正式な発表はなまだいものの、日本とブラジル双方のマスコミで既成事実のように語られているルイゾンの名古屋移籍。いい加減待ちくたびれたのと、本田の出番がなくなってしまったユース代表には興味半減(一応見てるけど)なので、ルイゾンについて書いてしまおうかと。
ルイゾンの名古屋移籍(の可能性)について最初にスッパ抜いたのは「Foot!」での藤原清美だったが、名古屋はその後ウェズレイとマルケスの2トップが相次いで退団(ウェズレイはレンタルでバイーアへ、マルケスはA・ミネイロへ移籍)、俄然その情報が真実味を帯びてきて、俺もそのルイゾンを観てみたくなった。
というわけで、2002年の日韓ワールドカップ(予選リーグと準決勝で2試合(いずれもトルコ戦)に途中出場)と、去年のブラジル全国選手権(ボタフォゴ所属)、今年のリベルタ・ドーレス(サンパウロFC所属)をビデオでチェックしてみた。
そうして出た結論は・・・
「ルイゾンに期待してはいけない」
その理由について語る前に、名古屋というチームにおける外国人選手に関する俺の考え。
名古屋はよく「外国人に当たりが多い」と言われる。ピクシーを筆頭にそれはいちいち名前を列挙して実証するまでもない。そして同じくらい聞かれるのが「外国人頼み」というフレーズ。前者は時にTOYOTAマネーと揶揄されることはあっても大抵がポジティブな評価であり、後者は真の強豪チームになれない理由のひとつとして常に引き合いに出されるネガティブな評価だ。しかし名古屋においてこれら二つの要素は、コインの裏表のように決して離して考えることが出来ないものとなっている。高い能力を持つ(外国人)選手がいてそれを軸に戦術を組み立てるという(チームを作る)ことは当然のことで、それは「依存」とは呼ばれないし、そこでは「(外国人選手の)ハイレベルなパフォーマンス」と「依存」は別次元の話だ。しかし名古屋というチームにおいてはそれらが論理的なつながりを持ってしまっている。
どういうことかというと、名古屋において「当たり外国人が多い」秘密は、実は日本人選手達の極端なまでの外国人依存に一因があるのだと俺は思っている。つまり<原因>が「外国人依存」で、<結果>が「当たり外国人」という関係。フロントがTOYOTAマネーをバックに(?)能力の高い外国人選手を連れてくる。そしてかつてピクシーに「respect me!」と言われたからかどうかは知らないが、その外国人選手達に過剰なまでの「敬意」と「遠慮」を示す日本人選手。それはピッチ上での現象としては「外国人選手に否応なく(無条件に)集まるボール」という形で現れる。あとは外国人選手達が思う存分持ちうる能力を発揮すればいい。それは「信頼」とはまた違ったニュアンスのものだが、そこでは外国人選手がチームに馴染む時間も、チームとしての戦術や約束事を消化する時間も大幅に軽減する(というかスッ飛す)ことが出来る。
例えば、チーム作りにおいて同じような特徴を持つFC東京と新潟という2チームにおいて、おそらく同じような理由で出場機会が限られているダニーロとアンデルソン・リマ、ぶっちゃけ言えば俺はこの二人が名古屋に来れば、かなり高い確率で持ち味を発揮し「当たり」外国人としての評価を不動のものにしていたんじゃないかと思う。名古屋ではこの二人を外す理由がないし、出場機会と「respect」という名の依存と寛容な心に恵まれた彼等は、ピッチ上で思う存分その特徴を表現するに違いないからだ。アンデルソン・リマなんて純粋なサイドのいない名古屋の右にピッタリ。「ピンチ(FK)キッカー」とかいうクダラない使い方するぐらいなら名古屋に譲ってくれないかな。(笑)
但し、この「能力の高い外国人」(X)と「日本人選手の外国人依存」(Y)との調合によって起こるアウトプット=「当たり外国人」(Z)という名古屋特有の方程式にはひとつ
条件がある。その条件とは、「能力の高い外国人」(X)に関して、
ひとりで局面を切り開く特徴が備わっているということだ。アタッカーならヘディングでもシュート力でもFKでもキラーパスでもドリブルでも、DFならボール奪取能力でもカバーリング能力でもなんでもいい。とにかくハッキリとした「個の力」が必要だ。
そしてここで話はルイゾンに戻る。
ハッキリ言うが、ルイゾンには(エメルソンのように)相手DFをブッチ切るスピードも、(ワシントンのように)相手DFをなぎ倒す強靭なフィジカルも、(マルケスのように)相手DFを翻弄する技術もない。彼にあるのは卓越した戦術眼とゴール前で点で合わせる上手さ。ゲームの中で目立つシーンは、ポストに入ってボールを受けて周りの味方を使うシーンや、瞬時に状況(敵含む)を把握して動き直しながらゴール前にポジションを取るシーン。ルイゾンは決して「怪物」ではないし、「怪物」的要素もない。もっと言うなら、ルイゾンというプレーヤーは、周りの選手達の技術・戦術両面でのレベルが高くなければ成り立たないプレーヤーだ。
だからこそ俺は言う。
「ルイゾンに期待してはいけない」 と。
名古屋が今まで通りの名古屋であるならば・・・。
しかし・・・そこで藤田俊哉。
もし本当にルイゾンが来るのなら、藤田俊哉の獲得はとてつもなく大きな意味を持つ。俺の見立てが正しければ、この二人は巡り会うべくして巡り会ったと言っても過言ではないぐらいプレーの相性が合うはずだ。この二人は出来るだけ近くにポジションを取らせたい。
それ以外にも高い意識と積極性を持つ本田であれば存分にルイゾンを「利用」出来るだろうし、中村の得意な(というか俺にはそれにとじ篭っている感じの方が強い)右サイドへ流れてのクロスにルイゾンが中で合わせるパターンはホットラインになる可能性もある。中断前にネルシーニョが愛用していた1トップも、マルケスよりはルイゾンの方がしっくりくるだろう。
もしこれまでの名古屋のように「あとはよろしく」的なパスを出されたとしたらルイゾンがどうするかも少し興味深い。意外とゴールハンターの血が覚醒して、強引な突破からゴールを量産したりして。(笑)
そう考えれば、不安半分・期待半分ぐらいか。
そしてこれはハッキリと言える。
名古屋がルイゾンのようなタイプの選手を上手くチームに取り込んで「当たり外国人」にした時、それは名古屋がチームとして成長した証と言うことが出来るし、名古屋が真の「強豪」の仲間入りを果たしたと言っても差し支えないだろう。そしてチームとして進むべく道しるべはそっちに向いている。
ああ、あとルイゾンをトップに据えて藤田をその下に置いた4-2-3-1(4-4-2)なんて、なんとなくユースを彷彿とさせるようで俺は好きだな、流れ的には逆だけど。(笑) もし実現すれば、久保とか新川にとっていいお手本(ルイゾン→久保、藤田→新川)になりそうだし。