Grampus Diary from TOKYO
by tknr0326g8
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2005年 11月 05日 ( 1 )
選手紹介#14 「マジカルレフティ」 本田圭佑(24)
 使い古された言葉だが、本田は名古屋に現れた久々の「黄金ルーキー」だった。
 冬の全国高校サッカー選手権で星稜高校をチーム初のベスト4に導いた本田は、直後に参加したカタール国際ユースでもその能力を存分に発揮し存在感をアピール、一躍6月のワールドユース(オランダ)を目指すU-20日本代表の主役のひとりへと躍り出た。帰国後休む間もなく名古屋のキャンプに合流すると、今度はネルシーニョ体制の集大成とも言えるシーズンで左MFとしてレギュラーを獲得、迎えた優勝候補・千葉との開幕戦ではさっそくアシストを記録し、ホーム瑞穂の観客の前で沸騰気味な地元マスコミの煽りに違わぬ力を見せ付ける。本田とは特徴の異なる右SH中村と組む攻撃的な中盤は、ベンゲル時代の岡山&平野、ジョアン・カルロス時代の望月&平野を越える可能性を感じさせた。

 本田の左足は言うなれば「マジック」だ。その左足は「魔法の杖」のように一振りで相手の急所をとらえるパスを供給し試合の局面をガラリと変えてしまうだけの力を持っている。本田がその左足でパスを出す姿は、まるで左足でボールを掴んで投げているようだが、助走や大きな予備動作をつけなくても、ノーステップで強く正確なボールを蹴ることが出来るのが本田の技術的な強みだ。当たり負けしない屈強な身体を持ち、決してスピードがあるわけではないが、フェイントで相手の裏を取る動きも上手い。大胆にして繊細。強くそして柔らかい。

 しかし本田がそこらいにいる「天才」と違うのは、そういった技術的な部分もさることながら、彼が常に高い志とそれを実現するための強い意志を持っていることだ。インタビューなどから窺い知る限りでは、彼は決して現状に満足しようとはしていないし、しっかりとした目標を持ち自分で物事を判断するだけの力を持った大人のプレーヤーでもある。そういったメンタルの強さと考える力も、そして確かな戦術眼も本田のサッカー選手としての大きな武器だ。

 こういうタイプのプレーヤーはかつての中田英寿がそうであったように、どのような環境下であれその成長の芽を潰すことなく成長していくだろう。俺にとっての元祖アイドルであり、どことなく本田が若い頃の彼を彷彿とさせる小倉のように、自分の理想形のようなイメージに囚われて考え過ぎてしまうことで逆に袋小路に迷い込んでしまうようなケースも考えられるが、本田を見ている限り今のところ心配はなさそうだ。

 だが、そんな本田が今ちょっとしたピンチに立たされている。大袈裟に言うならば、本田という特別なプレーヤーにとってサッカー人生を左右しかねない状況だ。
 最初のキッカケは、4月のヴェルディ戦では将来も語り継がれるような初ゴールを決めるなど順風満帆に来ていたリーグ戦で負った太股の負傷。そして決してコンディションが万全というわけではない状態で臨んだワールドユースで本田は挫折を経験する(本人がそう思っているかどうかは分からないが・・・)。開幕戦で、開催国にしていきなりコンディションをピークに持ってきたんじゃないかってぐらいのオランダと対戦した日本は、(最終的なスコアこそ接戦だったが)特に前半大人と子供ぐらいの差を見せ付けられる。それはショッキングなぐらいの光景だった。その試合に本田はボランチとして先発出場、(贔屓目込みで見れば)その身体の強さとJで積み重ねてきたプロの経験が活き、日本の中ではオランダ相手に「戦えている」数少ない選手の一人だった。にも関わらず、本田はその試合で途中交代させられ、その後決勝トーナメント一回戦で敗退するまで出場機会を与えられないまま帰国の途に着いた。
 チームの戦術の中で、中盤からボールをつないで行くのではなく、前線に置いた「大きいの」にボールを当ててそこから全体を押し上げて(押し上がらなかったけど)攻撃につなげていくスタイルでボランチに求められるのは、自分の頭の上を越えていくボールを追いかけて上がって行き、相手のボールになったらまた全力で自陣まで戻って守備(マーク)をするといった走力だ。そこではボールをキープしゲームを構成できる力なんかは二の次。同じようなスタイルだったズデンコの2年目に山口素弘が切られて吉村と中村のムラムラ・コンビが誕生した時とよく似ている。ユース代表チームのことより本田のことが大事な本田ヲタの俺からすれば、この采配は理不尽なことこの上なかったが、現場の決定権は当然監督にあるわけで、後は本田が必要以上に落ち込んだり考え込んだりしてスランプに陥ることなくチーム(名古屋)に復帰してくれることだけを望むしかなかった。

 チームに帰って来た本田を待ち受けていたのは、中断期間中――本田がワールドユースを戦っている頃、日本のフル代表はコンフェデに参加していてリーグ戦は中断していた――に磐田から電撃移籍してきた元日本代表にして日本でもトップクラスのMF藤田俊哉とのポジション争いだった。コンディションの問題からか、最初こそその後塵を拝した本田だったが、やがてネルシーニョもポジションを入り繰りしながらの本田と藤田(そして中村)の共存という路線を模索し、それに落ち着いていった。おそらく普段の練習から、そして試合の中でも本田が藤田から学ぶものは少なくないはずだ。それを(本田の育成費用と)考えれば藤田の年俸1億円は高くはない。

 しかし、そんな本田にとって真の試練が訪れるのは、再び中断を挟んで再開されたJリーグで成績不振を理由にネルシーニョが解任され、主にセカンドチームを見ていた中田コーチが監督代行に就任してからだった。クラブはとりあえずこの中田体制でコーチングスタッフの補充も行うことなく今シーズンを乗り切るという。J1残留という最低限の目標をノルマとして課せられた中田監督代行は、チームの立て直し、そして(来シーズンに向けた)基盤作りを掲げ、実績のあるベテランを中心にチームを編成し始めた。そしてその後に重心が掛かった戦い方においては高卒一年目のアタッカーである本田がスタメンを勝ち取る可能性は極めて低くなった。この状態は少なくともJ1残留が確定するか(ある程度の確率が見込めるまで)続くだろう。
 自らも「試合の中で伸びていくタイプ」と公言する本田にとってこの状況は極めて厳しい。使われるポジションもWB、ボランチ、FWと様々な上、後半途中からの交代出場では与えられた時間もかなり限られている。本田の将来を考えたらこんな使い方をしていていいはずがない。これは「いろんなポジションを経験させる」とは全く趣が異なっている。本田自身はトップでの交代出場の傍らサテライトやリザーブ組の練習試合にも積極的に参加して己を高めようとしているようだが、極端な話ろくにコーチもいないような環境ならアマチュアチームと大して変わらないわけだから。

 正直に言えば、こんな最低なシーズンは早いとこ終え、新監督がやって来て、新しいスタッフと(外国人を含めた)メンバーによる新シーズンに思いを馳せたいというような気持ちが、一ファンの俺のような人間には少なからずある。そして全員とは言わないが、選手の中にも、とりあえず目の前の残留という目標に向って頑張りつつも、今出来ること・必要なことを考えて課題を持ってプレーするより、なんとなく消化試合的な雰囲気で試合に臨んでいるんじゃいかと感じられる選手も何人かいる。名古屋の選手達が得意な「切り換え」というやつで。でなきゃなんとなく試合に入って開始早々失点を喰らうという同じ失敗を何度も繰り返すはずがない。気分的にはこんなところか・・・

「今シーズンは目標だった優勝が出来なくて残念だけど、来シーズンは切り替えて臨みたい」

 そんな選手だけを責めるわけではなく、そもそもクラブ自体が今シーズンを「もう優勝もなくなったし残留できればいいや」と捨ててしまっている節があるのだから話にならない。今クラブトップがしなきゃいけないことは、J1残留に向けて喝を入れることじゃなく、例え残り何試合かであっても、金をケチらずちゃんとした監督連れてくることでしょう!俺(このブログ)は保守系なので(笑)、なんでもかんでも(ピッチ外の)フロントに批判の矛先を向けてそれで全てを片付けるようなことはしないが、今回はあまりにも目に余る。

 と、少し話が脱線気味だが、何が言いたいのかと言うと、現状に甘んじて向上心を失ったプレーヤーや無駄な支出は省きたいクラブにとって今シーズンの残りはただ過ぎるのを待つ嵐であり消化期間に過ぎないかもしれないが、この期間は同時に本田にとっては二度と訪れることのない、その使い方(過ごし方)によっては大きな成長をもたらせるかもしれない、19歳の何ヶ月間だということだ。上で本田のようなタイプは「どんな環境でも伸びる」と書いたが、そのための環境作りをクラブは怠ってはいけない。本田という宝を預かったわけだから責任持って育てるための準備だけは整えろ。その上で選手の伸び悩んだりするのは、色々な要素も関わってくるし仕方ない部分もある。クラブが育成上手とか育成下手とか言う以前に個人の資質であったりするし、クラブだけでなくマスコミやサポーターを含めたクラブを取り巻く環境全てが影響することでもあるから。
 
 まあとにかく本田にはこんな状況下でもクサらず己を伸ばしていって欲しいと願ってやまない。そして本田が無限の可能性の先にぜひとも「世界」を掴んで欲しいプレーヤーであることは間違いない。てか、そろそろ本田の先発が見たい。特にこんなチーム状況じゃ、本田が出るか出ないかは俺の観戦モチベーションを大きく左右する。本田が先発するなら他の予定流してでもさいたままで行ってもいいかな。
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by tknr0326g8 | 2005-11-05 05:54 | Player's Profile