Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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J1 2010 第32節 名古屋×FC東京 @豊田スタジアム
 前節の平塚戦で18年目にして初のリーグ優勝を成し遂げた名古屋。このFC東京戦は優勝後初のホームゲームであり、いわば凱旋試合とも言える試合だ。ただ1シーズン制になって以降、優勝チームがすべからく最終節に決まっているということを考えれば、ビールかけ~深夜に及ぶマスコミの取材から中二日で試合に臨むという前例もない。正直なところ、俺はこの試合について、一体どんな試合になるか全く予測がつかなかった。

 この試合の行方を考えるに当たって俺が最も気になっていたのはメンバー構成。リーグ優勝も決まり、前節の平塚戦から中二日ということを考えると、個人的には、疲れが見えるベテラン選手に代えて、コンディションが良くモチベーションが高い若手選手を(先週の天皇杯のような全員起用は無理にせよ)一人か二人ぐらいは混ぜて実戦経験を積ませつつチームに馴染ませることがあっても良いかなという淡い期待があった。しかし蓋を開けてみれば、若手と呼べるような選手はベンチに入った花井ぐらいで、その花井とてダニルソンの負傷がなければベンチ入りすらままなかっただろう。
 その部分では若干の落胆はあったが、この試合が上にも書いたように優勝決定後のホーム凱旋試合であることを考えれば、地元のサポーターに対してこれがリーグ優勝を勝ち取ったチームだということを改めて示そうとしたピクシーのプライドにも似たプロ意識は尊重しなければならない。
 そしてそんな観客を意識したプロ意識以上に、常勝チームを築くための基盤として、ここであくまでも勝利に拘るという考え方ももちろんある。思い出すのは二シーズン前のナビスコカップで、グループリーグ最終節を残して決勝トーナメント進出を決めていた名古屋は、最終節の浦和戦(AWAY)にもベストメンバーで臨んで大勝を収めた。ピクシー政権初年度でまだチームとしての基盤が固まっていなかったこの時期に、消化試合であっても敢えてベストメンバーを組むことでチームに勝ち癖を付けさせるというピクシーの示した方向性が功奏したことはその後のシーズンを観ても明らかだった。そう考えれば、今回の選手起用もその延長線上にあると考えることが出来る。

 しかし結果だけ見れば選手達はそうしたピクシーの期待に応えられなかった。何度か訪れた決定機を逃し続けたという不運な(東京から見たら一部は必然な)要素はあるにせよ、悪くはないが決して良くもないチームの戦い方は、それが勝者に相当するものだったと胸を張って言えるものでは決してなかった。これまでの勝利がフロックだったとは全く思わないが、このところの試合で散見される緩慢なトランジッションや攻撃におけるダイナミズムの欠如はこの試合でも名古屋を窮地に追い込んでいた。そしてこの試合について言えば、気持ちが強く反映される球際の競り合いでも完全にFC東京の後手に回っていた印象だ。

 今シーズン限りで契約満了との報道が出たことでやる気をなくしたのかのようなマギヌンをはじめ、名古屋の選手達はまだ祝勝会のお酒が抜けきらないのか、立ち上がりから球際で軽いプレーを連発してヒラヒラとかわされるシーンが目に付く。そんなフワフワした感覚は、前節に引き続き誰が出て行くのかハッキリしないショートコーナー対策で全く修正が施されていない状態を観ても明らかだ。
 マギヌンについては、立ち上がりこそこれはひょっとしたら前半だけで交代させられるかもしれないなと俺が心配するレベルのパフォーマンスだったが、先制点を奪われた後にピクシーから名指しで「もっと球際厳しく行け」と指示が出て、指示が出た直後は「俺?」みたいなリアクションを取っていたものの、その後は生まれ変わったようなパフォーマンスを見せていたが、チーム全体で見れば球際やセカンドボールへの反応で名古屋の選手達は結局最後まで大きく改善されることはなかった。

 そして立ち上がりの名古屋の攻撃で気になったのは、得点王を争っているケネディに得点を取らせようという余分な意識だ。前にスペースが開いていてミドルシュートが打てる状態でも打たない。ひと手間かけてサイドに展開しケネディの頭を狙わせる。これではいくらケネディの高さが脅威だと言ってもFC東京からしてみたらむしろ楽。二人のCBと徳永の三人のトライアングルの中に入れて監視していればそこまでやられないということは、前回の対戦でも実証済みだからだ。
 そんなチームの意識がようやく変わったのは闘莉王が持ち上がって鋭いミドルシュートを放ったあたりかだろうか。これこそ俺が求めていたプレーだったが、「現場監督」の一撃によりチームはようやく目を醒ます。兄貴分と慕う闘莉王のお手本に対して、打てるところで打たなかった筆頭とも言える小川も積極的にボッスクスに進入してシュートを狙うようになっていた。

 試合が進み後半になるとFC東京は完全な逃げ切り体制。自陣でしっかりとブロックを作る東京に対して、名古屋は闘莉王を前線に上げる最終手段に出たものの、攻撃やパス回しに工夫がない名古屋は東京の守備ブロックを前に肝心のクロスすら上げさせてもらえない。そして技術的に拙いミスによってボールをあっけなく失い自陣へと運ばれてしまう。強い時期の東京だったら致命傷を負っていてもおかしくないボールの奪われ方を名古屋は何度もしていたが、それほど危険なシーンを作られなかったということは東京もチーム状態が決して良くないのかもしれない。

 名古屋にパワープレーを許さなかった東京は守備組織も上手く機能していたが、個人に目を向ければ米本のパフォーマンスが出色。抜群の運動量と危機察知能力を生かしたカバーリングで前半に小川のシュートをゴールライン上でヘディングクリアしたシーンはビッグプレーだったが、それ以外でも後半にはケネディの決定的なシュートを止め、危険な場面には味方のフォローにすぐさま直行していた。名古屋ファンから見たら「またあの7番」状態。激しく当たるところは物怖じせずにガツンと当たるし、(守り方の違いはあるにせよ)もし名古屋に米本がいたら試合は全く違う結果になっていたに違いない。この調子で行けば必ず候補に入ってくるであろうアジアカップをはじめ日の丸が期待される選手になってきたなと思う。

 ある意味ではワンパターンで戦術的に応用や柔軟性が利かないものの、勝利への執念を十分に感じさせるピクシーの采配にも結局は最後まで応え切ることが出来なかった選手たち。これをピクシーはどう感じたのか。ひょっとしたら磐田戦では若手起用も含めたいくつかのメンバーチェンジがあるかもしれない。

 最後にこの試合で最大の決定機を逃した玉田について。FWの仕事は店を獲ることとは言え、この試合での玉田は責められない。ピッチレベルに極めて近いところで見ると、名古屋で最も運動量の多い選手は玉田で、それは中盤に一度下がってボールに触り再びゴール前に顔を出すという攻撃面だけでなく、ディフェンス面でも要所要所で顔を出していたからに他ならない。そんなところにもW杯以後続く玉田の好調が見て取れる一日だった。
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by tknr0326g8 | 2010-11-24 02:45 | Game Review
J1 2010 第31節 湘南×名古屋 @平塚競技場
 J開幕から18年。名古屋がリーグ戦初優勝に王手を掛けて迎えたこの試合。対戦相手となる湘南は前節J2降格が決定しており、しかも中心選手である坂本を出場停止で欠くメンバー構成が経験の浅い若手選手を多く含むものであるということを考えても、名古屋としてはここで確実に勝ち点3を確保した上で鹿島の結果を待ちたい。スポーツ紙などを通して漏れ伝わって来る情報では選手達に慢心や油断はないようだし、今シーズンの名古屋は下位チーム相手には(力ずくで勝ち点を強奪した試合も含め)取りこぼしがないのが特徴なので、この試合に向けて名古屋に死角はないように思われた。

 しかしいざ試合が始まるとそんな楽観的な目論見は脆くも崩れ去る。立ち上がりこそケネディや中村が湘南ゴールへと迫り得点の予兆を感じさせたものの、それを逃しているうちに試合の流れは湘南に傾いていく。ミッドウィークの天皇杯をスルー(10/9の三回戦で敗退)している湘南はこの試合に向けて相手を研究し準備する時間がたっぷりあったのだろう。名古屋の攻撃パターンを読み切った上で、そのストロングポイントに先回りして蓋をし、前線の田原、阿部、エメルソンを中心としたカウンターを仕掛ける形が徹底されていた。
 こうなると名古屋にとって湘南は途端に「勝ち点3を計算出来る相手」から「勝ち点3を奪わなければならないはずの相手」に豹変する。すなわち選手達に焦りが生まれても何ら不思議ではない状況だ。しかし救いだったのは、名古屋の選手達はなかなか思うように身体が動かず上手く行かないながらも慌てるような素振りは見せていなかったことで、この状態が保てていれば、時として暴力的なまでの名古屋の一撃が90分のどこかで炸裂する可能性は高い。そしてそれは湘南が最初から最後までハイテンポなサッカーを続けられるわけではないことも含めて、極めて出現可能性が高いことのように思われた。あとはいつものごとく楢﨑を中心としてなんとか辛抱強く守り先制点を失わないことだけだ。

 名古屋で言えば一番のネックはケネディに対してボールが入れられないことだ。湘南は中央を固めてケネディへのパスコースを遮断している。こうなると早いうちにサイドにボールを回して勝負を仕掛けたい名古屋だが、そこでは小川がブレーキになってしまっている。何度か良い形でボールをもらってはいるものの、判断が遅れている間に湘南の守備ブロックに詰められてボールを失い(湘南の)カウンターの起点となっている状態で、たまらずピクシーが玉田と左右を入れ替わるようにと指示を出したが、それでもあまり改善の兆しは見られなかった。

 またこの小川を筆頭に、相手が格下の湘南ということもあってか、名古屋の選手達は一様に攻守の切り替えが遅い。前半に小川が遅れてディフェンスに行ってイエローカードをもらっていたのはその典型だが、相手がショートコーナーを仕掛けて来た時のチームとしての反応の遅さも相手が相手だったら(例えばG大阪だったら)致命傷になっていたかもしれない。

 後半途中でそんな小川にに見切りをつけて杉本を投入したのはピクシーの英断だった。名古屋から見てゴールへの最短距離は、このポジションから切り拓くしかない。とは言え、今シーズンは途中出場で試合に出てきてもさっぱり良いプレーを見せられていない杉本にはもはやかつての“スーパーサブ”の面影はない。試合によってはアウトサイドに張り付いたままで、ろくにボールに絡まないまま終わってしまった試合すらある。そんな杉本を(いくら信頼しているからと言って)この大事な場面で、背番号10に代えて会に投入するのは大きな賭けでもあった。
 しかし結果から言えばこれが大当たり。ひょっとするとピクシーにとってこれは賭けでも何でもなく、相手の疲労も含めて杉本が持ち味のスピードを生かして突破を仕掛けられるスペースがピクシーならではの空間認知力によって見えていたのかもしれないが、阿部の大きなサイドチェンジを受けた杉本がタテに勝負をしかけて対面するDFをあっという間に置き去りにすると、ややファーサイドを目掛けて鮮やかなクロスを上げ、これをケネディではなく、後ろから走り込んで来た玉田が超人的なジャンプとともに頭に合わせて名古屋が待望の先制ゴールを挙げることに成功したのだった。闘莉王を欠く名古屋にとって「ゲームを作れる」選手の筆頭が阿部であることを考えても、名古屋にとって「これしかない」という形での得点。

 杉本にとってはミッドウィークの天皇杯で先発出場を果たし久しぶりに長い時間プレー出来たことも幸いしたかもしれない。これがもし試合勘を欠いたままの状態だったら結果は今までと同じだった可能性もある。そうした意味でもこの強行日程はむしろ名古屋に味方した。

 こうなれば試合は「いつものパターン」。名古屋は最後まで最終ライン(DFとGK)が身体を張って守る。そして試合は1-0のまま名古屋の勝利。鹿島が0-0で試合を終え、この瞬間名古屋の初優勝が決まった。苦節18年。正直こんなにすんなり行くとは思っていなかったし、次節ホームで決められたらいいとすら思っていたぐらいだったが、名古屋の優勝を生で見れたことは本当にラッキーだった。
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by tknr0326g8 | 2010-11-20 19:27 | Game Review
J1 2010 第30節 名古屋×大宮 @瑞穂陸上競技場
 予定していたJユースカップ(名古屋U18×新潟ユース)の観戦を飛ばしたにも関わらず、想定外の事態も起こり振り返れば盛りだくさんとなってしまった今回の名古屋遠征。まさか二日連続で港→瑞穂という移動を繰り返すことになろうとは思ってもいなかった。

■高円宮杯(U-15)東海大会 準決勝 名古屋U15×名古屋FC @港サッカー場
 都合四試合を観戦することとなった今回の名古屋遠征最初の試合は、12/19に開幕する高円宮杯(U15)出場権を賭けて行われる同東海大会の準決勝。会場となる港サッカー場は本大会でも使用される予定になっており、そんな本大会に備えてか、張り替えられた芝が「ここがあの港サッカー場か」と思えるほどに青々繁っている。

 トーナメント緒戦で東海大翔洋中を6-1と退けた名古屋グランパスU15(以下グランパス)がU-15東海リーグ5位の名古屋FCを迎え撃つこの試合は、勝てば即全国大会出場が決まるし、万が一負けるようなことがあっても、明日行われる3位決定戦で勝利すれば最後の椅子に滑り込むことが出来るという意味で、トーナメントと言えどもそこまで切羽詰まった雰囲気はない。また東海地区最大のライバルであり夏のクラ選で日本一になった清水がU-15東海リーグを制してひと足先に全国大会出場を決めてこの大会には不参加ということで、この大会での優勝がすなわち東海最強の称号につながるわけでもない。グランパスにとってこの大会に意義を見出すとすれば、(全国大会への出場権獲得を除けば)クラ選・東海大会とU-15東海リーグ(後期)で二度に渡って苦杯を舐めさせられた磐田にリベンジを果たすことぐらいしかないかもしれない。グランパスの公式サイトにおけるこの試合の対戦相手表記が直前まで「FC四日市」になっていたことを見るまでもなく、グランパスにとってこの名古屋FCとの準決勝は勝って当たり前の試合であり、完全にその視野から抜け落ちている感すらある。
 グランパスU15のスタメンは、先日の関西遠征でC大阪に15-1(3本)と爆勝した時のメンバー。つい先日まで飛び級でU16日本代表に招集されていた北川柊斗はベンチスタートだった。

        森

伊藤    石田    曽雌

    金    石川

松田  後藤  中島  若園

        板倉

 今シーズン一度も負けたことがない相手(名古屋FC)、そしてこの試合で負けてもまだ明日があるという余裕からか、グランパスの選手達は比較的リラックスして試合に入っているようにも見えた。それに比べれば、相手との間に横たわる明らかな力の差を認め、まずは守備から入っていた名古屋FCが観る側により「慎重」なイメージを与えたのは必然かもしれない。
 そんな名古屋FCに対してグランパスはキックオフからDFラインと中盤でボールをキープしながら一発のパスで裏を狙うような強引な組み立てが目立つ。実際個々のプレーヤーの能力が高いグランパスなら、こうした1本のパスであっても前線にパスが通りさえすればなんとかなってしまう感じがしないでもないし、それが勝利への近道と言えば勝利への近道ではある。しかしこれを続けていてもグランパスの攻撃にはなかなかリズムが出て来ないし、かといって相手ボールになった時に前からアグレッシブにプレッシャーを掛けに行く守備で相手を圧倒しようにも、こちらは比較的ナーバスな笛を吹くタイプだった主審に試合をブツ切りにされてしまったり、そもそも連動性をあまり感じさせないグランパスのディフェンスではやはりリズムを生み出すことは難しい。

 そんな序盤の落ち着かない展開から試合が徐々にグランパスのペースに傾いてきたのは15分過ぎ。それはすなわち森のスルーパスから曽雌が抜け出して放ったシュートがポストを直撃したあたりからのこと。その後は負けじと左サイドの伊藤がドリブルでエグってチャンスを作ったり、この二日間キュンキュンに切れていた金が中盤の底で軽やかなステップを披露して相手のチェースを交わしてボールを運んだりと、グランパスがその個人能力の高さを発揮し始めた。
 そしてそんな流れの中、セットプレーから石川が目の前にこぼれてきたボールを拾うと、左足で落ち着いてゴールへパスするような先制ゴール。さらには左サイドでDFラインの裏へと出たボールに抜け出した伊藤が得意のドリブルでゴールライン際まで深くえぐって折り返し、中央に詰めていた森がスルーしたような格好からファーサイドで石田がプッシュして名古屋が追加点を挙げることに成功した。

 だが相手を考えれば安全圏とも言える2点のリードを保ちながら、それでもゲームをコントロールすることが出来ず、トドメを刺すどころか逆にシンプルなタテ1本から攻め込まれてしまうあたりが、このチームが抱えるゲーム運びの拙さであり、それによって後半に払わされることになったその代償はあまりにも大きかった。

 後半に入ると前からの圧力を強めてきた名古屋FCに対して、グランパスは後半開始早々にWボランチのところでボールを持ち過ぎて奪われ、そのまま前を向いた選手にミドルを打ち込まれ1点を失ってしまう。そして今度は(グランパスにとっての)左サイドから突破を許すと、そのクロスのこぼれ球から、相手が放ったシュートがグランパスの選手に当たってコースが代わりそのままゴールに吸い込まれてしまった。後半開始から5分ほどで起こったあっという間の同点劇は、グランパスからしてみれば何が何だか分からないうちにやられてしまった感じかもしれないが、いずれも交代選手が得点を奪った名古屋FCからしてみれば、(多少の出来過ぎはあるにせよ)狙い通り・計算通りの展開だったかもしれない。

 ただこれはあくまで振り出しに戻っただけであり、俺はその段になってなおグランパスが負けるなどということはこれっぽっちも想像していなかった。ピッチ上を観た時に、チーム全体がアグレッシブで良いサッカーをしているのは明らかに名古屋FCだが、それを凌駕する個々の能力の高さをグランパスは持っている。試合を決めるのは得てしてそんな個の力だ。そんな試合を俺は夏のJビレッジでも観ている。
 しかこの試合の決勝ゴールが、そんなグランパスの個の力の象徴であるU16日本代表・北川柊斗の投入から5分ほどが経過した時に、名古屋FCによってもたらされるのだから、俺の予測は大外れもいいところで、それどころかもはやそれを通り越してほとんど皮肉だ。ボックス内でのクリアボールが相手に当たってマウスへと吸い込まれたゴールは、二点目と同様アンラッキーと言えばアンラッキーだが、試合展開を考えれば必然の結果だったのかもしれない。

 その時点で残りの試合時間は20分。正直に言えば、俺はそれでもなおグランパスの敗戦を想像出来ていなかったのだが、上手く行かない試合の流れに焦りも手伝ってか、チームとしての機能性を完全に失ってしまっているグランパスは、宮市や桜井といった得点力のあるアタッカーを投入(曽雌と金がアウト)したところで、チームとしてもはや反撃もままならない状態だった。そして試合はそのまま終了のホイッスルを聞くことになる。まるで優勝したかのような騒ぎの名古屋FCをよそに、名古屋U15はベンチ、スタンドも含めて茫然自失。目の前で起こった出来事は、一部外者の俺ですら信じられない光景だった。

 このチームが2-0からの逆転負けを喫したのは今年の公式戦だけでも既に三回目。一度目はU-15東海リーグ(前期)の清水戦、そして二試合目がクラ選東海大会・準決勝の磐田戦といずれもビッグゲームだ。高田監督は中スポのコラムの中でことあるごとにこのチームのメンタル面を課題として挙げていたが、この試合を観る限りではその原因はメンタルというよりむしろベースとなるチーム戦術の不確かさのような気がしてならない。もちろんこの年代でチーム戦術に縛られるようなことには意味がないのかもしれないが、チームが上手く行っていない時に何が出来るのかということで考えると、サッカーがチームスポーツである以上、そこは個々のプレーヤーレベルよりもチームで出来ることを考えた方が確実だ。
 グランパスの育成普及部でテクニカルディレクターを務める前FC岐阜監督の松永さんが、9/30に行われたU15東海リーグの観戦記ブログ(はからずもカードはこの日と同じグランパスU15×名古屋FCでグランパスが10-0で勝った)の中で、「自分たちのリズムが掴めない時には基本に立ち戻ること」と書いていたが、試合を通して観ていてもグランパスにはチームとして立ち返るべき場所がないような印象を受ける。去年のチーム(U-15)などを見れば、高田監督にその手のことを施すだけの技量や手腕がないとも思えないが、今年のチームは個々の能力が高い分、選手個々の判断に任せて個の力を最大限に引き上げるサッカーをさせているのだろうか。
 
 J下部でもなくましてや前回10-0で勝った相手に2点のリードを引っ繰り返されるというショッキングな敗戦。俺のような一観戦者は、「おかげで明日はトップチームの試合とハシゴが出来る」と前向きに捉え直せば事足りてしまうが、翌日に全国大会出場権残りひと枠を賭けた戦いを行わなければならないチームには(試合間隔などある意味ではプロ以上の)高次元での切り替えが求められる。そしてこの時の俺は、まさか翌日の三位決定戦が磐田との対戦になろうとは思ってもいなかった。
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■全国高校サッカー選手権 愛知県大会決勝 中京大中京×東海学園 @瑞穂陸上競技場
 予想外の結果を見届けた後は瑞穂に移動。全国高校サッカー選手権・愛知県大会決勝を観戦。カードはこのところ愛知県では定番となった感のある中京大中京×東海学園。そう言えば去年の夏に豊田でプリンスリーグ(名古屋U18×静岡学園)を観戦した時に、同じ会場で行われていたのもこのカードだった。そしてその時の対戦で左サイドから切れ込んでスーパーミドルをブチ込んでいた宮市がこの試合でも完全な主役。観に来ている人の何割かもそんな宮市が目当てなのか、宮市がボールを持つたびにどよめきが起こる。平野、小倉、ピクシー、マルケス、本田、玉田と名だたる名手達が君臨して来た瑞穂のホットコーナーで、それに負けないぐらいの輝きを放つ宮市の「海外流出」はつくづく残念ではあるが、行くからには是非日本発そして愛知発の成功事例となって欲しい。

 試合はそんな宮市の2ゴールによって中京大中京が逆転勝利。昨年に続く全国大会出場を決めた。抜群のスピードとフィジカルを有し自分の「型」を持っている宮市はこの年代では突出した存在。それに加えて左右両足を使いこなせるときたら、宮市を止められる高校生はそうそういない。事実2点目も、対応するDFが右足をケアするのにいっぱいいっぱいで、左足にセットされてシュート体勢に入られた時にはもう既になす術がなくなっていた。海外での激しい生存競争で揉まれる中で、もっと仕事量を増やして更にスケールアップした姿を見られる日が来るだろうか。
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■高円宮杯(U-15)東海大会 3位決定戦 名古屋U15×磐田ジュニアユース @港サッカー場
 昨日名古屋FC相手に信じがたい逆転負けを喫した名古屋にとってこの3位決定戦は全国大会出場権獲得のラストチャンス。そしてその相手が夏のクラ選準優勝チーム(去年までだったらその時点で高円宮杯本大会出場決定)で名古屋も今季2敗を喫している磐田というのだから、ここにきて究極の勝負マッチが実現したわけだ。もし両チームがすんなり決勝に進んでいたとしたら、仮に負けたとしても全国に行ける決勝は(消化試合とは言わないまでも)ここまでギリギリの勝負マッチにはならなかっただろう。今年から負けたら終わりの一発勝負(トーナメント)に変わった高円宮杯に向けて、これはその一回戦みたいなものかもしれない。

 名古屋は昨日の試合からスタメンを組み換えてきた。宮市を1トップに据え、森を本来のトップ下に戻す。この組み合わせは、このチームには北川柊斗という絶対的なエースがいることもあってこれまで頭(試合開始)から目にする機会がなかったものだが、ドリブルというよりもヘディングの競り合いに強く周りを使うのが上手いイメージがある宮市の1トップというのは十分「あり」なオプションで、目から鱗の組み合わせだ。

       宮市

伊藤     森     曽雌

    金    石川

松田  後藤   中島  若園

       板倉

 試合は昨日と同様名古屋が先行する展開。15分過ぎに左サイド伊藤の突破で得たCKから、磐田GKが弾き出し損ねたボールをファーサイドの後藤が頭でプッシュして幸先良く先制すると、昨日から好パフォーマンスを見せているボランチの金が相手ボールを奪ってそのままDFラインの裏へと抜け出すと、その折り返しを中央に走り込んで来た宮市が頭で合わせて追加点を奪うことに成功した。昨日に続く、そして今シーズンそこから三度に渡り逆転されてきた2-0のリード。今日こそはそれを勝利に結び付けることが出来るだろうか。

 しかし名古屋は2-0のリードにも相変わらずどうにも戦い方が安定しない。昨日の試合でも書いたが、基本的に個人技がベースとなっているチームは攻守に連動性を欠いている印象で、チームは組織としてあまり機能していない。例えば守備では誰かが飛び込むと後ろにカバーがなくスペースがガラ空きになっていて、相手にワンツーを噛まされるだけで簡単にピンチを招いてしまう。そしてボランチが二人で獲りに行ってそこを抜け出され、前を向いた相手とDFラインが対峙しなければならないようなトップチームではおなじみの光景が度々見られた。しかしそうした場面でもラインを保ちながら後退して「ここ」というタイミングでラインをブレークして互いの補完関係を作り出しDFラインだけでなんとか守り切ってしまうトップチームと違って、このチームではDFラインだけ見てもその補完関係が十分には成り立っていない。誰かがボールに喰い付いたらその後ろのスペースをケア出来ていない名古屋は、個々のプレーヤーの頑張りによってなんとか相手の攻撃を凌いでいるものの、相手が複数の人間を絡めてそのスペースを狙って来たら分が悪いのは明らかだ。相手の力が大きく劣るならともかく、これでは何点リードがあってもなかなか安心出来ない。
 また攻撃面でも基本的には個々のプレーヤーの能力をベースとしている名古屋は、ボールホルダーの後ろから追い越していく動きだとかスペースに飛び出して行く動きといったものが極端に少なく、なかなか攻撃にダイナミズムが生まれて来ない。強いて挙げるなら右SBの若園が思い切ったオーバーラップを見せるのがそれの生じている時だが、その若園がオーバーラップした後のスペースを誰がどうやってカバーするのかという部分に若干の不安があるので、観ている側としてはドキドキよりもそこでもしボールを奪われたらというハラハラ感の方が強いのも確かだ。

 ひょっとしたら高田監督はこのチームに組織や戦術としてのエッセンスよりも個の能力を高めることやまずは1対1(での勝てる強さ)を求めているのかもしれない。コーナーキックの守備でトップチームやU18が採用しているゾーンではなく、マンツーマンを採用しているあたりもひっょっとしたらその一旦だろう。しかしそれだと相手のチームとしての完成度が上がれば上がるほど戦いは苦しくなる。逆に言えば、このチームは高校年代(ユース)に向けて戦術面でまだ大きな伸びシロがあるとも言えるわけだが。

 試合は後半15分にCKのチャンスから一転カウンターを喰らい相手アタッカーの独走を許すと、一度は相手のシュートをGKが好セーブでストップしたものの、そのこぼれに詰められて1点を返される。過去何度も2-0のアドバンテージを生かせなかった名古屋にとってはここからが正念場だ。
 さすがに後半になると磐田も体力が落ちて来ているし、こうなると試合はもう戦術がどうこうではなくなる。J下部同士、全国への残りひとつの椅子を賭けた戦いは激しさを増し、前半からバトルを繰り広げていた球際ではさらに厳しい戦いが繰り広げられた。追い掛ける磐田と応戦する名古屋による意地と意地のぶつかりあいだ。

 ラスト15分。名古屋はエースの北川をピッチへと送り込む。コンディションが良くないのか、昨日の試合ではあまり良いところが見られなかった北川だが、この試合ではそのプレーで少しリズムが出てきたようにも感じられた。シュートを打つべき場面で打ち切れなかったりといったシーンもあったが、身体のキレも戻って来ているように感じた。全国大会に向けてこれは好材料だ。

 そして試合は残すところあと1分。名古屋は左サイドで磐田にセットプレーのチャンスを与えてしまう。不用意と言えば不用意だが、集中して守り切りさえすればこれがラストプレーになるはずだった。しかしこの土壇場で磐田が驚異的な集中力を見せる。FKからニアサイドに飛び込んだ選手のヘディングが決まり同点。試合は2-2のまま延長戦へ。名古屋はまたしても2-0のアドバンテージを生かすことが出来なかった。

 しかし延長に入る頃には磐田に反撃するだけの体力が残っていなかった。2点のリードを許して以降、同点に追い付くべくフルスロットルで動き続けてきたのだから無理もない話だ。そして北川を中心に磐田を押し込む名古屋は左サイド松田のクロスを北川が後ろに流し、それを拾った宮市がシュート。これh相手DFのブロックに遭ったが、そのこぼれ球を拾った伊藤がゴールラインに向かってドリブルで縦に突破してグラウンダーの折り返し。これをゴール前で宮市が詰めて名古屋が勝ち越しゴールを奪ったのだった。
 そうした一連のプレーの中で地味に光っていたのが北川の周りを使うプレー。もともと一人で何でも出来る選手だったが、今年ユース(U18)や一つ上の学年の日本代表に交じってプレーやトレーニングを行う中でそうした感覚を身に付けて来たのだろうか。そのプレーは実に滞りなく滑らかだった。

 そして試合は延長後半に金に代えてボランチに赤塚を投入するなど、トップチームのピクシーばりの手堅い選手交代を見せた名古屋が、そのまま3-2で逃げ切り全国大会への出場を決めた。

 この二日間で際立ったパフォーマンスを見せていたのが最後に交代した金。去年のプレミアカップの時にはまだ線の細いテクニシャンといった印象で、Wボランチを組んだ真柄にかなり支えられていた感じだったが、身体が出来てきて当たりに強くなった今は、中盤でハードワークをこなせるようになってきた。2点目のアシストとなった一連のプレーの素晴らしいのひと言。また常に声を出し続けていた森もキャプテンとして存在感を増している。接触プレーで選手が傷んでいる時に、ベンチにいる選手に向かってアップを指示するなど、選手の自主性を重んじている?このチームを象徴するような存在だ。

 厳しい試合だったが、名古屋にとってはこの試合を経験したこと、そして勝ち切ったことが大きな自信そして財産になるかもしれない。全国大会を地元名古屋で戦えるアドバンテージはなくしてしまったが、この厳しい戦いを乗り越えた彼等には堺だろうが徳島だろうがヴェニューはもはや関係ない。準々決勝での瑞穂への凱旋、そして決勝でのトップチームとの国立共演を目指して、中学年代最後の大会を悔いのないように戦って欲しい。
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■J1 第30節 名古屋×大宮 @瑞穂陸上競技場
 台風の影響により延期になっていた湘南との第28節をミッドウィークに挟んでいる大宮は、この試合まで中三日。残留争いが熾烈を極めている状況にあっては、全ての試合を勝ちに行くことよりも勝てる試合で確実に勝ち点3を奪うことの方が大切だろう。そうした意味では、この試合は中三日で現在首位を走る名古屋との対戦、またこのところセットプレーから多くの得点を演出している金久保が出場停止ということを考えれば、引き分ければ上出来、負けたとしても得失点差が大きく開かなければOKという試合だったかもしれない。
 一方名古屋にとってはこの試合は前節鹿島に敗れていることもあって負けられない試合。そしてケネディ、闘莉王、金崎といった負傷者を欠いているとはいえ、この試合で勝ち点3を獲りたいという思いは誰もが同じで、そのことは試合前にゴール裏のサポーターが示した「+3」というマスゲームが示していた。
 なお港サッカー場で無事高円宮杯出場を決めたU15の面々も三々五々集合してこの試合を観戦していたようだ。

 試合はセットプレーからファーサイドで待ち構えていたブルザノビッチが右足で叩き込み幸先良く戦線いた名古屋だったが、そのブルザノビッチが負傷して交代を待っている間に、その数的優位を生かして大宮にピッチを広く使ってボールを動かされ、最後はクロスボールをラファエルが落とし石原に叩き込まれるという完全に崩された形で名古屋が失点。試合を振り出しに戻されてしまった。
 立っていることすらままならないブルゾに代わって交代選手が既にタッチライン際にスタンバっていたことを考えれば、名古屋は故意にファールしてでも一旦流れを断ち切り交代選手を迎え入れるべきだったし、なんとなく「相手が出してくれるだろう」という淡い期待からズルズルと守備に入り、ボールの意奪いどころも定まらないままに崩されあれよあれよという間にゴールを許してしまうあたり、チームとしての「人の良さ」や「甘さ」が滲み出ている。このあたりの「試合巧者」ぶりは名古屋が10年経っても鹿島に追い付けない部分だ。

 しかし今シーズン名古屋はこれで終わらない勝負強さを身に付けている。内容だけ見ればキレキレの玉田ぐらいしか印象に残らない試合だったが、ケネディ、闘莉王を欠くセットプレーから今度は増川が頭で合わせて名古屋が勝ち越し。試合を名古屋の勝ちパターンへと再び引き戻した。

 後半になると大宮はラファエルをサイドに置き、トップにスピードのある二人を並べる布陣へと変更していて、増川、千代反田というCBに対してスピード勝負で活路を見出す作戦に出たのかなと思っていたが、最も怖い存在であるラファエルを最前線に置かれる方が名古屋にとっては脅威が大きかったはずで、結果的に大宮が得点から遠ざかってしまったのは自然の成り行きだった。

 そして鈴木監督がなぜこんな策に出たんだろう?と考えつつ、いくら得失点差を気にしているとは言え攻撃に人数を掛けなさすぎな大宮に疑念を抱いていた俺が、大型ビジョンに表示された大宮のメンバー表から一人分の名前が消えていて、それがどうやら前半終了間際に俺がトイレに立った隙に起こった出来事であろうことに気が付いたのは後半も半ばにさしかかった頃のことだった。

 試合はそのまま2-1で終了。名古屋は欲しかった勝ち点3を、大宮は最低限の結果として得失点差-1を得てそれぞれが向かうべき次節からの戦いへと進んでいくことになる。。ただ対戦相手である大宮の状況が状況とは言え、ケネディも闘莉王も欠く中での勝ち点3が持つ意味が、名古屋にとってことのほか大きなものであったことは疑いようもない事実だった。
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by tknr0326g8 | 2010-11-15 01:17 | Game Review