■Best Game 第27節 柏戦
GWの日立台での借りをキッチリと返し、おまけに自ら望んで名古屋を出て行った古賀を前半のうちに退場に追いやったホーム(瑞穂球技場)での柏戦が今シーズンの当ブログ選定のベストゲーム。
フェルフォーセン体制についてのレビューは改めて書くつもりだが、今シーズンの名古屋に最も欠けていたものは、攻撃(ひいては勝利)への意欲だったのではないかと俺は思っている。シーズンが深まるにつれて整備されてきた印象のあった守備面に比べ、互いのプレーに対する反応が鈍く、バックパスと最終ラインでの横パスがやたらと横行していた攻撃面は全くもって退屈で消化不良なままだった。もちろん長いシーズンの中では第22節の大宮戦のように5点を奪って大勝した試合もあったが、俺はそんな試合においてすらチームが積極的に得点を狙いに行く意識だとかそれに伴った昂揚感のようなものをピッチ上から感じ取ることは出来なかった。
そんな中にあってこの第27節の柏戦は――前の節で神戸に屈辱的な敗北を喫したリベンジに燃える思いもあったのか――チーム全体が前へ前へとボールを運ぶ中でアグレッシブかつ有機的に連鎖し、今シーズン唯一と言ってよいスペクタクルなゲームを演出したのだった。そして新システム4-1-4-1が機能したこの試合のもうひとつの意味は、タレントの頭数だけは揃う中盤で攻撃的な特徴を持ったプレーヤー達がようやく適切なポジションで起用されたことと、コンディションが良い時でもフェルフォーセンに冷遇され続けた(この試合でも途中交代の憂き目にあった)玉田の卓越したキープとポストワークによってボールと人の動きに循環がもたらされたことにあるのではないかと俺は思っている。
次点を(自分がLIVE観戦した中から)挙げるとすれば、一人少ない状況でロスタイムに失点という悲劇的な結末にこそなったものの、チーム全体が素晴らしいファイティングスピリットを発揮して格上の相手と堂々渡りあった第23節川崎戦だろうか。
チームにとって絶対不可欠な主力(外国人選手)に怪我が相次いだ影響か、チームとしてのフレームが一向に向上する気配がなかったシーズン中盤~終盤の名古屋にとって、チーム力で自分たちを上回る相手に対抗する術は、相手チームとのガチンコのマッチアップを組んでそれぞれの局面において対面する相手を上回ることしかなかった。
そして個々のプレーヤーが強い気持ちが必要となるこのやり方で選手達が期待に応えた川崎戦はあわや勝ち点3という試合を演じ、逆に相手に合わせず自分たちのやり方で試合を推し進めようとした翌節のG大阪戦は(一見個々の能力の差のようにも見えるが)これでもかというぐらいチーム力の差を見せ付けられ圧倒される結果となったのでした。
■Best Goal 玉田圭司(第34節・千葉戦)
DFラインの裏へと抜け出してボールを受け、PA内で対応に来た佐藤勇人と対面してもなんら動じることなく、むしろコーンなどの障害物を避けてゴールへと蹴り込むゲームでもするかのように左足で簡単に流し込んだこのゴールは、玉田がその優れた技術をベースとして他の選手達とは一線を隔す特別なプレーヤーであることを証明したゴールだったが、同時に玉田圭司というプレーヤーを最もよく表現しているゴールだったのではないだろうか。
玉田といえば一瞬のスピードで相手を抜き去りテクニックとパワーを併せ持った左足でゴールを陥れるイメージが強い。その意味ではW杯のブラジル戦のゴールなども玉田の特徴が出た良いゴールだった。しかしそれらはあくまで玉田というプレーヤーの表面的なイメージでしかない。もっと玉田というプレーヤーの本質を考える時、俺は玉田がことあるごとに口にする「楽しむ」という言葉がキーワードになると考えている。「楽しむ」という言葉に対する解釈は人それぞれで、玉田のそれはしばしば周りの人間を苛立たせる原因にもなるが――そしてそれはフェルフォーセンが玉田をスタメンから遠ざけた一因かもしれないが――このゴールのような形で玉田の「楽しむ」姿勢が発揮されれば、誰もがその凄みの前に沈黙せざるを得ない。
■Best Player 該当なし
四年間で二回目の「該当なし」。
他所の賞についてとやかく言うのは筋違いですが、ランクル賞はいつになったら「該当者なし」を出すんだろうか。どんなに成績が悪かろうが、持ち回りでお歳暮代わりに提供されるランクルに価値を見出せる人はほとんどいないだろうし、そうなるともはやこれはランクルの叩き売り・イメージダウン以外の何物でもないと俺は思うんだが。
■YOUNG PLAYER OF THE YEAR 阿部翔平
昨シーズン左SBとしてデビューしながら、あまりに守備が脆く、デビュー戦の前半途中にして左SHの本田と前後の入れ替えを命ぜられていた阿部。その後はまるで罰ゲームでも受けるかのように練習試合などでもストッパーをやらされていたが、ここでともにDFラインを形成していた秋田による薫陶もあってか、今シーズン再びトップチームに帰ってきた阿部は守備面(特に1対1)で見違えるような成長を遂げていた。もともと左足なら
何でも出来る阿部は――時として左足しか使えないと揶揄されたこともあったが――狭いスペースでも左足で自在にボールを操ることが出来、多少のプレッシャーではボールを失うこともないから、守備面さえ強化されればこれほど安心してみていられるプレーヤーもいない。おまけに鋭く正確なキックを武器に長短のパスを駆使して後ろからのゲームの組み立ても出来るとくれば、フェルフォーセンが重宝するのも無理もない話だった。
今シーズンすっかりレギュラーに定着したことで、怪我などせず代表などさらに上を狙っていけるかどうか来シーズンこそが阿部が真価を問われるシーズンになるだろう。だが俺は正直なところ攻撃面・守備面ともに本田との左サイドでのコンビが決して良くなかったことが阿部にとってはネックだと思っていたので、本田が抜けることが濃厚な来シーズンは実は阿部にとっても飛躍のシーズンにする最大のチャンスかもしれない。