうが、いずれも今季途中から加入したブルザノビッチと三都主を同時に使ってしまうあたりはかなり思い切った起用と言えるだろう。

 注目のポジションは普段の玉田の位置にブルザノビッチ、そして中村の位置(ボランチ)に三都主という配置。ピクシーがまだ三都主のボランチ起用というアイデアを捨てていなかったことに驚きだ。ボランチはもともとチームの中で(その一部として)機能しているとは言い難かったポジションだけに、三都主のボランチ起用がそれと比べて明らかな失敗というわけではないのだが、かといってそれが三都主の能力を引き出しチームとしても捗々しい成果を残しているわけでもない。インタビューなどを見聞きする限り昨シーズン途中からアーセナルを捨ててマンUに心変わりしたように思われるピクシーが、三都主をアンデルソンに重ね合わせた思い付きでなければ良いのだが。ちなみ中村と吉村がフラットに並んで前線(FWとSH)の攻撃的なタレントを支える布陣はピクシーの中ではキャリックとフレッチャーをモデルにしているのではないかと俺は踏んでいる。

 試合はキックオフから数分間を観る限り、俺の中ではまた鹿島に好き放題やられるのではないかという不安がよぎっていた。マルキーニョスや中盤の選手が入れ替わり立ち替わりバイタルエリアを回遊する鹿島に対して、名古屋はWボランチの三都主と吉村が人に付くのかスペースを埋めるのかハッキリしない。いつも中村がその辺りのことを深く考えずにひたすら(スタミナの続く限り)走り回っている代役を任された三都主が気の毒と言えば気の毒だが、失点は時間の問題に思えた。
 そんな中先制点を奪ったのは名古屋で、ケネディに対して明らかに意識過剰で釣られ過ぎなディフェンスはその裏でブルザノビッチに自由を与えてしまい、ブルザノビッチが放ったシュートをGKが弾いたところをケネディがキッチリ流し込んだのだった。ただこれだけでは名古屋にとって全くもって安泰と言えないのはACLが既に証明している。弱い方のチームが先制しそれが束の間の喜びに終わるのもサッカーではよくある話だ。
 鹿島がおかしくなったのは名古屋が二点目を奪ってからで、GK曽ヶ端のミスからブルザノビッチがボールを奪ってそのまま鹿島ゴールへとボールを運ぶと、そのあまりのお粗末ぶりにガックリ来たのか、鹿島は緊張の糸が切れてしまったかのようだった。個々の選手から何とかしなければという気持ちは伝わってくるもののチームとしての連動性が見られない鹿島はまるで挫折を知らないエリートが初めての修羅場を前に途方に暮れてしまっているかのよう。
 そんな鹿島に対して名古屋はまるで強豪チームが格下のチームをあしらうかのように余裕を持った試合運びでゲームを完全に掌握してしまった。名古屋が強いチームに見える時はこれまでにも何度かあったが、鹿島が弱いチームに見えるのはこれが初めてだ。そして受け身に回っている時には崩れるのは時間の問題とすら思われたのに、自分達が主導権を握れば突然それが機能してくるのだからなんとも不思議。三都主も持ち前のテクニックでボールを失わないのでボランチの位置でこれまでの名古屋にはなかった良いアクセントになっているし、懸案の守備でもマルキーニョスとの1対1を完全に抑え切るなどチームともども相手を完全に飲み込んでしまっていた。興味深かったシーンはボックスに掛かるか掛からないかの位置で行われたその三都主とマルキーニョスのマッチアップで、上から見ていると「(三都主は)もう少し間合いを詰めた方がいいんじゃないか?」と思うのだが、吉田をはじめその他の日本人選手には果敢に勝負を仕掛けるマルキーニョスが結局何も出来ないままボールを後ろに戻してしまった。三都主が「顔」で抑え切ったとも言えるが、彼等(ブラジル人)には彼等の間合いというものがあるのだろう。

 後半にセットプレーからやらなくてもいい1点を献上してしまったものの、鹿島は結局最後まで調子(鹿島らしさ)が戻らず、名古屋としては終始危なげない試合運びで4-1の完勝を見せた。まだまだブルザノビッチがチームメートの特徴を理解し切っていないことも含めて視野が狭い部分があったり、広野のキックがターゲットから大きくズレたり途中で失速したりと安定しなかったり、ここのところ小川がやけにフィニッシュのところで消極的だったりと、気になる部分はいくつかあるものの、昨年まで1勝も出来なかったカシマスタジアムでのこのスコアによる勝利は間違いなくチームにとって自信になるはず。苦しんだ末に来日初ゴールを決めたブルザノビッチをベンチ総出で祝福するなどチームの雰囲気も向上中だ。あとはアップの時にゴール角の厳しいコースにズバズバとシュートを沈めていて明らかに調子が良さそうだった津田を(前線で)起用してあげることが出来れば文句ないのだが。
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by tknr0326g8 | 2009-09-27 09:30 | Game Review
ACL 準々決勝 1stレグ 川崎×名古屋 @国立競技場
 名古屋がいつも通りの戦い方で川崎に挑めばこういう結果になるのは目に見えていた。ただ名古屋からしてみたら実力差通りの完敗以外の何者でもないが、エース玉田と10番小川のパフォーマンスがサッパリだった名古屋に対して2ndレグに望みを持たせる形になってしまった川崎にとってこれは妥当な結果とは言えないだろう。川崎が対戦相手である名古屋を意識し過ぎていたのか、それともアウェーゴールを過度に警戒していたのか、さもなくばこの先続く地獄のような連戦を見据えてセーブしながら戦っていたのか、原因はいくつかあるだろうが、俺には川崎が(意図的かどうかはともかくとして)自分で自分にブレーキをかけてしまっているように見えてならなかった。

 土曜日の大宮戦に続きこの試合でも4-4-2を採用した名古屋に対して、合わせ鏡のように4-4-2の布陣を敷いてきた川崎には明らかに名古屋に対する綿密なスカウティングの成果が見て取れる。ポイントは二つだ。
 最初のポイントは中村憲とレナチーニョを左右のSHに置いてきたこと。攻撃面を考えれば彼等をサイドに配置するのはむしろマイナス面も大きい気がするが、川崎としては名古屋がDFラインからのパス出しによって攻撃のビルドアップを行うところに着目し、2トップと両SHの計4人がそれぞれ対面する名古屋の4バックに対してマンツーマン状態でプレッシャーに行くことによりそれを封じる狙いだったのだろう。
 第二のポイントはWボランチ(横山と谷口)のポジショニング。システム的に考えれば名古屋のWボランチとマッチアップするはずの彼等は、いざ試合が始まると前には出て来ずDFラインの前を固めていた。すなわち、攻撃の起点となることが滅多になくボールに絡んだとしても横に横にとバケツリレーするか後ろに戻すだけの中村直と吉村には端から見切りを付け、DFラインからケネディへクサビのボールを入れさせないようなポジションを取っていたわけだ。そして名古屋がもしケネディにロングボールを蹴って来たらDFラインと協同してそれを潰すかこぼれ球を回収することに専念していた。試合序盤に目の前がポッカリと空いていた中村直が二度連続してミドルシュートを放った(シュートはいずれも大きく枠の外)シーンがあったのはそのためだ。

 そんな川崎に対して序盤の名古屋は思いのほか順調に試合を進めることが出来ていた。DFラインにプレッシャーが掛かり前線へのパスコースも塞がれている名古屋は仕方なく空いているWボランチにボールを預けることになるのだが、ここは上にも書いたように全くのノープレッシャー状態。そしてボールがWボランチを経由している間に名古屋は田中や阿部が中村憲とレナチーニョの裏(相手のSHとSBのギャップ)に入り込んで再びボールを受けることで上手く攻撃に絡んでいた。
 川崎の策は完全に裏目に出た格好だ。普通にやれば勝てるはずの名古屋に対してなぜ川崎が合わせる必要があるのか。確かにセットプレーなどでは名古屋のゾーンディフェンスに対するスカウティングが生かされている場面も見受けられたが、流れの中で名古屋のやり方に合わせることはむしろ川崎にとっては逆効果だった。
 ただ名古屋にとっては中盤から相手陣内に入るあたりまでは比較的容易にボールを運べてはいたものの、ことフィニッシュに関しては全くの別問題で、アタッキングサードに分厚く形成される川崎の壁(ブロック)を前にした時、名古屋のアイデアは決定的に不足していた。それとも変な形でボールを失うと川崎のカウンターに晒されるとの恐怖感が名古屋の選手達から積極性を奪い取っていたのだろうか。

 一方の守備はと言えばこちらはDFラインが思い切ってラインを押し上げる光景が度々見られたものの、相変わらずジュニーニョのスピードに全く対応出来ていなかった。正直これでは川崎のジュニーニョと中村憲以外のメンバーがボールパーソンの高校生と入れ替わったとしても名古屋は失点を防ぐことは出来なかっただろう。「最も警戒すべき相手」が川崎にとってケネディであるのと同様、名古屋にとってはジュニーニョなはずなのだが、名古屋はジュニーニョに対して一体どんな策を練って来たのだろうか。
 そしてこれはDFラインだけの問題ではない。確かにタテ1本で裏に抜けられるシーンも何度かあったが、バイタルエリアでボールを受けたジュニーニョにそのまま前を向いて突っかけられてもDFラインとしては厳しい。問題はそこでジュニーニョの背中を遥か後ろから追っ掛けていたWボランチで、そもそもバイタルリアで自由にボールを受けられないようにするか、もっとDFラインとボランチが近い距離を保って挟み込むように潰すぐらいでないとジュニーニョは止められない。そうでなくても名古屋のWボランチは不用意にバイタルエリアを空けてしまうことが多く、これは徹底してDFラインの前を固めていた川崎のWボランチとも対照的だ。(ジュニーニョに対してパスを出してくる)起点を潰すという発想も一理あるが、Wボランチのボール奪取能力が飛び抜けて高いわけではないのいだから、闇雲にプレッシャーに行ったところで疲弊を誘うだけで何の意味もなく、せめてそこにはどう追い込むのかというチームとしての意思統一が必要だろう。
 川崎が勝手にバタバタして得点機会を逸してくれていたが、この試合は前半だけで1-3になっていたとしても全くおかしくない展開だったし、俺が川崎の監督だったら「小難しいことは考えずに裏に蹴っておけば何かが起きる」と選手には伝えただろう。名古屋が2ndレグでの逆転を目指すのなら、サッカーというよりはフットサルのGKのようだった広野のビッグプレーを喜んでいる場合では全くない。

 後半にお約束のごとく短時間で連続失点を喰らい逆転された後、ピクシーが吉村に代えてブルザノビッチを投入したのはかなり思い切った采配でありながらまた同時に的を得た采配だった。HOME&AWAYのTOTALで180分あることを考えれば、勢いに乗る川崎にこれ以上追加点を与えないことを優先するという判断があってもおかしくなかったが、ピクシーはこの試合の川崎であれば撃ち合いに持ち込んでも十分につけ入るスキがあると判断したのだろう。
 それにこの試合に限って言えば、Wボランチのどちらかを削ったところでディフェンスの大勢に影響はなかった。中盤を作って崩すというよりは早目に前線のアタッカーにボールを預けてゴールに向かって勝負させることでその突破力を生かそうとしていた川崎に対して、名古屋はまさしく背水のDFラインだけが立ち向かっている状態で、前方からその背中を眺めるだけのWボランチは完全に蚊帳の外だったからだ。
 逆に攻撃面ではプレッシャーが極端に少ないこのポジションでゲームを組み立てられるタレントがいれば面白い。その点で(この試合のベンチ入りメンバーを見る限り)ブルザノビッチは最適なキャストだった。結局同点ゴールこそ奪えなかったものの、終盤は自陣に引いて守備を固める川崎に対して中央でのパス交換からサイドに開いてSB(特に右サイドの田中)の突破からクロスという形が何度も見られたのは、川崎の足が止まっていたとはいえ次戦に向けて見えてきた光明だ。あとはケネディ一辺倒ではなく、真ん中でクロスに合わせるバリエーションを増やしたい。

 あれだけ決定機を作られていればいつ失点してもおかしくなかったとは言え、同点ゴールはもったいない形での失点だった。そして敗戦の責任を一人になすりつける気はさらさらないが、その同点ゴールには今シーズン俺が密かに気にしていた小川の悪い部分が露呈していたのも事実だ。
 今シーズンから10番を背負う小川にはその重みからか「自分がやらなければ」という良く言えば責任感、悪く言えば気負いが散見される。そしてそれは自身やチームのパフォーマンスが悪ければ悪いほど気負いへと傾倒していき、結果的にそれはチームにも歪みをもたらすことになる。二枚のイエローをもらい退場を喰らった磐田戦をはじめ、今シーズンの小川は自身が忌み嫌っていたはずの(入れ違う相手を手で掴むような)醜いファールが増えている。自分の持ち場は絶対に抜かせないという強い気持ちは買いだが、こうしたプレーはそもそも名古屋が掲げる「美しいフットボール」に反するし、去年の試合で小川の突破を抱き付くように止めてイラつかせた某チームのようでもある。
 この試合の失点シーンでは、それまで散々危険なシーンを作られていた川崎のセットプレー、しかもそのセットプレーを与えたのは自分がレナチーニョを止めたファールということで小川の中にマイナスの気負いが充満していたのは容易に想像できる。そして中村が蹴ったボールに対して中に入れさせまいとする(出来れば自分のところで止めたいという)気持ちが裏目に出て壁に穴を開けてしまった。小川が10番の自覚とプライドを持つこと自体は素晴らしいことだと思うが、もう少しチームメートのことを信頼してあげてもいいのではないだろうか。サッカーはチームスポーツ。もちろん小川が周りの選手を助けている場面は数限りなくあるし、時にはその逆もあっていい。

 あと最後にひとつだけ言わせてもらえば、このブログ的に川崎DF菊地のブラックリスト入りは避けられない。それは決して名古屋入りが有力と言われていた駒澤大学時代に川崎へと翻意したからではなく、この試合で何度もケネディに対して背後から膝を立てた状態で突っ込んでいくというプレーを見せていたから。この試合で菊地に与えられていたミッションは「ケネディを潰すこと」だったのかもしれないが、これは駆け引きや競り合いのレベルを超越した明らかに相手を壊すプレーだった。しかも相手が見えていない後ろから襲うという卑劣さは、サッカープレーヤー以前に一人の人間としてその資質を疑わざるを得ない。
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by tknr0326g8 | 2009-09-23 23:59 | Game Review
Fリーグ 2009 第5節 町田×名古屋 @町田市立総合体育館
 一年振りに「強い方の名古屋」こと名古屋オーシャンズを観るためにFリーグ第5節が行われる町田市立総合体育館へ。試合前のアップで元気そうな平林の姿を見られるのはおまけとして、やはり本題は2007年のFリーグ開幕から二連覇中というオーシャンズの絶対王者ぶりだ。彼等の能力はもちろんのこと、「これだけの環境を与えてもらって負けるわけにはいかない」が口癖の選手達には、同じく環境的には恵まれているもうひとつの赤いチームがいつまで経っても身に付けられない勝者のメンタリティを感じ取ることが出来る。

 試合は23・24日にイタリア代表との親善試合を戦う日本代表にも召集されている名古屋・小暮のパスミスから町田に先制点を許す展開になったものの、同じセットで森岡→小暮→森岡と渡って同点に追い付くと、さらに北原のゴールで逆転に成功した名古屋が1点をリードしたまま前半を折り返した。名古屋は森岡や小暮のセットの時に後ろからボールを運ぶ場面でややギクシャクしたところがあり、それが失点にも結び付いてしまったわけだが、対する町田もマイボールの時には選手達に動きがあってパス回し自体は上手いもののスクエアなパスが多くてなかなかシュートを打てる位置までボールを運べていない印象だった。
 後半になるとカウンターのスタイルをより明確にした町田が狙い通りの攻撃から金山友紀のゴラッソで同点に追い付いたが、そこから無理して勝ち越しを狙うような姿勢はそれほど見られず、最後は名古屋のパワープレーを凌いで勝ち点1を分け合う形となった。チームの置かれている立場を考えればこうした戦い方も仕方ないのかもしれないが、会場の外で「サッカーの方が面白いね」と口にしていた観客の人の感想にはこの辺りの試合運びも影響を与えているのかもしれない。
 個人的には、サッカーではマリーシアの名の下に頻繁に行われるいつまでも負傷を痛がってピッチに寝転がって時間を稼ぐような光景をストレスを感じずに見ることが出来るのが、フットサルを観る上での最大のアドバンテージ。ある意味サッカー以上に試合に集中できるのがフットサルとも言える。
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by tknr0326g8 | 2009-09-20 23:58 | Other Games
J1 2009 第26節 大宮×名古屋 @NACK5スタジアム
 前節(柏戦)の敗戦を受け、夏のマーケットで獲得した三都主とブルザノビッチをスタメンから外し、昨シーズンから慣れ親しんだ4-4-2へとフォーメーションを変更した名古屋は、原点回帰と言えば聞こえはいいが、言い方を変えれば振り出しに戻ってしまったような印象。このやり方(戦術やフォーメーション)を用いればある程度の結果が残せることは昨シーズン既に証明しているが、同時に相手からも研究され尽くしたこのやり方では限界があることも分かっていて、それを踏まえた上でピクシーも進化のための補強(シーズンオフにはダヴィ、夏のマーケットではブルザノビッチ)に動いたわけだが、結局その進化形を探る道のりはいづれも暗中模索のまま道半ばにして一時退散を余儀なくされた形だ。
 この試合について言えばラッキーだったのはここ数試合を3‐5‐2で戦って来た名古屋に対して大宮がそれ用の準備を行っていたことで、大宮にとって名古屋の4-4-2は(特に前半は)ほとんど初物と同様の効果を持っていたかもしれない。しかしこの後対戦する川崎や鹿島に対して同じ効果はもはや期待出来ない。そこではありのままのチーム力が試されることになり、まさしくその川崎や鹿島のようなチームと対等に戦い(昨シーズンの)大分のようなチームに勝ち切るために求められた進化を成し遂げないまま再び彼等に立ち向かわなければならない今の名古屋には(大宮に2-0と勝利したとは言え)やはり拭い切れない不安が残る。頼るべきものがあるとすればヨンセンよりも若く汎用性が高そうなケネディと(怪我の具合はともかく)調子自体は良さそうな玉田の2トップだろうか。

 大宮戦に話を戻せば、大宮が名古屋の4-4-2への回帰を想定していなかったことは、石原のSH起用や後半開始早々でのメンバーチェンジ(その石原をFWに上げてSHにパクを投入)を見ても明らかだった。そしてそんな影響もあってか大宮がやや慎重に(自陣深くに)守備ブロックを作っていたため、名古屋はボールを支配してはいるもののDFラインで横に動かすようなシーンが目立った。さらに名古屋は久々の4-4-2ということもあってか所々で選手の動きが被るシーンが頻出しており、いくら慣れ親しんだ(そして何人かの選手にとっては待望の)システムの復活とは言っても、すんなり三つ子の魂百まで…とはいかなかったようだ。
 そして最終ラインでボールを動かすシーンが多い名古屋に対して大宮は2トップと両SHが猛然とプレッシャーを掛けて来ていた。一見すると深い位置でブロックを作る守備陣との間にギャップが生じそうな行為だが、名古屋が組み立てでボランチを使って来ることはない(そのギャップを使ってくることはない)と確信していたのだろう。あとは前線(の特にケネディ目掛けて)に放り込んでくるボールをマトを中心としたDFラインとWボランチで挟み込んで回収すればいいという割り切りだろうか。
 そんなこんなで窮屈な組み立てを強いられていた名古屋は時折ミスからボールを失って速攻に持ち込まれるシーンがあり、危険な場面での絞りなどが安定しているSBも含めた最終ラインがなんとかこれに耐えていたが、これが川崎相手だったら即失点につながっていたのではないかと思えるようなシーンも実際何度かあった。川崎や鹿島相手に不用意なミスは命取りになるし、相変わらず前に行きたがるWボランチと後ろに残りたがるCBの間で宙ぶらりんになっているバイタルエリアのケアもハッキリさせる必要があるだろう。

 次第に攻撃が手詰まりになっていった名古屋では、小川が(昨シーズンまで玉田がやっていたように)最終ラインの近くまで引いて来てボールを引き出したり、ケネディが下がって来てボールを受けようとするなどの工夫も見られたが、そうすることによって小川は昨シーズン二桁得点とブレークのキッカケになった前線での仕事が出来なくなっていたし、ケネディもサイドからクロスが上がった時にボックス内にいなかったりと、これ等は必ずしも効果的とは言い切れなかった。そしてそんな名古屋がようやく攻撃に可能性を見出せるようになったのは、前半のうちにセットプレーから先制し、後半になって大宮が前に出てきたことで後ろにスペースが空き、中距離のパス一発で前線にポイントを作れるようになってからのことだった。追加点となった小川のゴールがマギヌンが中盤の深い位置から出した一発のパスによって生まれたことなどはそれを象徴している。このような攻撃で名古屋は昨シーズンの大分のようなチームに対してもしっかり勝ち切れるだろうか。

 この試合でのピクシーの采配に対して注文をつけるならば、今日の大宮であれば2-0はほぼ安全圏だっただけに、二階席から見ていても分かるぐらい「足痛い(交代したい)」オーラ出していた玉田をもっと早く代えてあげたかったところと、ベンチ入りメンバーにボランチの選手を入れておいて欲しかったところ。特にロスタイム間際になってボランチに突っ込まれた三都主とその後のチームのパフォーマンスはほとんどコントだった。ぐるっとローテーションするように、ブルザノビッチ:左SH→FW、三都主:ボランチ→左SH、小川:右SH→ボランチ、杉本:FW→右SHとポジションを変更してからは落ち着いたが、三都主がボランチの位置で実現出来ることを花井が出来ないとは思えないし、そうでなくても消耗の激しいボランチのスペアとして、明らかに持て余し気味なFWを削ってでも福島をベンチ入りさせておきたい。個人的にはFWとSHを掛け持ち出来るベンチ要員は津田か杉本のどちらかでいいような気がするが。

 最後に、残り僅かな時間となったところでの投入となったにも関わらず、オンザボールでの確かな技術を披露し決定的なチャンスも作りだしたブルザノビッチ。まだまだ周りの選手とフィットしているとは言い切れず、チームの中で(組織の一員として)どこまでプレー出来るのかは未知数な部分が多いが、多少なりともその良さを発揮出来た今日の試合が日本でのプレーにおけるひとつのターニングになってくれれば良いなと思う。
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by tknr0326g8 | 2009-09-19 23:59 | Game Review
J1 2009 第25節 名古屋×柏 @スカパー
 「今は内容よりも勝つこと」とまるで何かに取り付かれたかのように誰もが口を揃え、まさに崖っぷちだった22節の千葉戦から3連勝を飾った名古屋だったが、中身のない試合を続けてきたツケがこの試合ではついに回ってきてしまった。名古屋のベンチに座っているのがネルシーニョだったならばハーフタイムに控室で机の一つや二つ引っ繰り返していたとしても不思議ではないぐらい体たらくな出来だった前半を終えて、ピクシーが打った手はと言えば、阿部を左サイドに投入して三都主をボランチに回すこと。この采配に対する正直な感想を言えば、チームの不甲斐ないパフォーマンスの責任をホーム初先発となった一介の若手選手になすりつけるようなやり方への違和感もさることながら、ようやく自らの信頼に足る選手の頭数が揃ってきたことが逆説的にピクシーから目の前のチームが抱える問題の本質を見抜く眼を失わせてしまったのではないかという疑念だ。その意味ではチーム力だけを考えれば逆転するチャンスも十分にあったはずの試合でチームを立て直せず、残留争いの真っ只中にいる相手にみすみす勝ち点3をプレゼントしてしまったのはまさしく自業自得と言えるだろう。

 この試合に向けて三日間の非公開トレーニングを行ってきたという柏は、相手チームに合わせてやり方を変えてくるネルシーニョの色に早くも染まっている。そしてネルシーニョが一体どんなトレーニングを行って選手達にどんな策を授けたのかについては、試合を観ていればおおよその想像が付いた。柏がディフェンスから入って速攻を狙うという形をいきなり変更するとは思えないので、ネルシーニョが力を入れたのが守備から攻撃へというトランジッションの部分にあるのは間違いないが、どこでボールを奪うのかという部分でネルシーニョが目を付けたのはブルザノビッチのようだった。ここ何試合かの名古屋の試合のビデオを見たネルシーニョが「名古屋の攻撃(ビルドアップ)は無理にでもトップ下にいるブルザノビッチに入れて(経由して)くる」というような目星をつけていたとしても何ら不思議ではない。そして中央で奪ったボールを素早くつないで名古屋の3バック脇のスペースを狙って攻める形を柏は徹底していた。またスリッピーなピッチコンディションもあってか遠目からでも積極的にミドルを狙ってきた柏はその部分でも名古屋のウィークポイントを掴んでいたのかもしれない。

 対する名古屋は相変わらずのスロースターターぶりに加えて中断明けに弱いという悪癖をまたしても露呈してしまった。中断前まで3連勝と結果を残していたとは言え、チームとしてのパフォーマンスが決して良いとは言えなかったことを考えれば、この二週間の中断期間はチーム力を高める上でも絶好の機会だったはずだ。しかし今日瑞穂のピッチに現れた名古屋はこの二週間一体何をしていたのか?と問いただしたくなるぐらいチームとしてのクオリティが上がっていなかった。前線の三人(と機を見てそれに絡む両サイド)の能力に任せっきりの攻撃は、時々トッププレーヤー達ならではの個人技やシンクロしたイメージによる即興によってビッグチャンスを作り出すものの、それにだけではいかんせん単発の域を出ないし、相変わらずどこでボールを奪うのかがハッキリしない守備ももっとクオリティの高い攻撃をするチームと当たったらひとたまりもないだろう。

 一点をリードされて迎えた後半ピクシーは福島に代えて左サイドに阿部を投入し三都主をボランチに移動する。噂には聞いていたが、まさか本気で三都主をボランチで起用するアイデアをピクシーが持っている(捨てていない)とは思わなかった。そしてそんな三都主のボランチ起用が機能したのは後半開始から5分間だけ――すなわち俺と同様に「三都主がボランチ?」と半信半疑だったに違いない柏のベンチと選手達が様子を見ていた時間帯だけ――だったことを考えれば、0-1で終えた前半のスケープゴートにされた形の福島も浮かばれない。まあピクシーとすれば何度かパスミスをしてボールを失った福島のプレーが気に入らなかったのかもしれないが、そうした技術的な問題と同時にチームが抱える戦術的な問題についても追求しない限り根本的な解決にはつながらないだろう。なぜボールが上手く動かない時間帯が多いのか、なぜ簡単にボールを失ってしまうのか、なぜ相手に好き放題ミドルシュートを打たれてしまうのか。戦術、システム、選手起用・・・全てにおいて考え直す必要がある。

 例えば福島でなくても、竹内が誰もいないところにロングボールを蹴ってはボールを失ってばかりいるのは、竹内個人の技術的な問題なのか、竹内個人の戦術眼の問題なのか、それともチームの戦術的な問題なのか。バイタルエリアに向かってフリーでボールを運ぶ相手選手を中村がいつも後ろから追っ掛けているのは、中村のポジショニングを含めた状況判断が悪いのか、Wボランチのコンビネーションが悪いのか、それともチーム全体の守り方に問題があるのか。小川が右サイドで全く勝負しなったのは、単に対面する小林のスピードに対して最初から腰が引けていたのか、システム的に後ろが気になっていたのか、それとも3‐5‐2のアウトサイドが根本的に合わないのか、4-4-2のSHの時のようにサポートが来ないことが問題なのか。問題を挙げれば切りがないが、ピクシーはこれらをひとつづつ解決していかなければならない。

 そして最大の懸念材料はブルザノビッチだろう。他クラブでは当たり前のように存在する「外れ外国人」。これは単純な能力だけの問題ではなくて環境への適応やプレースタイルがクラブや日本サッカーに合う合わないの問題もあるが、ピクシーを筆頭にこれまで数々の優良外国人を引き当ててきた名古屋にはあまり馴染みのない存在だった。リネカーというJリーグ史に燦然と輝く失敗(無駄遣い)例にしても怪我という不測の事態があったし、思い付くのはマルセロとホミルドぐらいだろうか。しかしピクシーの肝いりでレッドスター・ベオグラードから引っ張って来たブルザノビッチはこのままいけばチームの低迷とともに間違いなく彼等の仲間入りを果たすことになる。ピッチ上でその存在価値を何ひとつ示せていないブルザノビッチを見るにつけ、これなら花井を使った方がチームの将来を考えてもよっぽどマシと思わずにはいられないが、ピクシーはブルザノビッチに拘り続けている。我慢強く起用し続けて途中交代も許さず、チームのバランスを崩して(システムを変えて)までブルザノビッチにトップ下のポジションを用意するあたりは、かつて自分を窮地へと追い込んだミルンとリネカーの師弟関係を思い起こさせるのだから何とも皮肉な話だ。

 最後はお決まりのFW大集合という捨て身作戦で、ただでさえ不安定だったバランスを一層崩したディフェンスが与えるべくして(やらなくてもいい)3点目を献上し勝負を決められてしまった名古屋。確かにリスクをおかさないと得点は奪えないのかもしれないが、この采配はリスクの意味を履き違えているとしか思えなかったし、戦術がない(或いは機能していない)からそうしたバランスを無視した歪な交代によって個の力に頼らなければならない現状は、終了間際のゴールによってなんとか勝ち点を拾い続けていたダヴィのいた頃の(多分ピクシーにとっては)忌まわしい記憶となんら変わらない。

 今月末には名古屋にとって今シーズン最大の目標となったACLで川崎とのHOME&AWAYでの対戦が控える。ただでさえ苦手な相手に対してこのチーム状態では万が一にも勝ち目はない。いっそ川崎に対して“ベストメンバー”での戦いを呼び掛けてみてはどうだろうか。「ウチはケネディも玉田もブルザノビッチもマギヌンも三都主も小川も使うから、おたく(川崎)もジュニーニョとチョン・テセとレナチーニョとヴィトール・ジュニオールと中村憲剛を全員使って戦って欲しい」と。
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by tknr0326g8 | 2009-09-12 23:59 | Game Review